東南アジア放浪記/イメージ画像

道端の生春巻きの屋台。ベトナム最後の食事はこれで決まり!いや、こ、これは…

サイゴン中央郵便局とサイゴン大教会を見学。さて次はどこへ行こうかと地図を見る。ここからだと統一会堂が近いな。南ベトナム時代の大統領官邸。せっかくだからのぞいてみるか。


ドンコイ通りを外れ、両側を公園に挟まれた道を西へと向かう。近いどころの話ではなく、5分もしないうちに到着。門を通って中に入ると警備のおっちゃんが駆け寄ってきた。入場時間は4時までだと。あらら、ちょうど4時を過ぎたところだ。

僕と同じタイミングで入ってきた若い西洋人が何とか入れろと食い下がっているが。キミねぇ、この警備のおっちゃん、どう見ても国軍か警察関係者だよ。社会主義国では絶対に歯向かってはいけない人たちだって、学校で習わなかったかな?

またね、とおっちゃんに軽く手を振る。おっちゃん、笑顔でサムアップ。そうです。これが正しい対応の仕方です。笑


しかし困ったな。まだ4時。今夜のフライトは深夜1時。時間が余りすぎる。どうしたものか。そうだ、あそこに行ってなかった。ベトナム国鉄サイゴン駅。ホーチミンシティのターミナル駅だ。

何を隠そうこの僕は、小学生の頃から愛読書は時刻表。ブルトレブームや懐かしの「いい旅チャレンジ20,000km」をリアルタイムで経験し、今はなき北海道ワイド周遊券を愛用していた元祖世代の鉄オタ。よし、サイゴン駅で鉄分補給だ。笑


地図を開く。ちょっと歩いて行くのはキツそうだな。ベンタインからドンコイまで来てさらにここまで。よく考えたらずっと歩いていたのでちょっと疲れた。バスで行くことにしよう。

統一会堂の北側の通りを歩く。しばらくすると大きな通りに出た。ここから北西に向かうバスに乗ればサイゴン駅に着くはずだ。


やって来たバスに乗る。北西へと向かって軽快に走るバス。しかし、車窓に目を凝らすが駅らしきものは見えてこない。まだかしら? さらにしばらく行くも駅見えず。もうちょっとかな? さらにさらに行くが駅いまだ現れず。

「はい、間違いありません。僕、迷いました。やってもうた~涙」


まずい。このまま乗ってたらラオスに着くわ。とりあえずバスを降りる。うむむ~、360度どこを見ても観光っぽいムードはない。それはつまり、このエリアで英語が通じる可能性はゼロであるということ。

試しにおっちゃんに聞いてみる。難しい英語は避けよう。Train、Station、Railway! きょとんとしてるおっちゃん。あかん。まったく通じん。

こういう場合は来た方向に戻るのが鉄則。とぼとぼと東南方向へ進む。途中で何人かに道を訪ね、とりあえず方向的にはこちらで合っていることを確認。あとは自分の勘に運命を委ねよう。


と、その時。道端に一軒の屋台発見。何を売っているのか? のぞいてみると生春巻き。そう言えばベトナムに来てまだ生春巻きを食べてなかった。恐らくこれがベトナムでの最後の食事になるだろう。よし、これにしよう。

きっとこれが美味いだろう。最後の食事の選択を自分の勘に委ねたのだが。これがとんでもないことになったw


このおばちゃんもまったく英語が通じない。あの手この手のジェスチャーでようやく生春巻きがほしい旨を伝える。そして作業が始まったのだが…

「およ? ちょっとおばちゃん、それ台拭きと違うの?」

作業台の隅に置かれていた薄汚いタオル。バイクにバスにと通行量の多い埃っぽい道端。きっと台拭きだと思っていたそのタオルを作業台の上に広げ、そこにライスペーパーを並べだした。これ絶対汚いぞ。そしてその上に具材を並べだしたのだが。

生春巻き

「僕も今まで45年間いろんなもん食べてきたけどなぁ。これ、絶対そこらに生えてた葉っぱやと思うねん。僕きっとお腹こわすわ。」


生春巻き

そしてそれをくるくると丸め、生春巻き4つ完成。おばちゃん、さらに台拭きの上にライスペーパーを並べようとする。

「いらんいらんいらんいらん、おばちゃん、もうえぇ。お願い、勘弁して。4つで十分。僕まだ死にたないねん。」

お金を払い、逃げるようにその場を立ち去る。


さすがに神も哀れに思われたのか。それからしばらくして左手にサイゴン駅があることが分かった。ようやく到着。駅の待合室で食べてみたのだが。。。

生春巻き

「草や。」


ベトナム美食ツアーの最後は草で終わった。涙

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