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SAMURAIが「サービサー売却過半数合意ルール」を廃止していた

SAMURAIが債権をサービサーに勝手に売却できないことを定めた「サービサー売却過半数合意ルール」。

投資家保護のためにSAMURAIが自主的に定めていたルールでした。

これがいつの間にか廃止されていました!

そして、SAMURAI FUNDにも廃止が継承されています。

この問題について詳しく解説します。

タロウさん
タロウさん

SAMURAI投資家は要チェックです!

この記事の著者
投資家・ブロガー
タロウ

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファディング専門の投資家です。
2018年にソシャレン・クラファン投資を始め、これまで400件を超える案件に1億9千万円以上を投資し損失ゼロ。
安全性を最重視した投資情報を発信しています。

サービサーへの債権譲渡問題

まず最初に詳しい事情をご存じない方のために、ソーシャルレンディング業者によるサービサーへの債権譲渡問題を説明します。

タロウさん
タロウさん

ご存じの方が多いと思うので、見出しを見ながら流し読みしてください!

ソーシャルレンディングでの貸し倒れ

ソーシャルレンディングは貸金業ですので、貸し倒れは一定の割合で発生します。

良い悪いではなく、それが貸金業という商売です。

例えば、以下のような案件で借り手が返済できなくなったとします。

  • 募集額:1億円
  • 担保:評価額1億5千万円の川崎市の土地
  • 保証:なし

この場合、まずは担保の土地の売却を試みます。

そして、売れなかった場合に登場するのが債権回収会社(サービサー)です。

左野くん
左野くん

サービサーって何をするの?

サービサーへの債権譲渡

サービサーは債権者(ソシャレン業者)に代わって債権回収業務を行います。

また、債権者がサービサーに債権を譲渡する場合もあります。

例えばさきほどの例で、ソシャレン業者が1億円の債権をサービサーに7千万円で譲渡します。

その結果、この案件に投資した人は7掛けで元本を返してもらえることになります。

そして、サービサーは借り手から8千万円を回収し、1千万円を儲けるって感じです。

右田さん
右田さん

債権者の手に負えない債権を安く買い取って自分で回収するわけか。

サービサーへの債権譲渡自体は問題ない

サービサーへの債権譲渡自体は問題ありません。

ソシャレン業者の独力では1円も取り戻せないかもしれない。

ならば、7掛けでもお金が戻ってきた方が良いですよね。

それでサービサーが1千万円儲けるのは、彼らのノウハウと労力の対価です。

タロウさん
タロウさん

世の中にはそういうご商売があって、必要とされるシーンがあるってことです!

サービサーへの問題がある債権譲渡

しかし、中には問題があると指摘せざるを得ない債権譲渡もあります。

その最たるものが「みんなのクレジット(以下、みんクレ)」による債権譲渡です。

みんクレは2019年2月に、31億円の債権をサービサーに譲渡しました。

その譲渡額、なんと9,660万円。簿価のわすか3%での譲渡です。

その結果、投資家には出資したお金の3%しか戻ってきませんでした

面倒になってサッサと幕引きを図ったと指弾されても仕方がない事例でした。

タロウさん
タロウさん

これがサービサーへの債権譲渡問題です!

サービサー売却過半数合意ルールの制定

さて、ここからが本題です。

債権譲渡問題へのSAMURAIの対応

みんクレによる債権譲渡問題に、ソーシャルレンディング業者で唯一対応策を出したのがSAMURAIでした。

2018年12月7日、SAMURAIは自社サイトで「匿名組合契約及び契約締結前交付書面の文言の追加のお知らせ」を発表しました。

その中でSAMURAIは次のように指摘しました。

昨今貸付型クラウドファンディング業界において、営業者の判断で貸付債権を簿価に対してかなり低い価格で譲渡を実行するというケースが多々見られるように聞いており、貸付型クラウドファンディングにおいては、貸付債権の譲渡について一定の規律が必要であると考えております。

みんクレのように投資家に不当な損失を負わせることを防ぐために、なんらかのルールが必要である。

そしてSAMURAIが導入したのが「サービサー売却過半数合意ルール」です。

左野くん
左野くん

どんなルールなの?

サービサー売却過半数合意ルールとは?

