先日、クラウドリースに関連する民事訴訟でmaneoマーケットが敗訴した件についてポストしました。
クラウドリース関連でmaneoマーケット敗訴
サイトでの説明が事実に反して案件が安全だと投資家に誤認させる内容であるとして、マネマの説明義務違反を認定これ業者さんも読んだほうが良いかと
委託案件を扱う不動産クラファンの2号事業者は、サイトの記載内容次第でマネマの二の舞いになるのでは? https://t.co/f29mrP94Nd— タロウ@ソシャレン・クラファン投資家 (@viviri_man) September 20, 2024
この判決ですが、ソシャレン、不動産クラファン業者、そして、我々投資家にも影響があるのではないかと。
詳しく解説します。
投資家にも影響です!
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タップできる目次
maneoマーケットの敗訴が与える影響
クラウドリース事件とは?
クラウドリースとは?
クラウドリースはかつて存在したソーシャルレンディング業者(貸金業者)です。
プチ解説 業者とは?
投資家から集めた資金をパチンコ業者などに融資していましたが、案件の募集を継続できなくなり経営破綻。
最終的に投資家が元本の9割を失う結果となっています。
クラウドリースはmaneoファミリーと呼ばれる業者でした。
なにそれ?
プチ解説 元本とは?
maneoファミリー
ソーシャルレンディング事業を行うには次の3つが必要です。
- 貸金業の登録
- 第二種金融商品取引業の登録
- サイトなどのシステム
特に金商2種の登録とシステムがないと、ネットを使った投資家への募集ができません。
ソシャレンができない。
今から10年ほど前にソシャレン最大手だったmaneoという業者、聞いたことはあるでしょう。
maneoは2つの法人を使って運営されていました。
- maneo:貸金業
- maneoマーケット:第二種金融商品取引業、ソシャレンシステム運営
maneoが案件の組成と運用、maneoマーケットが募集を行う分業体制です。
プチ解説 案件とは?
プチ解説 組成とは?
プチ解説 運用とは?
maneoはこの仕組みを使って手数料収入を得ることを考えました。
すなわち、金商2種とシステムを持たない貸金業者が組成した案件の募集をmaneoマーケットが担当する。
今回の件で言うと、
- クラウドリース:貸金業
- maneoマーケット:第二種金融商品取引業、ソシャレンシステム運営
クラウドリースが案件の組成と運用を行い、募集だけmaneoマーケットが担当する。
この仕組みで運営されるソシャレン業者がmaneo、クラウドリースを含め11社あり、彼らはmaneoファミリーと呼ばれていました。
募集だけ担当がこの記事のポイントです!
本記事で取り上げる訴訟
投資家がmaneoマーケットを訴える
今回の記事で取り上げる訴訟は、投資家がmaneoマーケットに対して提訴したものです。
- 原告:投資家
- 被告:maneoマーケット
- 案件の運用者:クラウドリース
maneoマーケットが募集したクラウドリース案件に投資家が出資。
しかし、クラウドリースが経営破綻となり投資家が元本毀損に。
クラウドリースではなく募集を担当したmaneoマーケットの責任を問うた訴訟です。
どうなったの?
一審、二審ともに投資家が勝訴し、maneoマーケットが上告中です。
プチ解説 元本毀損とは?
引用元の記事
なお、今回の記事は冒頭のポストで紹介したブログ記事を参考にしています。
訴訟を担当した島幸明弁護士が書いたブログ記事「ソーシャルレンディング(maneoマーケット・クラウドリース)の事案で勝訴判決を獲得」です。
今回の記事は島弁護士執筆の上記ブログ記事を全面的に参照しており、引用元はすべて同記事です。
この場を借りてお礼申し上げます。
それでは、判決の影響です!
