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生命保険料控除の新旧保険の併用で控除額の算出法が6万円で変る理由

生命保険料控除で新生命保険料と旧生命保険料の両方を払っている場合、旧生命保険料の支払額6万円を境に、控除額の算出方法が変わります。

なぜそうなるのか?

左野くん
左野くん

所得税法第76条にはそんなこと書かれてないし…

右田さん
右田さん

所得税法施行令にも6万円なんて出てこないよね?

いまいち釈然とせずスッキリしないという方もいるのでは?

そんなあなたのために、一足早くスッキリした僕が6万円の謎を説明します!

タロウさん
タロウさん

タックスアンサーでなぜ6万円が出てくるのか説明するよ!

この記事の著者
投資家・ブロガー
タロウ

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファディング専門の投資家です。
2018年にソシャレン・クラファン投資を始め、これまで400件を超える案件に1億9千万円以上を投資し損失ゼロ。
安全性を最重視した投資情報を発信しています。

国税庁タックスアンサーNo.1140の内容

国税庁タックスアンサーNo.1140では、生命保険料控除の控除額の算出方法が示されています。

簡単にその内容を紹介します。

タロウさん
タロウさん

知っている人も第3節だけは読んでね!

旧保険の控除額の算出方法

2011年12月31日以前に契約を締結した生命保険、個人年金保険(以下、旧保険)の控除額は、次のように算出します。(以下、旧ルール

年間の支払保険料等 控除額
25,000円以下 支払保険料等の全額
25,000円~50,000円 支払保険料等÷2+12,500円
50,000円~100,000円 支払保険料等÷4+25,000円
100,000円超 50,000円
左野くん
左野くん

保険料が10万円を超えたら控除額は一律5万円だね。

新保険の控除額の算出方法

2012年1月1日以降に契約を締結した生命保険、個人年金保険、介護医療保険(以下、新保険)の控除額は、次のように算出します。(以下、新ルール

年間の支払保険料等 控除額
20,000円以下 支払保険料等の全額
20,000円~40,000円 支払保険料等÷2+10,000円
40,000円~80,000円 支払保険料等÷4+20,000円
80,000円超 40,000円
右田さん
右田さん

新保険の場合は上限が4万円ね。

旧保険と新保険の両方に加入している場合

さて、ここからが本題です。

納税者が旧保険と新保険の両方に加入している場合について。

タックスアンサーによると、生命保険料控除額の算出方法は以下の通りです。(以下、6万円ルール

  • 旧保険料が6万円以下の場合
    • 旧保険分を旧ルールで計算した控除額と
    • 新保険分を新ルールで計算した控除額との
    • 合計額(上限は4万円)
  • 旧保険料が6万円を超える場合
    • 旧保険分を旧ルールで計算した控除額(上限は5万円)

旧保険と新保険の両方に入っていても、6万円を超えると旧保険だけを計算する。

新保険は控除の対象としないということです。

なぜでしょうか?

左野くん
左野くん

新保険分の控除を捨てるようなものだよね。どうしてだろう?

所得税法第76条の規定

疑問に思ったときは大もとの法令を当たるのが一番です。

生命保険料控除について定めた、所得税法第76条を見てみましょう。

タロウさん
タロウさん

法律の条文から6万円の謎を解いていくよ!

旧ルールと新ルールは所得税法通り

所得税法第76条第1項から第3項は、主にさきほどの旧ルールと新ルールについて定めています。

  • 第1項第1号:新ルール(生命保険)
  • 第1項第2号:旧ルール(生命保険)
  • 第1項第3号:新旧の合算(生命保険)
  • 第2項:新ルール(介護医療保険)
  • 第3項第1号:新ルール(個人年金保険)
  • 第3項第2号:旧ルール(個人年金保険)
  • 第3項第3号:新旧の合算(個人年金保険)
右田さん
右田さん

旧ルールと新ルールは所得税法第76条の通りってことね。

所得税法が定める合算ルール

問題は第1項第3号と第3項第3号です。

ともに旧保険と新保険の両方に加入している場合の控除額の出し方について、次のように定めています。(以下、合算ルール

  1. 新保険について、新ルールに従って控除額を出す
  2. 旧保険について、旧ルールに従って控除額を出す
  3. 両方を足したものが控除額(上限は4万円)

さきほどのタックスアンサーの6万円ルールとはまったく違う内容です。

左野くん
左野くん

タックスアンサーが間違ってるってこと?

