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グリーンインフラレンディング関連会社が細野議員に政治資金提供?

グリーンインフラレンディングについて衝撃的なニュースが飛び込んできました。

朝日新聞のスクープ記事です。

”細野豪志氏、衆院選中に5千万円受け取り 証券会社から”

一体何が起こっているのか、詳しく解説します。

この記事の著者
投資家・ブロガー
タロウ

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファディング専門の投資家です。
2018年にソシャレン・クラファン投資を始め、これまで400件を超える案件に1億9千万円以上を投資し損失ゼロ。
安全性を最重視した投資情報を発信しています。

朝日新聞の報道内容

事件の概要

端的にまとめるとこういうことです。

グリーンインフラレンディングの関連会社であるJC証券が、昨年の衆議院選挙期間中に、細野豪志議員に5千万円を貸し付けていた

細野氏は公職選挙法に基づく報告を行わず、証券取引等監視委員会からJC証券への指摘を受けて、資産報告書で5千万円の借り入れを報告した。

しかも、当初は資産報告書で「借入金なし」と報告していた

当事者の回答

この件について、細野氏とJCサービスは朝日新聞の取材に以下のように答えています。

JCサービス:一切お答えできない。

細野氏:政治資金が必要となる可能性があると考え、個人として借りた。借り入れが選挙後と誤認していたため、報告書には記載しなかったが、誤りに気付いて訂正を届け出た。

事件の推移

朝日の記事がちょっと分かりにくいので、記事の内容を時系列で整理します。

  • 2017年10月10日:衆院選、公示
  • 2017年10月13日以前:細野氏事務所、JC証券に「政治活動支援目的」で貸付を依頼
  • 2017年10月19日:JC証券、細野氏に5千万円を提供
  • 2017年10月22日:衆院選、投開票
  • 2018年1月末:細野氏、衆院選投開票日時点での資産について「借入金なし」とする資産報告書を提出
  • 2018年1月末:証券取引等監視委員会、JCサービスの資金調達について調査開始(グリーンインフラレンディングの資金募集において、投資家への説明に虚偽の疑いが生じ、JCサービスが集めた資金の使途を調査)
  • 2018年3月26日:証券取引等監視委員会、JC証券に対し5千万円の報告を指示
  • 2018年4月4日:細野氏、資産報告書の「借入金なし」の記載を「5千万円」に訂正
  • 2018年4月9日:細野氏、JC証券に5千万円を返済

JC証券とは?

JCサービスの子会社

JC証券はグリーンインフラレンディングの親会社であるJCサービスの子会社です。JCサービスの下にJC証券とグリフラが子会社としてぶら下がっています。

僕は以前、グリフラを調べた時にJC証券についても一通り調べました。

グリーンインフラレンディングのネット上での評判や情報を箇条書きで
グリーンインフラレンディングと親会社のJCサービス、社長の中久保正己氏などについて調べた内容と、ネット上での評価、評判を箇条書きでまとめました。ソーシャルレンディングに挑戦中の投資初心者が日々勉強中です!

それで、朝日の記事には証券会社名も親会社名も書かれていなかったのですが、親会社が自然エネルギー関係で昨年買収されて沖縄から東京に移転、と書かれていたので、JC証券だとすぐに分かりました。

JC証券の概略

上の記事でJC証券について簡単に紹介した内容を再掲します。

  • 元は2007年創業の沖縄のキャタリスト証券株式会社、2016年にNVF証券株式会社に商号変更
  • 2017年5月にJCサービスに全株式譲渡、JC証券に商号変更。
  • 代表取締役会長:中久保正己氏(グリフラ、JCサービス他グループ企業のトップ)
  • 業務内容にクラウドファンディングの構築が入っている
  • その説明の図の中にクリーンエネルギーを対象としたソーシャルレンディングが含まれている

政治家とのつながり

実はこのJC証券、3人の取締役が元国会議員(民主党と日本維新の会)です。

僕は以前からこのことを知っていましたが、投資ブログであまり政治的なことを書きたくなかったので、今までブログには一切書いていませんでした。

ただ、グリフラとつながってしまうとまったく関係なしとは言えませんので、情報を共有したいと思います。

以下の3人です。(なお僕は、自民支持でも民主支持でもない無党派層です。)