サービサー売却過半数合意ルール」(以下、過半数ルール)は僕が勝手に付けた名前です。

その内容は次のようなものです。

  1. SAMURAIが債権を
  2. 簿価の80%未満でサービサーに売却する場合
  3. 出資額ベースで50%を超える投資家の同意を必要とする

例えば、こんな感じです。

  1. 募集額=借り手への貸付額=債権の簿価=1億円の案件で
  2. 債権を7,900万円でサービサーに売却する場合
  3. 出資額ベースで5千万1円以上の投資家の合意が必要

5千万円以下の投資家の合意しか得られなかった場合は、債権を売却できないということです。

債権を8掛け未満でサービサーに売却するには過半数の投資家の合意が必要。

SAMURAIはこの過半数ルールで、みんクレのような問題の発生の防止を図りました。

右田さん
右田さん

ソシャレン業者の都合で好き勝手にサービサーに売れないってことね!

タロウさん
タロウさん

匿名組合契約に組合員の意思を反映させる画期的な取り組みでした!

過半数ルールの契約書などへの反映

そして、この過半数ルールはSAMURAIの契約書などへ次のように反映されました。(注釈など一部省略)

左野くん
左野くん

契約書を読むの面倒なんだけど。

面倒でしょうが、あとで関係してくるので太字部分だけでも読んでください。

匿名組合契約書

第7条の3
前項にかかわらず、営業者が本事業に係る営業者の貸付先に対する貸付債権を当該貸付債権の簿価の80%未満の価格で債権回収会社に売却しようとするときは、予め本匿名組合員及び他の匿名組合員に対し、当該売却についての同意するか否かを確認するものとし、(1)同意した他の匿名組合員からの出資に係る営業者出資金の残高及び(2)本匿名組合員が同意したときは本出資金残高の合計額が、出資金合計残高の50%を超える場合に限り、当該売却を行うことができるものとする。(出典:前掲文書

契約締結前交付書面

二.【本事業に関する指図】
営業者が本事業に係る営業者の貸付先に対する貸付債権を当該貸付債権の簿価の80%未満の価格で債権回収会社(サービサー)に売却しようとするときは、予め各出資者に対し、当該売却についての同意するか否かを確認し、同意した出資者の出資金残高の合計額が全出資者の出資金残高の50%を超えた場合に限り、売却できるものとされています(出典:前掲文書

過半数の同意が必要と規定

どちらも同じ内容です。

  1. 簿価の80%未満でサービサーに売却する場合は
  2. 出資額ベースで過半数の投資家の同意が必要
タロウさん
タロウさん

ここまで、過半数ルールについてでした!

サービサー売却過半数合意ルールの廃止

このSAMURAIの過半数ルール。

なんと、知らない間に廃止されていました!(僕だけ?)

過半数ルール廃止での変更内容

2019年7月30日に募集が行われたSAF不動産ローンファンド15号より、過半数ルールが事実上廃止されました。

具体的には契約書などの内容が次のように変更されました。

匿名組合契約書

第7条の3
前項にかかわらず、営業者が本事業に係る営業者の貸付先に対する貸付債権を当該貸付債権の簿価の80%未満の価格で債権回収会社に売却しようとするときは、予め本匿名組合員及び他の匿名組合員に対し、当該売却についての意向の確認を行うものとする。ただし、営業者は本匿名組合員及び他の匿名組合員の意見に拘束はされない。(出典:SAMURAI匿名組合契約書PDF

契約締結前交付書面

二.【本事業に関する指図】
営業者が本事業に係る営業者の貸付先に対する貸付債権を当該貸付債 権の簿価の80%未満の価格で債権回収会社(サービサー)に売却しようとするときは、予め各出資者に対し、当該売却についての意向確認を行います。但し、 営業者は当該出資者の意見に拘束されません。(出典:SAMURAI契約締結前書面PDF

右田さん
右田さん

なんかヤバい方向に変わったような気が…

変更内容のポイント

契約書などの変更内容のポイントは上掲2カ所の赤字の部分です。

1.「同意の確認」から「意向の確認」へ

まず、投資家からか確認する対象が変更されています。

  • 変更前:売却に同意するか否かを確認する
  • 変更後:売却についての意向を確認する

変更前は「売却にイエスかノーか」の確認でした。

それが変更後は「売却についてどう思いますか?」みたいな確認に変わっています。

左野くん
左野くん

それって聞いても意味なくない?

2.過半数の同意が不要に

そして、過半数ルールが廃止というか消え去っています。

  • 変更前:同意が50%を超えた場合にのみ売却可能
  • 変更後:SAMURAIは投資家の意見に拘束されない

投資家の意見に拘束されない。

つまり、投資家が賛成しようが反対しようがSAMURAIの判断でサービサーに売却できるということです。

右田さん
右田さん

サービサーへの問題ある売却に、投資家がストップをかけられなくなったわけだ。

過半数ルール廃止は新社長の意向か?

