TOMOTAQUを運営するイーダブルジーがプレスリリース(というか記事)を出しました。
内容を一言で言うと、手軽さにおいてポイ活と不動産クラファンを同列に扱うものです。
これは不動産クラファン投資家として看過できません。
問題点を指摘します。

ちょっと言わせてもらいたい!
タップできる目次
不動産クラファンはお手軽ノーリスクのポイ活と同じではない
まず、プレスリリース(以下、当該記事)の内容を紹介します。
MONEY ZONEに掲載
当該記事は1月13日に金融情報メディアのMONEY ZONEに掲載された「副業ポイ活」感覚で不動産小口投資を始める人が増えている3つの理由です。

ここで言う「不動産小口投資」とは、TOMOTAQUを含む不動産投資型クラウドファンディングのことでしょう。
つまり「ポイ活感覚で不動産クラファンを始める人が増えている」というものです。

いやいやいや…
以下、当該記事の問題点を指摘します。
ポイ活と不動産クラファンは違う
当該記事は冒頭で次のように主張しています。
不動産投資と聞くと、投資に縁遠い人からすれば重厚な響きである。しかし、ポイ活と聞けば親しみやすいのではないだろうか。現在、ポイ活をするように手軽でおトク感のある不動産小口投資が注目を集め、市場が拡大している。
要は「不動産クラファンはポイ活と同じように手軽だよ」と訴求したいのでしょう。
しかし、不動産クラファンは知識やリテラシー、投資判断が必要でリスクもあります。
一方のポイ活は特別な知識は不要でリスクもほぼゼロです。
知識、リテラシー | リスク | |
---|---|---|
不動産クラファン | 必要 | 有 |
ポイ活 | 不要 | ほぼゼロ |
リスクがある不動産クラファンをノーリスクのポイ活になぞらえるのはおかしいです。

不動産クラファンは元本毀損の可能性もあるのにね。
不動産クラファンは手間ゼロではない
当該記事は次に不動産クラファンは物件取得、管理、売却などは業者に丸投げで手間いらずと指摘します。
これは正しいです。
業者の言い分丸呑みはおかしい
しかしその後で次のように論じます。
収益不動産の運用は事業者が全て行うので、申込と契約が完了すれば、配当日に入金されるのを待つだけだ。
(中略)不動産小口投資の場合は専門家が綿密に調査を行い(中略)物件情報をオープンにしてから出資を募るので、安心して出資ができる。
物件情報をオープンにしている以上(中略)出資者に明らかに不利な契約が成される可能性は限りなく低くなる。
さらに、
元本を損なわずに収益を出すには、その物件の賃貸需要や出口戦略の策定が重要だ。(中略)
そのシミュレーションは、不動産投資に精通した(中略)専門家が行うので、配当額や運用期間に納得さえすれば、安定した資産運用ができる。
これって要は「業者の言い分を丸呑みする」ってことです。
業者がちゃんとやっているから、利回りと運用期間だけ見て投資すればOKと言わんばかりではないでしょうか?
いや、業者を疑うということではありません。
そうではなく、投資判断の結果責任は投資家が負うのに、業者の言い分を丸呑みで良いはずがないってことです。
不動産クラファンの手間いらずは入金後の話
業者として不動産クラファンの手軽さを訴求したいのは分かります。
しかし、不動産クラファンが手間いらずなのは入金した後の話です。
応募前は(素人は素人なりに)案件を精査、検討し、投資判断をする必要があります。
その部分まで業者に丸投げで利回りと運用期間だけ見て応募というのは、投資として絶対におかしいです。

それは投資じゃなくバクチです!
手軽さだけの訴求はアンフェア
不動産クラファンは投資なのでリスクがあります。
そのリスクを避けるには応募前の手間ひまが不可欠です。
にもかかわらず、リスクには触れずに手軽さだけを訴求するのはアンフェアであり、消費者に誤解を与えかねません。