所得税法第76条が定める3つの計算ルール

間違っているかはひとまず置いておいて。

ここまでで分かることとして、生命保険料控除の控除額の出し方について、所得税法第76条は以下の3つのルールを定めています。

  • 旧ルール(旧保険に適用、上限5万円)
  • 新ルール(新保険に適用、上限4万円)
  • 合算ルール(新旧2つを足し算、上限4万円)
タロウさん
タロウさん

旧、新、合算、3つのルールがあることを押さえてね!

所得税法第76条の落とし穴

6万円ルールのことは後で考えるとして。

所得税法第76条の3つのルールについて考えてみます。

タロウさん
タロウさん

とんでもない抜け道が出てくるよ!

両方加入者は合算ルールで計算するはず

所得税法第76条を作った厚生労働省は、以下の3パターンの保険加入者を想定し、

  1. 旧保険だけに加入
  2. 新保険だけに加入
  3. 旧保険と新保険の両方に加入

3パターンの保険加入者がそれぞれ、

  1. 旧ルール
  2. 新ルール
  3. 合算ルール

で控除額を計算することを想定していたはずです。

しかし、ここに落とし穴がありました。

右田さん
右田さん

厚労省の想定が外れたってこと?

合算ルールで計算した場合

保険への加入状況が次のような人がいるとします。

  • 旧保険:100万円
  • 新保険:100万円

この人が、↓この合算ルールに基づいて

  1. 旧保険について、旧ルールに従って控除額を出す(上限5万円)
  2. 新保険について、新ルールに従って控除額を出す(上限4万円)
  3. 両方を足したものが控除額(上限は4万円)

控除額を計算すると、

  • 旧保険分:5万円(上限)
  • 新保険分:4万円(上限)
  • 5万円+4万円=9万円 → 控除額は4万円(上限)

合算ルールでは上限は4万円ですので、この人の控除額は4万円になります。

旧保険だけ生命保険料控除を受ける場合

ですが、もしですよ。もし仮にこの人が、

  • 新保険分は生命保険料控除を受けない
  • 旧保険分だけ生命保険料控除を受ける

と言い出したらどうなりますか?

旧保険分は旧ルールで計算しますので、控除額は、

  • 旧保険分:5万円(上限)
左野くん
左野くん

控除額が合算ルールの4万円よりも多くなる!

そうなんです。この人の場合、

  1. 合算ルールで新旧両方の控除を受けるより
  2. 新保険の控除は放棄し
  3. 旧保険の控除だけ受けた方が
  4. 控除額が多くなって有利

なのです!

右田さん
右田さん

そんなことして良いの?

所得控除は義務ではない

新保険の控除を受けないなんてことが許されるのか?

僕の理解が正しければ問題ありません。

そもそも、所得控除は義務ではありません。

所得控除についての法令には「控除できる」とか「控除を受ける場合は」といった表現がしばしば出てきます。

納税者には控除を受ける権利があるだけで、その権利を行使するかは納税者の自由です。

である以上、新保険分は捨てて旧保険分だけ控除を受けることは合法です。

タロウさん
タロウさん

どの控除を受けるも受けないも、納税者の自由だよ!

新旧両加入なら3ルールどれでもOK

新保険分の控除を捨てる。

恐らく厚生労働省の想定外だったはずです。

この想定外に厚労省がどう対応したのか推測します。

タロウさん
タロウさん

新旧両方の保険に加入している場合への対応が決まるよ!

3つのルールどれでもOK

所得控除の権利行使について、僕の理解が正しいという前提ですが。

新保険と旧保険の両方に加入している場合は、

  • 旧保険分だけを旧ルールで控除(上限5万円)
  • 新保険分だけを新ルールで控除(上限4万円)
  • 旧+新を合算ルールで控除(上限4万円)

3つのいずれを使ってもOKということです。

左野くん
左野くん

自分にとって一番有利なルールを使えば良いってことだよね。

保険会社は困る

ここで困るのが保険会社です。

どこにでも知恵がはたらく人はいますので、きっと「新保険は捨てて旧保険だけ控除してもOKだよね?」と聞いてくる顧客がいるでしょう。

その時に保険会社として下手な回答はできません。

どれを使ってもOKだと厚生労働省に事前に了解を取っておく必要があります。

右田さん
右田さん

あとでお咎めを受けないように、事前に厚労省のお墨付きを取っておきたいってことね。

生命保険協会が厚生労働省に照会

そこで、業界団体である生命保険協会が、2011年12月26日に厚労省に照会書を提出しました。(新生命保険料控除制度の取扱いについて(照会)

