安いのにはワケがある

セブパシフィック航空はLCC(格安航空会社)です。日本航空やフィリピン航空などレガシーキャリアと呼ばれる普通の航空会社(以下、レガシー)と比べて格安なチケット代を特長としています。フィリピンを含む東南アジアではLCCは非常に一般的な航空会社であり、フィリピンやマレーシアなどではセブパシフィック航空やエアアジアなどのLCCがその国で最も大きな航空会社となっています。

セブパシフィック航空

日本でも2012年にピーチアビエーションなどのLCCが運行を始め、LCCの認知度が急激に上がってきました。LCCを使ってやすい旅行を楽しむ人も増えています。同時にLCCを利用するにあたってのトラブルも起こっています。荷物が少し重量オーバーしただけで追加料金を取られたとか、少し遅れただけで乗れなかったとか、遅れたのに何も補償がなかったとか。

しかしこういったトラブルのほとんどは利用する乗客の不理解が原因です。LCCがレガシーより安いのはレガシーとは違うからです。LCCはレガシーと違うやり方をすることで安さを実現しているのに、そのLCCに対してレガシーと同様のサービスを求める。トラブルのほとんどはこれが原因です。

安さには必ず理由があります。理由のない安さなどあり得ません。LCCがどのようにして安さを実現しているのかを正しく理解して、セブパシフィック航空を上手に利用してください。

予約方法などの違い

予約はインターネットのみ

チケットを予約する際にレガシーであれば、インターネット予約の他に電話で予約したり旅行会社でチケットを購入したりできます。しかしこういった予約方法にすると、電話予約の対応をするスタッフを配置しなければいけませんし、旅行会社に販売手数料を支払わなければなりません。

そこでセブパシフィック航空ではチケットの予約は自社サイトのインターネットのみとしています。ネットでの予約がよく分からないので窓口で予約しようと思っても、セブパシフィック航空の予約窓口は日本にはありません。

フィリピン国内には予約窓口がありますが日本語での対応はしていません。また、電話での問い合わせ窓口も日本にはなく、フィリピンの電話問い合わせ窓口で対応しているのは英語とタガログ語だけです。

キャンセル料などが高い

搭乗日などを変更する場合、レガシーの普通のチケットであれば無料で変更できます。ですが、変更やキャンセルを認めるとその作業にコストがかかりますし、いつまでたってもチケットが売り切れません。

キャンセル料

そのためセブパシフィック航空では予約の変更料やキャンセル料が非常に高くなっています。例えば日本発のチケットをキャンセルする場合の手数料は10,000円です。

しかもこれは片道あたりの料金ですので、東京からマニラの往復チケットをキャンセルするとキャンセル料として20,000円取られるということです。

こんなに取られるとわざわざ格安航空会社のチケットを買った意味がなくなります。ですのでセブパシフィック航空のチケットを予約するときには、絶対に変更もキャンセルもしないつもりで予約すべきです。

座席の指定は有料

チケットは安くして、その代わりにそれ以外のところでいろいろと料金を取ろうというのがLCCの考え方です。レガシーならば座席の指定は無料でできますが、セブパシフィック航空ではもちろん有料です。

座席指定料金

座席の指定はインターネットでチケットを予約する際にできますが、日本発のフライトで指定する場合は片道あたり700円です。

さらに、乗り降りがしやすい機内前方の席や、非常口横の足元が広い席を指定する場合は、割増料金の1,000円となります。

こういった細かいところでちょこちょこと課金するのがLCCです。LCCで本当に格安の費用にしようと思ったら、こういったレガシーでは無料で当たり前のサービスを一切期待しないようにしましょう。

チェックインカウンターでの違い

カウンターを開ける時間

レガシーの場合は運行時間中はチェックインカウンターに常に人がいます。ですがそれは常に人件費を負担しているということです。そんなことをするとその人件費を運賃に反映させなければならず、安いチケット価格を実現できません。

このため、セブパシフィック航空のチェックインカウンターにはチェックインを行う時間帯以外は誰もいません。早めに行って分からないことを聞くといったようなことはできません。

