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FANTAS fundingとCREALの第1弾案件募集キャンペーン戦略を比較分析

不動産投資型クラウドファンディングに新たに参入した2社。

FANTAS fundingCREALが第1弾案件の募集を行いました。

2社ともに応募を集めるために手を打ちましたが、明暗がくっきり分かれました。

その原因を分析します!

この記事の著者
投資家・ブロガー
タロウ

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファディング専門の投資家です。
2018年にソシャレン・クラファン投資を始め、これまで400件を超える案件に1億9千万円以上を投資し損失ゼロ。
安全性を最重視した投資情報を発信しています。

第1弾案件の結果

FANTAS fundingの初回募集は11月22日、CREALは12月3日でした。

第1弾についてはCREALの圧勝と言って良いでしょう。

FANTAS funding

FANTAS fundingは第1弾で7つの案件を出しました。

応募満了までの所要時間は以下の通りです。

案件 募集総額 所要時間
空き家第1号 横須賀 402万円 瞬殺
中古ワンルーム第1号 大田区 1,585万円 3日
中古ワンルーム第2号 北区 1,746万円 4日
中古ワンルーム第3号 板橋区 1,416万円 7日
中古ワンルーム第4号 板橋区 1,466万円 7日
中古ワンルーム第5号 新宿区 2,024万円 30分
中古ワンルーム第6号 墨田区 1,608万円 7日

空き家第1号があっという間で、5号新宿が30分ほど。初日で埋まったのはこの2案件だけでした。

さらに、3・4・6号は募集最終日まで残っており、特に4号は最後に関係者が応募して満了させたのでは?と思うような動き方でした。

FANTAS fundingはかなり苦戦した印象です。

CREAL

これに対してCREALはどうだったかと言いますと…

案件 募集総額 所要時間
ホテル アマネク 8億8千万円 募集中
ティアラ目白 1,541万円 2分
トーシン五反田 2,117万円 3分

ホテル アマネクは募集額が桁違いなので別扱いとして。

FANTAS fundingと同じような条件だった目白、五反田案件が、ほぼ瞬殺しています。

この対比からソシャレン業界の注目を集めた不動産クラファン新人2社の初対決は、CREALの圧勝と言って良いでしょう。

明暗を分けた原因

CREALもFANTAS fundingも似たような中古ワンルームの案件を出したのに、なぜ明暗が分かれたのでしょうか?

アフィリエイトVSおこづかい

両社とも初回募集にあたって会員獲得キャンペーンを行いましたが、その戦略がまったく違っていました。

CREALはアフィリエイト

CREALは会員獲得にアフィリエイトを使いました。

会員登録したらいくら、というアフィリエイトです。

これに多くのソシャレンブロガーが反応し、CREALを紹介する記事が大量に生産されました。

僕も全面推しまではしませんでしたが、いくつかの記事を書きました。

FANTAS fundingはおこづかい

これに対してFANTAS fundingは、ポイントサイトやおこづかいサイトを使って会員を集めました。

よくありますよね。会員登録したらTポイントがもらえるとか、現金で100円もらえるとか。

そういうおこづかいサイトを使って、募集当日までに1万人を超える会員を集めました。

CREALは見込み客を集めた

CREALの勝因、そしてFANTAS fundingの敗因はここでしょう。

CREALが集めた会員はソシャレンブログの読者です。

ソシャレンを実際にやっていて、TATERUなど不動産クラファンの経験も恐らくある。

そして、新しい不動産クラファンに興味があり、投資意欲も少なからずある。

そういう実際の投資につながる会員を集めたのがCREALです。

FANTASはおこづかい収集家を集めた

これに対して、FANTAS fundingが集めた会員は、会員登録だけで100円もらえてラッキ~♪という、おこづかい収集家です。

中には投資家もいたかもしれません。

しかし、1万人の内の多くは投資やソシャレンに関心がさほどない人たち。

そういう実際の投資につながらない会員をFANTAS fundingは集めてしまったのでしょう。

プレスリリース狙いだったかも?

