金より時間、地位より自由、安定より放浪 ~オッサン個人事業主の東南アジアぶらぶら一人旅~
ベンタン市場の中を一通り眺めたあと、今度は市場の外を眺めてまわる。市場を取り囲む道沿いにもたくさんの卸商が店を構えている。中には中国式の葬祭用品を専門に扱っている店もあり、この街に中華系の人が多く住むことをうかがわせる。
ベンタン市場の周辺はチョロンと呼ばれるチャイナタウン。と聞いてきたのだが、市場のまわりにはそれをうかがわせるようなものがほとんど見当たらない。何かないものかと今度は市場から北の方にぶらぶらと歩いてみる。ようやく中華系の寺院を見つけたが、中国っぽいのはそれ一つだけ。散々歩いてさすがに少し疲れた。
さて、どうしようかと周囲を見渡す。寺院の前は幹線道路で、多くの車とともに路線バスがしきりに走っている。とりあえずバスにでも乗ってみるか。来たのと逆の方向にしばらく戻るとバス停があった。
バス停にはソフトドリンクかなにかの広告。そしてその横に市内のバス路線図があった。
「お、路線図あるやん。ラッキ~。えーっと、61番のバスに乗ったらベンタインのあたりに戻れそうやなぁ。」
ほどなくしてお目当てのバスが到着。ホーチミンシティでのバスの旅が始まった。
が、バスの路線図がビシっと正確なんて国は世界中で日本くらいなものである。案の定、想定外のところで右に曲がる。おいおい。地図を見て位置確認。そして、次に左に曲がったのは想定通りだったが、その次に直進するはずのところを左斜め上に曲がる。地図を見るのに必死で車窓を楽しむ余裕もない。笑
しばらくすると60くらいのおばちゃんが乗ってきた。運賃を払おうとして運転手となんじゃらかんじゃらやりあっている。すると運転手がバスを止めドアを開ける。あらら、おばちゃん強制排除か?と思ったら、運ちゃんが透明のポリ容器を持って外に出て行った。はい?
残されたおばちゃんは5万ドン紙幣を手に、他の乗客になにか言っている。すると乗客の一人が、私OKよ、みたいなことを言ってバッグから財布を取り出した。ああ、なるほど、そういうことか。小銭がないから運賃が払えん。運ちゃんも両替できん。それで他の乗客に両替してくれって言ってたわけか。
おばちゃんの両替が無事終わった頃、ようやく運ちゃんが戻ってきた。ポリ容器には氷とお茶。エンジンかけっぱなしでバス放り出して、お茶を買いに行ってきたようだ。笑
そんな感じのバスの旅。