FTX Japanの確定申告、税金の処理をどうすれば良いか、みなさんお悩みではないでしょうか?
みなさん同様、FTX Japanで資金を絶賛拘束中!の僕が国税庁に聞いてみました。
分かった内容を紹介します。
参考になれば何よりです!
タップできる目次
FTXの確定申告は推定値で行う
結論から言うと、推定値で確定申告を行い、報告書が出てから更正の請求または修正申告をします。
報告書なしで正確な確定申告は不可能
昨年末にFTX Japanが「案内」発表
昨年12月29日にFTX Japanが「お客様への資産返還に関するご案内」を発表しました。
我々の資産は2月中旬にLiquid Japanの口座経由で返還予定とのこと。
みなさん、多かれ少なかれホッとしたのではないでしょうか?
良かったね。
報告書が間に合わなければ正確な確定申告は不可能
「案内」で気になったのは次の一文です。
当社は、月次報告書および年次報告書といった重要な書類の作成スケジュールは、2023年1月にご案内いたします。
「月次報告書および年次報告書」とは確定申告に必要な、いわゆる年間取引報告書のことです。
わざわざこの一文を書いたということは、確定申告までに年間取引報告書を出す目処が立ったのだと思います。
ただ、もし間に合わなければ令和4年度分の確定申告を正確に行うことは不可能です。
どうするの?
国税庁に聞いてみた
僕はFTXの確定申告について以前から複数の疑問点がありまして。
そこで、上記案内が出る前の昨年12月下旬に国税庁の相談窓口に電話で問い合わせをしました。
上述の通り報告書は確定申告に間に合うとは思います。
ただ万が一間に合わなかった場合は、以下のように対応すれば良いみたいです。
解説していきます!
推定値で確定申告をする
まず、令和4年度分の確定申告は推定値で行います。
自分が持っているデータや記録から売買損益やFTX earnの報酬などを推定し、それで確定申告を行うということです。
もちろん正確でないことは大前提です。
不正確であり誤差や間違いが出ることを前提とした上で、令和4年度の確定申告を行います。
誤差はどうするの?
報告書が出てから修正する
誤差はFTX Japanから年間取引報告書が発行された時点で明確になります。
それから、令和4年度分の確定申告の修正を行います。
具体的には更正の請求または修正申告です。
なにそれ?
更正の請求
「更正の請求」は払いすぎた税金を返してもらう手続きです。
推定より利益が少なかったとか、思ったより経費が多かったとかで、納税額が本来より多かった。
その場合に更正の請求を行います。
請求できる期間は法定申告期限(所得税は毎年3月15日)から5年以内(令和4年度分は令和9年3月15日まで)です。
修正申告
「修正申告」は足りなかった税金をあとから納める手続きです。
推定より利益が多かったとか、経費を計上しすぎていたとか、納税額が足りなかった場合に修正申告を行います。
期限はありませんが早めに行うことが推奨されています。
報告書が出てから更正の請求or修正申告
推定値で確定申告を行い、納税額が5万円だったとしましょう。
FTX Japanから年間取引報告書が出て計算し直し、正しい納税額が4万円だったら更正の請求、6万円だったら修正申告を行うということです。
- 払いすぎ → 更正の請求(返してもらう)
- 払い足りない → 修正申告(追加で払う)
推定で申告してあとから修正ってことね。
多めに納める方が無難かも?
なお、これはあくまでも僕個人の考えですが、多めに納税してあとから返してもらう(更正の請求)の方が無難かもしれません。
修正申告にはペナルティがある
というのも、修正申告にはペナルティがあるからです。
具体的には以下の2つです。
- 延滞税
- 2か月以内:2.4%
- 以降:8.7%
- 過少申告加算税
税務調査前に自主的に修正申告を行った場合、過少申告加算税は課されません。
しかし、延滞税にはそのような免除規定がないのです。
罰金取られるわけだ…
多めに納税の方が無難かも
事情が事情なので免除される気もします。
ただ、少なめに納税してあとから修正申告だとペナルティのリスクがゼロではない。
ならば、多めに納税して更正の請求で返してもらう方が無難のような気がしています。
少なめに納めて令和5年分で修正は不可
あとから帳尻合わせ作戦
なお、次の作戦は不可です。
- 令和4年分の確定申告で少なめに納める
- 足りなかった分を令和5年分の確定申告で多めに納める
令和4年分は推定値より少なめに5万円で納めた。
年間取引報告書が出てから計算したら6万円だった。
そこで、令和5年分の確定申告で1万円多めに納めて帳尻を合わせる。
これはアウトです。
帳尻合うのに?
