兼業副業はライターなど低賃金労働者を増やし雇用環境を悪化させる

サラリーマンの兼業や副業を認めようという動きが起きています。

まだ少数ですがロート製薬のように副業を認める企業も出ています。

政府も働き方改革の一環で、兼業、副業の容認を進める方針です。

また、若手社員の団体「OneJAPAN」も導入を訴えています。

会社員としての本業以外でも所得を得られる。

いかにも良さげに聞こえるのですが、実は間違いのような気がします。

さらに言えばかなりリスクもあるような…

収入が少ないから兼業副業する

そもそも論として、なぜ兼業や副業の話が出てくるのか?

社員の立場からすれば、収入が少ないからです。

収入が足りていれば、勤務時間外でさらに働きたくないですよね。

会社の給料だけでは豊かに暮らしていけない。

しょうがないから兼業、副業で補おう。

そして、それを会社側も認めよう、ってことです。

給料を上げるのが筋でしょ?

でもよく考えてみてください。これって本末転倒じゃないですか?

会社の給料だけでは食べていけない。

だったらまず考えるべきことは、いかにして給料を増やすかです。

もちろん、会社に一方的に求めるのではなく、社員も一緒にです。

経営側と労働側がともに必死に知恵を絞って努力して業績を上げる。

そして十分な給料を実現させる。これが本筋だと思うのです。

兼業、副業で低賃金を穴埋め

給料をアップさせることを会社、社員ともにあきらめる。

社員は仕方ないから兼業、副業で不足分を補う。

会社も仕方ないからそれを認める。

兼業、副業でスキルアップ、マンパワーの活用とか言ってますが。

なんのことはない。要するに低賃金の穴埋めですよ。

労使ともに給料を上げられない代替措置にすぎないのです。

副業する人に大したスキルはない

さて、仮に給料が上がらないから兼業、副業をOKにしたとしましょう。

ここで問題となるのは、どんな兼業、副業ができるかです。

あなた、何ができます?

ごく普通のサラリーマン、OLに特別なスキルなんてありません。

ってか、高いスキルがあればすでに高賃金を得ているはずです。

これといった差別化できるスキルがないから賃金が安い。

つまり、副業しなければならない人に大したスキルはないってことです。

あふれる副業ライター

そんなノースキル、ロースキルな人でもできる副業。

その最たるものがライターです。

DeNAのWELQでも大問題になりましたよね。

ノースキルでもとりあえず文章は書ける。

そういう人たちがクラウドワークスなどを使って副業でライターをする。

ウェブデザイナーとかプログラマーとかも多いですよね。

誰でもできるから低賃金化

でも、誰でもできるがゆえに供給過剰になります。

スキルがないからライターくらいしかできない。

そういう副業希望者がうじゃーって集まってくる。

その結果どうなるか?

言うまでもありません。低賃金化が進みます。

時給で考えてみよう

実際、クラウド系でライターの賃金はすでに超低下しています。

初心者が記事を書く場合、1文字単価0.5円も行けば御の字です。

取材や考える時間も含めて、1時間で千文字の記事を書いたとします。

0.5円/文字×1,000文字=500円

時給500円です。笑

慣れて単価が1円、1時間で2千文字書けるようになっても時給2千円。

これだったら会社で残業したほうがマシだよね。

本業の社員の低賃金化

もう一つの問題は、本業でやってる人の低賃金化につながることです。

副業で時給500円で書くフリーのライターが増える。

企業は当然、社内のライターをクビにして外注に回すようになります。

だって、社員は給料以外に社会保障費や通勤手当とかも払う必要がある。

外注だったら原稿代だけで済みますから。しかも時給500円。

明日は我が身

それが極端に高くないスキルの分野で増加していきます。

ライターだけじゃなく、ウェブデザイナーやプログラマーとか。

副業、兼業の人にどんどん仕事を取られていく。

そして、給料が下がったり、最悪クビになったりする。

明日は我が身で、自分がその立場になる可能性も否定できない。

最後は低コスト化で企業が喜ぶだけ

兼業、副業を推進しようという今の動き。

やっぱりどう考えてもおかしいと思うんです。

企業も社員も給料を上げる努力をギブアップする。

低賃金の穴埋めのために兼業、副業をする。

でも、そもそもノースキル、ロースキルだから賃金が低い。

そんな人が副業しようと思ってもライターくらいしかない。

誰でもできるから競争激化で時給500円くらいになってしまう。

安くやる人が増えるから、本業の社員が低賃金化、クビになる。

いつ自分がその立場になるか分からない。

安くやる人が増えて、低賃金化して、企業が喜ぶだけ。

こんな結末になるような気がしませんか?

カタカナ用語に気を付けろ

なぜ僕が兼業、副業にネガティブで心配するのか?

経済産業省や世耕大臣が盛んに訴えているんです。

フリーランスを進めよう、フリーランサーを増やそうって。

僕の今までの人生での経験上なんですが。

政府がカタカナ用語を使う時は、かなりの確率でウラがあります。

ノマドワーカーにフリーター、カタカナ語が出てきたら注意しろ
若者に人気のノマドワーカーですがブロガーやアフィリエイターで成功できるのはごく一部。かつてのフリーターもコストダウンのために非正規雇用の安い労働力として使い捨てられました。メディアがおしゃれなイメージのカタカナ語を使い出したら要注意です。

今回もかつてと同じような匂いを感じます。

僕の杞憂であれば良いのですが。

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