生命保険協会は照会書のⅡの4で、

  1. 新保険、旧保険の双方に加入する納税者の場合
    • 旧ルール
    • 新ルール
    • 合算ルール
  2. のいずれか有利なものを
  3. 納税者が選択できる

との見解で問題ないか?と、厚労省に照会しました。

納税者が選んでOKだよね?と、お墨付きを求めたということです。

生命保険協会の照会に対する厚生労働省の回答

この生命保険協会の照会に対して、厚生労働省が2012年1月19日に回答しました。(新生命保険料控除制度の取扱いについて

この中で厚労省は、国税庁課税部審理室長名で次のように回答しています。

標題のことについては、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません

新旧双方の保険に加入している場合は3ルールのどれを使っても良い。

これが厚生労働省の現在の公式見解です。

旧、新、合算、3ルールのどれを使ってもOKです。

左野くん
左野くん

どれでもOKって、法律でそんなことがあるんだね!

僕の想像ですが、法律の改正が決まってから誰かがこのことに気付いて、厚労省内で「やっべぇ~」となったのでしょう。そこで、生命保険協会と協議し3ルールどれでもOKにした。
しかし、それを厚労省から言い出すのは体裁が悪いので、生命保険協会の照会書に答えるという形を採ったのではないでしょうか?僕の本業のソーシャルレンディングでも金融庁が似たようなことをしていました。
国家官僚の無謬性を守らないといけない。お役人も大変ですね。笑

6万円ルールの謎を解明!

さて、ここで本題に戻ります。

国税庁のタックスアンサーの6万円ルールは一体何なのでしょうか?

タロウさん
タロウさん

6万円ルールの謎を解明するよ!

6万円ルールの本当の意味

6万円ルールをもう一度見てみます。

旧保険と新保険の両方に加入している場合、生命保険料控除の控除額は、

  • 旧保険料が6万円以下の場合
    • 旧保険分を旧ルールで計算した控除額と
    • 新保険分を新ルールで計算した控除額との
    • 合計額(上限は4万円)
  • 旧保険料が6万円を超える場合
    • 旧保険分を旧ルールで計算した控除額(上限は5万円)

としています。

これ、よく見ると実はこういうことですよね?

  • 旧保険料が6万円以下の場合
    • 合算ルールを適用(上限は4万円)
  • 旧保険料が6万円を超える場合
    • 旧ルールを適用(上限は5万円)

6万円までは合算ルール、6万円を超えたら旧ルール。

これが6万円ルールの本当の意味です。

右田さん
右田さん

6万円を境に合算ルールと旧ルールを使い分けるってことね!

ポイントは上限額

なぜこんなことにしているのか?

ポイントは控除額の上限です。

各ルールをもう一度見てみましょう。

  • 旧ルール(旧保険に適用、上限は5万円)
  • 新ルール(新保険に適用、上限は4万円)
  • 合算ルール(新旧2つを足し算、上限は4万円)

旧ルールだけ上限が5万円ですよね?

普通に考えれば合算ルールが有利だが

ある人が新旧2つの保険に入っている場合、受けることができる生命保険料控除額は、

  • 旧ルールの場合:旧保険の控除額
  • 新ルールの場合:新保険の控除額
  • 合算ルールの場合:旧保険の控除額+新保険の控除額

ですから、普通に考えれば合算ルールが一番有利です。

旧ルールの方が有利な可能性

でも、合算ルールでは控除額の上限は4万円です。

新旧の控除額の合計が100万円になろうと1億円になろうと、控除額は4万円です。

これに対して、旧ルールの上限は5万円です。

それはつまり、

  • 旧ルールを使った方が合算ルールより控除額が多くなる可能性がある

ということです。

左野くん
左野くん

合算ルールは4万円で頭打ちだけど、旧ルールだと5万円までいけるってことか!

6万円を超えると旧ルールの方が有利

では、それはどういう場合か?