また、カウンターを開ける際もコスト削減のため必要最小限の人員しか配置しません。このため、セブパシフィック航空のチェックインカウンターには、チェックインする乗客の長蛇の列ができているのが普通です。レガシーのように短時間でスムーズにチェックインすることはできません。

機内預け荷物は有料

スーツケースなど大きな荷物をチェックインカウンターで預ける場合、レガシーでは20kgまでといった制限付きですが無料で荷物を預けることができます。しかしセブパシフィック航空のようなLCCでは荷物の機内預けは有料です。

機内預け荷物料金

例えばレガシーなら無料の20kgまでの荷物の機内預けですが、セブパシフィック航空では日本発のフライトの場合は1,600円かかります。

さらにこれはインターネットで予約する際に荷物預け料金を事前払いした場合の「割引」料金です。事前払いせずに空港に行って当日申し込みで預けた場合は、20kgですと超過料金も含めて16,000円かかります。

セブパシフィック航空ではこういった追加料金を収入源にするとともに、別料金を払わずに済まそうと乗客に思わせることで乗客が機内に預ける荷物を減らし、そうやって貨物輸送のスペースを広めに確保することで貨物輸送収入を増やそうとしているのです。

重量オーバーに非常に厳しい

荷物の重量がオーバーしてしまった場合、1kgや2kg程度のオーバーであればレガシーは見て見ぬふりをしてくれます。しかしLCCにとって重量の超過料金は重要な収入源です。重量制限を厳格に適用させ、超過料金をきっちりと徴収します。

荷物の超過料金

そしてこの超過料金が非常に高いです。例えば成田発マニラ行きの場合、1kgあたり2,800円です。仮に1.5kgオーバーすると2kg以内のオーバーですので5,600円支払うことになります。

また、重量オーバーは機内持ち込みの手荷物にも適用されます。セブパシフィック航空では7kgまでの手荷物は無料で機内に持ち込むことができますが、これも重量オーバーすると成田発では1kgあたり2,800円取られます。

重量オーバーに厳しいのはセブパシフィック航空に限ったことではありません。LCCはどこでもそうです。ですので、荷物の重量についてはレガシーを利用するときと同じような気持ちでいると痛い目に遭うことになります。

紙のチケットがない

チェックインした時にレガシーであれば少し厚めの紙のチケットが渡されます。しかしセブパシフィック航空のようなLCCでは、このような紙切れ1枚もコストカットの対象です。座席番号が書かれたレシートのような薄っぺらい搭乗券が渡されるだけです。

マイレージがない

紙切れ1枚のコストまでカットするのがLCCです。マイレージなど当然ありません。

搭乗の際の違い

遅れても待ってくれない

LCCというビジネスモデルで非常に重要なのが機材の効率的な運用です。飛行機が空港に停まっている間、その機材は1円の利益も生み出しません。1つの機材が1日に3回飛べば、1回しか飛ばない場合より売上げは3倍になります。

ですので、LCCは空港に着陸すると1分でも早く次のフライトに飛び立とうとします。レガシーならば次のフライトまで数時間飛行機が止まっていることもありますが、セブパシフィック航空の場合は最短20分で次のフライトに出ます。

そこまでして経営効率を上げることで安いチケットを実現させているわけですから、遅れてやってきた乗客を待つようなことは当然しません。チェックインカウターもボーディングゲートも定刻になると情け容赦なく閉じられます。乗り遅れても運賃の返金は一切ありません。

ボーディングブリッジを使わない

沖止め

レガシーであれば出発フロアからボーディングブリッジを使って直接飛行機に搭乗します。しかし、ボーディングブリッジを使うには空港に使用料を支払わなければならず、コストアップにつながります。

また、ボーディングブリッジを使うと飛行機をバックで誘導路まで進めるため、トーイングトラクタという特殊な車両を使います。これももちろん使用料がかかります。

このため、セブパシフィック航空はほとんどの空港でボーディングブリッジを使いません。ボーディングブリッジがある空港でも、ボーディングブリッジの途中から階段で地上に降り、そこから歩いて飛行機まで行きタラップを上って搭乗させるほどです。

