高額所得者が子供を保育園に預けられないのはマズイと思う

非常にデリケートかつ、感情論になりやすい問題ですので。

なおかつ、今の日本は金持ち=悪人みたいに見られがちですし。

世論においては、弱者=強者が現実ですので。

いささか書くのがはばかれるテーマなのですが。

でも、非常に重要な事だと思いますので書きます。

高額所得者の保育園問題

保育園が全然足りていない問題。

マスコミ報道はシングルマザーや低所得者など、弱者の保育に偏りがちです。

しかし、高額所得者であるがゆえに保育園に入れない。

こういったケースも実際に少なからず起こっているようです。

(マスコミは営利目的の民間企業なので報じないのは当たり前。苦笑)

高額所得者の主張

これについての高額所得者の主張でよくあるのは次の様なものです。

多くの税金を払っているのに、なぜ納税額が少ない低所得者が受けられるサービスを受けることができないのか!

僕は高額所得者ではありません。(ってか、低額所得者です。笑)

でも、彼らの言い分はものすごくよく分かります。

中学高校から一生懸命勉強して、社会人になってからも努力を重ねた。

そして高収入を実現し、それに応じた多額の納税をしている。

なのに、(みんなとは言わないが)ろくに勉強せずに低所得になった。

なぜそんな人たちより行政サービスで不利に扱われるのか?

おっしゃる通りだと思います。

低所得者は高額所得者に感謝すべき

これに対して、金持ちは横暴だ!とか文句を言う人がいますが。

低所得で保育で優遇されている人たちは、高額所得者に感謝すべきです。

なぜならば、保育には多額の税金が投入されているからです。

確か園児1人あたり、年間100万円くらいだったと思います。

しかし、低所得の親たちは100万円も納税していません。

その分は高額所得者が納めた税金から補填されているのです。

高額所得者がいるから、安い保育料で預けられているのです。

そのことについては、低所得者は率直に感謝すべきだと思います。

保育園は福祉施設

ただそれはそれとして、納税額と保育園への入園は別の話です。

なぜならば、保育園は福祉施設だからです。

入園の優先度はあくまでも児童保育の観点から判断されます。

納税額を基準に判断されるのではありません。

個人的には高額所得者に対する逆差別の面もあり、納得はしてません。

ただ、福祉の観点も理解できます。

高級人材の損失

ではなぜ、高額所得者が子供を保育園に預けられないことが問題なのか?

一個人という狭い観点ではなく国全体で見て問題だと思うのです。

まず、高級人材の就業機会を奪うという社会的損失です。

例えば、外科医や産婦人科医は依然として不足しています。

特に産婦人科の女医さんは、女性の立場からも貴重な存在であるはずです。

もし、その女医さんが子供を預けられないからと病院を辞めたら?

