銀行口座開設とATM
カンボジアに移住する際に日本から持って来た生活費を現金のまま手元に置いておくのは不安ですよね。やはり銀行口座があったほうが安心です。外国人はシェムリアップで銀行口座を持てるのか、どのように開設するのか、金利はどのくらいなのか、ATMは使えるのかなどについて説明します。
カンボジアの金利は高い!
日本の金利は絶望的に低いですよね。大手銀行の普通預金の金利は0.001%、1年定期でも0.01%ですので、銀行に行く往復のバス代で吹っ飛んでしまうような金利しか得られません。
大手都市銀行のあまりの金利の安さにうんざりし、少しでも金利が高い地方銀行やネット銀行を探して預金を移す方も最近は非常に増えています。
これに対してカンボジアの金利は思わず満面の笑顔になるほど高いです。カンボジアは米ドルが事実上の通貨になっているため事業などをしようと思ったら米ドルが必要です。米ドルの需要が高く国内外から米ドルをかき集める必要があるため金利が高いそうです。
私が金利が高く信用度もそこそこ高いかなと個人的に思っているカンボジアの銀行は下記の4行です。
- Acleda Bank(アクレダ銀行ではなくエーシーリーダー銀行)
- Canadia Bank(カナディア銀行)
- Advanced Bank of Asia(ABA)
- Phnom Penh Commercial Bank(PPCB:プノンペン商業銀行)
この4行の金利は次のようになっています。
- 銀行名
- 普通
- 半年
- 1年
- 2年
- Acleda
- 0.50%
- 3.75%
- 5.00%
- 6.25%
- Canadia
- 0.75%
- 3.50%
- 4.75%
- 5.50%
- ABA
- 0.75%
- 4.25%
- 5.25%
- 5.75%
- PPCB
- 1.20%
- 5.00%
- 6.00%
- 6.20%
日本だと普通預金に1,000万円預けても金利は1年で100円しか付きません。ところがカンボジアでは5~12万円付きます。
日本で1,000万円を1年定期に入れると金利は1,000円ですが、カンボジアだと50~60万円も金利が得られるのです。
いきなり1,000万円は不安ですから仮に100万円を1年定期で預けるとしましょう。日本では利率0.01%ですので100万円預けて得られる金利は100円です。缶コーヒー1本すら買えません。ところが同じ100万円をカンボジアに持って来て1年定期で銀行に預けると、5万円前後の金利が得られます。安めの物件ならば2ヶ月分の家賃です。
日本では缶コーヒー1本すら生み出せない100万円が、カンボジアでは2ヶ月分の家賃を生み出すのです。
金利の違いと物価の違い、レバレッジをダブルで効かせることで、日本では死に体のあなたの資産が、カンボジアでは大きな価値を生み出す活力ある資産に生まれ変わるのです。預ける金額を大きくすれば金利だけで暮らしていくことも可能です。
カンボジア移住者は口座を持てる
ではカンボジアに移住すればカンボジアの銀行口座を持つことができるのか? できます。カンボジアの居住者であれば可能です。
ここで言う居住者とは「6ヶ月以上のビザを所持する者」のことです。6ヶ月未満の場合は非居住者となります。カンボジア移住者向けのビザのページで説明したように移住者は1年ビザを取得するのが普通ですので、カンボジアに移住した人は居住者扱いとなります。
旅行者が口座を開設できるカンボジアの銀行は限られていますし、必要な書類が多かったり、何らかの制限がつくこともあります。ですがカンボジア居住者ならば地元のカンボジア人と同じようにどの銀行の口座も持つことができるのです。
それだけではありません。カンボジアでも金利には税金がかかるのですが、その税率が居住者と非居住者では違うのです。普通預金では非居住者の税率が14%であるのに対して居住者は4%ですので10%も優遇されます。定期預金についても非居住者14%に対して居住者は6%ですので、徴収される税金が8%も少なくて済むのです。
日本に比べてカンボジアの金利は数百倍高い上、カンボジアに移住すれば居住者扱いですのでどの銀行でも口座開設できますし、税金でも優遇されます。どう考えても口座を開設すべきです。私も複数の銀行で開設しています。
カンボジアの銀行口座開設の仕方
口座開設に必要な書類や手続などは銀行によって異なります。いくつかの銀行について以下に記しますが、実際にどうなのかは下見旅行の際にご自身でシェムリアップの銀行をまわって情報収集してください。自分の資産は自分で守るものです。
Acleda Bank
- 必要なもの
- パスポート
- ビザ
- Certify Letter of Residence in SiemReap
- 携帯電話番号
- パスポートサイズの顔写真2枚
- Certify Letter of Residence in SiemReapは居住証明書
- 空港の近くのImmigration Policeで発行してもらえる
- 賃貸契約書では正式な証明書とみなされない
- 年間最低2回の取り引きが必要
- 2回未満だと口座凍結され再開の手続きが必要
- VISAデビットカードが発行できる
- 年会費10.8ドル
- 預金残高が50ドル以上必要
- 仮に口座に1,000ドルあったら950ドルまでしか使えない
- VISAデビット機能を解除すれば50ドルを引き出せる
Advanced Bank of Asia
- 必要なもの
- パスポート
- ビザ
- 賃貸契約書
- 携帯電話番号
- メールアドレス
- 最低預金額は10ドル
- キャッシュカードの発行手数料は8ドル
- 年会費8ドルでVISAのデビットカード機能を付加できる
- カードの有効期限は5年
- 有効期限が過ぎたら新カードを8ドルで発行
- 1回の引き出し上限1,000ドル、1日5回まで
- 海外での引き出し手数料は2%
- VISAではなく銀聯にすればカード発行料、年会費とも無料
- 職業欄はTouristは不可、Retiredは可
- 口座開設時に紙の通帳が渡される
- カードの引き渡しは1週間後
- その場でATMを使って暗証番号を変更できる
Phnom Penh Commercial Bank
- 必要なもの
- パスポート
- ビザ
- 賃貸契約書
- 携帯電話番号
- メールアドレス
- 開設時に1,000ドル以上預金すればカード発行料は無料
- カードの引き渡しは1週間後
- 海外での引き出しはできない
- VISAデビットカードが発行できる
- 発行時に100ドル以上の預金が必要
- 残高が10ドル未満になるとカードが凍結
- 年会費5ドル
- 1日の利用金額の上限は2,000ドル
- 1日の利用回数の上限は購買が10回、ATMが6回
- 有効期限は3年、カードの再発行料は5ドル
カンボジアのATM
カンボジアの銀行にもATMはあります。シェムリアップでもあちこちでATMを見かけます。日本のATMと同じようにキャッシュカードを入れて暗証番号を入力すると、残高照会をしたり預金を引出したりすることができます。
ただ、カンボジアに住んでらっしゃる日本人移住者のブログなどを拝見すると、入れたカードが出てこないとか、カードを返してもらうのに1週間以上かかったといった事例が散見されます。
戻ってこないということはないのでしょうが、それまで長々待たされることになりますし、何よりも灼熱のカンボジアでカードを取り戻すために、またわざわざ銀行まで行かなければならないかと思うと、それだけでうんざりした気持ちになります。
ですので私は基本的にATMは使わず、通帳を持って銀行に行き窓口で引き出すようにしています。