ソーシャルレンディング大手バンカーズのアミューズメント事業支援ファンド(以下、ガイア案件)。
借り手であるパチンコ大手ガイアの倒産により6案件が延滞中で、拘束されている投資家の資金は15億円に上ります。
15億って…
ガイアの倒産から半年、ガイア案件の現状をまとめました。
なお、本記事は現時点で明らかになっている事実をまとめたものです。
ガイア案件のこれまでの推移を追ってきた方には、目新しい情報はありませんのでご了承下さい。
ソシャレン、クラファン、各社のキャンペーン情報です。
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ガイア案件の経緯を時系列で
本記事ではガイア案件の経緯、関連する出来事を時系列でまとめます。
以下、ガイア案件募集から現在までのまとめです。
プチ解説 案件とは?
ガイア案件第1回募集
2023年6月24日
ガイア案件1-1~1-3を募集
ガイア案件は1-1~1-7の7案件からなります。
このうち、1-1~1-3の3案件が2023年6月24日に募集されました。
案件名 | 募集額 | 利回り | 運用期間 |
---|---|---|---|
1-1 | 60,000万円 | 6.90% | 6カ月 |
1-2 | 25,000万円 | 7.05% | 9カ月 |
1-3 | 20,000万円 | 7.20% | 12カ月 |
ここがすべてのスタートね…
プチ解説 利回りとは?
プチ解説 運用期間とは?
担保は関係会社所有の不動産
保全は連帯保証と不動産担保でした。
保証 | 法人10社、個人2名による連帯保証 |
---|---|
担保 | 関係会社が所有する不動産 |
不動産を保有する関係会社は、のちにトポスエンタープライズ社であると判明しています。
あとで出るので覚えておいてください!
プチ解説 保全とは?
プチ解説 保証と連帯保証とは?
プチ解説 担保とは?
ガイア案件第2回募集
2023年7月9日
ガイア案件1-4~1-7の募集が行われました。
案件名 | 募集額 | 利回り | 運用期間 |
---|---|---|---|
1-4 | 15,000万円 | 6.75% | 3カ月 |
1-5 | 15,000万円 | 6.90% | 6カ月 |
1-6 | 20,000万円 | 7.05% | 9カ月 |
1-7 | 20,000万円 | 7.20% | 12カ月 |
ガイア案件1-4償還
2023年10月20日
運用期間が3カ月と短かったガイア案件1-4が償還されました。
分配金も全額支払われており、1-4に出資した投資家だけが無傷で逃げ切れた形です。
運用期間は短いに限る。
プチ解説 償還とは?
プチ解説 分配金とは?
ガイア倒産、Jトラストが支援に
2023年10月30日
ガイアが民事再生法の適用を申請
ガイアとグループ会社6社が民事再生法の適用を申請し倒産しました。
- ガイア
- トポスエンタープライズ
- ガイア・ビルド
- ジャバ
- ユナイテッドエージェンシー
- MG
- MG建設
ガイアはマルハン、ダイナムと並ぶパチンコ大手3社でしたが、コロナ禍が打撃となり最近は赤字が続いていました。
7社の負債総額は1,133億円で、パチンコ業者の破綻としては過去最大です。
バンカーズが第1報
同日、バンカーズが自社サイトに「株式会社ガイアの民事再生法の適用申請について」を掲載しました。
内容はガイアが倒産した事実確認です。
Jトラストが支援に名乗り
同日、東証スタンダード上場で大家どっとこむの親会社でもあるJトラストが、ガイアとの間で再建支援の基本合意書を締結(PDF)しました。
支援対象は倒産した7社の他に、下記のグループ2社です。
- ガイア店舗管理
- ワンフォワード
なんでJトラストが?
Jトラストはガイアが数年前に経営不振に陥った際に支援しており、子会社がガイアへの融資、不動産の賃貸もしているからでしょう。
基本合意書の締結にあたり、ガイアが再生計画案を4カ月以内に提出するとしました。
2023年10月31日
バンカーズが第2報
翌日、バンカーズが自社サイトに「株式会社ガイアについてのご報告」を掲載しました。
内容はJトラストがガイアの再建支援にあたることなどです。
KeyHolderがトポス支援に
2024年1月26日
Jトラストの子会社で東証スタンダード上場のKeyHolderが、トポスエンタープライズの民事再生支援に当たる(PDF)ことを発表しました。
KeyHolderはエンタメ事業(ライブ、イベントなど)を行っており、トポス(運送業、倉庫業)の物流倉庫、運送用車両などを活用するのが狙いとしています。
ガイアグループ9社のうち、トポスについてのみJトラストではなくKeyHolderが再建支援することになりました。
ガイア案件の担保はトポス所有です!
