不動産投資型クラウドファンディングのTREC FUNDINGで、前回の9号案件が応募不足で不成立となりました。
その9号案件の内容を見直し、10号案件として明日4月22日から再募集を行います。
魅力アップで再募集ね。
と言いたいところですが。
10号の内容を見る限り、TREC FUNDINGは投資家のニーズを理解できていないように思うのです。
今回は9号と10号、2つの案件を比較し、TREC FUNDINGの問題点を考えます。
ポテンシャルは激高です!
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タップできる目次
TREC FUNDING9号案件が不成立に
まず最初に、TREC FUNDING9号案件の不成立について解説します。
プチ解説 案件とは?
TREC FUNDINGとは?
TREC FUNDINGは不動産大手のトーセイが運営する不動産クラファンです。
東証プライム上場企業の直営であることから、高い信頼性で人気を博しています。
プライム上場は安心だよ。
9号案件が不成立に
9号案件の概要
TREC FUNDING9号案件は今年3月に募集が行われました。
概要は以下の通りです。
- 案件名:TREC9号 目黒区学芸大学マンションファンド
- 利回り:5.0%
- 運用期間:22カ月
- 劣後比率:6.2%
- 募集総額:2億5,750万円
- 募集方式:先着
- 募集開始:2024年3月22日
投資対象は目黒区中央町の賃貸マンション1棟で、賃貸収益と売却益を分配原資とする予定でした。
プチ解説 劣後出資比率とは?
プチ解説 募集方式の「先着」とは?
プチ解説 分配原資とは?
不成立に終わる
9号案件は同じく利回り5%の8号案件と同時募集で、2案件合わせた募集総額は4億円とかなり多め。
8号はなんとか満了したものの、9号は応募が最低成立金額の2億5,450円に満たず、最終的に不成立となりました。
TREC FUNDINGとしては初の不成立ですが、不動産クラファンで不成立になること自体がかなり異例です。
プチ解説 最低成立金額とは?
プチ解説 不成立とは?
10号案件で再募集を予告
9号が不成立になったあと、TREC FUNDINGは自社サイトのお知らせで以下を発表しました。
募集期間終了時点で申込総額が最低成立金額に達しなかったことから、不成立となる運びとなりました。
同物件について、募集条件を一部見直し、新規TREC10号ファンドとして改めて募集を行うことを決定いたしました。
また、TREC9号へ投資申込いただいた会員様には、確実にお申込みいただけるよう、一般募集期間に先立ち、先行募集期間を設けます。
どゆこと?
要点をまとめるとこうなります。
- 9号は不成立
- 10号として再募集する
- 投資対象は9号と同じ物件
- 条件などを見直す
- より良い案件にして再募集
- 先行募集期間を設ける
- 9号応募者だけ先に応募OK
- 確実に投資できるように優遇
9号はイマイチだったので応募が集まらなかった。
なので、内容を良くして再募集するということです。
期待が持てるね。
TREC FUNDINGは分かっていない
先日、10号案件が公開されました。
さっそく内容を見ましたが、TREC FUNDINGは投資家のことを分かっていないというのが率直な感想です。
10号案件で何が変わったか?
10号案件を公開
TREC FUNDINGは4月19日に10号案件を公開しました。
ちなみに前掲のお知らせでは案件公開は18日としています。
【TREC10号 目黒区学芸大学マンションファンド(仮)】
スケジュール(現段階の予定)
案件公開:4月18日
日付の厳守、ないし、遅れの事前報告は社会人としての最低ラインです。
プライム上場企業の社員の対応としていかがなものかと思います。
会社の看板に泥を塗るなと…
10号案件の概要
それはさておき、10号案件の概要は以下の通りです。
- 案件名:TREC10号 目黒区学芸大学マンションファンド
- 利回り:6.5%
- 運用期間:22カ月
- 劣後比率:7.1%
- 募集総額:2億2,250万円
- 募集方式:先着
- 募集開始:2024年4月22日
9号案件との比較
9号と10号の主な条件を比較します。
9号 | 案件 | 10号 |
---|---|---|
5.0% | 利回り | 6.5% |
22カ月 | 運用期間 | 22カ月 |
6.2% | 劣後比率 | 7.1% |
2億5,750万円 | 募集額 | 2億2,250万円 |
利回りが1.5%アップしましたが、それ以外は大きな変化はありません。
上場系で6.5%は高利回りね。
プチ解説 上場系とは?
