高齢者の免許返納には田舎や山間部農村の限界集落の集約化が必要

高齢者の運転ミスによる交通事故が増えています。

これに伴い、高齢者に運転免許の自主返納を促す声も高まっています。

僕も基本的に高齢者の免許返納には賛成です。

しかし、これを円滑に進めるための対策も必要となります。

その一つが限界集落の集約化だと僕は考えています。

車の代わりとなる移動手段が必要

高齢者が免許を返納したがらない最大の理由は移動手段の問題です。

車を手放すと移動手段がなくなり、日常生活に支障が出る。

これが最大のハードルになっています。

高齢者から免許を取り上げるのは、彼らの足を奪うことです。

奪って終わりではなく、代わりとなる足を担保する必要があります。

都市部は移動手段を提供できる

移動手段の確保は都市部では比較的容易でしょう。

そもそも、鉄道やバス路線網が充実しています。

自治体に財源があるので、コミュニティバスを作ることも可能です。

タクシーチケットを配ったり、タクシー会社に補助金を出したり。

対策に乗り出す自治体もすでに出てきています。

田舎で代わりの交通手段提供は困難

問題は農村や山間部といった、いわゆる田舎です。

スーパーに行くにも病院に行くにも、歩くと片道数十分。

鉄道も通ってないし、バスがあるといっても数時間に1本。

高齢者から免許を取り上げたら、コミュニティバスを作るしかない。

ところが農村なので、自治体に財源がないので難しいわけです。

限界集落の代替交通機関は高コスト

僕が特に深刻だと思うのは、限界集落と呼ばれる地区です。

一つの集落に数世帯か十数世帯しかない。

住んでいるのは大半が免許返納を求められる高齢者たち。

そんな集落が広いエリアにポツポツと点在している。

集落間に距離があり、道路事情も良くない。

コミュニティバスを運営するには大きなコストがかかってしまいます。

限界集落の集約化が必要

そこで、限界集落の集約化が必要だと思うのです。

自治体内のあちこちに散らばる集落を、中心エリアに集める。

3世帯ずつ10ヶ所に点在していたのを、1ヶ所30世帯にする。

要は移住してもらうということです。

こうすれば、コミュニティバスの運営コストは大幅に下げられます。

インフラやサービスのコストを下げられる

もちろん、コミュニティバスのためだけではありません。

限界集落の集約化は多くの面でコストダウンに繋がります。

例えば、道路や電線、上下水道といったインフラの運営、維持。

ごみ収集や郵便、宅配便などの各種サービス。

点在していたものを集約化することで、コストが大きく下がります。

人が集まることでのプラスの作用

また、集約することで新たなプラスも生まれます。

徒歩圏内の住民が増えれば、店舗を出店した際の採算性が高まります。

コンビニは無理でも、小さな商店や飲食店が出てくるかもしれません。

人が集まることで賑わいや、新たな人のつながりも生まれます。

つながることで孤立化や孤独死などを防げるケースも出てくるでしょう。

冠婚葬祭もやりやすくなり、治安悪化の防止にも役立ちます。

もはや限界集落を維持できない

確かに住み慣れた地を離れるのは大変でしょう。

限界集落のまま維持できたらそれが一番良い。

バスも電気も宅配便も、限界集落のすみずみまで提供できるのが良い。

でも、日本はすでにそれができるほど豊かな国ではなくなっています。

限界集落をベストな状態で維持するのは、これからの日本には無理です。

限界集落の集約化を促進しよう

そもそも、限界集落の集約化は今までも行われてきました。

人が減って住めなくなった集落を捨てて、住める場所に移住する。

明治から昭和にかけて、廃村はずっと行われてきたことです。

それを自然発生に任せるのではなく、能動的に集約化を進める。

免許返納に限らず、快適な社会を低コストで維持し続けるために。

限界集落の集約化に今こそ取り組むべきではないでしょうか。

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