もしかしたら、FANTAS fundingは大量の会員を集め、それをプレスリリースすることで話題を集めようとしたのかもしれません。

であるならば、投資につながらないことは百も承知の上だった可能性はありますね。

いずれにしても、実際の投資募集につながったのはCREALの戦略でした。

利回り追加キャンペーン

CREALのキャッシュバックキャンペーン

もう一つの原因は、CREALが行った利回り追加キャンペーンです。

第1弾の募集に合わせて行ったキャンペーンで、30万円以上を投資すると、投資した金額の2%がキャッシュバックされます。

金額に対する2%バックであり、ティアラ目白は運用期間が6ヶ月、トーシン五反田は4ヶ月なので、年利にするとそれぞれ4%、6%の利回り上乗せになります。

そこまでの差ではないけど…

その結果、最終利回りはどうなるかと言いますと、

案件 当初利回り 上乗せ 最終利回り
ティアラ目白 4.3% 4.0% 8.3%
トーシン五反田 4.1% 6.0% 10.1%
FANTAS funding 8.0% 0% 8.0%

いずれもFANTAS fundingよりも利回りが良くなります。

とは言うものの、冷静に見るとそこまで大きな差ではないのです。

仮にトーシン五反田に30万円投資した場合、

  • 当初分:30万円×4.1%÷12ヶ月×4ヶ月=4,100円
  • キャッシュバック分:30万円×2%=6,000円
  • 合計:10,100円

FANTAS fundingだと運用期間が4ヶ月なので、

  • 30万円×8%÷12ヶ月×4ヶ月=8,000円

実は2千円の違いに過ぎないんですよね。

2割ですからデカイっちゃデカイんですけど、瞬殺と所要時間7日の差を生むほどではありません。

打ち出し方が上手い!

でも、人間って追加のおまけに弱いじゃないですか。笑

FANTAS fundingが利回りは5%くらいにしておいて、キャッシュバックで2%とか3%にしていたら、もっと応募が集まったかもしれません。

ここはCREALが上手だったと言うしかないでしょう。

FANTAS fundingを支持

ということで、第1弾はCREALの圧勝でした。

しかし、案件の良し悪しとかではなく、不動産クラファン事業者の姿勢としては、僕はCREALではなくFANTAS fundingを支持します

成立前書面の開示時期

その理由は成立前書面(いわゆる契約書)の開示時期です。

CREALは募集と同時

CREALが成立前書面を開示したのは、募集を開始したのと同じ12月3日17時です。

そのため、募集前に成立前書面の内容を確認することはできませんでした。

そして、中古ワンルーム2案件は募集開始から3分以内に応募満了しました。

つまり、成立前書面の内容を確認した上で投資することは不可能でした。

投資家にメクラ投資を強いた

グリフラ、ガイアと深刻なトラブルが連発している状況で、成立前書面の内容も確認せずに応募する投資家にも問題はあります。

しかし、アフィリエイトやキャッシュバックキャンペーンで投資が殺到する状況を作っておきながら、メクラ投資をせざるを得ない状態にした。

これは、クラウドファンディング事業者として恥ずべきことではないでしょうか?

(※この下の方で書いていますが、開示時期が変更されています。現在はすでに改善されています。)

先行3社はすべて事前開示

しかも、不動産クラファンの先行3社であるTATERU Funding、Renosy、FANTAS fundingはいずれも事前に開示しています。

不動産系ソシャレンで最も人気を集めているOwnersBookも事前開示です。

CREALは後発参入者として先行3社の募集方法は当然調べており、先行3社が事前開示方式であることも把握していたはずです。

にも関わらず、事前ではなく募集と同時の開示にしたのであるならば、投資家がメクラ投資せざるを得ない状態を意図的に作ったと指弾されてもしかたないと僕は思います。

あとから調べることもできない

さらに問題なのは、CREALでは成立前書面を募集が終わったあとから見ることができない点です。

どういうことかと言うと、先行3社では募集が終わったあとでも案件の説明ページで成立前書面をダウンロードすることができます。

そうすればベストの方法ではありませんが、利益分配の順序とか損金の扱いなど、個々の案件によらない共通ルールについては確認することができます。

ところがCREALでは募集が終わったあとは、案件説明ページで成立前書面を見ることはできないのです。これではどうしようもありません。

(※この下の方で書いていますが、開示方法が変更されています。現在はすでに改善されています。)