TREC FUNDINGは不成立の要因を利回りとした
前掲のお知らせでTREC FUNDINGは次のように書いています。
予定運用期間は1年10か月から変更しない一方、予定分配率を引上げる予定です。
つまり、TREC FUNDINGは9号は利回りが低かったから応募が集まらなかったと判断した。
不成立の要因は利回りの低さ。
それで、10号では利回りを5%から6.5%に上げたのでしょう。
不成立の要因は利回りの低さではない
しかし、不成立の要因を利回りの低さとするTREC FUNDINGの判断は間違いだと僕は思います。
なんで?
不成立となった9号の条件、
- 利回り:5%
- 運用期間:22カ月
- 募集総額:2億5,750万円
これに近い条件で満了している案件が他社であるからです。
例えば、ほぼ同時期に募集されたCREALのプライム新井薬師案件。
- 利回り:4.1%
- 運用期間:24カ月
- 募集総額:5億8,600万円
TREC FUNDING9号の5%より低い利回りで、9号の倍以上の募集額を満了しさせています。
少しあとに募集されたジョイントアルファのエリア分散型7号案件。
- 利回り:3.0%
- 運用期間:6カ月
- 募集総額:3億5,020万円
運用期間は短いですが、TREC FUNDING9号より2%低い利回りで満了です。
さらに、bitREALTYのレム六本木20号案件。
- 利回り:2.8%
- 運用期間:22カ月
- 募集総額:3億100万円
こちらはソーシャルレンディングですし、昨夏の募集なので同列には語れません。
とは言え、TREC FUNDING9号の半分近い利回りで3億円を満了させています。
利回りがTREC FUNDING9号不成立の要因の可能性は否定しません。
しかし、他社が2%台や3%台で満了させている事実がある以上、他にも要因があるはずです。
それは何?
不成立の要因1:値下げ余地の低さ
僕は募集が集まらなかった最大の要因は値下げ余地の低さだと考えます。
値下げ余地3.6%は怖い
TREC FUNDING9号の劣後出資比率は6.2%です。
しかし、9号は投資家とTRECの出資の他に、銀行の融資も使って物件を取得します。
9号では以下の出融資構成でした。
出/融資者 | 出/融資額 | 出/融資比率 |
---|---|---|
銀行 | 2億円 | 42.1% |
投資家 | 2億5,750万円 | 54.3% |
TREC | 1,700万円 | 3.6% |
合計 | 4億7,450万円 |
銀行、投資家、TRECから集めた合計4億7,450万円で物件を取得します。
そして、資金返済の優先順位は銀行→投資家→TRECです。
例えば取得した物件が4億円でしか売れなかった場合、最優先の銀行が2億円を回収し、投資家に戻ってくるのは残った2億円だけとなります。
ってことは…
物件の売れ行きが悪くて1,700万円を超えて値下げすると、投資家の元本の一部が戻ってこなくなる。
つまり、元本を満額回収するための値下げ余地は3.6%しかないのです。
運用期間2年近くで値下げ余地はわずか3.6%。
この点に不安を感じ9号への投資を見送った投資家が多かったのではないでしょうか?
確かに2年は長い…
8号は値下げ余地24%で満了
その証拠が9号と同時募集された8号案件です。
こちらは募集総額は9号の半分ですが、運用期間は9号より8カ月長い30カ月でした。
- 利回り:5%
- 運用期間:30カ月
- 募集総額:1億2,650万円
8号は銀行融資がなく、出資構成は以下の通り。
出資者 | 出資額 | 出資比率 |
---|---|---|
投資家 | 1億2,650万円 | 75.5% |
TREC | 4,100万円 | 24.5% |
合計 | 1億6,750万円 |
運用期間は30カ月ですが、値下げ余地は24.5%あります。
4分の1値下げしても元本は戻ってくる。
値下げ余地3.6%と24.5%。
案件 | 利回り | 運用期間 | 値下げ余地 |
---|---|---|---|
8号 | 5% | 30カ月 | 24.5% |
9号 | 5% | 22カ月 | 3.6% |
この違いが8号が満了し、9号が不成立になった最大の要因だと僕は考えます。
投資家が安全性を考慮した!
10号でも値下げ余地は変わらず
では、10号案件で値下げ余地はどう変わったのでしょうか?
