ソーシャルレンディングの所得が20万円を超えると確定申告は必要?

前回の記事をアップしたあと。

所得が20万円や38万円を超えても確定申告が必要ない場合がある!
課税所得が基礎控除の38万円を超えたり、給与所得以外の所得が20万円を超えたら、必ず税務署での確定申告が必要だと思ってませんか?実は源泉徴収付きの特定口座で得た譲渡所得と配当所得は対象外です。国税庁と税務署に確認済みです!

読者諸兄姉から雨あられ、おかき、せんべい、かき餅の如くご指摘を賜りました。

「おまえ、間違ってるぞ~www」

その数なんと35億!(あと5千万)

半べそかきながら勉強し直しました!

なお、間違いは多々あったのですが、以下では前回記事のテーマである20万or38万と確定申告の要不要に絞って説明します。

前回の記事の趣旨

まず、前回の記事の趣旨をまとめます。既読の方は飛ばしてください。

疑義の対象と主張

以下に対して疑問を呈しました。

  • 給与所得以外で20万円を超える所得があると確定申告が必要
  • 専業のブロガーで所得が38万円を超えたら確定申告が必要

これに対して僕が主張したのは、

  1. 株式、投資信託、ソーシャルレンディングについて
  2. 特定口座(源泉徴収付き)で取引をした場合、
  3. 20万or38万を超えても、
  4. 確定申告は必要ない

です。

主張の根拠

この主張の根拠は租税特別措置法(以下、措置法)第三十七条の十一の五です。内容を要約すると次のようになります。

措置法第三十七条の十一の五

  1. 特定口座(源泉徴収付き)を持っている人で、
  2. 口座内の株等の譲渡や配当等で所得を得た人は、
  3. それらの所得から
  4. 譲渡所得や配当所得を除外した所得に対して、
  5. 確定申告の規定が適用される

1~4を説明

僕と同レベルのピヨピヨの方々には、ナンノコッチャ分からんと思いますので、くだいて説明します。

  1. あれやこれやで所得が40万円あったとし、
  2. この内30万円が特定口座内の株などで得た、
  3. 譲渡所得や配当所得であった場合、
  4. 40万円から30万円を差し引いた10万円に対して
  5. 確定申告のルールが適用される

ってことです。

5を説明

で、5.の確定申告のルールです。前回の記事内容に関係するのは、所得税法第120~121条です。

ここでは次の2つのルールが定められています。

  • サラリーマンとかで給与以外の課税所得が20万円を超えなければ確定申告不要
  • 専業主婦やフリーランサーで課税所得が38万円を超えなければ確定申告不要

ここで言う「課税所得」とは、先ほどの差し引きした後の金額のことです。

つまり、

  1. サラリーマンの副業所得が20万円を超えていても、
  2. 専業主婦の所得が38万円を超えていても、
  3. 特定口座で得た譲渡・配当所得を引き算して
  4. 残りが20万or38万を超えてなければ、
  5. 確定申告は必要ない

ということです。

特定口座の所得だけの場合

さらに、所得が特定口座の譲渡・配当所得だけだったとします。この場合は、

  1. 株で100万稼ごうが200万稼ごうが、
  2. それが特定口座の譲渡・配当所得だったら、
  3. それを差し引いた所得、
  4. つまり、ゼロ円に対して
  5. 確定申告の20万or38万のルールが適用されるので、
  6. 確定申告は必要ない

つまり、所得が特定口座内の譲渡・配当所得だけであるならば、20万or38万円どころか100万円や200万円になっても、確定申告は必要ない

これが前回の記事での僕の主張でした。

間違いの説明

間違ってました!キリッ

この僕の主張、間違ってました。結論から申し上げると、株式、投資信託、(及び国債等)については合っています。

ですが、ソーシャルレンディングについては間違っています。ソシャレンについては措置法第三十七条の十一の五は適用されず、20万or38万を超えたら確定申告が必要です

前回の主張の成立要件

ここでもう一度、前回記事で根拠とした措置法第三十七条の十一の五を見ます。

措置法第三十七条の十一の五

  1. 特定口座(源泉徴収付き)を持っている人で、
  2. 口座内の株等の譲渡や配当等で所得を得た人は、
  3. それらの所得から
  4. 譲渡所得や配当所得を除外した所得に対して、
  5. 確定申告の規定が適用される

除外されるのは特定口座で得た譲渡・配当所得です。

100万稼ごうが200万稼ごうが、差し引かれてゼロになるから確定申告は必要ないぜ、やっほ~い!となるのは、特定口座であることが大前提です。特定口座でなければ、この特例は適用されません

特定口座の定義

では、特定口座とは何か?

措置法第三十七条の十一の三第三項第一号で次のように定義されています。(超長いので要約しています。)

措置法第三十七条の十一の三第三項第一号

特定口座とは居住者等が(中略)

  1. 第一種金融商品取引業または
  2. 投資運用業

を行う者の営業所に(中略)特定口座開設届出書を提出し、契約に基づき設定された、

  1. 上場株式
  2. 投資信託
  3. 社債、公社債
  4. 国債、地方債

などの取引等に係る口座を言う

これに照らし合わせると、ソーシャルレンディング事業者は特定口座を設定できません。なぜか?