旧ルールをもう一度見てみましょう。

年間の支払保険料等 控除額
25,000円以下 支払保険料等の全額
25,000円~50,000円 支払保険料等÷2+12,500円
50,000円~100,000円 支払保険料等÷4+25,000円
100,000円超 50,000円

旧保険料が6万円の場合、控除額は60,000円÷4+25,000円=4万円です。

7万円だと、70,000円÷4+25,000円=42,500円です。

つまり、旧保険料が6万円を超えると、控除額が4万円を超えます。

6万円を超えると旧ルールの控除額が合算ルールの控除額の上限4万円を超える。

旧保険料が6万円を超えると、合算ルールよりも旧ルールの方が有利になるのです。

右田さん
右田さん

6万円を超えると新保険料の分は捨てて、旧保険料だけ控除を受けた方が有利になるのね!

タックスアンサーに6万円ルールがある理由

上述した通り、新旧両方に加入している納税者は、3つのルールのどれでも選ぶことができます。

普通に考えれば控除額が最も多くなる有利なルールを選びますよね?

今見たように、

  • 旧保険料が6万円以下の場合
    • 合算ルールが有利
  • 旧保険料が6万円を超える場合
    • 旧ルールが有利

です。

だからタックスアンサーでは、

  • 旧保険料が6万円以下の場合
    • 合算ルールを適用(上限は4万円)
  • 旧保険料が6万円を超える場合
    • 旧ルールを適用(上限は5万円)

という、6万円ルールを掲載しているのです。

所得税法第76条には6万円なんてどこにも書かれていないのに、なぜタックスアンサーに6万円が出てくるのか?

これが答えです。

タロウさん
タロウさん

6万円の意味、分かってもらえたかな?

なお、住民税の場合は

  • 旧保険料が4万2千円以下の場合 → 合算ルール
  • 旧保険料が4万2千円を超える場合 → 旧ルール

となります。理由は同じです。

生命保険料控除の6万円のまとめ

長くなりましたので、最後に要点をまとめます。

  1. 生命保険料控除の算出方法は3つあります
    1. 旧ルール
    2. 新ルール
    3. 合算ルール
  2. 新旧両方の保険に加入している場合
    1. 3つのルールのどれを使ってもOKです
  3. 3つのルールは上限額が違います
    1. 旧ルール:5万円
    2. 新ルール:4万円
    3. 合算ルール:4万円
  4. 新旧両方の保険に加入している場合
    1. 受けられる控除額は
    2. 普通は合算ルールの方が有利です
  5. でも、旧ルールの上限は5万円なので
    1. 新保険分は控除を受けず
    2. 旧保険分だけ控除を受けた方が
    3. 有利な場合があります
  6. その境界線が6万円です
    1. 6万円以下:合算ルールが有利
    2. 6万円超:旧ルールが有利
  7. 旧保険料が6万円を超えると
    1. 新保険分の控除は捨てて
    2. 旧保険分の控除だけを受けた方が
    3. 控除額が多くなって有利です
  8. だからタックスアンサーでは
    1. 旧保険の控除額6万円を境に
    2. 合算ルールと旧ルールを
    3. 使い分けるようにしています

タックスアンサーの6万円の謎。

スッキリしましたでしょうか?

タロウさん
タロウさん

あなたの疑問が解消されて、スッキリしてもらえたらうれしいです!

コメント

早期償還

案件の運用が予定より短い期間で終わり、業者が元本を予定より早く投資家に返すことを早期償還といいます。

例えば、運用期間12カ月の予定が6カ月で早期償還になると、受け取る分配金は基本的に半分になります。

ネガティブに捉えられがちですが、業者が確実に売れる物件を選んで案件を組成した証でもあります。

分配原資

分配原資とは分配金の出どころのことです。

例えば、入居者から得る家賃から投資家に分配金を払う場合、分配原資は家賃です。

家賃はインカムゲインですので、分配原資はインカムゲインとも表現できます。

組成

案件を作ることを組成といいます。

  • 投資対象は緑町ハイツ102号室で
  • 利回りは4.5%で
  • 運用期間1年
  • 募集総額2,300万円の案件を作る

こうやって案件が出来上がります。

組成 → 募集 → 運用開始 → 運用終了 → 償還

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファンディングの案件はこのような流れで運営され、その最初の段階が案件の組成です。