10号の出融資構成は以下の通りです。
出/融資者 | 出/融資額 | 出/融資比率 |
---|---|---|
銀行 | 2億3,500万円 | 49.5% |
投資家 | 2億2,250万円 | 46.9% |
TREC | 1,700万円 | 3.6% |
合計 | 4億7,450万円 |
値下げ余地は9号と同じ3.6%のままです。
9号で投資家が抱いた不安を解消できていません。
不成立の要因2:募集頻度が低すぎる
9号が不成立になったもう一つの要因は、TREC FUNDINGの募集頻度の低さにあると考えます。
昨年は3案件のみ
運営開始以来のTREC FUNDINGの年間の募集案件数は以下の通りです。(9号まで)
募集時期 | 案件数 |
---|---|
2020年 | 1件 |
2021年 | 1件 |
2022年 | 2件 |
2023年 | 3件 |
2024年 | 2件 |
昨年は過去最多の3件でした。笑
少なっ!
投資家の認知度が低い
あまりにも露出が少ないので、ブログやSNSでも話題になりにくい。
TREC FUNDINGを知らない投資家も少なくないでしょう。
固定客なしで4億円は無謀
同じく上場系の不動産クラファンであるB-Denも2023年の募集は4件だけで、知名度が高いとは言えません。
まだ固定客が十分には付いておらず、無理なく募集が埋まるのは1億円強までです。
TREC FUNDING9号は8号と同時募集で、2案件合わせた募集総額は3億8,400万円。
低知名度、固定客不足で4億円は無謀だったのではないでしょうか?
募集頻度を上げるべき
TREC FUNDINGは募集頻度を上げて投資家の認知度を高めるべきです。
区分マンションをいくつか集めたインカム型の1億円くらいの案件でも良い。
月イチか3カ月に2案件くらいで定期的に募集し、知名度を上げて固定客をつける。
それをしておけば、9号は楽勝で埋まっていたと思います。
トーセイならばできるでしょ?
プチ解説 区分マンションとは?
TREC FUNDINGはもったいない
TREC FUNDINGは高いポテンシャルを活かしきっておらず、非常にもったいない業者だと思います。
5%で満了できていた
今回、TREC FUNDINGは10号で利回りを6.5%に上げる判断をしました。
しかし、9号は募集2億5,750万円に対して応募2億2,101万円。
不足はわずか3,649万円でした。
値下げ余地をせめて10%にしておけば、満額集まっていたはず。
利回りを6.5%に上げずにすんだのに、もったいないことをしたなと。
5%で埋まっていたのに。
ポテンシャルを活かせていない
TREC FUNDINGは運営会社が東証プライム上場のトーセイです。
信頼性が高いだけでなく、売上高800億円の不動産大手で、不動産クラファンを運営する資源、ノウハウは十二分にある。
ポテンシャルは非常に高く、超人気業者になっても不思議じゃない。
ところが、投資家のニーズを読み違えており、せっかくのポテンシャルを活かせていないと思うのです。
活かしてくれれば優良業者が1社増えるわけで、投資家の立場からももったいないなと。
TREC FUNDINGの今後に期待
10号の募集額は2億2,250万円。
9号は不成立でしたが応募は2億2,101万円集まっていました。
9号の応募額 | 2億2,101万円 |
---|---|
10号の募集額 | 2億2,250万円 |
9号で応募した投資家の多くが10号でも応募するでしょうから、10号は余裕で満了するはずです。
しかし、TREC FUNDINGは1回の応募で5億、10億集められるポテンシャルは持っています。
本来、たかだか2億円でバタバタするような業者ではないはずです。
TREC FUNDINGの実力が発揮される時が来ることを期待しましょう。
実力はエース級です!
コメント
劣後0%の7号が成立できたことと矛盾している。
こんにちは~
確かに7号は劣後0%ですね。
しかも利回りは4.1%で9号より低く、運用期間も30カ月で2倍近いです。
可能性があるとすれば、
・7号は募集額1.6億円
・9号は8号と同時募集で総額3.8億円
値下げ余地ゼロでも投資する人が1.6億円分はいたけれど、3.8億円分まではいなかった、でしょうか。
ただ確かにおっしゃる通り、劣後0%で満了している案件があるのもまた事実ですね。
矛盾と言われればその通りです。
それはさておき、無料の掲示板じゃないのですから、もうちょっと書き方を考えましょうよ。
いささか失礼ですよ。