田村 謙治(JC証券取締役)

  • 1986年3月:筑波大学附属駒場高校卒
  • 1991年3月:東大法卒
  • 1991年4月:大蔵省(最終、課長補佐)
  • 1993~95年:ミシガン大学留学
  • 2002年:退官
  • 同:山村健衆院議員政策秘書
  • 2003年11月:衆院選落選
  • 2004年11月:衆院繰り上げ当選
  • 2004年11月~12年11月:衆院議員(民主党)
  • 2012年12月:衆院選落選(民主党)
  • 2013年2月:大樹グループ 特別研究員(現任)
  • 2013年4月~17年3月:政策研究大学院大学 客員研究員
  • 2013年4月~17年9月:楽天 アドバイザー
  • 2014年12月:衆院選落選(民主党)
  • 2017年4月:DYM(Web、人材、医療系)顧問(現任)
  • 2017年5月:JC証券取締役
  • 2017年10月:衆院選落選(希望の党)

松田 学(JC証券非常勤取締役)

  • 1957年11月:京都府生まれ
  • 1976年3月:千葉高校卒
  • 1981年3月:東大経卒
  • 1981年4月:大蔵省(最終、関税局管理課長)
  • 1983~85年:ボン大学留学
  • 2006年:東京医科歯科大学教養部教授へ出向
  • 2008年:郵便貯金・簡易生命保険管理機構理事へ出向
  • 2009年:預金保険機構金融再生部長へ出向
  • 2010年4月:退官
  • 2010年7月:衆院選落選(たちあがれ日本)
  • 2010年10月:大樹グループ 特別研究員(現任)
  • 2011年:医療法人豊岡会 顧問
  • 2012年12月~14年11月:衆院議員(日本維新の会)
  • 2014年11月:衆院選落選(次世代の党)
  • 2016年:自民に移籍
  • 2017年5月:JC証券取締役

和田 隆志(JC証券非常勤取締役)

  • 1968年7月:広島県生まれ
  • 時期不明:東大法卒
  • 時期不明:大蔵省(最終、金融庁課長補佐)
  • 2003年:退官
  • 2003年11月~05年9月:衆院議員(民主)
  • 2005年9月:衆院選落選(民主)
  • 2008年~12年12月:衆院議員(民主)
  • 2012年12月:衆院選落選(民主)
  • 2017年5月:JC証券取締役

細野議員とJCサービスのつながり

今回、細野議員はJCサービスから資金提供を受けましたが、そもそも両者はどのようにしてつながったのでしょうか?

恐らく大樹グループつながりだと思います。

この大樹グループ、調べても調べても実態がよくつかめないのですが、大樹総研を中核とするコンサル系のグループのようです。

そして、政治的には非自民系議員とつながりがあります。上で紹介した3人の内、田村謙治氏と松田学氏の経歴を見てください。2人とも大樹グループの特別研究員に就任しています。

そして、僕は実際には確認してないのですが、大樹グループが発行する雑誌で、細野氏が当時の民主党の野田佳彦、長島昭久両議院と対談をしているようです。

ですので、JCグループ自身が大樹グループとつながりがあったのか、田村、松田両取締役経由だったのかは分かりませんが、何らかの形で大樹グループつながりでJCグループと細野議員が関係を持つようになり、今回の5千万円提供依頼につながったと推測します。

政治的な問題点

さて今回の事件、朝日新聞は次のように問題を指摘しています。

衆院選中の5千万円もの借り入れは、誰でも選挙資金と受け止める。選挙資金であれば公職選挙法に基づく報告が必要

しかし細野氏は、罰則がない資産公開法で報告し、しかも当初は「借入金なし」と報告していた

朝日新聞が好きか嫌いかは置いといて、確かに大問題です。

投資家にとっての問題

それはさておき、僕たちソーシャルレンディング投資家にとっては、別の点で大問題です。

単なる金融庁管轄内の問題から、政治問題に発展しかねない点です。

事件の推移をもう一度

上の方に書いた事件の推移の一部を抜粋します。

  • 2018年1月末:証券取引等監視委員会、JCサービスの資金調達について調査開始
  • その後:グリーンインフラレンディングの資金募集において、投資家への説明に虚偽の疑いが生じる
  • その後:JCサービスが集めた資金の使途を調査
  • 2018年3月26日:証券取引等監視委員会、JC証券に対し5千万円の報告を指示

