融資の新サービスcommon|個人間融資を便利にして良いのか?

個人間融資に関する新しいサービスが登場しました。

新しい物好きの僕ですが、いささか危惧せざるを得ない内容です。

ソーシャルレンディングに通ずる部分がありますので、情報を共有したいと思います。

タロウさん
タロウさん

投資には関係ない話です!

commonの概要

その新しいサービスは「common」です。

 

commonとは?

commonは個人や企業間の融資に伴う作業を簡便にするサービスです。

個人事業主や中小企業が知人などから資金を借りるケースを前提に、貸し手、借り手に次のようなサービスを提供します。

金銭消費貸借契約書の作成

commonのサイトで貸し手、借り手の情報や融資額、返済期限などを入力します。

すると、金銭消費貸借契約書が自動的に作成されます。

返済期日の連絡

契約書を作成すると登録した情報をもとに、返済期日が近づくとメールで連絡が来ます。

これで返済忘れなどのミスを防げます。

督促状などの送付代行

借り手が返済しない場合、commonが督促状などの作成、送付を代行します。

相手に直接では言いにくいことを、書面で伝えることができます。

タロウさん
タロウさん

新しいFinTechサービスであるとしています!

 

common誕生の背景

commonはサービス誕生の背景を次のように説明しています。

  • P2Pレンディング(インターネットを活用した個人・中小企業間融資)は成長分野で、匿名組合を通じたソーシャルレンディングがある。
  • 反面、個人間融資は曖昧な契約などでトラブルのもとになりやすい。
  • commonが簡単な画面操作と機能で個人間融資の困りごとをなくす。
  • サービスのターゲットは中小企業・個人事業の経営者。
  • 彼らは短期の資金需要を知人間融資で補うことがあるが、トラブルで人脈を失うこともある。
  • commonがこのような問題を解決する。
左野くん
左野くん

ネットを使って貸金を簡単に。

右田さん
右田さん

トラブル解消なら良いんじゃない?

タロウさん
タロウさん

う~ん…

貸金業法違反が前提とならないか?

まず懸念するのは、貸金業法違反が前提になるのではないかという点です。

 

貸金業の定義

貸金業法第2条は次のように定めています。

貸金業とは、金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介で業として行うものをいう。

そして「業として行う」の定義について、福岡高裁の判例が3つの要素を示しています。

  • 反復継続して行う
  • 対象が不特定若しくは多数人
  • 金利またはこれに準ずべき利益を取得する

金利を取って多人数に繰り返しお金を貸す。

この行為が貸金業にあたります。

左野くん
左野くん

それがcommonとどう関係するの?

 

commonは複数回利用が前提のビジネスモデル

commonでは貸借契約書を作れますが、月1枚までが無料です。

2枚以上で有料なので、複数回利用することが前提のビジネスモデルです。

また、有料プランは月額400円で契約書を何枚でも作れるのですが、これをcommonは「サブスクリプション型」と表現しています。

月400円で使い放題ということです。

このことからもcommonは複数回利用を前提としていると考えます。

右田さん
右田さん

それって…

タロウさん
タロウさん

反復継続!

 

金利を設定できる

さらに、commonは契約書を作成する際に金利を設定できる仕様になっています。

よくある質問の中にも利息制限法についての記述があります。

左野くん
左野くん

金利を取って複数回だと…

タロウさん
タロウさん

貸金業…

 

利用者の違法行為が前提にならないか?

もちろん、対象が不特定または多人数でないならば、貸金業の要件を満たしません。

また、commonは契約書作成の簡易化を行うだけです。

利用者が貸金業法に違反するかは、あくまでも利用者の問題です。

ただ、利用者が貸金業法に違反しかねないことを前提とするビジネスモデルである点に、なんだかなぁ感が…

タロウさん
タロウさん

common自体が違法という意味ではありません!

個人間融資を簡単にして良いのか?

それ以上に懸念するのが、個人間融資が簡単になって良いのか?という問題です。

commonのサイトには次のように書かれています。

お金の貸し借りを安心・安全・便利に

本当にそうなのでしょうか?

 

安心・安全になるのか?

まず、安心・安全についてです。

個人向け融資は簡単ではない

上述のcommon誕生の背景には次のように書かれています。

P2Pレンディングは成長分野で、匿名組合を通じたソーシャルレンディングがある。

P2Pの個人向け融資ですが、過去にmaneoが手掛けていました。

しかし、大量の貸し倒れが発生したため、早い時期に撤退しています。

個人向けの金貸しは簡単にできるものではないです。

貸金の重点は与信審査と債権回収

ソーシャルレンディングを3年間やってきて、お金を貸す際の重点は与信審査と債権回収だと僕は思っています。

貸して大丈夫な相手なのかをしっかり調べる。

そして、貸したお金をきっちり回収する術を整える。

金貸しにはこの2つが必須条件だと思います。

契約書だけ整えれば安心・安全になるのか?

しかし、commonではこれらはすべて利用者次第です。

事実、commonは「初心者でも3分程度で金銭消費貸借契約書を作成できます」としています。

与信審査も債権回収もろくにできない。

そんな初心者が契約書を整えるだけで安心・安全にお金を貸せるのでしょうか?

右田さん
右田さん

書類だけ整えてもね…

 

何でも便利にして良いのか?

そして便利さについて。

便利なのは良い

もちろん、便利になるのは良いことです。

僕は経理からトイレ掃除まですべて1人のフリーランスなので、便利になることは基本的に賛成です。

しかし、何でもかんでも便利にして良いものでしょうか?

法律知識がない者が便利に契約書を作れて良いのか?

commonのよくある質問には次のように書かれています。

Q:法律の知識がなくても、お金の貸し借りの契約書を作成できますか?
A:はい。commonで穴埋め式に必要事項を記入すると、お金の貸し借りの契約書(金銭消費貸借契約書)のドラフトが作成できます。

法律の知識がないのに契約書を作る。

そして契約を締結する。

それって、便利にしてしまって良いことなのでしょうか?

 

個人間融資は便利にすべきではない

僕はこの3年間、ソーシャルレンディングを通して貸金業の難しさや怖さを身を以て感じてきました。

それゆえ、お金の貸し借りは簡単なものではない、安易に手を出すべきではないと、以前にも増して思っています。

もちろん、個人事業主や中小企業の資金調達方法の改革は必要でしょう。

不便さ、トラブル源の存在など、common開発者の考えも理解します。

しかしそれでもなお、契約書を作っただけで融資が安心・安全になるなどありえない

企業間はともかく個人間の融資は安易に便利にすべきではないと思います。

タロウさん
タロウさん

硬い内容で恐縮です!

 

コメント

  1. 匿名 より:

    個人間融資、韓国や中国でも以前流行りまくって案の定で大変なことになっていたらしいですね。
    それはそうと、クリアルさんの新案件、億単位で劣後出資5%と改悪の流れが止まりません。
    それに対して、大家ドットコムの新案件は劣後70%とかいかれてますね。
    土地だけで元本とれるとか。
    七割と言っても開発費なので流石に正確性に欠けますがここまでガチガチの案件は初めて見ました。
    タロウさんの分析楽しみに待ってます。

    • タロウタロウ より:

      大家5号ですが。
      僕も土地代を見た時に「なんじゃ、こりゃ?」と思いました。
      劣後70%は日本保証が出せる上限=募集額から結果的に70%になったんじゃないかなと。

      なお僕の分析はまったくあてになりません。
      業者さんに指差して笑われてるのは承知の上で、自分の勉強のためにやっています。
      ご自身の分析との比較にでも使ってください。