チェジュ航空の航空券が普通の航空会社に比べてなぜ安いのかを説明します。
コストがかかると運賃を上げなければなりません。チケットを少しでも安く売るため、チェジュ航空はコストの削減を徹底しています。
チケットの販売を予約センターなどで行うと、そこで働く人たちの人件費が発生します。旅行会社に販売を委託すると、販売手数料を払わなければなりません。
そこで、チェジュ航空ではウェブサイトやアプリを使った、インターネット販売を中心にしています。予約センターや空港での販売に手数料をかけているのは、消費者をネットでの購入に誘導するためです。
普通の航空会社では機内の清掃は専門の業者に外注します。そうすると当然そこでコストが発生します。このためチェジュ航空では、客室乗務員が機内の清掃を行っています。
チェジュ航空では機内食は事前の予約制で、機内で注文することはできません。機内で注文できるようにするためには在庫を持たなければならず、売れ残るとそれらがすべてロスになるからです。
チェジュ航空の機材はボーイング737-800型機だけです。機材を一つに絞ることで、航空機メーカーから購入する量が増え、値引きなどの交渉力が増すからです。また、整備費や部品の在庫などメンテナンスにかかるコストも抑えられます。
さらに、パイロットは機種ごとにライセンスが必要ですので、機材を単一にするとすべてのパイロットがすべての機材を運行できることになり、乗員のやり繰りなども効率的に行なえます。
「普通の航空会社は機内食が無料」と思われていますが、これは完全な間違いです。運賃に機内食代がはじめから含まれているだけです。これら運賃に最初から含まれている付加サービスを外してやれば、運賃を安くすることができます。
そこでチェジュ航空では、機内食や飲み物、機内に預ける手荷物、毛布、映画やゲームなど、付加サービスを運賃からすべて外しています。
機内食代は運賃に含まれていないので、食べたい人には機内食代を別に払ってもらう。そうすることで運賃本体を安くしています。
収益性を高めれば運賃を安くすることができます。
座席指定料金がプラスの収益となります。足元の広い座席の指定料金を他よりも高くするなど、さらに収益を高める工夫もしています。
一つの機材が仁川空港と成田空港の間を一日中往復するとします。成田に着いて1時間後に出発するのと、3時間後に出発するのとでは、1日に往復できる回数が違ってきますよね。
一つの機材が1日に10往復するのと5往復するのとでは、一つの機材、パイロットや客室乗務員1チームで1日に稼げる金額が倍違ってきます。折り返しにかかる時間を短くするほど、収益性は高くなるということです。
このためチェジュ航空では、大韓航空やアシアナ航空では折り返しに1時間から1時間半かけるところを、50分から1時間で済ませています。
成田空港や関西空港を午前9時頃に出発する、大韓航空やアシアナ航空の便があります。これらは前日の夜に成田や関空に到着し、翌朝に韓国に戻っていきます。
このような運用をすると乗務員の宿泊費や各種手当が発生します。チェジュ航空ではこういったコストを発生させないため、基本的に運行の最後は韓国に機材を戻すようにしています。
一つの機材を飛ばすのにかかるコストは、乗客が増えても減ってもそこまで極端には変わりません。ならば、一つの機材に少しでもたくさんの乗客を乗せたほうが収益は上がりますよね。
そこで、同じボーイング737-800型機を使う大韓航空では、エコノミー席の前の座席との間隔が32~34インチなのに対して、チェジュ航空では29~31インチと狭くすることで、より多くの乗客が乗れるようにしています。
少しでも多く乗せると収益性が上がる。逆に言うと、乗る人が減ると収益性が下がるということです。乗る人が減らないように、乗るのをやめにくくするように、チェジュ航空ではキャンセル料を高めに設定しています。