騒音との戦い
東南アジアの田舎町で静かな移住生活。カンボジアでそんな夢の様な暮らしを営むのは容易ではありません。カンボジアは騒音ジャングルです。シェムリアップで騒音からいかに逃れるか、騒音にいかに対応するかについて説明します。
日本は異常に静かです
カンボジアに限ったことではありませんが、日本人が東南アジアに来るとなんとうるさく騒々しいのだろうと感じるはずです。あちこちで大声が聞こえ、車のクラクションや工事の音、あたり一帯が騒音だらけと感じるほどです。
ですがカンボジアに移住するならば考え方を変えてください。全世界で考えた場合、東南アジアは決してうるさくありません。世界標準で考えれば日本が異常かつ異様に静かなだけで、グローバルスタンダードに近いのはむしろカンボジアの方です。
例えば電車や地下鉄の中で携帯電話で話をして白い目で見られるのなんて世界中で日本くらいなものです。子供の声がうるさいから保育園作るなとか、車のクラクションはうるさいからできるだけ使わないようにしようとか、オンリージャパンのクレイジーガラパゴスです。
カンボジアがうるさいのではなく、日本が静かすぎるのです。世界標準から乖離しているのはむしろ日本です。そんな日本人がカンボジアにやってきて、グローバルスタンダードなカンボジアの人たちに静かにしろと言うだなんて喜劇も良いところ。イヤなら日本に帰れよと一蹴されて終わりです。
とは言うものの、やっぱりうるさいのはイヤですよね。私自身も近所に保育園ができたら自宅を二束三文で売り払って速攻で転居するほど騒音が苦手です。平均的日本人よりもはるかに騒音に対して神経質です。そんな私がシェムリアップで騒音にどのように対処したかを紹介します。
騒音の主要発生源
まずは騒音がどこで発生しているかを考えてみます。実はシェムリアップはあらゆるところが騒音の発生源というわけではありません。例えば、車のクラクションはほとんど聞こえません。のんびりおっとりのカンボジア気質のためかもしれませんが、主要道の国道6号線が朝晩渋滞していてもクラクションはほとんど聞こえません。私の見たところ騒音の主な発生源は以下の通りです。
カンボジア人が集まるところ
彼らは日本人に比べると限りなくゼロと言ってよいほどうるさいという状態を苦としません。自らが苦としないのですから、それが人に迷惑をかけるという意識はゼロです。で、実際誰も迷惑に感じていません。笑
ですのでカンボジア人がたくさん集まるところは必ず騒音の発生源となります。市場とか、病院の前とか、カラオケ屋とかインターネットバーとか。そういった人が集まるところは必ずうるさく騒々しいです。
観光客が集まるところ
カンボジア人に比べればマシですが、日本人以外の外国人もうるさいです。中国人だけではなく欧米人、特に若い子たちはうるさいです。お酒が入って、盛り上がって、ひょっとするとドラッグも入ってたりすると、ノリノリの大騒ぎになります。
そんな困ったちゃんたちが集まる場所、それは海外からの観光客が特に夜に集まるエリアです。パブストリートやオールドマーケット、ナイトマーケットなど、市の中心部は夜の騒音スーパー発生源です。
子供が集まるところ
最近では日本でも大声で騒ぐバカ子供と、ろくに躾もしないバカ親と、バカ孫を温かい眼差しで見守るバカ祖父母が激増していますので、以前に比べれば公共の場での子供による騒音が目立ってきました。ですがいくら日本人の民度が低下しようとカンボジアに比べればマシです。
これは良し悪しではなく文化の違いなのですが、カンボジアには子供は静かにすべきという概念がそもそも無いように見受けられます。大声で騒いでいても誰も何も言いません。ですので子供が集まるところは自動的に騒音源です。小学校なんて騒音テロリスト養成施設の如しです。
ライブ会場
敬虔な仏教徒であるカンボジア人ですが、若者が好むものは洋の東西を問いません。市の中心部もそうですが、郊外の大きな広場でも飲料やビールなど若者を顧客ターゲットとするメーカーが週末にライブを開催したりします。
シェムリアップは田舎町ですので老若男女を問わずみんな寝るのが早いので夜の10時にもなれば終わるのですが、クラブ系のミュージックをノリノリの大音響で周囲に撒き散らしてくれます。
建設現場と解体現場