再生計画3カ月延期
2023年2月8日
ガイアが再生計画案の提出を3カ月延期(PDF)したことが発表されました。
当初4カ月の予定が7カ月になった形です。
バンカーズが融資を回収
2024年4月30日
KeyHolderとトポスが最終契約
KeyHolderとトポスが再建支援の最終契約を締結(PDF)しました。
KeyHolderが約4億円の資金支援をし、トポスを100%子会社にする内容です。
バンカーズが債権譲渡
上記PDFにはトポスの概要が紹介されていますが、その中に重要な記述があります。
KeyHolderとトポスの間の資本関係についてです。
民事再生のスポンサー支援として、同社(トポス)が所有する借地権付き建物に設定された根抵当権の被担保債権を当該抵当権者である株式会社バンカーズより1,548百万円で譲り受けております。
プチ解説 根抵当権とは?
どゆ意味?
かみ砕いて説明すると、こういうことです。
- トポス所有の不動産担保と
- ひも付いている融資の
- 返済を求める権利を
- KeyHolderがバンカーズから
- 15億4,800万円で買い取った
トポス不動産を担保とする融資、つまり、ガイアへの約15億円の融資ですね。
これを「返さんかい!」と請求する権利は、もともとバンカーズにあります。
その請求する権利を、KeyHolderがバンカーズから15億4,800万円で買い取ったということです。
バンカーズに15億が入ってきた!
ちなみに、延滞中の元本は15億2,700万円です。
プチ解説 延滞とは?
プチ解説 元本とは?
僕の解釈が間違っているかも?と思い、他の資料も探してみました。
2024年5月10日に発表されたKeyHolderの四半期報告書(PDF)に次の記述があります。
当社は、2024年1月26日開催の取締役会において、2023年10月30日付けで東京地方裁判所に民事再生手続開始の申立てを行った株式会社トポスエンタープライズ(以下「トポス」という。)に対し、民事再生支援(以下「スポンサー支援」という。)についての意向表明を行うこと及びスポンサー支援の一環として、株式会社バンカーズから、トポスが所有する借地権付き建物(以下「本件建物」という。)に設定された根抵当権の被担保債権を譲受けする債権譲渡契約を締結することを決議し、同日付けで譲受けしております。
KeyHolderは今年1月26日にバンカーズから債権を買い取ったようです。
四半期報告書には次の記述もあります。
なお、スポンサー支援の一環として、株式会社バンカーズから、トポスが所有する本件建物に設定された根抵当権の被担保債権を1,548百万円で譲り受けております。
バンカーズに15億4,800万円が入ったことは間違いないようですね。
回収した!
再生計画3カ月再延期
2024年5月13日
ガイアが再生計画案の提出を再度3カ月延期(PDF)すると報告しました。
当初4カ月の予定が10カ月になった形です。
分かっているのはここまでです!
今後の見通し
以下、僕が考える今後の見通しです。
はずれたらゴメンナサイ!
元本は戻って来る
ここまで見てきた通り、バンカーズに15億4,800万円が入ってきたことは99%間違いないです。
であるならば、拘束中の元本15億2,700万円は戻って来るでしょう。
いつごろ戻って来るの?
償還の時期は不明
上掲KeyHolderの四半期報告書によれば、バンカーズへの支払いは1月26日に行われています。
それから4カ月経ちますが、いまだに償還は行われていません。
ただ、ガイア案件はバンカーズにとって汚点ですし、償還を遅らせるメリットは何一つありません。
バンカーズはとっとと償還して終わらせたいはずです。
償還する意志はあるし、投資家に言われるまでもなく一刻も早く償還したい。
何らかの事情があって現時点では償還できないだけでしょう。
いずれ戻ってくるよと。
分配金は難しそう
一方、分配金はおそらく無理だと思います。
未償還の元本15億2,700万円に対して、KeyHolderから受け取ったのは15億4,800万円。
差額はわずか2,100万円、元本に対して1.4%です。
ゼロに等しいね。
ガイア案件は借り手が連続赤字のガイアで、利回りは6.75~7.2%と高い。
投資家も相応のリスクがあることは分かった上で出資したはずです。
元本償還で御の字ではないでしょうか?
早期の解決を祈る
ということで、今回はガイア案件の経緯についてまとめました。
少しでも早く投資家に元本が戻り、事態が終結することを祈ります。
早く終わりますように!
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