東南アジア放浪記/イメージ画像

何を食うても美味い~、魅惑のベトナムフードが中年ダイエッターを襲う!

深夜に到着して333で幕を閉じたベトナム1日目。8時過ぎに目が覚めて始まった2日目はただひたすら食べて終わった。

マニラでは朝メシなどまず食べない不健康な生活なのだが、旅に出るとやはり現地のものをちょっとでも余計に食べてやろうと食い意地が働く。とはいっても高級グルメを志向するわけではない。狙うはあくまでも現地のローカルフード。朝早くから騒々しいフォングーラオ通りを素足にサンダル引っ掛けてパタパタと朝メシを求めてさまよい歩く。


ホテルから5分ほど東に歩いた通りの左側。小さな間口の先にテーブルと椅子を並べた店があった。現地の人が入れ代わり立ち代わり入っては出て行く。こういう店に外れはない。

その店はベトナムの代表料理「フォー」を出す店であった。フォーは米麺。中国にも「米粉」と呼ばれる米麺があるが、それに比べるとかなり細い。ケンミンの焼きビーフンくらいの太さだろうか。人によっては3食すべてをフォーで済ませるほどベトナム人の食生活には欠くことのできないものとなっている。

一口にフォーと言っても様々で、日本に味噌ラーメンもあればとんこつラーメンもあるように多種多様なフォーがあるらしい。しかしメニューを見てもベトナム語など分かるわけないし、それ以前にこの店にはメニューらしきもの自体が見当たらない。こんな時は黄金の人差し指が炸裂する。他の人が食べてるもの見て美味そうなのを指差す。これでオーダーは完了。そして待つこと1分、いらっしゃいました~

フォー

25,000ドン、日本円で120円。上海の裏通りで食べる牛肉面と同じくらいの値段だ。量は上海の勝ちだが、こっちは鶏肉、レバー、エビ、うずら卵など具だくさん。毎朝食べるならこっちのほうが良いな。さっそくスープを啜り、麺を口に運ぶ。

「これよこれよ、これでんがなぁ~。こんなあっさり味、マニラでは食べられないよ。これ、毎週ホーチミン来なあかんなぁ。」

写真の左手に少し写っているが、別皿でレタスが付いてきた。はて? とりあえずそのままバリバリ食べてみる。当たり前だがレタスの味がする。これで良いのかしら? 店のおばちゃんの方をチラッと見てみる。すると何やらジェスチャーを。

「へ?なに? そのまま食べるんとちゃう。麺の中に入れろ。なるほどな。レタスを麺の中にドブンと。おぉ、なんか出汁がからまって美味しいやん。こないやって食べるわけやな。 へ?なんか間違うた? 葉っぱ1枚そのまま入れるな。ちぎって入れろ、アホ。 そんな先に言うてぇなぁ。」

あっさり味の麺とスープ、レタスのシャキシャキ感。機嫌よく味わっていたのだが、ふと横を見ると小学生くらいの男の子が怪訝そうな顔でこちらを見ている。へ?何かおかしい? 今度はその子の母親がテーブルの上をあれこれ指さしながらジェスチャーを始めた。

「はい? まずこの醤油みたいなの入れて、次にこれ入れて、へ?この青唐辛子も入れるの? ほんでこの瓶に入ってるのふりかけて、ほんでぐるっとかき混ぜろって、奥さん、食べる前に言うてくれなぁ~」

ようやくあるべき味に到達した時には半分以上食べ終わっていた。笑


ローコスト具たくさんのフォーを味わったあと通りを逆方向に向かう。街歩き用に地図を手に入れたい。何件かコンビニをまわりようやく地図をゲット。バッグパッカー街は旅に必要な物が入手しやすいので助かる。

コンビニを出ると目の前に小さなカフェが。うーん、まぁお決まりですからね。明らかに観光客用の店ではあるが、せっかくのベトナムですしご祝儀代わりということで。店の子の手招きに付き合って通りに面した椅子に腰掛ける。