シェムリアップのような地方都市では建築物はせいぜい3階建てが良いところです。手作業でレンガを積み上げていくだけですので、重機を使って建設する日本に比べれば静かなものです。ですが、防音ネットなどあるわけもなく、周囲への配慮もありません。
それ以上に騒音源として大きいのは解体現場です。グッチャンガッチャンと力技で解体していきますのでうるさいことこの上ないです。
お寺
日本人にとって寺社仏閣というのは荘厳で静寂な場所です。ですがカンボジアでは違います。賑やかな場所です。
もちろん24時間365日ずっとというわけではありません。しかし、仏事がある日は早ければ朝の4時過ぎから読経が流れます。スピーカーを使って大音響でです。日本のように辛気臭くなくむしろリズミカルで明るいのが救いではありますが、早朝から大音響の読経で起床を促されるのはなかなかヘビーです。
部屋探し時のチェックですべてが決まる
初めに書きました通り、うるささについては日本人が世界のマイノリティです。カンボジア人のほうがグローバルスタンダードです。ましてやカンボジアはカンボジア人の国です。郷に合わせなければならないのは我々日本人です。
ですので、住む場所を決めてから騒音の発生源を排除することは不可能です。子供を静かにさせろと言っても、この人どうしたの?と奇異の目で見られるだけです。ライブをやるなと言ってもやります。お寺に読経を止めろなんて言った日には、簀巻にされてトンレサップ湖に投げ込まれること間違いなしです。
あとから気づいてももう遅いのです。ですので、部屋を探す際には周囲を徹底的に調査してください。最低でも目当ての物件から半径500m以内、騒音に特に神経質な方は半径1km以内のすべての路地を歩いてチェックすることをおすすめします。
どうしてもチェックもれは出る
私が部屋を探した時は半径500m以内の路地を1本残らずすべて歩いてチェックしました。うるさいのが大の苦手でしたのでかなり神経質にチェックしました。ですが、物件自体が気に入ったために心にすきがあったのか、やはりチェックが甘かったです。
まずお寺が1件ありました。1件くらいなら大丈夫かなと思ったのですが、頻度はかなり低いですがたまに大音量モーニング読経があります。
チェックもれだったのが隣の家でした。小さい子供が3人いました。これは気付かなかった。ギャースカうるさいです。末っ子がまだ幼稚園に上がっていないので、飛び級制度か何かで早く幼稚園児になって欲しいです。
そしてノーマークだったのが空き地でした。500mほど離れた場所と1kmほど離れた場所の2ヶ所。ここが週末にライブ会場になるとは想定外でした。早ければ日が暮れる前から重低音が鳴り響きます。遅くとも10時前には終わりますし、毎週末というわけではないのですが、やはりうるさいのはうるさいです。
騒音があるときの対策
それなりに事前対策を打ったつもりだったのですが、すべての騒音から逃れることができなかった私は結局どうしたかといいますと、さすがにさらに引っ越すのはやめました。騒音以外の条件はほぼすべて希望通りだったからです。
また、うるさいとは言っても読経とライブは毎日あるわけではありません。隣のガキンチョも上の2人は昼間の半分は幼稚園に行っていますし、下の子も昼寝をしている時間が長いですし、夜は割りと早く寝てくれますし、なんとか許容範囲です。
ただ、深夜までライブが続くときはさすがに厳しいです。ただでさえ暑くて寝づらいのに、重低音が部屋に響き渡るととても眠れたものではありません。そんな時に使っているのがノイズキャンセラータイプのイヤフォンです。
ノイズキャンセラーというのは騒音と逆位相の音波を出すことで騒音を小さくさせることです。夜間の飛行機に乗る機会が多かった時に買って使っていたのですが、まさかカンボジアで大活躍する日が来るとは思ってもいませんでした。
500m離れた場所でのかなりはっきり聞こえる重低音のライブサウンドなのですが、このイヤフォンを使うと一切聞こえなくなります。高音は比較的通ってしまうのですが、それでも隣の家の子供たちの声はほとんどシャットアウトします。耳を澄ませればかすかに聞こえる程度です。読経はもちろん100%カットです。
ちょっとというか、かなりお値段の高い商品なのですが、バリューフォーマネーで考えると安いです。スペックは感動するくらい高いです。普通の方はともかくとして、うるさいのが人一倍苦手という方には強くおすすめします。ノイズキャンセリング機能だけならスマホにつながずイヤフォン単体だけで使えます。