不動産投資型クラウドファンディング各社の運用中残高を調べてみました。
この記事で言う運用中残高とは、下表の案件B~Eの合計1億4,000万円のことです。
案件 | 募集時期 | 募集額 | 状況 |
---|---|---|---|
A | 2022年2月 | 2,000万円 | 募集前 |
B | 2022年1月 | 1,000万円 | 募集中 |
C | 2021年12月 | 2,000万円 | 運用開始前 |
D | 2021年10月 | 7,000万円 | 運用中 |
E | 2021年7月 | 4,000万円 | 運用中 |
F | 2021年3月 | 2,000万円 | 償還済み |
つまり、将来的に投資家に償還しなければいけないお金をいくら抱えているかです。
これが投資判断の材料になるのか、僕自身よく理解できていませんが。
何かのご参考になれば幸いです。

暇つぶしに読んでください!
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自社買取で投資家の被害を防げる
まず、なぜこんなことを調べたのかを説明します。
売却できない場合の自社買取
不動産クラファンの基本的な流れ
不動産クラファンは原則として次のような流れで進みます。
- 投資家から集めたお金で
- 物件を取得し
- 賃貸などで運用し
- 最後に売却し
- 運用益と売却益を分配し
- 売却代金で元本を償還する
優先出資額以下での売却になる可能性
ただ、元本を満額償還するのに不十分な価格、つまり優先出資額以下での売却になることもありえます。
この場合、次の2つの対応が本筋です。
- 優先出資額以下で売却する
- 運用期間を延長する

うげっ!
いずれの場合も投資家にとっては「うげっ!」ですよね。
自社買取で投資家の被害を回避する
そこで3つ目の対応として出てくるのが自社買取です。
例えば、ジョイントアルファの案件で物件が売却できない。
そこで、運営会社の穴吹興産が優先出資額以上で物件を買い取る。
そして、その代金で投資家に元本を償還するということです。
自社買取で投資家の被害を回避することができます。

そんなことして良いの?
不当な行為ではない
自社買取は運用の最終段階での売却に準ずるものであり、不当な行為ではありません。
各社の成立前書面で次のように規定されています。
対象不動産等の売却等(売却し、または本事業者の固有財産とし、もしくは他の不動産特定共同事業契約に係る財産とする行為をいいます。)を相当と判断するときは(以下略)
被害回避が目的かは別として、自社買取は過去に複数の業者で実際に行われています。

被害回避の奥の手があるわけだ。
自社買取には現金が必要
この自社買取、帳簿上ではなんとでも処理できるのでしょうが。
投資家に元本を償還するには現金が必要です。
もちろん、手形とか株式とか現金化できるものでもOKですが。
とにかく、投資家に渡す日本銀行券をすぐに用意できることが自社買取の大前提です。
運用中残高は自社買取可能額内なのか?
そこで気になるのが、不動産クラファン各社の運用中残高が自社買取可能額内に収まっているか?です。

どういう意味?
実力以上に抱えていると心配
例えば、次のような状況の業者の場合、
- 用意できる現金等:1億円
- 運用中残高:100億円
全案件が一斉に売却不能で100億円が必要になるなんてことは非現実的です。
しかし、1億円しか用意できないのに100億円も抱えて、いざという時に自社買取で投資家の被害を回避できるのか、ちょっと心配になりますよね?

例が極端な気もするがw
余裕があると安心
逆に言うと、次のような業者ならば安心できます。
- 用意できる現金等:100億円
- 運用中残高:1億円
いざという時には自社買取で救済してもらえそうじゃないですか?
要は用意できる額と運用残高のバランスがどうなっているかです。
そこで、各社の運用中残高を調べてみました。
不動産クラファン各社の運用中残高
それでは、不動産クラファン各社の運用中残高を見ていきましょう。
冒頭に説明しましたが、運用中残高とは以下の案件の募集額の合計です。
- 募集中
- 募集終了後で運用開始前
- 運用中

