当ブログは広告を含みます

トラストレンディングに対する行政処分の内容と同社の今後の対応

トラストレンディングに対する行政処分が出ました。

また、今後の対応について、トラストレンディングが発表を行っています。

重要な部分について説明します。

この記事の著者
投資家・ブロガー
タロウ

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファディング専門の投資家です。
2018年にソシャレン・クラファン投資を始め、これまで400件を超える案件に1億9千万円以上を投資し損失ゼロ。
安全性を最重視した投資情報を発信しています。

行政処分の対象となった問題

今回の行政処分の対象となった問題は、大きく下記の3点です。

1.虚偽の表示

トラストレンディングが募集を行った下記の案件が、実際には事業が行われていませんでした。

  • 高速道路事業(新東名、外環道)
  • コンサルティング事業

これらの事業を行う企業に貸すという名目で、トラレンが投資家から資金を集めました。

ところが、この企業が実際には高速道路、コンサルティングの事業を行っていませんでした。

結果として、トラレンがウソをついて投資家からお金を集めたことになりました。

これが「虚偽の表示」にあたります。

2.誤解を生じさせる表示

下記の事業における問題です。

  • 燃料事業

募集にあたってトラストレンディングは投資家に対し、「初年度売上高が最低でも30億円はいく」と説明していました。

しかし、実際にはその根拠は何らありませんでした。

つまり、30億円いくかどうかは分からない。

なのに、30億円はいくと説明したことが「誤解を生じさせる表示」にあたります。

3.管理面の不備

トラストレンディングが投資家から集めたお金の一部(15億8千万円)が、同社元取締役の山本幸雄氏が関係する企業に流出していました。

投資家のお金が私的な企業に流出。これは大問題です。

これがトラストレンディングの管理不備にあたります。

++++++++

なお、以上の詳細については、下記の記事で図を使って詳しく説明しています。

行政処分の内容

二種金登録の取消

トラストレンディングを運営するエーアイトラスト社の第二種金融商品取引業の登録が取り消されました

ソーシャルレンディングで投資家からお金を集めるには、二種金の登録が必要です。

登録を取り消されたことで、今後トラストレンディングはソーシャルレンディング事業を実質的に行えなくなりました。

トラレン、オワタ、です。

業務改善命令

こちらは、もはやどうでも良い内容です。

  • 処分内容について投資家にちゃんと説明せよ
  • 投資家のお金がどうなるか説明せよ
  • 投資家保護に万全を期せ
  • 以上をちゃんとやってるか金融庁に適宜報告せよ

トラストレンディングの対応

今回の行政処分に対するトラストレンディングの対応です。

二種金の表示を削除

エーアイトラスト社のサイト上で、第二種金融商品取引業の表示がすでに削除されています。

今後の対応を発表

今後の対応について文書を発表しました。

以下に全文掲載し、その後で要点をまとめます。

各 位

平成31年3月8日

エーアイトラスト株式会社

当社に対する行政処分の内容と今後の対応について

平成31年2月22日、証券取引等監視委員会から内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、当社に行政処分を行うよう勧告がなされ、本日、当社は第二種金融商品取引業者の登録取消および業務改善命令の行政処分を受けました。これに伴って、今後の当社の運営方針は下記のとおりとなりますのでご案内申し上げます。

なお、当社では、この度の行政処分の内容を厳粛に受け止め、命令内容を着実に履行するべく全社をあげて取り組んで参ります。

今後の運営方針

この度の行政処分を受け、今後、当社はソーシャルレンディングサイト「Trust Lending(トラストレンディング)」における新規会員および新規ファンドの募集は行わず、既存ファンドの運用業務や資金回収のための業務に注力することとなります。

各ファンドの運用状況、資金回収を目的とした訴訟や協議の進捗等につきましては、引き続きTrust Lending(トラストレンディング)のホームページへの掲載や、対象となる出資者の皆様に対するメール配信等を通じてご報告致します。

この度は投資家の皆様をはじめ、関係者の皆様に多大なるご心配とご迷惑をお掛けしており ますことを心よりお詫び申し上げます。

以 上

要点は以下の通りです。

  • 今後、トラストレンディングで新規会員の募集を行わない
  • 同じく、新規案件の募集を行わない
  • 運用中の案件の運用業務に注力する
  • 運用中の案件の資金回収に注力する
  • 各案件の運用、資金回収、訴訟などの状況は適宜、投資家に報告する
  • 報告手段は同社サイトへの掲載、及び、メール配信とする

以上です。

++++++++

トラストレンディングで投資中の方のお金が、少しでも多く戻ってきますように。

コメント

早期償還

案件の運用が予定より短い期間で終わり、業者が元本を予定より早く投資家に返すことを早期償還といいます。

例えば、運用期間12カ月の予定が6カ月で早期償還になると、受け取る分配金は基本的に半分になります。

ネガティブに捉えられがちですが、業者が確実に売れる物件を選んで案件を組成した証でもあります。

分配原資

分配原資とは分配金の出どころのことです。

例えば、入居者から得る家賃から投資家に分配金を払う場合、分配原資は家賃です。

家賃はインカムゲインですので、分配原資はインカムゲインとも表現できます。

組成

案件を作ることを組成といいます。

  • 投資対象は緑町ハイツ102号室で
  • 利回りは4.5%で
  • 運用期間1年
  • 募集総額2,300万円の案件を作る

こうやって案件が出来上がります。

組成 → 募集 → 運用開始 → 運用終了 → 償還

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファンディングの案件はこのような流れで運営され、その最初の段階が案件の組成です。