ベトナムコーヒー

師曰く、名物に美味いものなし。ベトナムコーヒーもねぇ、特別むっちゃ美味いってほどでもないんだけどね。まぁ良いじゃないですか。ちょっと歩いて疲れたし、ベトナムに来てベトナムコーヒー飲まないってのも失礼な話ですから。

カップの左に写っているステンレスボトルにはお湯が入っている。これで何度かコーヒーを淹れて楽しむということで、店の子が何かと世話を焼いてくれる。よほど暇だったのね。笑) 買ってきたばかりの地図を広げ、いったい自分はどこにいるのか店の子に聞く。しばらく地図を眺め今日はどこに行こうか、明日はどこを歩こうか、あれやこれやと思いを巡らす。どっちみち途中で行き先が変わるんだろうけど。


ホテルに戻りメールチェックなど通常業務をサクサク仕上げる。そうこうするうちに昼飯時に。ホテルを出て右手にしばらく歩き、さらに右に曲がって本通りを外れてみた。またまた出ました、現地人ばかりが入っている店。東南アジアに多い大皿に入ったおかずが並んでいて、好きなのを選んでご飯の上に載せるタイプの安食堂。こういう店は言葉が分からなくてもまったく困らないので助かる。

昼食

ゴーヤと玉子を炒めたものと、鶏肉を炒めたものの2品。それにサービスで漬物みたいなのとスープが付いて30,000ドン、150円。マニラでもこんな価格帯の食生活だからさ、たまに日本に帰ってファミレスなんかに入ると、お冷だけ飲んで何も食わずに出ようかなって気持ちになっちゃうんだよね。笑

お味はごくごく普通。マニラよりちょっとあっさり目ってくらい。けどコメは確実にこちらのほうが美味い。食後にはデザートとしてバナナが無料で出てきたが、実は僕はバナナが嫌いなんです。丁重にお断りして店を出た。


午後は市内で仕事がらみの要件が一つだけあった。それをそそくさと終わらせ通りを歩く。ん?右手前方に見える店。人が次々に出入りしている。近づいて中を見る。食べ物を出す店であることは分かったが、はて、ここは何を食わせる店だ? 客が何やら得体の知れないものを口に運んでいる。

見ていても正体は分からんし、繁盛してる店なのだから美味いのだろう。よし、食べてみよう。店の人に目配せし、すぐ横の席のおばちゃんが食べているものを指差す。しばらくして運ばれてきたのがこれ。

Chao Muc

これが何なのかまーったく分からない。ベースは多分おかゆだ。それに肉とかもやしとかが入っていて、さらに小さく切ったフランスパンのバケットも入っている。割りと甘い味付けで、これにすだちのようなものを絞って食する。

で、美味いのだ、これが。甘いおかゆに肉が入ってフランスパンが入って、さらにもやし入れて甘いのにすだち絞ってってわけわからないんだけど。しかも濁ってるから中に何が入ってるかも実はよく分からない闇鍋状態なんだけど。笑) とにかくおかわりしたくなるくらい美味かった。

Chao Muc チャオムック

食べ方を教えてくれた隣の席の兄ちゃんによると、「Chao Muc(チャオムック)」といってこの地方の名物料理らしい。21,000ドン(100円ちょっと)なので上等な料理ではないだろうけれど、僕的にはホーチミンシティのB級グルメとして世界遺産登録したくなる味であった。


この後ホテルに戻り、近所の店でテイクアウトを頼んでホテルでビールを飲みながら本日4回目の食事。とにかく何を食べても美味い。出汁の文化だからかな? 確実に太りそうだ。

インスタントフォー

ちなみに写真はインスタントラーメンならぬインスタントフォー。買って帰ってマニラで食べたのだが、こちらもあっさり味で非常に美味しかった。

ベトナムの味はきっと日本人に合うのだろう。ダイエット中の姫君たちにベトナムは鬼門だ。その鬼門に足を踏み込んだ僕は初日にして早くもダイエット継続を断念したのであった。

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