信託と信託受益権はソーシャルレンディングなどでも使われています。
特に信託はたまに耳にしますが、実はよく分かっていないという人も多いのでは?
そこでこの記事では信託と信託受益権を初心者向けにやさしく詳しく解説します。
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信託とは?
それでは信託の解説から始めます。
資産運用の仕組みの名前
信託とは資産運用の仕組みの名前です。
どんな仕組みなのか簡単な例で説明します。
信託の基本例
老夫婦が老人ホームに入ることにしました。
そこで、これまで住んでいた家を信託銀行に渡し、シェアハウスとして運営してもらう。
そして、生じた利益を東京でひとり暮らしをしている大学生の孫に学費として渡してもらうことにしました。
- 老夫婦が信託銀行に家を渡す
- 信託銀行はシェアハウスとして運営
- 利益は孫に渡す
これが信託の基本例です。
信頼できる相手に託す
さきほどの例で何をしているのかと言う、
- 信頼できる相手に財産を託し
- 事前に合意したルールで管理、運用してもらう
老夫婦に不動産運用のノウハウはありません。
なので、信頼できる相手に託して代わりにやってもらう。
「信頼できる相手に託す」、だから「信託」です。
信託の基本用語
さきほどの例を使って信託の基本用語を説明します。
- 委託者:財産を託す人(老夫婦)
- 受託者:託された財産を管理運営する人(信託銀行)
- 受益者:生じた利益を受け取る人(孫)
- 信託財産:信託された財産(家)
これらを使って信託を説明すると、こうなります。
- 信託:
- 委託者から託された信託財産を
- 受託者が事前合意に基づき管理、運営し
- 生じた利益を受益者に給付する仕組み
なんとなく分かったと思いますので、もう少し身近な例で復習しましょう。
代表的な信託は投資信託
私たちに最も馴染み深い信託は投資信託です。
オルカンもSP500も信託
つみたてNISAでeMAXIS SlimのオールカントリーやS&P500に投資している人も多いでしょう。
これら投資信託も信託です。
- 投資家(委託者)が
- お金(信託財産)を
- 投信会社(受託者)に託し
- 利益が投資家(受託者)に給付される
信頼できる受託者に信託財産を託し、管理、運用してもらう。
まさに信託です。
さっきの図と違うくない?
自益信託と他益信託
投資信託では委託者と受益者がともに投資家です。
このように委託者と受益者が同一であるものを自益信託といいます。
一方、最初の老夫婦の例のように、委託者と受益者が別であるものは他益信託です。
- 自益信託:委託者 = 受益者
- 他益信託:委託者 ≠ 受益者
ここまで信託の基本でした!
信託のメリット
わざわざ信託を使うのは信託にメリットがあるからです。
管理や運用をプロに任せられる
信託の最も大きなメリットは財産の管理や運用をプロに任せられることです。
株や債券は投信会社に
僕もつみたてNISAでオルカンを買っていますが、自分で世界中の株を買うなんて無理です。笑
でも、信託を使えば株の選別や購入をプロに丸投げできます。
丸投げする代わりに投信会社に払う手数料が信託報酬です。
不動産は専門業者に
同様に老夫婦にシェアハウスの運営なんて無理です。
なので、信託銀行に代わりに運営してもらいます。
実は信託銀行は不動産のプロで、不動産の管理、運用を主力業務としています。
安全性が高い
所有権は受託者に移動する
委託者が信託財産を受託者に信託する際、信託登記と所有権移転登記を行います。
これにより、信託財産は受託者のものとなります。
つまり、所有権が委託者から受託者に移動し、信託財産の名義は受託者となるのです。
使い込まれたらどうするのよ!
分別管理義務
所有権が移ったからといって、受託者が勝手に使って良いわけではありません。
受託者には信託財産を自身や他の委託者の財産と分けて管理することが義務付けられています。
これを分別管理義務といいます。
倒産隔離機能
また、信託財産の所有権は受託者に移るものの、受託者自身の財産とは独立したものと扱われます。
受託者からも委託者からも分離された状態です。
このため、受託者や委託者が破産しても、債権者は信託財産に対して強制執行を行うことはできません。
つまり、信託財産は受託者、委託者の倒産の影響を受けないということです。
これが信託の倒産隔離機能です。
こういった仕組みによって信託の安全性が確保されています。
安全にプロに任せます!
