上海のパクリ大江戸温泉物語の件。
中国側が反論しています。
何を見苦しいと思うのですが。
上海大江戸は悪くない!
今回の件では中国人のほとんどが、上海大江戸はパクリだと見ています。
身内からも見捨てられ、恥をかかせるなと逆にたたかれています。
ですが、ごくわずかながら擁護論もあります。
中国ネット最大手、百度への書き込みです。
>gopippoさん
(大江戸の名称使用権は)第三者から買ってきたものだ。
上海大江戸は実はまったくの無実だ。
どういうことでしょうか?
日本大江戸と上海大江戸との間にもう1社ある
gopippoさんは4枚の資料を提示しました。
これを見ると、今回の事件に3つの会社が関係していることが分かります。
図で示すと次のような関係です。
上海大江戸を運営しているのは、上海雲湯淋浴有限公司(以下、上海B)です。
日本大江戸は、上海江泉酒店管理有限公司(以下、上海A)に大江戸のブランド使用権を授与しました。(と、中国サイドは主張)
そして、上海Aはさらに上海Bにブランド使用権を授与している、ということです。
上海大江戸は中国企業に騙されたのか?
大江戸温泉物語のブランド使用権が、日本大江戸→上海A→上海Bと流れた。
そして上海Aから使用権を得た上海Bが上海大江戸を運営している。
gopippoさんは、上海Aが不正なことをしており、騙された上海Bに罪はない、と言ってるのだと思います。
本当にそうなのか?
gopippoさんが示した4枚の資料を見ていきます。
上海雲湯淋浴有限公司(上海B)の声明文
上海大江戸を運営する上海Bは、パクリ疑惑を受けて声明を発表しました。
かいつまんで訳すと以下の通りです。
2015年11月1日に日本大江戸と上海Aは業務提携を結んだ。
あわせて「公認証明書」を作成し、上海Aが中国国内における唯一の日本大江戸の提携パートナーとなった。
これにより上海Aは、大江戸温泉物語の経営技術、商標やロゴの使用権を得た。
さらに、上海Aが独自に加盟権を与える権利を得た。
契約期間は2015年11月1日から2018年10月31日までである。
上海Aが商標などの使用権を日本大江戸から得た。
さらに、上海Aが中国で商標などが使用できる加盟店を、独自に契約する権利を得た。
上海Aが上海Bのような孫請けを、独自に作る権利を得ているという主張です。
さらに続きます。
2016年3月1日に、上海Aは当社(上海B)と加盟契約を結び、大江戸温泉物語の商標などの使用と、同店の営業を許可した。
契約期間は2016年3月1日から2018年10月31日までである。
大江戸ブランドの中国での独占使用権を持つ上海Aから、上海Bは商標の使用と営業の許可を得たという趣旨です。
当社(上海B)は合法的なブランド使用権を得た上で、開業の準備を始めた。
その過程で、デザインや技術、営業準備、人材育成などで日本大江戸の協力を受け、12名の従業員を東京お台場店での研修に派遣した。
勝手にやったのではなく、許可を得た上でスタートしている。
準備段階では日本大江戸の協力も得ている、としています。
日本大江戸のホームページで、当社(上海B)の大江戸ブランド使用などへの疑義が示された。
このことについて当社はすでに上海Aに対し、日本大江戸とただちに協議し、不当な内容の主張を取り下げ、当社の名誉を回復するように求めた。
上海Bは日本大江戸と直接の契約関係にありません。
このため、上海Aに対して善処を要求しています。
真っ向から潔白を主張しています。
大江戸温泉物語の公認証明書
上海Bの主張の裏付けとなる資料を見ていきます。
まずは、元請けの上海Aが日本大江戸との間で交わしたとされる公認証明書です。
日本語の部分を以下にそのまま転記します。
大江戸温泉物語株式会社(日本)は、上海江泉酒店管理有限公司(中国)を香港とマカオを含む中国国内における温浴事業における唯一の公認ビジネスパートナーであることを証明する。
かつ、両者の戦略的業務提携契約に基づく「大江戸温泉物語」の経営技術資産(ブランド名、商標、標識LOGO)を中国国内において使用できる唯一の公認ビジネスパートナーであることを証明する。
使用期間:2015年11月1日~2018年10月31日
この公認証明書はニセモノだ
あくまでも僕の見立てですが、これはニセモノです。
中国人が書いたか、中国語版が先にあって、それを日本人が訳したかです。
第一に、会社名のあとに(日本)みたいに付けるのは中国の慣習です。
第二に、「温浴事業」と書いていますが、日本大江戸の会社概要で事業内容は「温浴施設運営」とされています。
日本側がこの文書を作ったのであれば、温浴施設運営と書くのが自然です。
第三に、第二段落冒頭の「かつ」です。
中国語の「而且」のつもりで「かつ」と訳したのでしょうが、日本語として不自然ですよね。
第四に、「標識LOGO」という表現です。
普通の日本人はこんな表現使わんよね。笑
第五に、句読点が極端に少ない。不自然過ぎる。
第六に、最後の「使用期間」です。
この内容ならば「契約期間」とするのが普通ではないでしょうか。
第七に、この書類の発行日がありません。
日本でこの手の文書に日付がないことはありえないです。
日本大江戸はこの公認証明書を否定
この資料が出たことを受けて、日本大江戸は即座にこれを否定しています。
押されている印鑑が同社のものではないそうです。笑
これ、上海Aが日本大江戸との提携を捏造したのではないでしょうか?