申告は所得発生年度で行う
確定申告は所得が発生した年度で行うのが原則です。
ですので、6万円と5万円の差額の1万円はあくまでも令和4年分の確定申告で処理します。
4年分の所得を5年分で確定申告するのはルール違反です。
4年分の確定申告で出た誤差は、4年分の確定申告に対する更正の請求または修正申告で行います。
令和5年分の確定申告で矛盾が出る
また、令和5年分の確定申告は令和5年分の年間取引報告書をベースに行います。
すると、令和5年分の年間取引報告書よりも1万円多く納税することになってしまいますよね?
令和5年分で帳尻を合わせようとしても、申告内容と年間取引報告書との間で矛盾が出てしまいます。
つまり、帳尻が合いません!
拘束分は損失扱いできない
なお、仮にFTX Japanに拘束されている資産が確定申告までに返還されなかったとします。
この場合、拘束分を確定申告で損失として計上することはできません。
単に拘束されているだけで損失は発生していないからです。
FTX earnの扱い
もう一つ聞いたのがFTX earnの報酬の確定申告の仕方です。
FTX earnの報酬は確定申告の対象
まず大前提として、FTX earnの報酬は確定申告の対象となる所得です。
レンディングやステーキングで得た利益にも、雑所得として所得税が課されます。
いつのレートで円換算するか?
FTX earnの報酬についても推定値で確定申告を行うのですが、問題はいつのレートで円換算するかです。
受取時のレートで円換算
仮想通貨で受け取った利益は受取時のレートで円換算するのが原則です。
で、FTX earnの報酬は毎日1時間ごとに発生=受け取りしています。
ってことは、1日24回×日数分のレートを調べる必要があるってこと?
そんな無茶なw
明確な規定はない
これについては法律で明確な規定はありません。
ただ考え方として「売却益に大きな違いを生じさせない程度のレートの上下は容認される」みたいです。
どういうこと?
1日の値動きはせいぜい数%なので、7時のレートでも12時のレートでも納税額に大した差は出ない。
なので1日24回分の報酬を足し算し、その日の例えば12時のレートでまとめて換算してもOK。
1週間分まとめが落とし所?
でも、1カ月だとけっこう値動きがある。
なので、1カ月分の報酬を足し算し、その月の例えば15日12時のレートでまとめて換算はアウト。
では1週間分まとめてはどうかと言われると、法律の規定がないので明確に答えることはできない。
許容範囲と考えることもできるが、最終的には所轄税務署の判断になるとの回答でした。
やり取りのニュアンスからは、1週間分まとめはギリOKっぽく感じました。
僕は1週間まとめで出します!
誤差は令和4年分で修正
なお、年間取引報告書が出てから再計算し、FTX earn分の納税額に誤差が発覚した場合。
その誤差は令和4年分の確定申告で修正します。
上で説明した内容と同様の扱いです。
FTXの確定申告のまとめ
最後に要点をまとめます。
推定値で申告しあとから修正
FTX Japanの確定申告は推定値で行い、年間取引報告書が出てから修正です。
- とりあえず推定値で申告
- 年間取引報告書が出てから再計算
- 誤差を修正
- 納税額が多すぎた → 更正の請求
- 納税額が少なすぎた → 修正申告
- FTX earnはまとめて円換算OK
- 確定申告は同じ扱い
正しく申告し正しく納税
恐らく確定申告に間に合うように年間取引報告書が出ると思います。
もし間に合わなかった場合、僕は上述した方法で申告するつもりです。
なお、税理士以外が税務相談に応じることは税理士法により違法となる場合があります。
このため、本記事の内容も含めて確定申告に関する質問にはお答えしません。
疑問点は面倒がらずに所轄の税務署に問い合わせ、正しく申告し正しく納税しましょう。
電話1本で済むよ。
仮想通貨の税金と確定申告については、こちらの記事で詳しく解説しています。
以上です!