hipmunkはカリフォルニア州サンフランシスコに本社を置く格安チケット予約サイトを検索するサイトです。Adam GoldsteinとSteve Huffmanが2010年に創業しました。
Adam Goldsteinは1988生まれで、14歳でソフトウェア会社を設立、16歳でプログラム関係の本を出版するなど早くから才能を発揮してきました。マサチューセッツ工科大学(MIT)に入学後の2007年に旅行予約サイトのBooktour.com(2010年に廃業)の創業に技術面で参加しました。そしてMIT卒業直後の2010年に22歳でHipmunkを創業しました。
Steve HuffmanはAdam Goldsteinよりも5歳年上の1983年生まれです。バージニア大学のクラスメートであったAlexis Ohanianとともに2005年にオンラインコミュニティサイトredditで起業しました。その際に出資を受けたアメリカの投資ファンドY Combinatorからは、のちにhipmunkを創業する際にも出資を受けています。
hipmunkはExpediaやTravelocityのような一般的なチケット予約サイトとは異なるタイプのチケットサイトです。Expediaなどが航空券を直接販売するオンライン旅行代理店であるのに対して、hipmunkは航空券の販売は行いません。複数のチケット予約サイトの中から安いサイトを探してくるメタサーチ型のチケットサイトです。
例えば「東京-上海往復、4月1日出発5日帰国」のようにhipmunkで指定して検索すると、そのチケットを一番安く売っているのはebookersで、二番目はOrbitzで、三番目はcheapOairのように安い予約サイトを探してくる、ここまでがhipmunkがやることです。そして実際のチケット購入は自分が選択した予約サイトで行い、その予約サイトからhipmunkに紹介料が支払われるという商いをしています。
hipmunkのチケット価格ですが大して安くありません。チケット予約サイト各社の平均値よりやや高いと言えます。LCC(格安航空会社)のチケットの多くに対応していないため、特にLCCが運行している路線では安値が出ませんし、非LCC路線でもeDreamsのような激安系には言うまでもなく、OneTravelのような中堅予約サイトにも負けることが多いです。
hipmunkはSkyscannerやBookingBuddyなど他のメタサーチ系チケットサイトに対して操作性や機能で特長を打ち出すとしています。しかしこれは好みが分かれるでしょう。例えばhipmunkが最大の売りとしている、値段、所要時間、乗り換え回数から総合的にチケットを評価する「agony機能」は、単純に安値だけを知りたいという利用者には迷惑な機能です。
また、フライトの時間帯が視覚的に分かる画面構成にしていますが、逆にそうしたことによって表示できる情報量が減ったため、発着時刻などを知るためにいちいち詳細画面を開かなければならないといったデメリットも出ています。
その一方で複数の検索結果を同時並行で見ることができる検索結果の保存機能は他の予約サイトにはない非常に便利な機能です。使う人の好みによって評価は異なるでしょうが、トータルで見た場合には平均的な予約サイトに比べて操作性の悪さが若干上回るような印象を受けます。
なお、サイトに表示される価格は税金、燃油サーチャージなどを含めた総額です。電話対応は英語のみとなっていますが、hipmunkは予約サイトを紹介する検索サイトであり販売は行っていないため、チケットの変更やキャンセルなどには対応しません。
hipmunkで格安チケットを予約する際の画面の操作方法について説明します。
まず最初に片道(One-way)、往復(Roundtrip)、複数区間(Multi-city)を選択します。PC版ではPricegraphという項目があり、これを選択するとこの先90日間の最安値の値動きを画像のようにグラフ表示させることができるのですが、アメリカ発着便以外ではエラーになることが多いです。
次に出発地、目的地、出発日、帰国日を入力し、「Search」ボタンを押して検索をスタートさせます。PC版では日付の下にExpediaなど5つの予約サイトがリストアップされており、これらにチェックを入れるとその予約サイトで検索した場合の結果を別ウインドウで表示させることができます。
しばらくすると検索結果が表示されます。注意して欲しいのはこの検索結果は単純に安い順に並んでいるのではないことです。hipmunkには「agony」という機能があり、価格、所要時間、乗り換え回数から各チケットを点数付けします。検索結果ではまずこのagony順で表示するようになっているのです。