機内サービスの違い

食べ物、飲み物はすべて有料

レガシーに乗れば機内食やビール、ソフトドリンクなど様々なサービスが無料で提供されます。しかしセブパシフィック航空では機内の空気とトイレットペーパー以外にタダのものは一つもないと思ってください。

機内食

機内食はもちろん有料です。インターネットでチケットを予約する際に注文します。ジュースやビールも無料ではありません。機内で有料で販売されます。さらに水も有料です。無料の水はトイレで手を洗う水だけです。飲み水は機内でお金を払って買います。

機内食を無料で出しているとその分のコストをチケット価格に反映させなければなりません。それだけではありません。短時間に機内で乗客すべてに機内食を提供し、食器を回収しようと思うと、1回のフライトに搭乗させる客室乗務員の人数を増やす必要があります。それもコストアップにつながります。

ここまで徹底してコストカットしているからLCCのチケットは安いのです。それゆえ、チケットが安いLCCにレガシーのような無料の機内食を求めること自体がナンセンスなのです。

毛布も枕も有料

レガシーでは無料の枕や毛布、ブランケットもLCCでは有料です。貸すだけなんだからタダで良いじゃないかと思うでしょうがそうではありません。

まず、備品として揃えるための初期費用が発生します。機内に持ち込む作業も発生します。乗客が使ったら洗ってたたんで備品置き場に戻しに行かなければなりません。枕一つ乗客に貸し出すのにもそれ相当のコストがかかっているのです。レガシーではそのコストをチケット代に反映させているから無料で貸してくれるだけのことです。

セブパシフィック航空の場合、枕や毛布の貸し出しはありません。機内で有料で販売しています。

エンターテイメントは一切なし

レガシーでは当然のようにある液晶モニタもありません。自分の座席のモニタで飛行中に映画やゲームを楽しむことはできません。イヤホンを使っての音楽提供もありません。あるのは薄っぺらい雑誌1冊だけで、中はすべて英語です。

座席の間隔が狭い

LCCでは1回のフライトで少しでも多くの乗客を運ぼうとします。1回のフライトにかかる燃料費は同じですから、1人でも多く乗せて1円でも多く運賃を稼ごうとするのは当然のことです。

このため、LCCの座席はレガシーに比べて前後幅がかなり狭くなっています。座席で足を組むのも一苦労という狭さです。

また、セブパシフィック航空も含めてLCCの座席は革張りであることが多いです。これは乗客へのサービスではありません。乗客がジュースをこぼした場合などサッとひと拭きするだけで済み、布製の座席よりも清掃作業にかかる時間を削減できるからです。

トラブルへの対応の違い

遅れなどへの補償が一切ない

例えば午前のフライトが天候不良で午後に変更になった場合、レガシーでは昼食を無料で提供してくれたりします。フライトが翌日に延期になった場合は空港の近くのホテルを無料で手配してくれることもあるでしょう。

しかし、セブパシフィック航空のようなLCCでそんな対応は絶対にあり得ません。なぜならば、セブパシフィック航空は悪くないからです。ほとんどの人が読んでないでしょうが、航空会社の利用契約の中には2点間の輸送を保証すると書かれているだけで、日程通り、時間通りの輸送を保証するとは書かれていないからです。

ですので、1時間遅れようが翌日に変更になろうが、運輸契約上はセブパシフィック航空に責任は一切ないのです。最初から輸送についてしか保証しません、日時は保証しませんと言っているわけで、セブパシフィック航空に言わせれば、お約束通りでしょ、ということです。

実はセブパシフィック航空に限ったことではありません。レガシー各社もだいたい同じような契約内容です。でもレガシーは元から運賃を割高に取っているので、自社のイメージを守るために乗客に対して手厚い対応をしているのです。

しかしもともと限界コストでやっているLCCにそんな手厚いサービスをする余裕はありません。フライトキャンセルになった場合に、最も早い次のフライトに振り替えはしてくれます。しかし、それを待つ間に食事をするのも、振り替えが翌日なのでホテルに泊まる費用も、すべて乗客の負担です。

