送料無料や当日配送、過剰サービスと無理な安値はもう止めよう

ドンキホーテがアマゾンに対抗した配送サービスを始めました。

アマゾンは60分以内に配送して送料890円。

対するドンキホーテは、58分以内配送で送料750円です。

アマゾンが配送「60分以内」なら「58分以内」、送料「890円」なら「750円」。ディスカウントストア大手のドン・キホーテが挑戦的な宅配サービスを始めると、ネット上で話題になっている。「majica Premium Now(マジカプレミアムナウ)」。このサービス名のうち「majica」とは、「マジか!」と驚く意味も含む...

便利になると歓迎の声が上がっているそうですが。

これ絶対に止めたほうが良い。

こんなことしてたら、みんな不幸になっちゃうから。

企業は業界内で競争し合う

なぜ止めたほうが良いのか説明します。

まず、企業は競争するものです。

そして競争は業界全体に広がります。

例えばコンビニコーヒー。

セブンイレブンが始めて、すぐに大手コンビニ全社に広がりました。

また、少し前までの牛丼値下げ戦争。

牛丼大手全社で値下げ戦争が続き、すき家事件で限界になるまで続きました。

いずれそれが当然になる

60分以内配送をアマゾンが始めました。

今回、ドン・キホーテが後を追いました。

楽天やヨドバシなど、同業他社がいずれ追随します。

同業大手がすべてあとに続いた時点で、それがデフォルトになります。

60分以内配送を必ずしなければならなくなります。

利用者は便利でしょうが、あなたが働く側ならどうですか?

値下げ合戦が始まる

それだけではありません。

アマゾンが890円だったのを、ドンキが750円にしました。

アマゾンが対抗して730円にするかもしれない。

後を追って入ってくるヨドバシが680円にするかもしれない。

さらにドンキが対抗して650円。

業界内で値段を叩きあって、いずれ無料になるかもしれません。

運送業者にしわ寄せが来る

するとどうなるか?

自社内で運送費代を吸収できなくなります。

すると当然、ヤマトや佐川など運送業者へ値下げ圧力がかかります。

ヤマトも佐川もしかたなく受けるでしょう。

でも限界に達すると、彼らの下請けに値下げを要請するようになります。

みんなが苦しくなる

その結果、コストダウンのための労働環境の悪化が起こります。

パートやアルバイト、下請けなど、弱い立場で賃下げが起こります。

下請けの運送業者だけではありません。

元請けのヤマトや佐川でも同じことが起こる。

そして限界まで達すると、川上のアマゾンやドンキでも起こる。

携わる人みんなが苦しくなるのです。

便利と安いが生み出すもの

60分以内に配達してもらえて便利。

最初は890円だったけど、競争激化でいつの間にか安くなった。

消費者としてはハッピーでしょう。

でも、もしご主人がヤマトで働いていたらどうですか?

急いで配達して疲れ切って、でも給料は増えない。

それでハッピーですか?

他の業界でも同じことが

これは流通業や運送業だけで起こることではありません。

例えばスーパーのお弁当。

398円だったノリ弁を、ライバル店が298円にした。

しょうがないから自店も298円にする。

人手不足が進んでいるので、パートの時給を下げることはできない。

なので、パートの人数を減らして値下げ分を吸収しようとする。

残ったパートさんは仕事が大変になる。

取引先に影響が波及

人数カットだけでは値下げ分すべては吸収できなかった。

しょうがないから仕入先に値下げを要請する。

ノリとちくわと白身魚ときんぴらごぼうと米と。

みんなに少しずつ値下げしてもらう。

多くの取引先に影響が波及します。

取引先でも同じことが

そのスーパーからの値下げは少しかもしれません。

でも、どこのスーパーも同じことを始めていく。

気が付いたらすべてのスーパーから値下げを求められていた。

1社あたりは少しかもしれないけれど、全部になるととんでもない額。

その結果、取引先でも労働環境の悪化や賃下げが起こる。

便利と安さの影には無理と犠牲がある

便利さや安さは、勝手に湧いて出てくるわけではありません。

誰かが無理をして、誰かが犠牲になって、実現させているものなのです。

僕らの便利や安いは、誰かの無理と犠牲と引き換えなのです。

僕らが便利や安いで喜んでいる時、誰かが無理をして苦しんでいるのです。

弱者と若者ほど犠牲になる

そして、無理をして苦しむのは、まず弱者と若者です。

無理や犠牲は弱い立場に押し付けられます。

アマゾンからヤマトへ、ヤマトから下請けへ。

そして、能力や経験がない弱者や若者ほど、川下で働いている。

便利さや安さを求めた結果の、労働環境の悪化と賃下げ。

その犠牲に最もなりやすいのが、弱者と若者です。

弱者と若者ほど、ブラック労働と貧困化の矢面に立たされます。

あなたも犠牲になってませんか?

サービス向上で便利になるのはうれしいです。

値段が下がったら助かります。

でも、いつか自分に回ってきます。

いや、すでに回ってきている人のほうが多いはずです。

便利と安いを享受している当人が、同時にその犠牲になっている。

みんなで共倒れ

この何年かで、どんどん便利になって、安くなりました。

でも同時に、みんな生活が苦しくなってきています。

みんなが便利と安いになったけど、みんながその犠牲になっていた。

しかも無理と犠牲がどんどんひどくなっている。

このまま続けたら、みんなつぶれてしまう。

もう止めよう

どこかで止めなければいけない。

どこかでストップをかけなければならない。

これ以上苦しくならないために。

無理と犠牲の連鎖を断ち切るために。

もう、このあたりで終わりにしませんか?

過度なサービスと無理な安値を求めるのは。

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