元本毀損

元本毀損とは投資したお金が戻ってこなくなることです。

例えば、2,000万円で取得した物件が1,500万円でしか売れなかった場合、元本の一部が戻ってこないことがあります。

また、取得した物件が地震で倒壊し売れなくなったなどで、元本の全額が戻ってこないこともありえます。

クラファン案件の管理手数料

不動産クラファンで区分マンションなどが投資対象になる場合、物件の入居者募集や家賃徴収といった管理業務が行われます。

これらの業務は業者または外部の不動産業者が代行し、そこでは管理手数料が発生します。

案件の利回りはこういった手数料や経費も差し引いた上で計算されたものです。

ですので、投資家が管理手数料を別途支払う必要はありません。

優先出資と劣後出資

不動産クラファンでは一般に投資家と業者が共同で出資し、物件を取得します。

例えば、投資家が2,400万円、業者が600万円出資し、3,000万円の物件を取得するといった感じです。

出資者 出資額
投資家(優先出資) 2,400万円
業者(劣後出資) 600万円
出資総額 3,000万円

この時、投資家分の出資を優先出資業者分の出資を劣後出資といいます。

なぜ、そのような言い方をするのかなど、詳しくは下記記事を参照してください。

優先劣後出資方式と劣後出資比率

キャピタルゲイン型

不動産クラファンの案件は大きくキャピタルゲイン型とインカムゲイン型に分かれます。

投資対象物件を売却した際の売却益を分配原資(分配金の出どころ)とする案件がキャピタルゲイン型です。

一方のインカムゲイン型は運用期間中の家賃収益を分配原資とします。

なお、売却益と家賃収益の両方を分配原資とする併用型の案件もあります。

自社買取

不動産クラファンでは運用期間の最後に物件を不動産投資家など第三者に売却するのが一般的です。

しかし、何らかの事情で売却できなかった場合、自社で物件を買い取ることがあります。

売却できずに元本が戻ってこないところが、業者が買い取ることで元本が戻ってくることになるので、自社買取は投資家にとってメリットです。

劣後出資比率

不動産クラファンでは一般に投資家と業者が共同で出資し、物件を取得します。

例えば、投資家が2,400万円、業者が600万円出資し、3,000万円の物件を取得するといった感じです。

このとき、出資総額に対する業者分の出資額の比率を劣後出資比率といいます。

さきほどの例では20%です。

出資者 出資額 出資比率
投資家 2,400万円 80%
業者 600万円 20%

劣後出資比率が高いほど安全性が高まります。

詳しくは下記記事を参照してください。

優先劣後出資方式と劣後出資比率

償還

案件の運用が終わり、業者が元本を投資家に返すことを償還といいます。

クリック合戦

募集が先着方式の案件では、投資できる人が決まるのは早い者勝ちです。

このため、人気の案件では募集開始と同時に応募が殺到します。

この状態をクリック合戦といいます。

信託受益権

信託受益権とは信託財産から発生する利益を受け取る権利のことです。

詳しくは↓こちらの記事を参照してください。

信託受益権とは?(別タブで開く)

信託受益権とは?(今開いているタブで開く)

抵当権と根抵当権と極度額

抵当権とは借り手が返済できなくなった時に担保を売却し、その代金から他の債権者に優先して返済を受ける権利です。

抵当権は1つの借り入れに対して設定されるため、返済時点で消滅します。

これに対し根抵当権ではあらかじめ融資の上限額を設定し、その範囲内であれば何度でも融資と返済が可能です。

その都度、抵当権の設定登記を行う必要がないため、企業への融資などでよく利用されます。

極度額は根抵当権の融資上限額のことです。

債務履行

まず、「債務」とは他人に対し何らかの行動を行う義務のことです。

そして、債務を実際に行うことを債務履行といいます。

ソーシャルレンディングの場合、借り手(債務者)が返済することや、連帯保証人が借り手に代わって返済することが債務履行にあたります。

LTV

ソーシャルレンディングで使われる用語で、担保評価額に対する融資額の割合をいいます。

例えば、1億円の土地を担保に8千万円を融資する場合、LTVは80%です。

担保が評価額通りに売れるとは限らないため、LTVの数字が小さいほど安全性が高いとされます。

資金使途

ソーシャルレンディングで業者から借りたお金を借り手が何に使うかを資金使途といいます。

延滞

ソーシャルレンディングで借り手が期限内に返済できなくなることを延滞といいます。

また、ソシャレン、不動産クラファンで元本の償還が予定より遅れている状態を延滞と呼ぶことがあります。

業者や投資家によっては「遅延」という表現が使われることもありますが、意味は同じです。