ロードスターキャピタルへの懸念とオーナーズブックの役割りについて

オーナーズブックを運営するロードスターキャピタル(以下、ロ社)の圧倒的な主力事業は不動産投資事業です。

また、僕たちがオーナーズブックに出資した資金の少なからずは、ロ社が自社の不動産投資事業に使っています。

このため、ロ社がコケたら僕たちのお金はグッバイフォーエバーとなります。

となると、ロ社は大丈夫か?って不安になりますよね。

僕として懸念する点が3つあります。今回はこれについて書いてみます。

データの出典元はすべてロ社の2017年12月期 決算短信(PDF)です。断りがない限り単位はすべて百万円です。

この記事の著者
投資家・ブロガー
タロウ

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファディング専門の投資家です。
2018年にソシャレン・クラファン投資を始め、これまで300件を超える案件に1億5千万円以上を投資し損失ゼロ。
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自己資本比率が低い

ロ社の自己資本比率

自己資本比率=総資産に占める自己資本の比率です。自己資本比率が低い=他人資本比率が高い=借金頼みの経営と言えます。ロ社の自己資本比率は次の通りです。

期間自己資本比率前年増
2015年12月期25.9%
2016年12月期15.3%▲10.6%
2017年12月期20.7%5.4%

一般に自己資本比率は40%以上あれば安全なんだけど、不動産業では20~25%が平均だそうです。(根拠が弱いので詳しい方いらっしゃったら教えて下さい!)

ロ社は2017年はなんとか20%に戻しましたが、2016年は15%でしたので予断を許しません。

増資で自己資本比率を改善した

気になったのは自己資本比率が5%改善された要因です。

期間負債合計前年増純資産合計前年増
2016年12月期12,1062,180
2017年12月期17,42143.9%4,557109.0%

負債は前期より増えており、純資産が大幅に増えています。つまり、負債を減らして自己資本比率を改善したのではなく、純資産を増やすことで改善したということです。

実際に貸借対照表を見てみますと…

期間資本金前年増資本剰余金前年増利益剰余金前年増
2016年12月期5495391,111
2017年12月期1,330142.3%1,320144.9%1,90571.5%

資本金と資本剰余金(内訳はすべて資本準備金)をそれぞれ2.5倍に増やすことで純資産を増やしています。

念のため、期末の発行済株式数を比べてみますと、前年の2.5倍に激増しています。

期間発行済株式数前年増
2016年12月期4,244千株
2017年12月期10,448千株146.2%

要は、前期は自己資本比率が15%と危険な水準になったけど今期も借金が減らないので、第三者割当増資で新株を発行して資本金を増やし、なんとか20%台に戻しましたよ、ってことです。

増資に頼り続けられるのか?

では、今後はどうなるのでしょうか?2017年9月時点のロ社の主要株主と持株比率は下表の通りです。

株主持株比率
Renren Lianhe Holdings49.2%
岩野達志(社長)21.2%
森田泰弘(副社長)19.2%

Renren Lianhe Holdingsは中国で人人網というSNSを運営するIT系企業です。2014年にロ社に資本参加し、2015年時点で持株比率は40%でした。それが50%近くにまで達しています。この3人以外で10%弱あり、恐らく取引先銀行も含まれていると思うのですが。

今後、ロ社の業績拡大が見込める間は増資に応じてくれるでしょうが、傾きだしたらそういう訳にはいかないですよね?

不動産投資業ですから借金体質にならざるをえない面ももちろんあるでしょう。しかし今のままでは、増資で自己資本比率を改善するという手もいずれ使えなくなるのではないでしょうか?

借入金比率が高い

次に借入金比率です。ロ社は不動産投資のための資金を借り入れています。借り入れには担保がもちろん必要で、ロ社が所有する販売用不動産を担保に当てているはずです。

で、その販売用不動産の簿価に対して借入金の比率がどれくらいあるか、つまり、担保枠のどの程度一杯一杯まで借りているのかを見てみます。

借入金比率

ここでは、借入金=短期借入金+1年内返済予定の長期借入金+長期借入金として、ロ社の貸借対照表から数字を拾います。

期間販売用不動産借入金借入金比率
2016年12月期12,38810,68586.3%
2017年12月期15,98713,25982.9%

80%を超えています。

80%超えて良いの?