乗り継ぎ保証もない

また、セブパシフィック航空の予約サイトの注意書きによく書かれているのが「2点間の輸送に特化した航空会社」という表現です。マニラからセブとか、セブからバコロドとか、そういった2点間の輸送を専門にやる航空会社という意味です。ですがこの表現はもう1つの意味を持っています。それは「2点間に特化しているので、3点間の輸送には責任を持たないよ」という意味です。

例えば、成田からマニラ経由でセブに行くチケット、つまり、成田からマニラと、マニラからセブの2枚のチケットを予約したとします。もし成田からのフライトが遅れてセブ行きのフライトに間に合わなかった場合、もしレガシーならば自社の次のセブ行きのフライト、それがなければ他社のセブ行きのフライトを無料で手配してくれます。

しかしセブパシフィック航空はそういうことはしません。なぜならば、輸送を保証するのはあくまでの2点間だけだからです。成田からマニラ、マニラからセブはそれぞれ保証しますよ。でも、成田、マニラ、セブとうい3点の輸送は保証できませんよ、ということです。

これもセブパシフィック航空の利用規約の中に明確に書かれています。ですので100%セブパシフィック航空の落ち度でマニラへの到着が遅れた場合であっても、乗れなかったセブ行きのチケット代の返金はありませんし、別のセブ行きのフライトを無料で手配してくれることもありません。その場で自分のお金で次のセブ行きのチケットを買うしかありません。

遅れが多い

セブパシフィック航空のようなLCCは遅れが非常に多いです。それには理由があります。

上の方に書きましたがLCCにとって機材の効率的な運用が非常に重要です。このため、空港に着陸したら最短の時間で次のフライトに飛び立ちます。これはつまり、余裕のないギリギリのスケジュールを組んでいるということです。

仮に30分遅れたとしましょう。これがレガシーであれば、2時間の予定であった空港での待機時間を1時間30分に短縮することで遅れを取り戻すことができます。また、拠点空港であればいざというときのために予備の飛行機を待機させていますので、その機材に変更することで遅れを取り戻すこともできます。

しかしLCCは最初からギリギリのスケジュールを組んでいますし、1円も生み出さない予備の機材など準備していません。このため、いったん遅れが発生すると、その日のすべてのフライトが終了するまで玉突き的に遅れが続き、それは得てして拡大します。ですので、LCCはレガシーに比べて遅れが非常に多いです。

LCCは上手に賢く使うもの

以上で見てきた通り、セブパシフィック航空のようなLCCは様々な面でレガシーとは異なります。様々な面で違いを作ることで安いチケットを実現させているわけです。ですので、LCCを利用する場合にはこういった違いがることをよく理解し、乗客としてできるLCC対策をしたり、シーンに応じてLCCとレガシーを使い分けることも必要です。

例えば機内食がないことが最初から分かっているのですから、家で食べてくれば良いのです。空港内の飲食店で食べても良いでしょうし、空港内のコンビニでお弁当を買ってきて、ベンチに座って食べて安く済ませることもできるでしょう。

無料の毛布がないならば、自宅から薄めのブランケットやカーディガンを持ってくるという方法もあります。エンターテイメント設備が一つもないのであれば、本を持ってきて読むなり、ポータブルのゲーム機を持ってくるなり、時間のつぶし方はいくらでもあるはずです。

荷物についてもオーバーしたら何千円どころか下手したら1万円以上取られることが初めから分かってるのですから、家で何度も測ってから空港に来れば良いだけの話です。

また、乗り継ぎの保証がないのですから、どうしても確実に乗り継ぎたい場合は割高になってもレガシーを使うべきでしょう。また、最初から乗り継ぎをする都市の安いホテルで1泊することにして、遅れた場合にも対応できるようにするというのも一つの手です。

最悪なのはLCCのことをよく知らずに安さだけに飛びつき、後でブークサ文句を言うことです。レガシーと同じでレガシーより安くなるはずがないのです。違いがあるから安いのです。違いをしっかり理解して、上手に賢くセブパシフィック航空を活用してください。

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