小学女児殺害犯人はベトナムより軽い日本の刑法で裁かれる

千葉県我孫子市でベトナム国籍の小学生女児が殺害された事件。

安全と信じた日本に家族で来て、まさか娘が殺されることになるとは。

ご両親の気持ちを思うとやりきれません。

まだ犯人は捕まっていませんが、犯人への刑罰について考えます。

刑罰は国境を超えることができないという問題です。

日本の上限は懲役20年

この事件の犯人ですが、日本で起こった犯罪ですので日本で裁かれます。

もちろん、日本の刑法が適用されます。

罪状はまだ定まっていません。仮に強姦罪だったとします。

その場合の刑罰は、刑法で次のように定めれられています。

暴行又は脅迫を用いて十三歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、三年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。(日本国刑法第177条

無期懲役からの減刑でない普通の有期懲役ですので、上限は20年です。

この犯人に日本の司法が下せるのは最低で3年、最高で20年の懲役刑です。

ベトナムは20年ではない

ではもし、今回の事件が彼女の祖国のベトナムで起きていたらどうか?

ベトナムの裁判所で裁かれ、ベトナムの刑法が適用されます。

強姦罪についてベトナムの刑法では次のように定められています。

13歳未満の子供とのすべての性行為は子供に対する強姦と見なし、12年以上20年以下の懲役刑、または終身刑、または死刑に処する。(ベトナム社会主義共和国刑法第112条第4項

日本では最低で3年、最高で20年の懲役刑です。

ところが、ベトナムでは最低で12年の懲役刑、最高で死刑なんです。

逆の立場だったら?

逆の立場で考えてみてください。

もし自分の弟がイギリスで妻と子供2人と4人で暮らしていたとします。

強盗が入ってきて、4人を殺して死体をバラバラにして家に火を付けた。

強盗殺人、死体損壊、放火、4人殺害です。日本なら死刑でしょう。

しかし、イギリスは死刑を廃止しており、最高でも終身刑です。

納得いきませんよね?

日本中でイギリスに対するやり場のない憤りが吹き出すことでしょう。

日本に対する憤り

今回の事件、ご両親だけでなくベトナムの人たちはどう思うか?

良い国だと信じていた日本に家族で移り住んだ同胞。

その小さな娘が殺された。

ベトナムなら死刑もありうるのに、日本だと最高でも懲役20年。

ベトナムなら最低でも12年なのに、日本だと最短で3年で出てくる。

日本に対するやりきれない憤り、多くのベトナム人が抱くと思うのです。

これで正しいのだろうか?

もちろん今回の事件は日本国内の事件で、日本の刑法で裁くのが当然です。

司法は厳然として独立であり、外国の世論に左右されるなど許されません。

ベトナム人がなんと言おうと、最高刑は懲役20年です。

でも、本当にこれで良いのだろうか。

ベトナムの人たちは日本と僕たち日本人をどう思うだろうか。

日本で殺されたが故に、3年以上20年以下の懲役刑にしか処されない。

刑罰は国境を超えることはできない。

両親の思いも国境を超えることはできない。

やりきれない気持ちでいっぱいです。

追記:犯人の最高刑は無期懲役

4月14日に渋谷恭正容疑者が逮捕されました。

報道内容から見るに、強姦の上の殺人が容疑と思われます。

この場合、強姦致死傷罪が適用されます。

第百七十七条若しくは第百七十八条第二項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって女子を死傷させた者は、無期又は五年以上の懲役に処する。(日本国刑法第181条2項

無期懲役から減刑の有期懲役ですので、有期の場合の最長は30年です。

つまり、無期懲役または5年以上30年以下の懲役刑となります。

ベトナムで16歳以下の少女に対する強姦致死の場合、最高刑は死刑です。

(少女に対する強姦罪が)以下のいずれかに該当する場合、犯人は20年の懲役刑、または終身刑、または死刑に処される。 g) 被害者を死亡もしくは自殺に至らしめた場合(ベトナム社会主義共和国刑法第112条第3項g

参考:ベトナムでの報道

なお、この事件へのベトナムメディアの報道は下記をご覧ください。

千葉県小学生女児殺害事件のベトナムメディアの報道と読者の反応
千葉県我孫子市で松戸市の小学生レェ・ティ・ニャット・リンさんが殺害された事件について、ベトナムの有力紙「タインニエン」の記事と読者の反応を日本語に翻訳して紹介します。
小学生女児殺害犯人逮捕へのベトナムメディアの報道と読者の反応
千葉県我孫子市で起きたベトナム人小学生女児レェ・ティ・ニャット・リンさん殺害事件で渋谷恭正容疑者が逮捕されたことに対する、ベトナムのニュースメディアの報道と読者の反応を日本語に翻訳して紹介します。

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