業者の説明義務違反を認定
今回の訴訟の判決では募集を担当したmaneoマーケットの説明義務違反が認定されました。
適正な審査と安全性を訴求
maneoマーケットは募集サイトで次のように説明していました。
- クラウドリースの財務諸表などで財務状況を審査
- 審査を通過した案件として募集を実施
また、サイトには以下の記載がありました。
投資家の皆様に安心して投資して頂く為に精査を重ね、安全性を十分に考慮した取り組みを心がけることはもちろん
このようにmaneoマーケットは投資家に対し、審査の適正さと安全性を訴求していたのです。
マネマがちゃんとやってるから安全だよと。
しかし、実態は違っていたのです。
クラウドリースの実情とは異なる記載
当時、クラウドリースはすでに債務超過に陥っていました。
にも関わらず、募集サイトではクラウドリースの財務状況についての言及がなかったのです。
それどころか、サイトには次のような安全性を印象付ける記載が。
- 堅実経営の安全な投資先
- これまで複数回の取引実績
- すべて遅滞なく返済を履行
債務超過なのに安全な投資先って…
クラウドリースの安全性を誤認させる記載
また、上述の通りmaneoマーケットは適正な審査をアピールしていました。
クラウドリースについても財務諸表などで審査した上で、案件を募集したとしています。
これらは
- マネマは適正に審査している
- クラリも適正に審査した
- 審査をパスして募集している
- ならばクラリの支払い能力に問題はない
と投資家に誤認させる行為です。
金商法38条9号への違反を認定
これら投資家に誤認させる記載を行ったことについて、判決では金融商品取引法38条9号への違反が認定されました。
金商法第三十八条 金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。
九 前各号に掲げるもののほか、投資者の保護に欠け、若しくは取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるものとして内閣府令で定める行為金商業内閣府令第百十七条 法第三十八条第九号に規定する内閣府令で定める行為は、次に掲げる行為とする。
二 金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、虚偽の表示をし、又は重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為
また、審査の適正さで安全性を訴求するのであれば、投資家の誤認を防ぐため、クラウドリースが債務超過だったことも合わせて説明する注意義務がある。
よって、maneoマーケットが債務超過の事実をサイトに記載しなかったことは、注意義務に反するとしました。
クラウドリースの実態を正しく説明しなかったことについて、募集を担当したmaneoマーケットの説明義務違反が認定されたのです。
募集における違法性です!
このことが業者に影響を与えます。
業者への影響1:記載内容に責任を問われる
案件を売るために、実態以上に良さげにアピールした。
不利な点を隠して募集を行った。
それにより投資家が誤認し損失を負った場合、募集した業者が責任を問われる可能性があるということです。
業者としては、やはりなんとかして案件を売りたい、応募を多く集めたい。
それはもちろん分かりますが、ちょっと盛りすぎたかな?とか、ここは言及しないでOK?は通用しない。
それが今回の判決で示されたと言えるのではないでしょうか。
都合の悪い点も明示が必要。
業者への影響2:委託案件への影響
案件の組成と運用はクラウドリース、募集だけmaneoマーケットが代行。
これって、不動産クラファンの委託案件とまったく同じです。
委託案件?
不動産クラファン業者が、別の業者が組成、運用する案件の、募集だけを代行する案件です。
大家どっとこむのFunFund案件や、LIFULL不動産クラウドファンディングの全案件などがこれにあたります。
募集を代行した業者がサイトで投資家に誤認させる記載をし、投資家に損失が生じた場合、責任が問われる。
組成、運用を担当した業者がやらかしましたでは済まないということです。
経営者の任務懈怠責任を認定
経営者が任務を怠ったと認定
次は経営者の任務懈怠責任です。
maneoマーケットでは審査とサイトへの記載は、担当者個人の裁量に委ねられていました。
この点について判決では、
投資家への説明義務を履行するために必要な社内体制を整備していなかった
ことについて、経営者としての任務を怠った責任を認定しました。
業者への影響3:サイトの記載内容に経営者の責任が問われる
つまり、経営者はサイトの記載内容の責任を問われるということです。
記載した担当者の責任にとどまりません。
当たり前っちゃ当たり前だけど。
投資家の責任を認定
投資家は事前にリスクを認識し得た
最後に投資家に関することです。
判決ではクラウドリース案件について、投資家は以下の点を認識し得たとし、投資家に2割の過失を認定しました。
- 元本毀損リスクがある
- 借り手が匿名などリスク判断が難しい投資商品である ※1
- 借り手が銀行から借り入れできない経営状態である可能性がある
- 借り手が返済不能になった場合、回収困難になる可能性がある
プチ解説 借り手とは?
maneoマーケットの過失が8割、投資家は2割。
maneoマーケットの過失が100ならば、投資家には25の過失があるということです。
けっこう重いね。
投資家への影響:業者が悪い!は通らない
リスクを避けるという選択肢もあったのに、儲けるためにリスクテイクした。
リスクがあることを承知の上で投資して、そのリスクが現実化した。
そうである以上、投資家が100%被害者は通らない。
たとえ業者に否があっても、投資家の自己責任はゼロにはならないということです。
厳しいな…
書き手も読み手も為すべきを為そう
以上、maneoマーケット敗訴の詳細と影響でした。
案件詳細ページに記載する内容次第では、業者は責任を問われる。
投資家は「記載した業者が悪い!」では、自己責任から逃れられない。
書く側は盛ることなく、不都合な事実を隠さず、誤解を招かない記載を。
読む側は面倒がらずにちゃんと読み、しっかり理解を。
業者、投資家ともに為すべきことを正しく為し、今回の訴訟の二の舞いを避けましょう。
二の舞は避けられます!
最後に島弁護士、貴重な情報をありがとうございました。
読者のみなさんにも一読を強くおすすめします。
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