今までの認識

ここ数週間のグリフラ騒動について、今まで僕たちは「グリーンインフラレンディングが集めた資金を目的外で使っていた」点が問題であると認識してきました。

ネット上ではアウトサイダーズレポートが小銭稼ぎででっち上げたとか、情報開示で面子を潰された金融庁の反撃とか、反撃プラス天下り先の確保といった推測もありました。

それらの正誤は別として、いずれにしても僕たちはグリフラの一件が金融庁の管轄範囲内で起こった問題と捉えてきました。

政治問題化

しかし、上にあげた推移を見る限り、金融庁管轄は派生問題です。

監視委員会が何の裏付けもなくいきなりJCサービスを資金調達疑惑で調査するわけがありません。裏付けを取った上で筋書き通りに調査、処分と動くと考えるのが自然です。

であるならば、今年1月のJCサービスへの調査以前に、監視委員会は細野氏への資金提供を把握していた。そして、調査を進める過程でグリフラの問題が出てきた。

つまり、メインの政治資金問題を調べる中でグリフラの問題が明るみとなり、グリフラの一件が政治資金問題とつながってしまったということです。

ソーシャルレンディングへの影響

そして心配なのが、ソーシャルレンディングへの影響です。

可能性としてですが、細野氏に提供された5千万円がグリフラで集めた資金という疑惑が出るのではないか?

それはありえないと思いますが、マスコミがそのような疑惑を報じる可能性はゼロとは言えません。

そうなると、ソーシャルレンディングに対してネガティブな影響が出るのではないでしょうか?

maneoは大丈夫なのか?

もう一つ気になるのがmaneoです。事件の経緯によると、監視委員会によるJCサービスへの調査は今年1月に始まっています。

そして、遅くとも今年3月以前の時点で、グリフラによる資金の目的外使用の疑いが監視委員会によって指摘されています。

JCサービスとグリフラはこの事実をmaneoに報告していなかったのか?

報告があったのにmaneoが適切に手を打たず、6月まで投資家に何も説明していなかったのならば、maneoの対応、姿勢は批判を免れません

逆に報告がなかった、事態を把握できていなかったのであれば、maneoのファミリー企業に対する管理体制が問われるのではないでしょうか。

今後どうなるのか?

昨日26日のmaneoの発表が夜遅くになり、しかも大した内容でなかったので心配していたのですが。

まさかこんな大事件に発展するとは、かなり衝撃を受けています。

グリフラは29日に再発表すると言っていますが、2日後に何を発表できるのか?できたとしても僕たちを安心させる内容にはならないでしょう。

ソーシャルレンディングはいったいこれからどうなるのか?

一日も早く我々が安心できる説明がなされることを願います。

それが一時的な痛みを伴うものであっても、業界の健全化に向かう内容であることとあわせて。

コメント

早期償還

案件の運用が予定より短い期間で終わり、業者が元本を予定より早く投資家に返すことを早期償還といいます。

例えば、運用期間12カ月の予定が6カ月で早期償還になると、受け取る分配金は基本的に半分になります。

ネガティブに捉えられがちですが、業者が確実に売れる物件を選んで案件を組成した証でもあります。

分配原資

分配原資とは分配金の出どころのことです。

例えば、入居者から得る家賃から投資家に分配金を払う場合、分配原資は家賃です。

家賃はインカムゲインですので、分配原資はインカムゲインとも表現できます。

組成

案件を作ることを組成といいます。

  • 投資対象は緑町ハイツ102号室で
  • 利回りは4.5%で
  • 運用期間1年
  • 募集総額2,300万円の案件を作る

こうやって案件が出来上がります。

組成 → 募集 → 運用開始 → 運用終了 → 償還

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファンディングの案件はこのような流れで運営され、その最初の段階が案件の組成です。