それでは残高が多い順に発表です!
不動産クラファン各社の運用中残高の一覧
2022年1月7日現在の運用中残高は以下の通りです。
順 | 業者 | 運用中残高 |
---|---|---|
1 | CREAL | 61億1,493万円 |
2 | TECROWD | 11億610万円 |
3 | TSON FUNDING | 7億1,990万円 |
4 | property+ | 7億85万円 |
5 | Rimple | 6億5,338万円 |
6 | 大家どっとこむ | 6億99万円 |
7 | わかちあいファンド | 5億7,000万円 |
8 | victory fund | 4億1,500万円 |
9 | ASSECLI | 3億5,892万円 |
10 | 利回り不動産 | 3億3,604万円 |
11 | FANTAS funding | 2億4,376万円 |
12 | ジョイントアルファ | 2億1,600万円 |
13 | 信長ファンディング | 2億1,494万円 |
14 | FUNDROP | 1億6,700万円 |
15 | TREC FUNDING | 1億6,240万円 |
16 | B-Den | 1億円 |
17 | iRD | 9,290万円 |
18 | ちょこっと不動産 | 8,462万円 |
19 | DAIMLAR FUND | 5,410万円 |
20 | みんなの年金 | 4,930万円 |
21 | えんfunding | 4,568万円 |
22 | CROWD BUILDS | 3,805万円 |
23 | PARTNERS Funding | 3,570万円 |
24 | GATES FUNDING | 2,682万円 |
25 | プレファン | 2,541万円 |
問題ないと思われる業者
上位の業者の内、以下の業者はおそらく問題ないと思います。
現預金を目安に考えてみる
何を目安に各社の自社買取可能額の多寡を判断するか?
この記事では貸借対照表の「現金及び預金(以下、現預金)」とします。
財務はまったく不勉強で、現預金をサクッと自社買取に使えるのか分からないのですが。
一つの目安ってことでご勘弁ください。

知識不足で申し訳ない!
TSON FUNDING
前期末決算で現預金は5億7千万円となっています。
運用中の全案件7億円が一度にドカン!とならない限り大丈夫ではないでしょうか?
property+
運営会社リビングコーポレーションの現預金が41億円です。
なによりバックに飯田グループホールディングスがついていますので。
Rimple
こちらも直近で現預金が62億円あります。
17期連続増収増益のプロパティエージェントなので大丈夫(のハズ)。
大家どっとこむ
親会社のミライノベートが現預金71億円です。
さらにJトラストが950億円。
わかちあいファンド
ここは売却を前提としていません。
10年くらい所有するつもりで、その権利を1年単位で投資家に販売しています。
1年経ったら再募集の繰り返しで、よほど売却益が見込めない限り売却は最初からシナリオに入れていないので問題なし。
victory fund
4億1,500万円の内の2億7,500万円が第1号の浅草案件です。
漏れ伝わってくる情報によると予定通り進んでいるようで、無事に終了できるのではないでしょうか?
2月末までに運用期間延長の連絡が来なければ無事終了ほぼ確定です。
ASSECLI
3億5千万円の内、1億5千万円が市川の1棟アパートです。
この1案件さえ無事終了できれば、あとは数千万円の案件だけですので。
FANTAS funding
FANTASは150案件以上を募集してきてこれまで無事故です。
しかも、ほとんどの案件で事前の物件評価額と実際の売却価格との乖離が2%以内と精度が高いです。
なので2億4千万円残っていてもまったく心配していません。
その他
以下、面倒なのでまとめますが。笑
ジョイント、信長、TREC、B-Denの上場組は問題なし。
iRDとちょこっとは現預金が20億円以上あります。

大丈夫そうね。
CREALは大丈夫か?
さて、どうしても気になるのがCREALです。
Q Stayが売却できなかった
決してCREALをディスるわけでも不安を掻き立てるわけでもありません。
ただ、61億円と突出して多いだけに、心配するなという方が無理な話です。
また、Q Stay and lounge上野(4億6,500万円)が売却できず、上野オフィスプロジェクトに形を変えて再募集となったこともあります。
億円単位の案件を終了させた実績もある
その一方で、アマネク浅草(8億8千万円)、SOLA沖縄(8億3,800万円)など、億円単位の13案件を無事に運用終了させた実績もあります。
以前は大型案件は運用期間12カ月が大半だったのに、昨夏以降はすべて18カ月になっている点も注目です。
もしかしたら、万が一を考えて運用期間に6カ月の余裕を持たせているのかもしれません。

実は12カ月のつもりってことか。
無事終了することを祈ります
僕が筋金入りの小心者なので、過度に心配し過ぎなのでしょうが。
CREALはTATERU Fundingの退場、RENOSYの長期冬眠のあと、不動産クラファンを引っ張ってきた最大手ですので。
61億円と大きな金額ですが、すべて無事に運用終了させてくれることを祈っています。

期待しています!
コメント
いつも参考になる記事ありがとうございます。
CREALは劣後も5%で、他のサイトでも心配される声がありますね…
不動産クラファンの老舗なので無事を祈りたいですが、祈る時点で投資対象として難しいのかな…色々考えさせられましたm(_ _)m
こんにちは~
FANTASとともに不動産クラファンを盛り上げた立役者ですからね。
これまでの実績があるから大丈夫だと思っていますが。
ぜひがんばってほしいです。