産婦人科の女医が一人減る

実例は知らないので想像ですが、可能性として十分あり得ると思います。

というのが、一般論として高所得の女性は、夫もまた高所得だからです。

夫の収入だけで暮らしていけるから、病院は辞めて子育てに専念しよう。

あり得ない話ではないですよね。

こうして医療の現場から産婦人科の女医さんが一人いなくなる。

これって社会的に大きな損失だと思うのです。

高級人材喪失の影響は大きい

身も蓋もない言い方ですが、収入と人材価値は比例します。

スーパーのパートさんよりも、企業法務専門の弁護士の方が人材価値は上です。

パートさんが一人減っても、また雇って半年すればカバーできるようになります。

でも、ベテラン弁護士が抜けると億単位の損失が発生することもあります。

国際特許の訴訟で負けて、日本の先端技術が流出することだってあり得る。

パートさんが子供を預けられないのと、弁護士が子供を預けられないのとでは、社会に与える損失の規模が違うのです。

パートに価値がないとは言ってません

私に価値はないって言うの?キーッ!って反応をする方もいるでしょうが。

価値が無いとは言ってません。

僕は小売りで働いてましたので、パートさんの価値は十二分に分かってます。

パートを使う立場に立ったことがないパートさんより、数十倍分かってます。

感情を一切排除した現実論として、影響度に違いがあると言っているだけです。

優秀な女性が専業主婦を目指す可能性

2つ目の問題は高級人材を目指す女性が減る可能性です。

例えば、東大生の優秀な女子大生がいたとします。

もともとは大企業でバリバリ働こうを思っていた。

でも、兄夫婦の保活を見て高額所得者だと保育園に入りにくい現実を知った。

だったら、そこそこ働いて玉の輿を目指そうかな?と心変わりした。

あり得なくないですよね。

高級人材が産まない可能性

それどころか、産まないという選択をする可能性もあり得ます。

男社会の今の会社で必死にがんばってキャリアを積み上げてきた。

それにともなって収入も男どもに負けないくらいになった。

なのにそれがネックになって子供を保育園に預けられない可能性がある。

それがキャリアに影響する可能性がないとは言い切れない。

で、迷いに迷った結果、産まないという選択をする。

僕は男ですのであくまでも想像ですが、あり得なくないと思います。

女性の不幸は日本の損失

要は、収入が高いことが保活でネックになる可能性がある。

そのことを知って、能力があるのに能力を活かせる職に就かない。

キャリアをつなぐために産まない選択をする。

まず、その女性自身にとって不幸です。

そして同時に、優秀な女性が労働市場に出てこない、人口が減少する。

日本という社会にとっても、大きな損失なのです。

低所得者への悪影響

ここまでは、高額所得の女性にポイントを当てた議論でした。

ここからは、低所得の男女にモロに影響してくる問題です。

所得が低い方は、自分の将来の問題だと思って読んで下さい。

実は、高額所得者が子供を預けられないと、低所得者に悪影響が出ます。

高額所得者の受難なのに、低所得者にもダメージが及ぶのです。

富の再分配

最初の方で園児1人あたリ100万円の税金投入という話をしました。

それは主に高額所得者が納めた税金から回って来てるという話を。

これ自体は決して不当なことではありません。

たくさん持ってる人に多く納めてもらって、持ってない人に分け与える。

これが富の再分配で、社会の平等と安定を保っています。

低所得者は高額納税者に感謝すべきです。

感謝の気持ちを持った上で、しっかり再分配を受ければ良い。

富の再分配の成立条件

問題は再分配が成り立つには、絶対不可欠な条件が一つあることです。

それは、再分配できる税金を払ってくれる高額納税者の存在です。

税金を100万円払ってくれる人がいるから、1人の園児に100万円の税金を投入できるのです。

低所得者が安い保育料で預けられるのは、高額納税者がいてくれるからです。

なので、もしいなくなったら、安い保育料で預けられなくなります。

低所得者も不利益を被る

高額所得者=高額納税者がいなくなると富の再分配が成り立たなくなります。

高額所得者が一人仕事を辞めるたびに、国や自治体に入る税金は減ります。

その分、低所得者に再分配される税金も減ります。

もしあなたが低所得者であるならば、あなたに再分配される税金が減る。

保活に落ちた女医さんが病院を辞めるのは、あなたにとっての損失なのです。

なぜ高額所得者をバッシングするのか?

この問題で発言小町を見ていて唖然としたのですが。

低所得者から高額所得者へのバッシングがなんと醜いことか。

上に述べたように、高額所得者が保育園に預けられないのは日本全体の損失です。

あなたの街から産婦人科の女医さんが一人減るかもしれない。

あなたの娘さんが超優秀だったとして、保活を理由に能力を活かせる仕事を諦めるかもしれない。

キャリアを優先して、子供を持つことを諦めるかもしれない。

高額所得者が仕事を辞めるて、あなたに再分配される税金が減るかもしれない。

なのになんで、みんな高額所得の女性をバッシングしているのか?

あなたも含めた日本全体の損失

感情を排して論理的に考えれば、高額所得者が保活で落ちるメリットはゼロです。

それどころか、すべての女性と低所得者にとって大きなデメリットです。

高額所得者が落ちたなら、すべての女性と低所得者はガッカリすべきなんです。

本当はパートなのにフルタイムで働いているように勤務証明書を偽造して入園させた、近所のママ友をチクって枠を一つ空けてあげよう。

そっち方向に動いて当然なのではないでしょうか?

高額所得者が子供を保育園に預けることができない。

このことが日本社会と日本人にとって大きな損失であることを、一人でも多くの人に理解してもらいたいです。

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