オーナーズブックは投資案件を会員に向けて募集する際に、LTV(担保評価額に対する融資額の割合)を80%以内に収めるとしています。

要は、担保評価額のギリギリまで貸しちゃうと、いざ融資先がコケて担保を処分する時に、評価額より安くでしか売れなかったら融資を回収できないので、最低でも20%は余裕を残すってことです。

そう言ってるオーナーズブックを運営するロ社自身が、自社所有物件の80%を超えて借金してるって、どうなんでしょうか?苦笑

不動産市況が悪くなったら?

しかも、先ほど算出した借入金比率は、販売用不動産の簿価=担保評価額とした場合のものです。今は不動産が好況なので良いですが、例えば日銀が金融引締めに動くとか、何かの契機で不動産市況が悪くなると、販売用不動産の担保評価額が下がって借入金比率が更に高くなります。

そうなった時に販売用不動産に第一抵当権を付けているであろう銀行が変な動きをしたりしないよね?と。投資初心者の僕は心配になったりするわけです。

営業キャッシュフローがマイナス

自社の商売でどれだけ現金を生み出せているかですが。

営業キャッシュフロー

期間営業キャッシュフロー前年増
2016年12月期▲6,944
2017年12月期▲777

前年に比べると大幅に改善されましたが、2期続けてのマイナスです。本業ではキャッシュを生み出せていません。

ロ社は決算短信で「投資用の不動産物件の取得が順調に推移したため」と説明していますが、どこかからお金を引っ張ってこないことには何もできない状態です。

財務キャッシュフロー

で、実際にお金を引っ張ってきております。(下表の借入金は、新たに増えた借金-返済して減った借金、つまり、差し引きで残っている借金です。)

期間借入金増資財務キャッシュフロー
2016年12月期6,855996,955
2017年12月期2,5741,5524,126

借金は大幅に減りましたが、第三者割当増資での資金調達が大幅に増えています。

トータルで財務キャッシュフローは減っていますが、営業活動で得られるキャッシュがマイナスなので、ロ社が本業の不動産投資に使うお金を借金等で引っ張ってきてるという状況は変わっていません。

オーナーズブックの役割り

ここで注目したいのがオーナーズブックの役割りです。

匿名組合出資預り金

ロ社の営業キャッシュフローには「匿名組合出資預り金」2,231百万円が含まれています。これは、オーナーズブックを通して僕たち投資家から集めたお金です。

もしこれがなかったら、ロ社の営業キャッシュフローは▲777百万円から2,231百万円増えて、▲3,008百万円になっていました。

期間営業キャッシュフロー前年増
2016年12月期▲6,944
2017年12月期▲3,008

財務キャッシュフローも増加

そうなるとキャッシュがさらに足りないので、借金などで引っ張ってくるしかありません。

期間借入金増資財務キャッシュフロー
2016年12月期6,855996,955
2017年12月期4,8051,5526,357

仮に借入金で補ったとすると、借入金は2,574百万円から2,231百万円増えて4,805百万円となり、財務キャッシュフローは前年とほぼ同額の6,357百万円になっていたのです。

ロ社のオーナーズブック推し

上の表の通り、実は第三者割当増資よりもオーナーズブックで集めたキャッシュの方が多いです。これで合点がいきました。

実は2017年12月期 通期決算説明会資料(PDF)で妙に感じたことがありまして。ロ社の不動産投資事業について説明したページが5ページなのに対し、オーナーズブック事業について説明したページは倍以上の12ページだったんです。

ロ社の売上高に占めるオーナーズブック事業が占める割合は0.7%に過ぎません。売上で1%の影響しかないのに、なんでこんなにオーナーズブックを推すのだろ?って奇妙に感じたんです。

オーナーズブックは打ち出の小槌

不動産投資を本業とするロ社は、投資事業であるがゆえに構造的にキャッシュが不足します。でも、キャッシュがないことには投資ができない。

そこで今まではお金を借りたり増資をしたりしてキャッシュを集めてきた。ところが、お金を借りたら金利を払わないといけないし、株を増やすと経営の自由度が下がるし配当も払わないといけない。

そこに現れたのがソーシャルレンディングです。借金しなくても増資しなくてもキャッシュを調達できる。会員への利回りは融資先の金利に乗っければ良いだけ。ロ社にとってオーナーズブックは、まさにキャッシュを生み出す「打ち出の小槌」なのではないでしょうか?