今後に期待してます

悪意はないはず

ただ、上記はいささか悪意を疑ってかかった推測です。

実は事前に開示しようとか、あとからでも見られるようにしようとか、そこまで気が回らなかっただけなのかもしれません。

ですので、僕は成立前書面が事前開示になるまでCREALでは一切投資しませんが、事前開示になったら良い案件には積極的に投資するつもりです。

ソシャレンに良い影響

また、借りて匿名化の影響を受けず、案件情報の公開範囲が広いのは、不動産クラファンがソシャレンよりも優れている点です。

今後、不動産クラファン業者が増え、情報公開が当たり前になることで、ソシャレン業者も情報公開に進むことを僕は期待しています。

ですので、CREALやFANTAS fundingなど、新しいクラファン業者が参入することは大歓迎です。

両社とも変わりました!

2019年1月4日追記

その後、両社ともに大きな変化が見られました。

CREALが情報を事前公開化!

1月11日募集開始の案件から、CREALの成立前書面が事前開示に変わりました

また、募集が終わった案件についても、成立前書面を見ることができるようになりました

上の方で「CREALは成立前書面を事前に見ることができず、募集終了後に見ることもできない」と書きましたが、全面的に撤回します。

事前開示に変わりましたので、上で述べました通り良い案件には積極的に投資します。

FANTAS fundingの人気が急上昇!

第1弾案件で大苦戦したFANTAS fundingですが、第2弾以降は大変身を遂げました。

人気の空き家案件はどれも瞬殺。

中古アパート案件も早いものは1分、遅いものでも1時間以内には応募満了しています。

しかも1回あたりの募集案件数が多いため、CREALより応募しやすくなっています。大変身です。

不動産クラファンが熱い

ソーシャルレンディングの不祥事連発に嫌気が差し、多くの投資家が透明性の高い不動産クラファンに移ってきているようです。

僕もこの2社には200万円前後を上限に投資を進めていく予定です。

不動産クラファンに期待しましょう!

FANTAS funding(公式サイト)

CREAL(公式サイト)

コメント

早期償還

案件の運用が予定より短い期間で終わり、業者が元本を予定より早く投資家に返すことを早期償還といいます。

例えば、運用期間12カ月の予定が6カ月で早期償還になると、受け取る分配金は基本的に半分になります。

ネガティブに捉えられがちですが、業者が確実に売れる物件を選んで案件を組成した証でもあります。

分配原資

分配原資とは分配金の出どころのことです。

例えば、入居者から得る家賃から投資家に分配金を払う場合、分配原資は家賃です。

家賃はインカムゲインですので、分配原資はインカムゲインとも表現できます。

組成

案件を作ることを組成といいます。

  • 投資対象は緑町ハイツ102号室で
  • 利回りは4.5%で
  • 運用期間1年
  • 募集総額2,300万円の案件を作る

こうやって案件が出来上がります。

組成 → 募集 → 運用開始 → 運用終了 → 償還

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファンディングの案件はこのような流れで運営され、その最初の段階が案件の組成です。