元本毀損

元本毀損とは投資したお金が戻ってこなくなることです。

例えば、2,000万円で取得した物件が1,500万円でしか売れなかった場合、元本の一部が戻ってこないことがあります。

また、取得した物件が地震で倒壊し売れなくなったなどで、元本の全額が戻ってこないこともありえます。

クラファン案件の管理手数料

不動産クラファンで区分マンションなどが投資対象になる場合、物件の入居者募集や家賃徴収といった管理業務が行われます。

これらの業務は業者または外部の不動産業者が代行し、そこでは管理手数料が発生します。

案件の利回りはこういった手数料や経費も差し引いた上で計算されたものです。

ですので、投資家が管理手数料を別途支払う必要はありません。

優先出資と劣後出資

不動産クラファンでは一般に投資家と業者が共同で出資し、物件を取得します。

例えば、投資家が2,400万円、業者が600万円出資し、3,000万円の物件を取得するといった感じです。

出資者 出資額
投資家(優先出資) 2,400万円
業者(劣後出資) 600万円
出資総額 3,000万円

この時、投資家分の出資を優先出資業者分の出資を劣後出資といいます。

なぜ、そのような言い方をするのかなど、詳しくは下記記事を参照してください。

優先劣後出資方式と劣後出資比率

キャピタルゲイン型

不動産クラファンの案件は大きくキャピタルゲイン型とインカムゲイン型に分かれます。

投資対象物件を売却した際の売却益を分配原資(分配金の出どころ)とする案件がキャピタルゲイン型です。

一方のインカムゲイン型は運用期間中の家賃収益を分配原資とします。

なお、売却益と家賃収益の両方を分配原資とする併用型の案件もあります。

自社買取

不動産クラファンでは運用期間の最後に物件を不動産投資家など第三者に売却するのが一般的です。

しかし、何らかの事情で売却できなかった場合、自社で物件を買い取ることがあります。

売却できずに元本が戻ってこないところが、業者が買い取ることで元本が戻ってくることになるので、自社買取は投資家にとってメリットです。

劣後出資比率

不動産クラファンでは一般に投資家と業者が共同で出資し、物件を取得します。

例えば、投資家が2,400万円、業者が600万円出資し、3,000万円の物件を取得するといった感じです。

このとき、出資総額に対する業者分の出資額の比率を劣後出資比率といいます。

さきほどの例では20%です。

出資者 出資額 出資比率
投資家 2,400万円 80%
業者 600万円 20%

劣後出資比率が高いほど安全性が高まります。

詳しくは下記記事を参照してください。

優先劣後出資方式と劣後出資比率

償還

案件の運用が終わり、業者が元本を投資家に返すことを償還といいます。

クリック合戦

募集が先着方式の案件では、投資できる人が決まるのは早い者勝ちです。

このため、人気の案件では募集開始と同時に応募が殺到します。

この状態をクリック合戦といいます。

信託受益権

信託受益権とは信託財産から発生する利益を受け取る権利のことです。

詳しくは↓こちらの記事を参照してください。

信託受益権とは?(別タブで開く)

信託受益権とは?(今開いているタブで開く)

抵当権と根抵当権と極度額

抵当権とは借り手が返済できなくなった時に担保を売却し、その代金から他の債権者に優先して返済を受ける権利です。

抵当権は1つの借り入れに対して設定されるため、返済時点で消滅します。

これに対し根抵当権ではあらかじめ融資の上限額を設定し、その範囲内であれば何度でも融資と返済が可能です。

その都度、抵当権の設定登記を行う必要がないため、企業への融資などでよく利用されます。

極度額は根抵当権の融資上限額のことです。

債務履行

まず、「債務」とは他人に対し何らかの行動を行う義務のことです。

そして、債務を実際に行うことを債務履行といいます。

ソーシャルレンディングの場合、借り手(債務者)が返済することや、連帯保証人が借り手に代わって返済することが債務履行にあたります。

LTV

ソーシャルレンディングで使われる用語で、担保評価額に対する融資額の割合をいいます。

例えば、1億円の土地を担保に8千万円を融資する場合、LTVは80%です。

担保が評価額通りに売れるとは限らないため、LTVの数字が小さいほど安全性が高いとされます。

資金使途

ソーシャルレンディングで業者から借りたお金を借り手が何に使うかを資金使途といいます。

延滞

ソーシャルレンディングで借り手が期限内に返済できなくなることを延滞といいます。

また、ソシャレン、不動産クラファンで元本の償還が予定より遅れている状態を延滞と呼ぶことがあります。

業者や投資家によっては「遅延」という表現が使われることもありますが、意味は同じです。