億円案件を連発しまたたく間に人気業者となったLEVECHY。
ただ、現在募集中の8号案件については今ひとつ応募が集まっていません。
その背景には8号案件の分かりにくさ、説明不足、情報公開不足があると考えます。
今回はLEVECHY8号案件に感じる疑問と問題点の深掘りです。
なお、本稿の論旨はサイト及び成立前書面での説明不足、情報不足です。
8号案件自体の良し悪し、投資の是非を問うものではないことを予めご了解ください。
それでは見ていきましょう!
CAPIMAで現金1,000円プレゼント中です♪
タップできる目次
LEVECHY8号案件の概要
最初にLEVECHY8号案件の概要を簡単に紹介します。
LEVECHY8号案件の募集条件
- 利回り:8%
- 運用期間:12カ月
- 募集総額:8億7,693万円
- 募集方式:抽選
- 募集期間:2024年1月5日~29日
キャピタルゲイン型の案件
千代田区神田駿河台のオフィスビルを投資対象とします。
高値での売却を目指すキャピタルゲイン型の案件です。
インカム分もあるよ。
LEVECHY8号案件への疑問
それでは、LEVECHY8号案件について僕が疑問に感じる点を述べていきます。
5億円は何に使うのか?
用意する資金は28億5,277万円
LEVECHY8号案件では28億5,277万円の資金を集めます。
内訳は以下の通りです。
- 融資:19億5,000万円(貸金業者から)
- 優先出資:8億7,693万円(投資家から)
- 劣後出資:2,583万円(レベチーから)
- 資本金:1万円
倒産隔離のために特別目的会社(SPC)を設立しますが、このSPCの資本金が1万円です。
5億円が浮く
成立前書面によるとオフィスビルの取得価格は23億6,000万円です。
ってことはですよ、
- 集めた資金:28億5,277万円
- 物件取得費:23億6,000万円
- → 差額:4億9,277万円
約5億円が浮くことになります。
何に使うの?
何に使うのか?
成立前書面では各資金の使途を以下のように定めています。
- 融資:対象不動産の取得
- 優先出資:本事業の遂行
- 劣後出資:本事業の遂行
- 資本金:言及なし
資本金については言及がありませんが、不特法の趣旨から考えて本事業の遂行に充てられるでしょう。
融資19億5,000万円は全額を物件取得費23億6,000万円に充当。
不足する4億1,000万円を優先出資から充当。
残った4億9,277万円はどうするのでしょうか?
共有部分のリノベで5億円?
LEVECHY8号案件の説明ページには次の記載があります。
本物件についても、共有部分のリノベーションを行い、賃料の増加と物件価値の向上させる
共有部分のリノベーションで5億円もかかるのか?
投資対象物件の延べ床面積は約2,100平米です。
仮に3割が共有部分として、
リノベ費用は平米あたり78万円。
相場的にこんなものなんですかね?
畑違いなので、さっぱり分からんなぁ。笑
見当がつかないw
準備金はありえない
準備金などの名目で資金の一部を使わずにプールしておくことは、他社案件でも事例があります。
しかし、プールした5億円にも分配金の支払いが発生するわけで。
使わずに置いておくことは考えにくいでしょう。
また、書面で「本事業の遂行に使う」と規定している以上、他の事業に流用することはできないです。
5億円をいったい何に使うのか?疑問が残ります。
金額が金額だけに。
28億円で売れるのか?
28億円で売れないと元本割れ
次に元本償還について考えてみましょう。
融資と出資で集めた28億5,277万円は物件の取得その他で全額使うことになっています。
使った以上、物件を最低でも融資+優先出資の28億2,693万円以上で売却できなければ投資家は元本割れです。
物件の取得価格は23億6,000万円ですので、取得価格の2割増しでの売却が必要となります。
どうやって2割も上げるの?
2割増しで売れるのか?
LEVECHY8号案件では出口戦略は次の2つです。
- 希少性ゆえの早期売却
- リノベーションでの物件価値向上
安値で仕入れたならば転売での2割増しもあり得るでしょう。
しかし、成立前書面によると物件の評価額は取得価格と同じ23億6,000万円です。
短期間で物件価値が2割も上がるのでしょうか?
また、リノベーションは共有部分のみです。
それだけで売却価格が2割も上がるのか?
2つの出口戦略は売却価格2割増しの根拠として妥当なのか、いささか疑問です。
ほんとに上がるのでしょうか?
優先劣後は安全性を謳えるレベルか?
劣後3%は融資抜き
LEVECHYサイトでは8号案件の安全性の理由の一つとして優先劣後構造を挙げています。
本ファンドの劣後出資額は匿名組合出資額の約3%に相当します。
3%という時点ですでに低いのですが、これは記載の通り匿名組合出資総額に対する劣後出資比率です。
- 匿名組合出資総額:9億276万円
- 優先出資:8億7,693万円(97.1%)
- 劣後出資:2,583万円(2.9%)
融資も含めた上での値下げ余地ではありません。
値下げ余地は0.9%
返済の最優先は銀行融資で、投資家の優先出資はその次の返済です。
よって、値下げ余地は劣後出資と出資金だけ。
- 出資総額:28億5,277万円
- 融資:19億5,000万円(68.4%)
- 優先出資:8億7,693万円(30.7%)
- 劣後出資:2,583万円(0.9%)
- 資本金:1万円(0.0%)
つまり、値下げ余地は0.9%です。
少なっ!
0.9%で安全性を謳えるのか?
LEVECHYは優先劣後構造を安全性の理由としています。
しかし、わずか0.9%の値下げ余地は安心材料として訴求するに値するレベルなのでしょうか?
