北陸新幹線が米原で東海道新幹線に接続して乗り入れるべき理由

北陸新幹線の敦賀以西のルート問題が決着しました。

敦賀-小浜-京都-松井山手ー新大阪で決定するようです。

以前のブログでも書きましたが、僕は米原ルート支持です。

北陸新幹線の敦賀-大阪間は小浜ルートではなく米原推しです
北陸新幹線が小浜ルートに決定しましたが、僕はあえて米原ルートを推します。東海道の線路容量も承知の上での米原推しです。2035年以降を考えた場合、多くの点で米原ルートのほうが有利であり、実は小浜ルートと不便さは変わらない。その理由を説明します!

将来世代の利便と負担を考えると、小浜・南回りルートはあり得ません。

今さら変わらないのでしょうが、改めてその理由を訴えたいと思います。

米原ルートにするメリット

小浜ルートよりも米原ルートのほうが明らかに有利です。

その理由をリストアップします。

なお、東海道新幹線の線路容量の問題は後で述べます。

費用が安い

かかる費用がまるで違います。

ルート 費用
米原ルート 6,000億円
小浜ルート 2兆5,000億円

中央リニアと違って北陸新幹線は税金が投入されます。

我々の税金が使われる額が、4倍も変わってくるのです。

しかも両ルートの差は2兆円です。

2兆円というと東京オリンピックの総費用です。

いかに違いが大きいかお分かりになるでしょう。

中京圏と北陸が新幹線でつながる

米原ルートでは米原駅付近で東海道新幹線に接続します。

僕はここを三叉路にすべきと考えます。

下の地図の赤のラインが僕が考える北陸新幹線米原ルートです。

敦賀方面から降りてきて、左に曲がって米原駅で東海道新幹線の新大阪方面に乗り入れます。

それとは別に、右に曲がってこちらは名古屋方面に乗り入れます。

こうすることで、在来線を使って名古屋と福井、金沢を結ぶ現在の特急しらさぎを、名古屋から北陸直通の新幹線に置き換えることができます。

もし小浜ルートだと、しらさぎで敦賀まで行って、北陸新幹線に乗り換えなければなりません。

みなさんご存知の通り中京と北陸は昔から経済的な結び付きが強いです。

早くて便利な新幹線で直結することで、その結び付きをさらに強めるべきです。

北陸新幹線の採算性が高まる

敦賀-新大阪間を小浜ルートで結ぶ場合と、米原ルートで結ぶ場合、獲得できる乗客が大きく変わってきます。

上述した米原三叉路があるからです。

ルート 獲得できる商圏
米原ルート 中京、京都、大阪
小浜ルート 小浜、京都、大阪

中京圏の人口と小浜市周辺の人口など比べるまでもありません。

米原ルートにすれば小浜ルートと違って、京都、大阪に加えて、中京・名古屋という大商圏をゲットできます。

どちらのほうが北陸新幹線の経営にプラスになるか言うまでもないことです。

中央リニア開通後の東海道新幹線の需要

中央リニアが大阪まで開通すると、新大阪-名古屋間の東海道新幹線の収益は大きく落ちます。

北陸新幹線を新大阪-名古屋間に乗り入れさせることで、東海道新幹線の収益ダウンをある程度ですが補うことができます。

東海道新幹線の収益が落ちるとJR東海の収益にとんでもない影響を与えます。

その結果、JR北海道のように安全性が低下したり、設備の維持、更新にコストをかけられないようになると、我々利用者の安全性や利便性に悪影響が出ます。

JR東海の収益が悪化しないことは、我々利用者にとっても非常に重要なことなのです。

線路容量の問題

このようにコストや利便性など総合的に考えると、北陸新幹線は米原で東海道新幹線に接続させたほうが良いです。

しかしこれについて、鉄オタ系の方々から指摘されるのが線路容量の問題です。(という、僕自身も鉄オタですが。笑)