上海Aから上海Bへの授権書
次は日本大江戸から商標使用権を受けた上海Aが、上海Bに対して使用権を授与したとする資料です。
上海Aは上海Bを、上海市の指定地域における温泉事業の加盟パートナーとして認める。
両社は戦略的協力提携に基づき、上海Bは大江戸温泉物語のブランドを使用し、パートナーとして公認されるものであることを証明する。
授権期間:2016年3月1日~2018年10月31日
授権経営住所:上海市宝山区場中路4066、4068号
これで、日本大江戸→上海A→上海Bへと権利が流れることが、契約的には成り立っていることになります。
上海江泉酒店有限公司(上海A)の声明文
事件を受けて上海Aも声明文を出しています。
第一段落と第二段落は上海Bのものと内容はまったく同じです。
日本大江戸と上海Aが、商標の使用権について提携した。
上海Aは上海Bに対して、使用権を授与した。
そして第三段落で、上記内容について誤りはないとしています。
おそらく今回の事件が起きて上海Bから、うちが言ってることが間違いないとはっきり示せ、と求められたのでしょう。
上海大江戸温泉物語事件の経緯
以上、4つの資料から事件の経緯をまとめます。
- 2015年11月1日:日本大江戸と上海Aが提携
- 2016年3月1日:上海Aが上海Bに商標使用権を授与
- 2016年12月21日:パクリ疑惑が発覚
- 2016年12月23日:上海Bが声明を発表
- 2016年12月23日:上海Aも声明を発表
上海Aは明らかにクロです。
上海Bは上海Aに騙されたのでしょうか?
それとも、グルなのでしょうか?
大江戸温泉物語は中国に進出しよう
ここで大胆な提案をしてみます。
日本大江戸は中国に進出してはどうでしょうか?
今回の事件で分かったことがいくつかあります。
- 大江戸温泉物語の中国での知名度が高い
- 訪日客を中心に、利用して満足した人もけっこういる
- 大江戸の進出を期待している人も多い
- 進出済みの極楽湯の評判も非常に高い
- 今回の件で日本大江戸を疑っている人はほとんどいない
- 日本大江戸は被害者扱い
- 上海大江戸の利用者の評価はそこまで低くない
- 日本大江戸や極楽湯の利用者からは評価が低い
日本の温泉施設への評価が高い。出店が期待されている。
日本大江戸のイメージは今回の件でアップした。
どう見てもチャンスですよね?
上海Bと提携してみては?
いっそのこと、上海Bと提携するのも選択肢です。
上海Bはハードを作るノウハウを持っているし、資金もある。
なにより、上海市政府からの許認可を得ている。これが大きい。
今からスタートして許認可を取ろうと思ったらどんだけ大変か。
上海Bと提携するか、会社と施設を買い取ってしまうか。
このまま上海Bを利用せずに、閉鎖、廃業にするのはもったいないです。
日本大江戸、中国進出のチャンス!
日本ではたしかに大手の、大江戸温泉物語です。
しかし、これから人口も減少し、所得も下がり続けている日本です。
縮小するマーケットに頼っていると、いずれ行き詰まります。
今回の事件は大江戸に与えられたビッグなクリスマスプレゼント。
極楽湯に続いて、中国市場に進出するチャンスと捉えてほしいと思います。
今回の事件への中国人の反応
なお、今回の事件についての中国メディアの報道と中国人の反応については、こちらのブログにまとめました。
新民晩報という上海の新聞がていねいな取材をしています。
ネット民の反応も冷静で、実際に利用したお客さんの評価も興味深いです。
くまモンの無断使用に熊本県が抗議
また、このブログで紹介した通り、くまモンを勝手に使ってます。
熊本県がさっそく抗議しました。
これについての中国ネット民の反応もまとめました。
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