4月に法改正でソーシャルレンディングに信託保全とクーリングオフが導入されました。
良いことだと思っていましたが、よく見るとデメリットも。
特にクーリングオフは導入しないほうが良かったかもしれません。

業者、投資家ともにマイナスかも…
ソシャレン、クラファン、すべての業者のリストです。

タップできる目次
信託保全とクーリングオフのデメリット
信託保全とクーリングオフが導入
法改正でソーシャルレンディングに信託保全とクーリングオフが導入されました。
信託保全
まず信託保全ですが、これまで業者は投資家のお金を普通の銀行で管理していました。
それが、信託銀行での管理が義務付けられています。
これにより投資家の安全性が向上しました。
詳しくはこちらの記事で解説しています。


プチ解説 業者とは?
クーリングオフ
クーリングオフは応募から8日間に限り、キャンセルができる制度です。
こちらの記事で解説しています。


ムダな拘束期間が伸びた
信託保全とクーリングオフの導入ですが、デメリットも見えてきました。
1つ目はムダな拘束期間の長期化です。
早い業者は翌日運用開始
事前入金の業者の場合ですが、これまでは募集終了の翌日から運用開始の業者もありました。
ムダな拘束期間は入金日から募集終了までです。
|ムダな拘束期間
5月7日:募集終了
5月8日:運用開始
プチ解説 事前入金とは?
プチ解説 運用とは?
プチ解説 入金とは?
クーリングオフで長期化
これがクーリングオフによりムダな拘束期間が長くなりました。
最終日に募集が埋まった場合、最終日に応募した人はそこから8日間がクーリングオフ期間になります。
これによりムダな拘束期間がこれまでよりも長くなったのです。
|ムダな拘束期間
5月7日:募集終了
|ムダな拘束期間
5月14日:クーリングオフ期限
5月15日:運用開始


あっちゃ~
キャンセル待ちで資金拘束が長期化
次にキャンセル待ち制度の導入による資金拘束の長期化です。
一部の業者でキャンセル待ち枠を設定
クーリングオフの導入に伴い、OwnersBookとPocket Fundingでは「キャンセル待ち枠」が設定されました。
例えば、先着方式で募集額が5,000万円だとします。
そしてキャンセル待ち枠を300万円設定し、5,000万円が埋まったあとで応募した人は、300万円に達するまでがキャンセル待ち扱いに。
- 募集額:5,000万円
- キャンセル待ち枠:300万円
プチ解説 先着方式とは?
クーリングオフでキャンセルが出た場合、キャンセル待ち枠の投資家が繰り上げ当選になります。


いいじゃん。


良くないです!
キャンセル待ちがムダな拘束期間に
OwnersBookとPocket Fundingはともに事前入金です。
従来のキャンセル枠なしでクリック合戦敗退の場合、即日出金が可能でした。
ところが、キャンセル待ち枠に入ると、繰り上げになるかはクーリングオフ期間が終わるまで分かりません。
このため、クーリングオフ期限までムダに資金拘束されることになるのです。
|ムダな拘束期間
5月8日:クーリングオフ期限
5月9日:繰り上げならず→出金


どっひゃ~
LENDEXは大幅改悪
今回、最も改悪となったのがLENDEXです。
分配、償還が遅くなった
まず、分配と償還が遅くなっています。
これまでは普通の銀行での管理だったので、その口座から投資家の口座への振り込みで済みました。
- 普通の銀行 → 投資家の口座
プチ解説 分配とは?
プチ解説 償還とは?
それが信託保全の導入で1ステップ増えてしまったのです。
- 信託銀行 → 普通の銀行 → 投資家の口座
これによりLENDEXでは運用終了から分配、償還までが従来の4営業日以内から10営業日以内となっています。


倍以上だね。
出金が大幅に遅く
同じ理由で出金も遅くなっています。
従来は出金申請の当日または翌日の出金でしたが、こちらも10営業日以内です。
出金手数料が有料に
さらに、信託銀行からの出金手数料を投資家に転嫁したのでしょうか?
これまで無料だった出金手数料が、投資家の銀行を問わず一律330円と有料になっています。
なんとかできないものか
今回の信託保全導入で他社の償還等にかかる日数は、変更なし、もしくは1~2日の長期化です。
LENDEXは本当に10営業日もかかるのでしょうか?
償還と出金の速さはLENDEXの強みであり、利用者の評価する声もよく聞かれました。
実情に合わせて短縮し、サイトでの表記変更、メールなどでの会員への案内をすべきだと思います。
また、出金手数料もせめて月に1回無料などの対応を検討してほしいです。
ポケファンのクーリングオフ期間に疑問
クーリングオフ期間が192時間に
クーリングオフ期間の8日ですが、Pocket Fundingは24時間×8日=192時間と解釈しているようです。
ポケファンのFAQには次のように書かれています。
例えば、5月1日9:00にファンド投資申込を行った場合、5月9日8:59まであれば申込の撤回が可能です。
法律は申込日起算で8日間
しかし、金融商品取引業等に関する内閣府令70条の2の2項5号で定められているのは、申込日を含めた8日間です。
申込みをした日から起算して八日を下らない期間が経過するまでの間、当該顧客が当該申込みの撤回又は当該申込みに係る発行者との間の契約の解除を行うことができることを確認するための措置がとられていること。
この「申込みをした日から起算して八日を下らない期間」とは、申込日を1日目とした8日間を指します。
5月1日に申し込んだ場合は5月8日までです。
- ポケファン:5月1日9:00~9日8:59
- 法律:5月1日~8日
他社も申込日起算で8日間
他の業者も申込日起算で8日間としています。
例えばFundsでは「投資申込日を含めて8日間に限り」です。
AGクラウドファンディング、OwnersBook、バンカーズも同様に8日間としています。
ポケファンが間違っているのでは?
クーリングオフは導入すべきだったのか?
信託保全、クーリングオフの導入を聞いて、僕は安全性向上で良いことだと当初は思ったのですが。
そうではない気がしてきています。
信託保全はメリットもあるが
信託保全で安全性が向上するのは、投資家のお金を借り手に貸す前、戻ってきたあとのわずかな期間です。
- 業者に入金してから、借り手に貸すまで
- 借り手が返してから、投資家に償還するまで
それで元本償還や出金が遅くなるのでは、デメリットの方が大きいのでは?
プチ解説 借り手とは?
プチ解説 元本とは?
とは言え、上の2つとは別にデポジット口座にお金を置きっぱなしにしている間も信託保全の対象です。
その間に業者が経営破綻する可能性はあるので、それを考えると信託保全は意味があるかなと。


メリットになる投資家もいる。
プチ解説 デポジット口座とは?
クーリングオフは誰にもメリットなし
逆にクーリングオフは誰にもメリットがないと感じます。
そもそもクーリングオフは訪問販売、マルチ商法などで、強引かつ不本意に契約を結ばされた消費者の救済措置です。
しかし、ソシャレン、不動産クラファンはそういう契約ではありません。
公開と同時に募集開始といった業者は別として、投資の是非を事前に検討、判断する時間はあります。
導入で業者は手間が増え、投資家はムダな拘束期間が長期化。
業者にも投資家にもメリットはなくデメリットだけ。
ソシャレン、不動産クラファンにクーリングオフは導入すべきではなかったのではないでしょうか?


今さら元に戻せないでしょうが…
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