ノーリスクのポイ活とは違う。
「不動産クラファン=ポイ活」は一線を超えている
今回のプレスリリースは超えてはいけない一線を超えていると思います。
不動産クラファンをポイ活になぞらえるのはおかしい
商売ですから手軽さを訴求したいのはもちろん分かります。
もしかしたら、自社のことだけではなく不動産クラファン業界全体を活性化したい気持ちもあったのかもしれません。
しかし、不動産クラファンは不動産投資であり、知識や投資判断が必要でリスクがあります。
知識不要、判断不要、ノーリスクのポイ活になぞらえるのは、やはりおかしいです。
「不動産クラファン=ポイ活」は行き過ぎ
僕みたいないかがわしい野良ブロガーが偉そうなことを言って恐縮ですが。
どんな商売にも職業倫理というものがあります。
我々が扱っている不動産クラファンは金融商品であり、歯ブラシや消しゴムとは超えてはいけない一線が違います。
「不動産クラファン=ポイ活」はその一線を超えていると僕は思います。
このような訴求の仕方が二度と現れないことを願います。

堅いことを言ってすんません!
コメント
有益な内容をいつもありがとうございます。
ポイ活と不動産クラファンを同列に並べることには、私も違和感を覚えます。
ただ、こういった形で記事化して頂かなければ、私などはサラリと流してしまったかもしれません。
今後も独自の視点での記事をお待ちしております。
こんにちは~
もちろん書いた方にそんな意図はないのでしょうが。
「不動産クラファンはポイ活並みに手軽でノーリスク」と誤解する人が出かねませんからね。
僕が一番恐れているのは、大きな問題が起きて行政が規制に動くことです。
行政主導になると業者にとっても投資家にとっても使いづらいサービスになってしまいますから。
そうならないために投資家の立場で声を上げていきたいと思います。
タロウさん、こんばんは。
匿名様のご意見も踏まえてですが、行政側の思惑と事業者側の思惑にズレが生じてるような気がしますね。
「空き家の利活用」や「金融機関融資がつきにくい不動産の再生」が、当初行政側が実施した規制緩和の意図するところだったかと思いますが、事業者側としては匿名様のおっしゃるようなスタンスに。。。
われわれ投資家サイドにもESG投資のようなポリシーと言いますか、1個商品の安全性ではなく、事業者のスタンスを加味した投資が必要なのかもしれないと感じました!
こんばんは~
そこは意見が分かれるところですね。
「行政側の思惑」でいくと全然儲からないですから。笑
空き家利活用でそこそこ案件出せてるのってハロリノだけでしょ?
やっぱり投資家、事業者ともにゼニにならないとマーケットは大きくならないですよ。
ESG投資だって今は盛り上がってるけど、EUが原子力と天然ガスをクリーンエネルギーに指定したように、いつちゃぶ台返しが来るか分からない。
いま経営者がみんなSDGsバッジ付けてるけど、1年後は誰も付けてないですよ。苦笑
みんな最後は銭勘定が導くところに行き着くんじゃないかな?
なので行政が作った制度は都合良く使わせていただいて。
投資家、事業者ともに儲かって利益を出せる落とし所を探る。
広告だったらここまではギリギリOKじゃね?みたいな。
そのラインを行政が口出す前に模索できればと思います。
空き家の利活用じゃ激烈クリック合戦になるような少額案件しか出せないですからね。笑
個人的にはクラファン各社が載せている定期預金との利息の比較が引っ掛かります…
リスクも商品性も違い過ぎます。
こんにちは~
なるほどなるほど。
預金保険制度のようなものがないことも説明した上で、リスクテイクして高利回りを取りにいこうというならOKだとは思いますけどね。
もう一つ問題なのは、定期預金との比較を見て「預金並みのローリスクでハイリターンを取れる」と思う人がいることです。
なのでやっぱり僕は金融教育を義務教育に導入派です。
社会に出て困らないような知識を授けるのが義務教育ですから。