金融商品取引業の区分

まず、赤字部分について。

証券会社や投資信託会社は第一種金融商品取引業または投資運用業のいずれかに該当します。主なものを以下に示します。(AMはアセットマネジメント)(出典:金融庁「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」

企業名第一種投資業
野村證券
大和証券
三菱UFJ証券
SBI証券
楽天証券
野村AM
日興AM
レオス
さわかみ

これに対し、ソーシャルレンディング事業者の多くは第二種金融商品取引業です。(出典:同上)

企業名第一種投資業第二種
maneo
SBI ソシャレン
クラウドバンク
ラッキーバンク
クラウドクレジット
オーナーズブック
LENDEX

したがって、赤字部分の要件を満たしませんので、特定口座を設定することはできません

取扱金融商品

では、第一種や投資業の免許を持つ、クラウドバンク(日本クラウド証券)やオーナーズブック(ロードスターキャピタル)ならば、特定口座を設定できるのか?できません。

青字部分の通り、特定口座で取引できる金融商品は、株式、投資信託、社債等に限られます。

これに対し、ソーシャルレンディングで投資の対象となるのは「みなし有価証券(匿名組合契約:金融商品取引法第2条第2項第5号)」です。

みなし有価証券は特定口座で取り扱うことができる金融商品には含まれません。このため、ソシャレン会社が第一種や投資業の免許を持っていても、ソシャレン事業で特定口座を設定することはできないのです。

ソーシャルレンディングは確定申告が必要

以上よりまとめます。

  1. 株や投資信託で20万or38万を超える所得を得た場合、
  2. 特定口座で得た譲渡・配当所得であれば、
  3. 差し引くことができるのでゼロとなり、
  4. 20万or38万ルールにより、
  5. 確定申告は必要ない

これに対し、

  1. ソーシャルレンディングで20万or38万を超える所得を得た場合、
  2. ソシャレンでは特定口座を使うことができないので、
  3. その分を差し引くことができず、
  4. 20万or38万ルールをオーバーしてしまうので、
  5. 確定申告が必要

つまり、株や投信のラッキーなルールが適用されず、ソシャレンでは20万or38万を超えたら、必ず確定申告をしなければならない、ということです。

源泉徴収されているのでは?

源泉徴収はされている

ここでこんな疑問が湧くかも知れません。

「でも、ソーシャルレンディングの分配金は源泉徴収されているんだから、確定申告しなくてもOKじゃないの?」

確かに、ソーシャルレンディング(匿名組合契約)の分配金は、20%の所得税が源泉徴収されています。(所得税法第210~211条)

20万or38万にカウントされる

しかし、源泉徴収されている=確定申告不要、ではありません。源泉徴収されていても20万or38万をオーバーしていたら確定申告は必要です。

上で説明したように、特定口座内で得た株や投資信託の譲渡・配当所得は、20万or38万にカウントされません。したがって、株などで利益が出ても20万or38万にカウントされるのはゼロ円なので、他の所得が20万or38万を超えない限り、確定申告は必要ありません。

しかし、ソシャレンの所得は20万or38万にカウントされます。なので源泉徴収がされていても、ソシャレンの所得が20万or38万をオーバーすると確定申告が必要なのです。

住民税は申告が必要

特別徴収の対象

先ほどサラッと書きましたが、ソーシャルレンディングでは所得税20%が源泉徴収されています。そうです。所得税だけが。

実は、住民税は源泉徴収されていないのです。(源泉徴収のことを地方税では「特別徴収」と言います。)

何が特別徴収の対象となるかは地方税法で次のように定められています。

  • 配当所得に対する住民税(第七十一条の三十)
  • 利子所得に対する住民税(第七十一条の九)
  • 譲渡所得に対する住民税(第七十一条の五十)
  • ゴルフ場利用税(第八十二条)
  • 軽油引取税(第百四十四条の十三)(一部例外を除く)
  • 退職手当に対する住民税(第三百二十八条の四)
  • 入湯税(第七百一条の三)
  • 当該地方自治体が条例で定めた場合の水利地益税、共同施設税、宅地開発税及び国民健康保険税(第七百六条)

住民税は払ってない

上記の通り株や投資信託で得た配当所得、譲渡所得に係る住民税は、特別徴収の対象です。すでに納税は完了しています。

しかし、ソーシャルレンディングの所得は雑所得に区分されますので、上記のいずれにも該当しません。よって特別徴収されません。

株、投信もソシャレンも源泉徴収されるのは20%なので、僕も全然気付いてなかったのですが、ソシャレンでは住民税は徴収されていないんです。

区分所得税住民税復興税
株・投資信託等15%5%0.315%
ソーシャルレンディング20%0.42%

したがって、20万or38万円を超えていなければ確定申告は不要ですが、その場合でも住民税の申告、支払いは必要です。

お礼と訂正

お礼

今回、読者の方々、Twitterのフォロワーの方々から数多くのご指摘をちょうだいしました。

この場を借りまして厚く御礼申し上げます。

皆様のおかげでまた勉強でき、知識を増やせました。

ありがとうございました!

訂正

前回の記事の20万or38万と確定申告の要不要に関する部分について、以下の通り訂正しました。(他の部分についても修正・加筆しています。)

前文

  • ソーシャルレンディングを削除

第2章第1節

  • 「僕がやろうと思っている投資は、株、投資信託、ソーシャルレンディングです。これらの投資をやるには証券会社などに口座を開く必要があります。」を「僕がやろうと思っている投資は、株、投資信託、ソーシャルレンディングです。この内、株と投資信託をやるには証券会社などに口座を開く必要があります。」に変更

第3章第2節

  • ソーシャルレンディングを削除

第3章第3節

  • ソシャレンを削除

第6章第5節第1項

  • 具体例のソーシャルレンディングを投資信託に変更

第6章第6節

  • ソーシャルレンディングを削除

第10章第1節

  • ソーシャルレンディングを削除

以上です!

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