なぜ、過半数ルールは廃止されたのか?

過半数ルール制定から廃止までの推移

時系列で検証します。

日付 項目 過半数ルール
2017年11月2日 SAMURAI&J PARTNERSの完全子会社化
2018年12月7日 過半数ルール制定
2019年3月27日 Jトラストと業務提携
2019年6月24日 日本保証ファンド2号 募集実施 適用
2019年6月28日 社長交代(澤田聖陽氏→中山幹之氏)
2019年7月3日 不動産ローン14号 募集実施 適用
不動産メザニン5号 募集実施 適用
2019年7月30日 不動産ローン15号 募集実施 廃止
タロウさん
タロウさん

社長交代の前後に注目です!

社長交代後に過半数ルール廃止

社長交代の直前と直後に募集された3つの案件は、過半数ルールのままでした。

そして、交代から1ヶ月後に募集された案件から、過半数ルールが廃止されています。

ということは、廃止は新社長の意向なのかな?と推測してしまいます。

タロウさん
タロウさん

明確な根拠があるわけではありません!

Jトラストの藤澤社長は無関係?

これも推測ですが、Jトラストの藤澤信義社長はこの件に無関係だと思います。

SAMURAIの前身である旧スマートエクイティは、2017年11月にSAMURAI&J PARTNERSの完全子会社となりました。

その時点で藤澤氏はSAMURAI&Jの筆頭株主(持ち株比率32%)でした。

SAMURAIが過半数ルールを決めたのは、その1年後の2018年12月です。

こんな重要なルールがトップの耳に入らないとは考えにくく、ルール導入を藤澤氏は容認したのでは?と推測します。

タロウさん
タロウさん

なにはともあれ、過半数ルールは廃止されました!

過半数ルール廃止の問題点

過半数ルールの廃止について、僕は一つ大きな問題があると考えます。

過半数ルール廃止自体は一つの選択肢

僕は過半数ルールの廃止自体は、選択肢として有りだと思います。

過半数ルールの問題点

例えば、簿価の7掛けでのサービサーへの売却が、状況から考えて妥当な落としどころだったとします。

そうであっても、

全額返済以外まかりならん!女房と娘、吉原に売ってでも、耳揃えてゼニ返さんかい!ゴォラァ~!!!

みたいなファンキーでクレイジーな投資家が過半数を超えると、そこから先は身動きがまるで取れない膠着状態になるのです。

左野くん
左野くん

回収もできず、債権譲渡もできず、何もできない状態か…

過半数ルール廃止も有り

なので僕は、過半数ルールは良い面もあるが、イマイチな面もある。

なので、SAMURAIが過半数ルール廃止という判断をするのは有りだと思います。

投資家に案内しなかったことが問題

僕が問題だと思うのは、SAMURAIが過半数ルールの廃止を投資家に案内しなかったことです。

投資家に案内していない

過半数ルールができた2018年12月から廃止された2019年7月までの、SAMURAIサイトの「お知らせ」をすべて見てみました。

しかし、廃止に関する案内はどこにもありませんでした。

念のため、SAMURAIのブログも見ましたが、こちらにも記載はありませんでした。

右田さん
右田さん

ちゃんと案内しなきゃダメでしょ?!

案内なしは合法

SAMURAIが「お知らせ」などで変更を案内しなかったことは違法ではありません。

金融商品取引法は第37条の3で、取引契約の概要などを契約締結前書面で投資家に告知することを金商業者に義務付けています。

SAMURAIは変更後の内容を契約締結前書面に明記していますので完全に合法です。

「道義的にどーたらこーたら」と言う人がいますが、何をもって道義的とするかは人によって基準が異なるのでまったく無意味。

世の中にあるのは合法と違法だけです。

左野くん
左野くん

あんたも相変わらず極端だね。

タロウさん
タロウさん

ハッキリしてると言ってくれ!

案内すべきだったのでは?

とは言ってもです。

過半数ルールはサービサーへの売却を投資家が止められるという重要なものです。

だからこそ、SAMURAIは過半数ルールを投資家に案内したのでしょう。

であるならば、廃止にする際も同様に案内を行うべきだったのではないでしょうか?

投資家受けしそうなことは大きくアピールし、反感を買いそうなことはコッソリと。

そういう対応は金融商品を扱う事業者として、投資家の信頼を失うだけです。

タロウさん
タロウさん

正直、ちょっとガッカリしました!