線路容量というのは、分かりやすく言えば線路の混み具合です。

東海道新幹線は激混み

現在の東海道新幹線は激混みです。

通勤列車並みの高頻度運行で、余裕がなく一杯一杯です。

大渋滞の高速道路のようなものですから、ここにさらに北陸新幹線の列車を割り込ませることは不可能です。

これが東海道新幹線の線路容量の問題です。

リニアが開通すると話は別

しかし、東京-大阪間のリニア新幹線が開通すると話は変わります。

大阪-名古屋間の需要の一部がリニアに移りますので、東海道新幹線の運転本数が減ります。

線路容量に余裕ができますので、北陸新幹線が乗り入れる余地が出てきます。

リニア開通後は東海道新幹線に乗り入れ可能

すでに述べたように、米原ルートのほうが総合面で小浜ルートより勝ります。

ですが、現時点では東海道新幹線が一杯一杯なので、北陸新幹線が乗り入れることは不可能です。

でも、リニア新幹線が開通したら東海道新幹線に余裕が出るので、北陸新幹線が米原から東海道新幹線に乗り入れることができます。

つまり、米原ルートが実現可能なのは、リニア新幹線開通後ということです。

米原ルートに線路容量問題は存在しない

さて、話はここからです。

北陸新幹線が敦賀まで開通するのは2023年です。

それからすぐに新大阪までの工事を開始できれば良いのですが、国の予算がありません。

北海道新幹線の工事が終わるとその予算が浮いてくるので、それから工事を始めるそうです。

米原ルート開通時期

北海道新幹線が開通するのは2031年です。それから北陸の工事スタート。

米原ルートの工期は10年かかるそうです。

そして、リニア新幹線の完成予定は2037年です。

気付きましたか?

表にしてみます。

事項
2023年 北陸新幹線・敦賀開業
2031年 北海道新幹線開通
2031年 北陸新幹線・敦賀以西工事開始
2037年 リニア新幹線開通
2041年 北陸新幹線・米原ルート開通

リニアが先に開通する

そうなんです。米原ルートが開通するよりも、リニアが大阪まで開通するほうが先なんです。

米原ルートが開通する頃にはリニアはすでに開通してて、東海道新幹線の一杯一杯は解消されています。

リニアが開通して東海道新幹線に余裕ができているので、北陸新幹線が米原から乗り入れできる。

リニアのほうが先に開通するから、線路容量の問題は米原ルートの障害にはならないのです。

米原ルートをもう一度検討すべきです

総合面では米原のほうが上

繰り返しますが、小浜ルートよりも米原ルートのほうが有利です。

  • 建設コストが小浜ルートの4分の1で、2兆円も安い
  • 名古屋・中京圏と北陸を新幹線で直結できる
  • 小浜周辺よりも中京圏のほうが人口が多いので採算性が高まる
  • リニア開通後の東海道新幹線の需要落ち込みをカバーできる

米原駅付近を三叉路にすることで、収益性を大幅に向上できます。

線路容量の問題がないのですから、東海道新幹線に乗り入れさせるべきです。

将来世代に負担を残してはいけない

メリットの他にもう一つ考えてほしいのは、将来世代の負担です。

米原ルートでも小浜ルートでも、開通するのは2040年代です。20年以上先です。

僕は恐らく死んでますし、読者の多くも定年前後になっているでしょう。

人口が減少する中、東海道、北陸、リニアと狭いエリアに3本も新幹線を作る。

収益性も悪化するでしょうし、古い東海道新幹線の設備更新など新たな費用も発生します。

それらのコストを負担するのは、僕らの子や孫の世代です。

無分別無計画にどんどん作って、そのつけを子や孫に押し付け、自分はさっさと棺桶に入る。

そんな非道が許されるわけがない。みなさん、そう思いませんか?

企業と政治家の都合で決まった小浜ルート

今回の敦賀以西のルート決定ですが、政治と金の都合しか見えてきません。

敦賀-新大阪間を米原ルートにすると、新大阪-米原間の売上げをJR東海に持っていかれる。

それが面白くないので、JR西日本は敦賀-新大阪間を自社の独自ルートにしようとしている。

また、米原ルートにすると建設区間が短くなり、工事費用も少なくなる。

そうなると、地元の建設業界に流れる仕事とお金が減る。

言うまでもなく、そこから政治家に流れるお金も減る。

企業、業界、政治家の都合しか考えていない。

国家百年の計どころか、20年先の将来世代のことすら考えていない。

北陸新幹線のルート、こんな決め方で良いのでしょうか?

小浜ルートは将来に禍根を残します。

今からでももう一度考え直すべきです。

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