WhichAirlineは中央ヨーロッパのチェコ共和国ブルノ市に本社がある格安チケット検索サイトです。ブルノ市は植物学者のメンデルや女子プロテニス選手のノボトナの出身地として知られています。
WhichAirlineはチェコ人のウェブ開発者であったLukas NevosadとBarbora Nevosadが設立したtwo bits s.r.o.という旅行系IT企業で2008年に開発されました。当初はFlyLowCostAirlinesというブランド名でしたが2010年に現在のWhichAirlineにリブランドされました。
2014年1月に同業のSkypickerに買収され、また、2014年11月からは同じ格安チケット検索サイトであるSkyscannerと業務提携を結び、検索システムをSkyscannerのものに統合しています。
WhichAirlineはExpediaやcheapOairのような格安チケット予約サイトとは異なりチケットの販売は行いません。例えば「5月20日出発の東京→上海」のように指定するとExpediaなどの予約サイトはその内容で一番安いチケットを表示して販売します。これに対してWhichAirlineはその内容で一番安いチケットを売っている予約サイトを探してくるだけです。
つまり、人間が予約サイトを一つ一つ調べて一番安いサイトを見つける代わりに、WhichAirlineがいろんな予約サイトを調べて一番安いサイトを探してくれるということです。ですのでWhichAirlineはチケット予約サイトではなくmomondoなどと同じメタサーチ型チケット検索サイトです。
WhichAirlineはとにかく安いです。レガシーキャリアしかない路線ではそこまで強くはないのですが、数多くのLCCに対応しているためLCCが就航している路線では確実に安い価格を出します。格安チケットサイトで最強と呼ばれることが多いmomondoよりも安い価格を出すこともしばしばです。また、上述の通りSkyscannerと同じシステムを使っていますがマイナーな路線ではSkyscannerよりも安くなります。
WhichAirlineが特に強さを発揮するのは地方都市を出発地とするチケットです。例えば東京→マニラのようなLCCが就航していてなおかつメジャーな路線では、momondoやSkyscannerと同じようにセブパシフィックの直行便を使いますので価格差は出ません。むしろ数ドル差で負けることのほうが多いです。ところが、例えば、札幌→マニラのようなLCCの直行便がない地方都市を出発地とする場合、momondoなどはレガシーキャリアで東京経由とか、レガシーでバンコクまで行ってそこからセブパシフィックかエアアジアでマニラというチケットの組み合わせをします。
これに対してWhichAirlineはピーチアビエーションで大阪まで行き、そこからセブパシフィックでマニラといった組み合わせをします。WhichAirlineはこの日本国内をLCCで移動してから国際線に乗り継ぐという組み合わせができる数少ないチケット検索サイトです。この点でWhichAirlineはピーチやジェットスターなどLCCが就航している日本の地方都市在住者が必ずチェックすべきチケットサイトと言えます。
ユーザーインターフェイスは検索結果が横長の帯グラフのような形で表示される独特なもので、価格と所要時間、乗り継ぎ空港などが一目で分かるようになっています。このような表示形式を採用しているのは他にはhipmunkくらいで非常に珍しいです。
サイトに表示される価格は税金、燃油サーチャージなどを含めた総額です。問い合わせ対応は英語のみとなっています。
WhichAirlineで格安チケットを予約する際の画面の操作方法について説明します。
WhichAirlineの操作画面は非常にシンプルで最小限の入力項目に絞ってあります。
まず最初に出発地、目的地、出発日、帰国日を入力します。片道、往復の選択ボタンはありません。出発日だけを入力すると自動的に片道扱いになります。入力が済んだら「SEARCH FLIGHTS」を押して検索結果画面に移動します。
検索結果画面は非常にユニークなユーザーインターフェイスです。帯グラフの長さが所要時間を表し、直行便なのか経由便なのか、乗り継ぎ空港での待ち時間がどれくらいなのかが直感的に分かるようになっています。非常に優れたユーザーインターフェイスです。
画面の例で言うと、一番上がベトナム航空の直行便で午後4時35分出発、8時10分到着、チケット価格が500ドルです。上から2つ目は大韓航空でソウルインチョン空港(ICN)で乗り換え、3つ目も大韓航空でソウル金浦空港(GMP)からインチョン空港に移動して乗換えということです。
しかし大きな問題があります。それは最初に表示される順番が価格順ではなく「おすすめ順」であることです。価格や所要時間などからWhichAirlineが総合的に判断したおすすめ順とのことですが、はっきり言って大きなお世話です。何をもっておすすめとするかは利用者が考えることです。
PC版は右上の「Price」の横にある矢印をクリックすることで価格順に並べることができます。ところがスマホ版ではおすすめ順か所要時間順に並び替えることができるだけで、価格順に並び替えることはできません。これは格安チケット検索サイトとして致命的問題を通り越して明らかな欠陥品です。使い物になりません。WhichAirlineはPC版で利用することをおすすめします。
最初の画面で表示されるのは往路のフライトだけです。ここで価格の赤いボタンをクリックすると次の画面で乗り継ぎ空港での待ち時間などの詳細情報が表示されます。
そしてその画面の下に復路の候補が表示されます。どれを選ぶかによってチケット価格が変わります。
復路の価格の赤いボタンをクリックするとその便の詳細情報が表示されます。
他の便を見たい場合は「UNSELECT」ボタンを押すと一つ前の画面に戻ります。その便で決定であれば「GO TO TRRAVEL AGENT」を押して支払画面に移動します。このとき「other booking options」を押すとそのチケットを販売する他の予約サイトも表示され、その中から自分の好きなサイトを選ぶこともできます。ただし、サイトによってチケット価格は違います。
「GO TO TRRAVEL AGENT」を押してしばらくすると選択したチケットを販売する予約サイトに移動します。チケットの購入は移動先の予約サイトで行います。購入手続きの仕方、画面の操作方法は各サイトによって異なります。このサイトのトップページから各サイトの紹介ページを参照してください。
WhichAirlineは購入したチケットの変更、キャンセル、問合せには一切対応しません。対応のしようがないといったほうが正しいでしょう。なぜならば、上で説明した通りWhichAirlineはチケットを販売していないからです。上の例で言うとサイト利用者はWhichAirlineに「東京-ハノイのチケットはどの予約サイトが安い?」と質問し、それに対してWhichAirlineは「travel2beというサイトが安いですよ」と教えてくれ、サイト利用者はtravel2beサイトに移動してチケットを購入しました。
つまり、WhichAirlineはtravel2beが安いよと教えてくれただけで、チケットの販売はしていません。チケットの販売をしたのはtravel2beです。それなのに自分が販売したわけでもないチケットの変更やキャンセルについてどうのこうの言われても困る。購入したtravel2beに直接言ってください、ということです。
また、WhichAirlineが扱う予約サイトは格安系のサイトばかりです。こういった予約サイトは変更、キャンセルに一切応じていなかったり、その手数料が非常に高額であるのが普通です。またその多くが問合せは英語のみで日本語には対応していません。安さだけで安易に飛びつかず、何かあった時に自分で対処できるかよく考えてから購入しましょう。
WhichAirlineで調べた東京発主要路線往復の最安値の推移です。調査方法、表の見方については「価格調査の概要」をご参照ください。WhichAirlineについては4月度調査結果から掲載します。