香港エクスプレスが使用する航空機、同社の安全性、過去に起こった事故などについて説明します。
香港エクスプレスが使用しているのは欧州エアバス社のA320型機と、同型機の長胴型であるA321型機です。
エアバスA320シリーズはボーイング737シリーズと並んで、世界で最も多く製造、使用されている小型ジェット機です。日本では全日空の他、ピーチ航空、ジェットスター、バニラエアなどで採用されています。
特に格安航空会社での採用が多く、前述した日本のLCC3社の他、エアアジア、春秋航空、チェジュ航空、セブパシフィックなどでも主力機種として使用されています。
重大事故の発生率はフライト1千万回に1回程度で、非常に安全性が高い航空機としても知られています。
香港エクスプレスは16機のA320型機と4機のA321型機を運用しています。A320型機のうち3機はA320neoという最新鋭機です。
2013年までは他の航空会社で運用実績のある機材を中古機として導入していましたが、2014年以降に導入した機材はすべて新造機です。
香港エクスプレスのような格安航空会社に安全上の不安を感じる理由は「安かろう悪かろう」というイメージだと思います。安いから安全面でも手を抜いているのではないか?というイメージ。しかしこれは完全な間違いです。
機材の整備内容やその頻度など安全面に関わる管理基準は、各航空会社が所在する国の運輸当局が定めています。航空会社が勝手に決めているわけではありません。香港エクスプレスとキャセイパシフィックは同じ基準で検査、整備されているわけであり、ここで手を抜いてコストダウンすることはできないのです。
格安航空会社の安さは無料の機内食をなくすなど、サービスや営業面での徹底したコストカットで実現させています。安全レベルを落として安くしているのではありません。
格安航空会社に対する誤解の一つが、旧式のオンボロ飛行機を使うことでコストを下げているというものです。これも完全な間違いです。
下の表は日本と香港の主な航空会社が所有する機材の平均年齢です。格安航空会社の機材が古いわけではなく、むしろ普通の航空会社より新しいことが分かります。
一般に新しい機材ほど燃費が良くなります。格安航空会社は機材を自社で購入せずリース契約で使用し、契約更新で古い機材を新しいものに換えることで燃費を向上させ、コストダウンにつなげています。
下の表は世界の航空会社の安全性を格付けしているairlineratings.comが発表した安全性評価結果です。7点が最高点です。
香港エクスプレスは日本航空や全日空、キャセイパシフィックなどと同じ7点に評価されています。このことから少なくとも危険な航空会社でないことは明らかでしょう。
香港エクスプレスでは過去に人的被害を伴うような重大事故は起こっていません。
2012年4月19日、香港発台中行きUO162便(ボーイング737-800型機、乗員乗客129名)が香港国際空港07R滑走路から離陸して数分後、機体に雷を受けました。
同機は燃料放出のため空中待機に入り、着陸可能な重さまで機体重量を減らした後、離陸から1時間後に07L滑走路に安全に着陸しました。そして着陸から2時間半後に再出発し、予定より4時間半遅れで台中に到着しました。この事故で乗員、乗客に怪我はありませんでした。
なお、当時香港エクスプレスはエアバスA320シリーズに機材の統一を進めていたため、事故に遭った機材(737-84P、製造番号37953/3299)は2013年1月に海南航空に売却され、現在でも同社で運用されています。
2017年4月15日、大阪関西空港発香港行きUO1845便(エアバスA320-271N型機、乗員乗客194名)が大阪府の南西240km、高度36,000フィートを飛行中に、第2エンジン(右翼側)の不具合を示す計器表示が出たため、同エンジンをアイドリング状態にした上で、出発から1時間20分後に大阪空港に戻りました。
乗員、乗客に怪我などはありませんでしたが、フライトはキャンセルされました。同機は着陸から37時間後に運用に戻りました。