元本毀損

元本毀損とは投資したお金が戻ってこなくなることです。

例えば、2,000万円で取得した物件が1,500万円でしか売れなかった場合、元本の一部が戻ってこないことがあります。

また、取得した物件が地震で倒壊し売れなくなったなどで、元本の全額が戻ってこないこともありえます。

クラファン案件の管理手数料

不動産クラファンで区分マンションなどが投資対象になる場合、物件の入居者募集や家賃徴収といった管理業務が行われます。

これらの業務は業者または外部の不動産業者が代行し、そこでは管理手数料が発生します。

案件の利回りはこういった手数料や経費も差し引いた上で計算されたものです。

ですので、投資家が管理手数料を別途支払う必要はありません。

優先出資と劣後出資

不動産クラファンでは一般に投資家と業者が共同で出資し、物件を取得します。

例えば、投資家が2,400万円、業者が600万円出資し、3,000万円の物件を取得するといった感じです。

出資者 出資額
投資家(優先出資) 2,400万円
業者(劣後出資) 600万円
出資総額 3,000万円

この時、投資家分の出資を優先出資業者分の出資を劣後出資といいます。

なぜ、そのような言い方をするのかなど、詳しくは下記記事を参照してください。

優先劣後出資方式と劣後出資比率

キャピタルゲイン型

不動産クラファンの案件は大きくキャピタルゲイン型とインカムゲイン型に分かれます。

投資対象物件を売却した際の売却益を分配原資(分配金の出どころ)とする案件がキャピタルゲイン型です。

一方のインカムゲイン型は運用期間中の家賃収益を分配原資とします。

なお、売却益と家賃収益の両方を分配原資とする併用型の案件もあります。

自社買取

不動産クラファンでは運用期間の最後に物件を不動産投資家など第三者に売却するのが一般的です。

しかし、何らかの事情で売却できなかった場合、自社で物件を買い取ることがあります。

売却できずに元本が戻ってこないところが、業者が買い取ることで元本が戻ってくることになるので、自社買取は投資家にとってメリットです。

劣後出資比率

不動産クラファンでは一般に投資家と業者が共同で出資し、物件を取得します。

例えば、投資家が2,400万円、業者が600万円出資し、3,000万円の物件を取得するといった感じです。

このとき、出資総額に対する業者分の出資額の比率を劣後出資比率といいます。

さきほどの例では20%です。

出資者 出資額 出資比率
投資家 2,400万円 80%
業者 600万円 20%

劣後出資比率が高いほど安全性が高まります。

詳しくは下記記事を参照してください。

優先劣後出資方式と劣後出資比率

償還

案件の運用が終わり、業者が元本を投資家に返すことを償還といいます。

クリック合戦

募集が先着方式の案件では、投資できる人が決まるのは早い者勝ちです。

このため、人気の案件では募集開始と同時に応募が殺到します。

この状態をクリック合戦といいます。

信託受益権

信託受益権とは信託財産から発生する利益を受け取る権利のことです。

詳しくは↓こちらの記事を参照してください。

信託受益権とは?(別タブで開く)

信託受益権とは?(今開いているタブで開く)

抵当権と根抵当権と極度額

抵当権とは借り手が返済できなくなった時に担保を売却し、その代金から他の債権者に優先して返済を受ける権利です。

抵当権は1つの借り入れに対して設定されるため、返済時点で消滅します。

これに対し根抵当権ではあらかじめ融資の上限額を設定し、その範囲内であれば何度でも融資と返済が可能です。

その都度、抵当権の設定登記を行う必要がないため、企業への融資などでよく利用されます。

極度額は根抵当権の融資上限額のことです。

債務履行

まず、「債務」とは他人に対し何らかの行動を行う義務のことです。

そして、債務を実際に行うことを債務履行といいます。

ソーシャルレンディングの場合、借り手(債務者)が返済することや、連帯保証人が借り手に代わって返済することが債務履行にあたります。

LTV

ソーシャルレンディングで使われる用語で、担保評価額に対する融資額の割合をいいます。

例えば、1億円の土地を担保に8千万円を融資する場合、LTVは80%です。

担保が評価額通りに売れるとは限らないため、LTVの数字が小さいほど安全性が高いとされます。

資金使途

ソーシャルレンディングで業者から借りたお金を借り手が何に使うかを資金使途といいます。

延滞

ソーシャルレンディングで借り手が期限内に返済できなくなることを延滞といいます。

また、ソシャレン、不動産クラファンで元本の償還が予定より遅れている状態を延滞と呼ぶことがあります。

業者や投資家によっては「遅延」という表現が使われることもありますが、意味は同じです。