バレエ講師の指を切断した事件。
生徒だった被告が一方的に悪意を持ち、24歳の被害者女性の右手親指を切断。
女性は指の接合手術を受けたものの、障害は一生残るとのこと。
極めて身勝手で、残忍、悪質な事件でした。
事件の裁判が結審し、検察は被告に懲役6年を求刑しました。
これに対してネット上では「軽すぎる!」との声があふれています。
しかし、僕はそうは思わないのです。
何年ならば軽くない?
求刑や判決が出ると、軽すぎる!という批判が必ず出ます。
正直、ヒステリックな反応だと思います。
逆に聞きたいのです。
何年ならば妥当ですか?
死刑以外は軽いんでしょ?
こう問いかけると、軽すぎると批判する人は恐らく「え?」となると思います。
何年が妥当だという基準を持っていないはずだからです。
今回は求刑が6年で軽すぎる!と批判しています。
ですが恐らく、求刑が10年でも軽すぎると批判するのではないでしょうか?
傷害罪の法定刑上限の15年であっても、それを超えた30年であっても。
死刑にでもならない限り、軽すぎる!と騒ぐのではありませんか?
それはあまりにも感情的で、非論理的、バカ丸出しだと思うのです。
何年が妥当なのだろうか?
ちなみに僕は何年ならば妥当だと思うか?
分かりません。逃げてるのではなく、本当に分からないのです。
軽すぎると騒ぐ人たちを見て、今までは漠然と変だな?と思ってました。
しかし今回の事件をきっかけに、ちょっと真剣に考えてみました。
その結果、本当に分からなくなったのです。
よろしければ、みなさんも考えてみてください。
みんな15年は無理
上に書いたように、傷害罪の法定刑は最高で懲役15年です。
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。(刑法第204条)
上限が15年、ちなみに下限は1ヶ月です。
右手親指を切断された今回の事件、何年が妥当だと思いますか?
MAXの15年だ!はおかしいと思います。
だって、何でもかんでも15年だったら、腕1本切断された人が「なんで指1本で15年なのに、腕1本切られた俺が15年なんだ?!」ってなるでしょ?
だからやっぱり、被害の内容に応じて軽重を付けざるを得ないと思うのです。
量刑の上限と下限
では、指1本は何年が妥当なのか?
それを判断するためには、上限と下限の被害の内容、つまり基準を明確にする必要があります。
この時点でもう分からないんですよ。
1ヶ月に相当するのはどんな被害なんだろう?
MAXの15年はどんなひどい被害にすれば良いのだろう?
で、まるで分からないので、仮にこうしてみましょう。
- 15年…下半身不随
- 1ヶ月…骨折1ヶ所
指1本はどのあたりなのか?
これで罪を測る物差しができました。ようやく量刑できます。
物差しの左端が骨折1ヶ所、右端が下半身不随です。
さて、では指1本切断は物差しのどのあたりなのでしょうか?
分かります?
僕は分からないんですよ。真ん中なのか、もうちょっと左なのか、右なのか?
だから、検察の求刑6年が軽いか、重いか、まったく判断できないんです。
あなた、判断できますか?
感情で裁いてはいけない
裁判の量刑って、感情任せでやって良いものではありません。
何でもかんでも最高刑だ、無期懲役だ、死刑だ、って。
それじゃ法治国家じゃない。
明確な基準に則って、合理的かつ客観的に導き出されるべきです。
軽すぎる!とヒステリックに騒いでる方々は、もう少し論理的に考えるべきではないでしょうか?