ソーシャルレンディングをしていて案件の説明を読むんだけど、イマイチ理解できないってことありますよね?
そういう僕と同じ投資の初心者向けに、次の4つの言葉の意味を説明します。
- 担保
- 質権
- 抵当権
- 譲渡担保
できるだけ分かりやすく、噛み砕いてクドクドと説明しますね!笑
担保
借金のかた
まず担保です。担保とはいわゆる「借金のかた」のことです。
5万円貸して欲しいと言われたけど、返してもらえないかもしれない。
そこで、相手のシャネルのバッグを代わりに預かっておく。
もし5万円が戻ってこなかったら、バッグをメルカリに出して5万円を回収する。
この時のシャネルのバッグが担保です。
担保の設定
「担保の設定」という言葉もよく見かけますよね。併せて理解しておきましょう。
担保の設定とは「担保物の権利が誰にあるかを定めること」です。
担保物の権利のことを「担保物権」と言いますので、「担保物権が誰にあるかを定めること」とも言い換えられます。
ニコニコ質店がシャネルのバッグを預かって花子さんに5万円を貸すとします。
この場合、花子さんが返済できなかった時に、シャネルのバッグ(担保物)を処分する権利がニコニコ質店にあると定める。これが担保の設定です。
担保にはいろいろな種類がある
担保には様々な種類、タイプがあります。
シャネルのバッグのような動産もありますし、土地建物のような不動産もあります。
会社が工場で使っている機械を担保に、銀行から融資を受けることもあります。
担保にはいろんな種類がある。全部ひっくるめて担保です。
例えば、チワワとマルチーズとシェパードと全部ひっくるめて犬ですよね。
担保はチワワやマルチーズのことではなく、それらをひっくるめた犬に相当します。
そして、チワワやマルチーズに相当するのが、質権、抵当権、譲渡担保です。
つまり、質権、抵当権、譲渡担保は担保の中の一つの種類です。
犬の中にチワワという犬やマルチーズという犬があるように、担保の中に質権という種類の担保や抵当権という種類の担保がある、ということです。
3つの違いの基準
今回説明する質権、抵当権、譲渡担保ですが、この3つの違いを理解するポイントは所有権と占有権です。
占有権について説明すると長くなるので、ここでは手元に置いて使う権利くらいに捉えておいてOKです。
誰の持ち物か?誰が手元に置いて使うか?の違いが、質権、抵当権、譲渡担保の違いです。
所有権と占有権を頭に置いて以下を読み進めてください。
質権
以下では、金持くんが貧乏くんに1千円を貸し、貧乏くんのG-SHOCKを担保にする場合で考えます。まず、質権です。
所有権 | 債務者(借りる人、貧乏くん) |
---|---|
占有権 | 債権者(貸す人、金持くん) |
金持くんが貧乏くんに千円札を渡し、代わりに金持くんがG-SHOCKを預かります。
G-SHOCKの法的な所有者は貧乏くんのままですが、金持くんが手元に置き使用します。
そして、貧乏くんが1千円を返せなかったときは、金持くんがG-SHOCKをメルカリに出品して1千円を回収します。
ポイントは、G-SHOCKが貧乏くんの手元を離れ、金持くんの手元に移動する点です。
抵当権
次は抵当権です。
所有権 | 債務者(借りる人、貧乏くん) |
---|---|
占有権 | 債務者(借りる人、貧乏くん) |
G-SHOCKを持って帰ろうとした金持くんに貧乏くんが泣きつきます。
「俺さぁ、時計それしか持ってなくて。持って行かれると困っちゃうわけで…」
そっか、持って行っちゃうとかわいそうだよな。仏心を出した金持くん。
「分かった、じゃぁ、そのまま使ってて良いよ。でも、千円返さなかったらメルカリだからな。」
G-SHOCKの所有者は貧乏くんで、そのまま手元に置いて使える。これが抵当権です。
(正確には抵当権は基本的に不動産にしか設定できません。なので、本当はG-SHOCKを抵当権にできません。初心者向けの例としてあげています。)
譲渡担保
最後に譲渡担保です。