この点については甚だ疑問です。
倒産隔離は有効なのか?
物件は差し押さえられないが
LEVECHYサイトでは倒産隔離も安全性の理由とされています。
確かに倒産隔離により業者倒産時に物件は差し押さえされません。
しかし、倒産絡みとなると有利に売却できるとは限らないでしょう。
高く売れない…
大幅な元本割れの可能性も
万が一、評価額23億6,000万円での売却となると、投資家に戻ってくるのは4億1,000万円だけです。
- 投資家出資額:8億7,693万円
- 投資家償還額:4億1,000万円(46.8%)
戻ってくるのは出資したお金の半分足らず。
53%の元本割れです。
8号案件において倒産隔離が投資家の安全性に有効に機能するのか疑問です。
物件取得以外の使途が多すぎるがゆえに…
LEVECHY8号案件で問題と思う点
次にLEVECHY8号案件の情報提供について問題と感じる点です。
融資もサイトで説明すべきでは?
悪いのは読まない投資家
LEVECHY8号案件で融資内容の記載があるのは成立前書面だけです。
それで「知らなかった!」とか言い出す投資家が出るかも知れませんが。
これについては書面を読まない投資家が悪いです。
それを大前提とした上でですが。
メリットだけ謳うのはアンフェア
LEVECHYサイトでは融資を使ったレバレッジ効果による利回り向上をメリットとして訴求しています。
本ファンドは、レバレッジを効かせることで想定利回り8%(年利)を目指します。
本ファンドでも金融機関からのローンを組み込み、レバレッジが効いた経済合理性を追求したスキームとなっています。
なにもデメリットまで訴求しろとは言いません。
しかし、自己に都合の良いメリットを訴求するだけで、融資の規模すら示さないのは、さすがにアンフェアではないでしょうか?
これは融資併用案件を組成する他の業者についても同様です。
クラファン協会でも日本クラファン協会でも大日本クラファン協会でもどこでも良いですが、融資内容のサイトでの明示を業界の共通ルールにしていただくことを期待します。
融資額だけでも良いから。
5億円の使途は公開しなくて良いのか?
準備金自体は否定しない
LEVECHY8号案件では集めた28億5,277万円の内、使途が明らかにされているのは物件取得費23億6,000万円だけです。
残りの約5億円の使途は明確には示されていません。
もちろん、上述した通り準備金としてプールすることを否定するつもりはありません。
しかし、他社での準備金はせいぜい数百万円です。
多額の場合は使途を開示すべきでは?
それに対して8号案件では約5億円と多額です。
しかも、そのうちの投資家分は4億6,693万円で、投資家出資額8億7,693万円の53%にもあたります。
投資家が出資したお金の半分が何に使われるか分からない。
これはさすがに異常ではないでしょうか?
金額が大きい場合は使途を公開すべきと考えます。
CF協会でルール化を!
信託保全の説明は誤解を招く
信託保全の対象はデポジット口座だけ
LEVECHYは8号案件の安全性の理由として、倒産隔離と並んで信託保全を挙げています。
ただし、信託保全の対象はデポジット口座内の未投資資金だけです。
もちろん、LEVECHYサイトでもそのことは明確に示されています。
「信託保全」とは、投資家の皆様からお預かりした出資金、分配金及び償還金(未投資資金)を、運営会社の口座ではなく、信託銀行の口座にて信託管理する仕組みです。
誤解を招く表現では?
また、「投資家の皆様からお預かりした出資金」が信託保全されるのは物件取得前です。
取得によって投資家のお金はオフィスビルの壁や柱になっており、信託保全下にはありません。
しかし、さきほどの説明文に続いて以下の記載があるのです。
これにより、万が一運営会社が倒産した場合にも、投資家の皆様からお預かりしている資産は債権者からの差押えの対象にならず、保全されることになります。
「投資家から預かっている資産」と書いちゃうと、誤解する投資家が出ると思うんですよね。
いざ元本毀損した時に「私のお金返してよ!私の資産、保全するって言ったじゃない!」とか言い出す勘違いさんがきっと出る気がする。
LEVECHYサイトでは上の文に続けて次のようにちゃんと書いてくれていますが。
※出資金は運用開始後はSPC(特別目的会社)固有の銀行口座に移され、不動産購入等の資金に充当されます。
これの意味を理解していない投資家も相当数いると思うんですよ。
Instagramでインフルエンサーの「レベチー超儲かるよ!会員登録はこちら!」だけ見て、わけも分からず投資している熱心な信者が山ほどいますから。
信者www
情報を公開しないと不安を生む
以上、LEVECHY8号案件の疑問と問題点についてでした。
冒頭で述べた通り、本稿は8号案件の是非を論ずるものではありません。
あくまでも公開する情報量、情報の伝え方に疑問を呈するものです。
8号案件は1月5日に募集を開始しましたが、本稿執筆時点でまだ7億円しか応募が集まっていません。
同じ利回り8%で過去には20億円を集めた実績を考えるとかなり低調です。
もしかすると情報不足で不安を覚え二の足を踏んでいる投資家もいるのではないでしょうか?
他社も含め、より一層の情報公開を期待します。
ぜひ、ご検討を!
コメント
素晴らしい分析だと思います。
そのままLEVECHYに問い合わせてもいいんじゃないかと思いました。
特に5億円のところ。
(もうすぐ締切なので今からやってもあれですが)
あとCF協会にもルール作りを期待したいですが、投資家側もまとまって各ファンドの評価、分析をできるといいかもしれないですね。
個々に聞いても難しいことでも、まとまってやれば対応も変わってくることもあると思うので。