気づいてなかったワイが大問題やw

で、それ以上に大問題なのが、このことに僕が今まで気づいていなかったことです。

僕はSAMURAIでは次の2案件に投資しています。

募集日 案件名 投資額
2019年10月8日 日本保証さくらファンド1号 30万円
2019年10月17日 Jトラスト保証付きインドネシア円建て1号 30万円

どちらも過半数ルールが廃止された後の案件です。

でも、気づいていませんでした。

はいそうです。ちゃんと読んでいませんでした!

保証付きだから大丈夫っしょ♪と手を抜きました!

ふだん、ちゃんと読めとか調べろとか偉そうに言っておきながら、みっともないったらありゃしない。

右田さん
右田さん

特大ブーメランだねw

タロウさん
タロウさん

猛省しております…

SAMURAI FUNDも過半数ルール非適用

なお、旧さくらと統合したSAMURAI FUND(新SAMURAI)も、過半数ルールは適用されていません。

SAMURAI FUNDに過半数ルールは適用されない

過半数ルールに関してSAMURAI FUNDの契約締結前交付書面では次のように規定されています。

(vi) その他の留意事項
① 本事業に関する指図
貸付先が期日までに約定弁済が出来ない場合もしくは弁済が出来ない恐れが生じたと営業者が判断した場合において、営業者が本事業に係る営 業者の貸付先に対する貸付債権を当該貸付債権の簿価の80%未満の価格で債権回収会社に売却しようとするときは、営業者は予め出資者に対し当該売却について通知し、出資者は当該売却に対する意向を表明できるものとします。但し、営業者は当該出資者の意見に拘束されません。(出典:SAMURAI契約締結前交付書面PDF

簿価の8掛け未満でサービサーに売却する場合、投資家は意見を出すことはできます。

しかし、SAMURAIは投資家の意見とは無関係に売却できます

過半数ルール廃止は改悪ではない

誤解のないように申し上げますと、投資家の意思に関わらずサービサーに売却できるのは他のソシャレン業者も同じです。

オナブもクラバンもSBIも投資家の同意を得ずにサービサーに売却できます

過半数ルール時代のSAMURAIが他社に比べて良かっただけで、廃止したことで他社と同等に戻っただけです。

ですので、過半数ルール廃止がSAMURAIの改悪だという指摘は当たりません。

左野くん
左野くん

他のソシャレン業者と同じに戻っただけってことか。

旧SAMURAI投資家は注意を

ただ、旧SAMURAI時代から投資してきた方は注意が必要です。

  • 以前は過半数ルール
    1. 簿価の8掛け未満で
    2. サービサーに売却する際は
    3. 過半数の投資家の合意が必要
    4. 合意なしで勝手に売却できない
  • SAMURAI FUNDは過半数ルールなし
    1. 簿価の8掛け未満で
    2. サービサーに売却する際は
    3. 投資家に意見は聞くが
    4. SAMURAIの判断で勝手に売却できる

リニューアル記念の日本保証7%案件も過半数ルールなしです。

以前とは変わったことを踏まえた上で投資判断をしましょう。

「え~っ!過半数ルールなくなってたの?!」ってことがないようにご注意を!

タロウさん
タロウさん

以上、SAMURAIの過半数ルール廃止についてでした!

コメント

早期償還

案件の運用が予定より短い期間で終わり、業者が元本を予定より早く投資家に返すことを早期償還といいます。

例えば、運用期間12カ月の予定が6カ月で早期償還になると、受け取る分配金は基本的に半分になります。

ネガティブに捉えられがちですが、業者が確実に売れる物件を選んで案件を組成した証でもあります。

分配原資

分配原資とは分配金の出どころのことです。

例えば、入居者から得る家賃から投資家に分配金を払う場合、分配原資は家賃です。

家賃はインカムゲインですので、分配原資はインカムゲインとも表現できます。

組成

案件を作ることを組成といいます。

  • 投資対象は緑町ハイツ102号室で
  • 利回りは4.5%で
  • 運用期間1年
  • 募集総額2,300万円の案件を作る

こうやって案件が出来上がります。

組成 → 募集 → 運用開始 → 運用終了 → 償還

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファンディングの案件はこのような流れで運営され、その最初の段階が案件の組成です。