信託受益権とは?
次に信託受益権の説明です。
利益を受け取る権利
信託財産から発生する利益を受取る権利
信託受益権とは信託財産から発生する利益を受け取る権利のことです。
老夫婦の自宅から発生する利益を孫が受け取る権利、オルカンの分配金を投資家が受け取る権利、いずれも信託受益権です。
所有権と分離
信託受益権の大きな特長は、信託財産の所有権と切り離されることです。
ですので、信託財産の所有権が受託者にある状態のままで、信託受益権を売買することもできます。
仕送り受け取り権だけ売買できる。
不動産信託で活用
信託受益権が最も有効に使われているのが不動産信託です。
不動産投資に信託を活用
不動産信託とは次のような仕組みです。
- 不動産会社などが不動産を開発
- 不動産を信託銀行などに信託する
- 信託銀行などが管理、運用する
- 利益が発生する
- その利益の信託受益権を投資家などに販売する
なんでそんな面倒なことを?
面倒の逆です!
受益証券
信託受益権(利益を受け取る権利)を証明する紙(または相当するもの)を受益証券といいます。
受益証券は株や社債と同様に売買したり小口化したりできる有価証券です。
信託受益権の売買は受益証券の売買によって行われます。
信託受益権で不動産投資が簡便に
銀座の100坪の土地を1坪ずつ100人の投資家に売るとしましょう。
そのためには100坪の土地を100区画に分けなければなりません。
めちゃくちゃ手間ですし、登記費用などコストもかかります。
でも、その土地を信託すれば、信託受益権を100口に分割し、100人の投資家に販売するだけで済みますよね?
取引の手間と費用を大幅に削減することで、現物不動産よりも格段に取引しやすくなる。
不動産信託と信託受益権は不動産取引に非常に適したツールなのです。
確かに!
受益証券発行信託
なお、不動産信託のように受益証券を発行する信託を受益証券発行信託といいます。
この受益証券発行信託の仕組みを活用しているのがSTOのALTERNA(オルタナ)です。
ソーシャルレンディングへの活用
信託受益権はソーシャルレンディングでも活用されています。
それがbitREALTYです。
bitREALTYではSPC(下図では合同会社KRF103)が不動産信託受益権を取得します。
その取得費用を別のSPC(下図では合同会社BRD3)が融資するのですが、その融資するお金を投資家がbitREALTYを通じて出資します。
投資家のお金は2つのSPCを経由して不動産信託受益権の取得に使われているのです。
ソシャレンで信託受益権を使っているのね。
信託と信託受益権のまとめ
それでは最後に信託と信託受益権の要点をまとめます。
信託のまとめ
信託は資産運用の仕組みの一種です。
基本的な用語
- 委託者:財産を託す人
- 受託者:託された財産を管理運営する人
- 受益者:生じた利益を受け取る人
- 信託財産:信託された財産
- 信託報酬:委託者が受託者に払う手数料
信託は資産運用の仕組み
- 委託者が信託財産を受託者に託す
- 受託者が信託財産を管理運用する
- 生じた利益を受益者に給付する
信託の代表例
- 投資信託(自益信託)
- 老夫婦が自宅で孫に仕送り(他益信託)
信託のメリット
- プロに管理運用してもらえる
- 不動産を信託銀行などに
- お金を投信会社に
- 安全性が高い
- 分別管理義務
- 倒産隔離機能
信託受益権のまとめ
利益を受け取る権利
- 信託財産から発生する利益を受け取る権利
- 老夫婦の自宅から発生する利益を受け取る権利
- オルカンの分配金を受け取る権利
- 所有権と分離される
- 所有権と信託受益権を切り離し
- 信託受益権だけで売買できる
不動産信託
- 不動産信託受益権を受益証券化
- 小口化して投資家に販売
- 取引の手間と費用を大幅に削減
しっかり理解して安全な投資を
以上、信託と信託受益権について解説しました。
信託と信託受益権は多くの投資商品で活用されています。
現状ではソシャレン、クラファン投資家に関係する投資商品はALTERNA(オルタナ)とbitREALTYだけですが。
これから似たような商品が出てくる可能性はありますよね?
よく分からずに手を出すと大きなリスクを背負いかねません。
あとから後悔しないように、信託と信託受益権をしっかり理解して安全な投資をしましょう。
以上です!
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