画面の例で言うと最安値が317ドルで次が340ドルになっていますが、実はこの画面のさらに下の方を見ると335ドルのチケットがあります。ところが、このチケットでは途中で1回乗り継ぎがあるため、直行便である340ドルのチケットの方が評価が高いとして上位表示されているのです。これを価格順に並び替えるためには、PC版では上の方にある「Price」ボタン(スマホ版では「Sort」をタップして表示)を押してやる必要があります。
hipmunkはこのagony機能を自社の特長として推していますが、はっきり言って大きなお世話です。価格、所要時間、乗り継ぎ回数のどこに重点を置くか、どれくらいの比率で重点を置くかは人によって異なります。それをMIT卒の天才だかなんだか知りませんが、コンピュータ仕掛けで決めていただかなくてもけっこう。毎回いちいち並び替えなければならないので面倒です。
検索結果の画面では横軸が時間になっており、フライトの時間帯が視覚的に分かるようになっています。フライトを示す色を塗った帯の間にある色の付いていない部分は乗り継ぎ空港での滞在時間帯です。これがないのは直行便です。
各フライトにオンマウス(スマホ版では「Details」をタップ)すると発着時刻、所要時間、搭乗便名、使用機材などが表示されます。また、hipmunkではまず行きのフライトだけが表示されます。このため、PC版では選択可能な帰りのフライトの飛行時間帯も表示されます。
さらに、PC版では上の方にある「Filter」周辺のボタン、スマホ版では「Filter」をタップすると、航空会社や乗り継ぎ回数などで検索結果を絞り込むことができます。
行きの便を選択(クリックまたはタップ)すると、帰りの便を選択する画面に移動します。
移動した画面で帰りの便を選択します。どの便を選ぶかによって値段が変わります。画面の例では一つ前の画面では最安値として317ドルで表示されていましたが、317ドルで購入できる帰りの便の選択肢は一つだけで、それ以外を選ぶとすべて値段が上がります。
選択したいフライトの「Book」ボタンの右の三角マーク(スマホ版ではフライトの画面)を押すと、そのチケットを販売する予約サイトとその価格が表示されます。
そして購入したい予約サイト名(スマホ版では「Select」ボタン)を押すとそれぞれの予約サイトに移動し、そのサイトで購入手続きを行います。移動先のサイトでの予約方法、予約画面の操作方法については、このサイトのトップページから各サイトの紹介ページを参照してください。
hipmunkには非常に便利な機能が一つあります。それは検索結果の保存機能です。チケットを探すときに、東京-上海の4月20日出発と26日出発で迷ってて両方検索するとか、上海から入るか北京から入るかで迷ってて東京-上海と東京-北京の両方を検索するなど、複数の検索を並行して行うというシーンがよくあると思います。
その際に普通はメモを取ったり何度も検索しなおしたりするのですが、hipmunkでは画面の上部に過去の検索項目が表示され(スマホ版ではメニューボタンを押して表示)、それを押すと検索結果が瞬時に表示されるのです。メモを取ったり検索しなおしたりしなくて良いので極めて便利です。
hipmunkを使って購入したチケットについて注意点が一つあります。それはチケットの変更、キャンセルです。このページの上の方で説明したように、hipmunkはチケットの販売は行いません。ExpediaやTravelocityのようなチケット予約サイトの価格を検索し表示するだけであり、実際の購入は各予約サイトで行います。このため、購入したチケットの変更、キャンセルなどについてhipmunkは一切関与しません。
例えて言うと、ショッピングセンターの総合案内所で時計を売っている店を聞いて、案内所の人がテナントの電器店の時計売場と時計の専門店を紹介してくれて、電器店に行って買ったとします。買った時計が壊れていた時に、修理や交換をしてもらいに行くのは案内所ではなく電器店ですよね。
hipmunkはこの例の総合案内所に当たり、電器店や時計の専門店がExpediaやTravelocityに当たります。hipmunkはお店を紹介してくれただけで、チケットを買ったのはExpediaやTravelocityなのですから、そのチケットの変更やキャンセルについてhipmunkにあれこれ言われても困るということです。
hipmunkは各予約サイトごとのチケット価格を案内しているだけです。販売はしていません。ですので、購入したチケットには一切関与しません。購入したチケットの変更やキャンセルを頼む先はhipmunkではなく、購入した予約サイトです。
hipmunkで調べた東京発主要路線往復の最安値の推移です。調査方法、表の見方については「価格調査の概要」をご参照ください。(※順位低迷のため調査対象から除外しました。)