元本毀損

元本毀損とは投資したお金が戻ってこなくなることです。

例えば、2,000万円で取得した物件が1,500万円でしか売れなかった場合、元本の一部が戻ってこないことがあります。

また、取得した物件が地震で倒壊し売れなくなったなどで、元本の全額が戻ってこないこともありえます。

クラファン案件の管理手数料

不動産クラファンで区分マンションなどが投資対象になる場合、物件の入居者募集や家賃徴収といった管理業務が行われます。

これらの業務は業者または外部の不動産業者が代行し、そこでは管理手数料が発生します。

案件の利回りはこういった手数料や経費も差し引いた上で計算されたものです。

ですので、投資家が管理手数料を別途支払う必要はありません。

優先出資と劣後出資

不動産クラファンでは一般に投資家と業者が共同で出資し、物件を取得します。

例えば、投資家が2,400万円、業者が600万円出資し、3,000万円の物件を取得するといった感じです。

出資者 出資額
投資家(優先出資) 2,400万円
業者(劣後出資) 600万円
出資総額 3,000万円

この時、投資家分の出資を優先出資業者分の出資を劣後出資といいます。

なぜ、そのような言い方をするのかなど、詳しくは下記記事を参照してください。

優先劣後出資方式と劣後出資比率

キャピタルゲイン型

不動産クラファンの案件は大きくキャピタルゲイン型とインカムゲイン型に分かれます。

投資対象物件を売却した際の売却益を分配原資(分配金の出どころ)とする案件がキャピタルゲイン型です。

一方のインカムゲイン型は運用期間中の家賃収益を分配原資とします。

なお、売却益と家賃収益の両方を分配原資とする併用型の案件もあります。

自社買取

不動産クラファンでは運用期間の最後に物件を不動産投資家など第三者に売却するのが一般的です。

しかし、何らかの事情で売却できなかった場合、自社で物件を買い取ることがあります。

売却できずに元本が戻ってこないところが、業者が買い取ることで元本が戻ってくることになるので、自社買取は投資家にとってメリットです。

劣後出資比率

不動産クラファンでは一般に投資家と業者が共同で出資し、物件を取得します。

例えば、投資家が2,400万円、業者が600万円出資し、3,000万円の物件を取得するといった感じです。

このとき、出資総額に対する業者分の出資額の比率を劣後出資比率といいます。

さきほどの例では20%です。

出資者 出資額 出資比率
投資家 2,400万円 80%
業者 600万円 20%

劣後出資比率が高いほど安全性が高まります。

詳しくは下記記事を参照してください。

優先劣後出資方式と劣後出資比率

償還

案件の運用が終わり、業者が元本を投資家に返すことを償還といいます。

クリック合戦

募集が先着方式の案件では、投資できる人が決まるのは早い者勝ちです。

このため、人気の案件では募集開始と同時に応募が殺到します。

この状態をクリック合戦といいます。

信託受益権

信託受益権とは信託財産から発生する利益を受け取る権利のことです。

詳しくは↓こちらの記事を参照してください。

信託受益権とは?(別タブで開く)

信託受益権とは?(今開いているタブで開く)

抵当権と根抵当権と極度額

抵当権とは借り手が返済できなくなった時に担保を売却し、その代金から他の債権者に優先して返済を受ける権利です。

抵当権は1つの借り入れに対して設定されるため、返済時点で消滅します。

これに対し根抵当権ではあらかじめ融資の上限額を設定し、その範囲内であれば何度でも融資と返済が可能です。

その都度、抵当権の設定登記を行う必要がないため、企業への融資などでよく利用されます。

極度額は根抵当権の融資上限額のことです。

債務履行

まず、「債務」とは他人に対し何らかの行動を行う義務のことです。

そして、債務を実際に行うことを債務履行といいます。

ソーシャルレンディングの場合、借り手(債務者)が返済することや、連帯保証人が借り手に代わって返済することが債務履行にあたります。

LTV

ソーシャルレンディングで使われる用語で、担保評価額に対する融資額の割合をいいます。

例えば、1億円の土地を担保に8千万円を融資する場合、LTVは80%です。

担保が評価額通りに売れるとは限らないため、LTVの数字が小さいほど安全性が高いとされます。

資金使途

ソーシャルレンディングで業者から借りたお金を借り手が何に使うかを資金使途といいます。

延滞

ソーシャルレンディングで借り手が期限内に返済できなくなることを延滞といいます。

また、ソシャレン、不動産クラファンで元本の償還が予定より遅れている状態を延滞と呼ぶことがあります。

業者や投資家によっては「遅延」という表現が使われることもありますが、意味は同じです。