元本毀損

元本毀損とは投資したお金が戻ってこなくなることです。

例えば、2,000万円で取得した物件が1,500万円でしか売れなかった場合、元本の一部が戻ってこないことがあります。

また、取得した物件が地震で倒壊し売れなくなったなどで、元本の全額が戻ってこないこともありえます。

クラファン案件の管理手数料

不動産クラファンで区分マンションなどが投資対象になる場合、物件の入居者募集や家賃徴収といった管理業務が行われます。

これらの業務は業者または外部の不動産業者が代行し、そこでは管理手数料が発生します。

案件の利回りはこういった手数料や経費も差し引いた上で計算されたものです。

ですので、投資家が管理手数料を別途支払う必要はありません。

優先出資と劣後出資

不動産クラファンでは一般に投資家と業者が共同で出資し、物件を取得します。

例えば、投資家が2,400万円、業者が600万円出資し、3,000万円の物件を取得するといった感じです。

出資者 出資額
投資家(優先出資) 2,400万円
業者(劣後出資) 600万円
出資総額 3,000万円

この時、投資家分の出資を優先出資業者分の出資を劣後出資といいます。

なぜ、そのような言い方をするのかなど、詳しくは下記記事を参照してください。

優先劣後出資方式と劣後出資比率

キャピタルゲイン型

不動産クラファンの案件は大きくキャピタルゲイン型とインカムゲイン型に分かれます。

投資対象物件を売却した際の売却益を分配原資(分配金の出どころ)とする案件がキャピタルゲイン型です。

一方のインカムゲイン型は運用期間中の家賃収益を分配原資とします。

なお、売却益と家賃収益の両方を分配原資とする併用型の案件もあります。

自社買取

不動産クラファンでは運用期間の最後に物件を不動産投資家など第三者に売却するのが一般的です。

しかし、何らかの事情で売却できなかった場合、自社で物件を買い取ることがあります。

売却できずに元本が戻ってこないところが、業者が買い取ることで元本が戻ってくることになるので、自社買取は投資家にとってメリットです。

劣後出資比率

不動産クラファンでは一般に投資家と業者が共同で出資し、物件を取得します。

例えば、投資家が2,400万円、業者が600万円出資し、3,000万円の物件を取得するといった感じです。

このとき、出資総額に対する業者分の出資額の比率を劣後出資比率といいます。

さきほどの例では20%です。

出資者 出資額 出資比率
投資家 2,400万円 80%
業者 600万円 20%

劣後出資比率が高いほど安全性が高まります。

詳しくは下記記事を参照してください。

優先劣後出資方式と劣後出資比率

償還

案件の運用が終わり、業者が元本を投資家に返すことを償還といいます。

クリック合戦

募集が先着方式の案件では、投資できる人が決まるのは早い者勝ちです。

このため、人気の案件では募集開始と同時に応募が殺到します。

この状態をクリック合戦といいます。

信託受益権

信託受益権とは信託財産から発生する利益を受け取る権利のことです。

詳しくは↓こちらの記事を参照してください。

信託受益権とは?(別タブで開く)

信託受益権とは?(今開いているタブで開く)

抵当権と根抵当権と極度額

抵当権とは借り手が返済できなくなった時に担保を売却し、その代金から他の債権者に優先して返済を受ける権利です。

抵当権は1つの借り入れに対して設定されるため、返済時点で消滅します。

これに対し根抵当権ではあらかじめ融資の上限額を設定し、その範囲内であれば何度でも融資と返済が可能です。

その都度、抵当権の設定登記を行う必要がないため、企業への融資などでよく利用されます。

極度額は根抵当権の融資上限額のことです。

債務履行

まず、「債務」とは他人に対し何らかの行動を行う義務のことです。

そして、債務を実際に行うことを債務履行といいます。

ソーシャルレンディングの場合、借り手(債務者)が返済することや、連帯保証人が借り手に代わって返済することが債務履行にあたります。

LTV

ソーシャルレンディングで使われる用語で、担保評価額に対する融資額の割合をいいます。

例えば、1億円の土地を担保に8千万円を融資する場合、LTVは80%です。

担保が評価額通りに売れるとは限らないため、LTVの数字が小さいほど安全性が高いとされます。

資金使途

ソーシャルレンディングで業者から借りたお金を借り手が何に使うかを資金使途といいます。

延滞

ソーシャルレンディングで借り手が期限内に返済できなくなることを延滞といいます。

また、ソシャレン、不動産クラファンで元本の償還が予定より遅れている状態を延滞と呼ぶことがあります。

業者や投資家によっては「遅延」という表現が使われることもありますが、意味は同じです。