オーナーズブックで儲からなくても良い

だから、決算説明会資料で多くの紙幅を割いてオーナーズブックを推した。来期も販促費を大幅に増やしてオーナーズブックのマーケティングを大々的に展開する。

ロ社の本業はソーシャルレンディングではなく、あくまでも不動産投資業です。その不動産投資業を積極的に展開するため、オーナーズブックを使ってキャッシュを集める。

ロ社にとってオーナーズブックは収益源ではなく、投資資金を集める装置。極端な話、オーナーズブックで儲からなくても良い。赤字になっても銀行金利と同額までは許容範囲、ってことなんじゃないかな?

今回のロ社の決算短信を見て、僕はこのような感想を持ちました。

リスクコントロール

オーナーズブックやります

さて、ここまでロ社に対してネガティブな内容を書いてきました。で、誤解しないでいただきたいのですが、だからオーナーズブックはやめた方が良い、と言いたいのではありません。

むしろ逆でして、僕はオーナーズブックをやります。コンスタントに5%程度の利回りが期待でき、案件も担保も都内の物件が中心、過去に貸し倒れも延滞もゼロ。やらない理由がありません。

投資の重点

では何でこんなことを調べたのか?それはリスクを明確にしたいからです。

僕はピヨピヨの投資初心者で、投資について一から勉強中です。自分なりにいろいろ調べたり、諸先輩方が書かれたブログを読んだりしてきました。

その中で強く感じたのは、投資で最も大切なことは撤退だ、危なくなった時にいかに早く逃げるかだ、勝つことよりも負けないことだ、ということです。

攻めではなく徹底した守りの投資。そうです。自分でもイヤになるけれど、僕は超が付くほど消極的な小心者なんです!笑

リスクの明確化

だから逃げるための判断材料として、リスクを明確にしておきたい。オーナーズブックは間違いなく美味しいので投資する。でも間違いなくリスクもあるので、どうなったら逃げるかの判断材料として、まずリスクを明確にしたいのです。

僕はオーナーズブックをディスるために不安点、懸念点を並べ立てているのではありません。オーナーズブックをやりたいからこそ、リスクを明確にしておきたいのです。

ロ社のリスク

ということで、今回の記事の前半を再度まとめておきます。ロ社のリスクです。

自己資本比率

  • 2016年は15%、低い
  • 2017年は改善したが危険水域ギリギリの20%
  • 借金を減らして改善したのではない
  • 増資して数字を整えただけ
  • 自己資本比率が低い状態が続くと危険

借入金

  • 自社所有の不動産の価値に対して80%を超える借り入れ
  • ロ社が自分で言ってる80%ラインを超えている
  • 80%超えがずっと続くようだと危険
  • 不動産市況が悪くなっても危険

営業キャッシュフロー

  • ずっとマイナスで投資したくてもキャッシュがない状態
  • 借金や増資でキャッシュを引っ張ってきている状態
  • オーナーズブックもその役割を担っている
  • 投資業だからプラスになるのは容易ではない
  • でも、マイナスが大幅に拡大したら危険

逃げる準備をして投資

現時点でロ社の経営は順調です。オーナーズブックも絶好調です。なので、ロ社が順調な間はオーナーズブックに投資して、しっかり儲けさせてもらいます。

そして同時に、上に挙げた点や不動産に関する指標などを常にチェックし、危なくなったら一目散に撤退します。一切躊躇せず即撤退。

みなさんも逃げ遅れることなく、欲張って深追いしすぎず、オーナーズブックでほどよく儲けさせてもらいましょう。笑

 

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