所有権 | 債権者(貸す人、金持くん) |
---|---|
占有権 | 債務者(借りる人、貧乏くん) |
一瞬、仏心を出した金持くんでしたが。
いや、ちょっと待てよ、貧乏のやつ返せなくてトンズラするかもしれないな。せめて持ち主は俺ってことにしておくか。
「G-SHOCKの持ち主、俺ってことにするから、一筆書いて。金返したら持ち主お前に戻すから。」
G-SHOCKの所有権は金持くんに移りました。でも、占有権は貧乏くんのままで、G-SHOCKをそのまま使うことができます。これが譲渡担保です。
整理すると
3つを整理すると次のようになります。
担保の種類 | 所有権(持ち主) | 占有権(手元に置いて使う人) |
---|---|---|
質権 | 借りる人(貧乏くん) | 貸す人(金持くん) |
抵当権 | 借りる人(貧乏くん) | 借りる人(貧乏くん) |
譲渡担保 | 貸す人(金持くん) | 借りる人(貧乏くん) |
質権:所有者は貧乏くんだけど、返すまで金持くんの手元。借り手にとって一番キツイ。
抵当権:所有者は貧乏くんで、貧乏くんがそのまま使える。借り手にとって一番ラッキー。
譲渡担保:所有者は金持くんだけど、貧乏くんがそのまま使える。借り手にとってセカンドベスト。
自分の頭の中でしっかり整理しましょう。
現実的には
最後にこの3つの担保の違いを、もう少し実際に即した例で説明します。
頭の中で整理した内容の確認のつもりで読んでください。
質権
担保がお金を借りた人の手元を離れ、お金を貸した人の手元に移動します。一番分かりやすいのが質屋さんです。
花子さんがシャネルのバッグを持ってニコニコ質店に行きます。そして5万円借りる代わりに、担保としてバッグを置いて帰ります。
バッグの所有者は花子さんですが、お金を返すまでバッグはニコニコ質店の手元にあります。
所有権:花子さん、占有権:ニコニコ質店。
質権は質屋さんパターンです。
抵当権
借金を踏み倒さない限り、担保の所有者はお金の借り手で、借り手が担保をそのまま使えます。家を担保にする場合がこれです。
アパートオーナーの田中さんが古くなったアパートをリニューアルするため、世田谷区の自宅を担保に成金銀行から1千万円を借りる。これが抵当権です。
1千万円を返せなかったら成金銀行が自宅を処分しますが、それまでは自宅の所有者は田中さんですし、田中さんも家族も自宅に住み続けることができます。
所有権:田中さん、占有権:田中さん
抵当権は自宅担保パターンです。
譲渡担保
担保をそのまま手元に置いて使用できますが、所有権はお金の貸し手に移ります。返済したら所有権が戻ってきます。例えば町工場がお金を借りる場合です。
東大阪市の斜陽鉄工所が会社の運転資金として腹黒信用金庫から500万円を借ります。その際、金属プレス機を担保として出し、プレス機の所有権を腹黒信用金庫に移します。
ただし、所有権が移っただけでプレス機は斜陽鉄工所にそのまま置いてあり、それまで通り使えます。そして、500万円を返済したら、所有権は腹黒信用金庫から斜陽鉄工所に戻ります。
所有権:腹黒信用金庫、占有権:斜陽鉄工所
譲渡担保は町工場のプレス機パターンです。
何度も復習して理解しよう
以上、初心者向けに詳しいことはあえて書かず、基本の基本だけに絞って説明しました。
何度も読み返して3つの違いを理解してください。
そして、3つの違いを忘れたり、またあやふやになることがきっとありますので、そのときはまたここに戻ってきて勉強しなおしてください。
忘れても勉強しなおせばOK牧場。一つ一つ勉強していきましょう!

コメント
民法を学び始めたばかりの者ですが、とても分かりやすい記事で本当に助かりました。
ありがとうございます!
僕は素人なので書いてあることの正確性は保証しませんが。
お役に立てば何よりです~
内容の説明がイメージし易い具体例に置き換えられているので、とても分かり易かったです。
抽象的に概論だけ言われても分かりませんもんね。
お役に立てば何よりです~