昨年の夏から秋にかけてソーシャルレンディングのバンカーズとオルタナバンクで応募率が急落しました。
しかし、両社の対応はまったく異なるものとなったのです。
今回は応募率急落への両社の対応とその結果を考察します。
ソシャレン、クラファン各社の対応、経営方針を知ることは我々の資産を守ることにつながります。
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応募率急落への両社の対応の違い
応募率の急落にバンカーズとオルタナバンクがそれぞれどのように対応したかを解説します。
バンカーズの対応
6~9月に応募率が急落
バンカーズでは2023年6月から9月にかけて応募率が急落しました。
第1四半期に94%だった応募率は第3四半期には71%にまで下がっています。
その原因は集金力以上に募集額を増やしすぎたことです。
バンカーズは第1四半期に月平均18億円だった募集額を第3四半期には29億円にまで増やしています。
ところが、月平均応募額は第1~3四半期まで同水準でした。
実力以上に集めようとした結果、応募率が下がった形です。
ちょっと無理をしすぎたよと。
募集規模縮小で対応
応募率急落に対してバンカーズが取った対応は募集規模の縮小です。
急落翌月の2023年10月に募集額を9月の4分の1となる9億円まで減額。
その後も募集額は低水準にとどまり、第4四半期の募集総額は26億円と第3四半期のわずか3割にまで減らしたのです。
思い切った荒療治ね。
応募率回復に成功
募集額を大幅に減らした結果、応募率は完全に回復しました。
2023年9月に59%まで下がった応募率は、募集額減額初月の10月に82%に。
その後、11月、12月は92%と夏前の水準まで戻り、バンカーズは応募率回復に成功しています。
見事に回復です!
オルタナバンクの対応
7~9月に応募率が急落
オルタナバンクもバンカーズとほぼ同時期となる昨年7~9月に応募率を急落させました。
第1四半期に6億円だった月平均応募額を第2四半期には12億円と倍増させ、応募率は69%から90%に上昇しました。
しかし、月平均募集額を第2四半期の15億円から第3四半期は17億円へと17%増やしたものの、月平均応募額は変わらず、結果として同期の応募率は75%に急落したのです。
原因はバンカーズと同じだね。
募集をさらに拡大
この急落へのオルタナバンクの対応はバンカーズとは正反対でした。
募集を減らしたバンカーズとは逆に、オルタナバンクはさらに拡大。
第4四半期の月平均募集額は27億円と第3四半期の5割増しとなったのです。
攻め続けた!
応募率続落も応募額は続伸
その結果、応募率の低下は止まらず第4四半期平均では64%に。
その一方、応募額は続伸し第4四半期は過去最高の月平均17億円を集めたのです。
積極策が功を奏した。
そこは微妙かと…
両社の対応の違いが利回りに現れる
縮小したバンカーズ、攻め続けたオルタナバンク。
その結果が現れたのは利回りでした。
オルタナバンクは利回りアップ
さきほど述べたようにオルタナバンクの応募額は第4四半期に過去最高となりました。
それを実現させたのは利回りの引き上げです。
従来、オルタナバンクの集金力は月平均10~13億円でした。
それが11月は16億円、12月には26億円と大幅に伸びています。
しかし実はこの時期、平均利回りも過去最高の7%に達していたのです。
高利回りで強引に応募を取りにいったと言えます。
バンカーズは利回り水準を維持
一方のバンカーズは利回り水準を維持しました。
2023年1年を通して四半期ごとの平均利回りは4.5%~4.6%です。
その代償とでも言いましょうか、応募額は大幅に減らしています。
第4四半期の月平均応募額は7億円と、第2、第3四半期の半分以下にとどまりました。
あちらを立てればこちらが立たず…
各社の経営方針に注目すべし
このような各社の動きを知ることが自分の資産を守ることにつながると僕は考えています。
どちらが良いかは分からない
応募率の急落という事態にバンカーズは募集の減額という縮小策で対応しました。
利回り=収益率は守れたものの、応募額=収益額は大幅に減らしています。
一方のオルタナバンクは攻め続け、利回りアップで応募を強引に増やした形です。
その分、収益は落ちたでしょうし、2024年1月に利回り水準を戻すと応募水準も元に戻ってしまっています。
両社の対応のどちらが良いのか、一概には言えません。
経営方針のチェックが資産を守る
ただ、経営方針は経営に直結します。
そして、ソーシャルレンディング、不動産クラウドファンディングの大きな弱点は途中解約ができないことです。
経営方針の変化で収益が悪化し経営破綻。
そのとき、我々投資家の元本は全損になります。
全損…
しかし、誰にでも分かるヤバい状態になってから逃げ出そうとしても間に合いません。
グリーンインフラレンディングの時もトラストレンディングの時もそうでした。
我々は得てして1案件で延滞が出たとか、貸付先企業で不祥事が起きたとか、そういった分かりやすいアクシデントにのみ反応しがちです。
もちろん、それらがどうでも良いとは言いません。
しかし、見えにくい小さな変化もまた重要であり、時として業者の経営により深刻な影響を与えることもあります。
気がついたら泥舟に乗っていたとならないよう、常日頃から業者の動きをマークする。
そして、各社の今後を予測し早め早めに投資方針の見直しを行う。
それが自分のお金を守ることにつながるのではないでしょうか?
常にマークしましょう!
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