OwnersBookの大阪ホテル案件。
残念ながら元本毀損が確実な状況になったようです。
今回の一件について私見を述べます。
まさかオナブが…
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評価額3割以上ダウンの衝撃
最大の衝撃は担保不動産の評価額が当初から3割以上ダウンしたことです。
評価額が3割以上ダウン
LTV68.2%の堅い案件
今回の案件は2019年9月に募集されたものです。
- 大阪市中央区ホテル素地第1号第1回
- 利回り:5.0%
- 運用期間:19カ月
- 募集額:7億5,000万円
借り手への融資額は募集額と同じ7億5千万円。
この融資に対して大阪市中央区日本橋の土地が担保として設定されました。
評価額は11億円、LTVは68.2%でした。
LTV68で堅いはずだった…
コロナで返済に遅れ
当初予定では2021年4月に元本が償還されるはずでした。
- 2019年9月13日:募集
- 2021年3月31日:返済
- 2021年4月20日:元本償還
ところがコロナの影響で借り手が予定通り返済できない事態に。
OwnersBookは返済期限を2022年3月31日まで1年間延長しました。
担保評価額が3割以上ダウン
そして2022年4月1日、OwnersBookより借り手が依然として返済不能であると発表が。
この時あわせて現在の担保評価額が7億400万円であることが明かされたのです。
時期 | 担保評価額 |
---|---|
2019年9月13日 | 11億円 |
2022年4月1日 | 7億400万円 |
ダウン率 | 36% |
担保評価額が3割以上の大幅ダウン。
募集額の7億5千万円を割り込んでしまっています。
元本割れ…
元本割れがほぼ確実
そして1週間後の4月8日。
ロードスターキャピタル(以下、ロードスター)から、今回の債権について6,400万円を貸し倒れ計上することが発表されました。
今後よほどのことがない限り、最低でも6,400万円の元本割れとなります。
ショッキングな展開です…
まさかオナブが…
貸金業に元本割れはつきもの
ソーシャルレンディングの本質は貸金業です。
貸金業で元本割れは一定の確率で発生します。
良い悪いではなく貸金業というのはそういう商売です。
それが気に入らないならソシャレンに手を出すな。
これが僕の基本スタンスです。
なんですが。
が?
OwnersBookでも割れるのか…
これがmaneoなら分かる。
中小零細業者なら分からんでもない。
でも、オナブですよ?
OwnersBookでこういうことが起きたことに、みなさんも衝撃を受けたのではないでしょうか?
信頼性抜群、東証プライムのオナブで…
今回の件から得られる教訓
本件に関するOwnersBookの判断や対応については、個々の投資家が自ら判断し、今後の投資行動に反映させれば良いことです。
僕は本件の内実を知るわけではありませんので、安易に批評することは差し控えます。
代わりに今回の件で得られる教訓を考えます。
投資は自己判断の自己責任
今さらですが。
ネットの評価などあてにならない
2018年頃、OwnersBook、クラウドバンク、SBI-SL、クラウドクレジットは四天王と呼ばれ、この4社で投資していれば安泰と言われていました。
僕と同時期にブログを始めたユウノシンさんが元気だった頃です。
それがSBI-SLは廃業、クラクレはカメルーン等で元本毀損、そしてついにオナブまで。
四天王以外にも、maneoファミリーは鉄板とか、トラストレンディングは天下り官僚が多数在籍で堅いとか言われていた。
実際はどうでしたか?
つくづくネット上の評価などあてにならないものです。
グリフラもかつては人気業者だった…
自分の頭で考えるしかない
当たり前のことですが、やはり自分の頭で考えるしかないのですよね。
ネット上の評価などあてにせず、自分で情報を集め、自分で考える。
そして、すべての結果を自己責任として受け入れる覚悟で判断する。
ここを面倒がって手抜きをするといつか痛い目に遭う。
耳が痛い…
上場神話に疑問符がついた
今回の件、もし元本割れになれば上場企業直営で初の投資家被害です。
もちろん、依然として上場系の安全性は非上場系に比べて高いです。
しかし、決して盤石ではないことが示されたわけで、上場系業者の信頼性に疑問符がつくことになるでしょう。
それは、我々投資家は「上場系=大丈夫」と安心しづらくなるということです。
上場企業ゆえのリスク
そして今回気付いたのですが、業者が上場企業であるがゆえのリスクがあります。
ロードスターの利益には影響なし
4月8日のロードスターの発表(PDF)の注目点を以下に抜粋します。
当該債権のうち担保処分等により保全されない金額64百万円を貸倒引当金繰入額として計上する見込みです。
本件貸付は匿名組合契約に基づく出資を原資とした貸付であり本件貸付から生ずる損益は最終的には匿名組合出資者が享受します。
当社グループの業績予想に与える影響については(中略)当期純利益への影響はございません。
これって身も蓋もなく表現すると、
オナブ事業で損失が出ました。でも、その損失はオナブの投資家がかぶります。なのでロードスターの利益には影響しません。株主のみなさん、安心してね♡
ってことです。
株主はそれで良いだろうけど…
優先順位は投資家より株主
OwnersBookの投資家としては釈然としない内容ですが、これはOwnersBookではなくロードスターの発表です。
ロードスターの立場として株主に大丈夫ですよと伝えるのは当然のことです。
そして今回の発表で分かるのは(今更ですが)、ロードスターにとっての優先順位はオナブ投資家より株主の方が圧倒的に上であることです。
書きながら今頃気付く俺ってバカか?と思うのですが、当然ですよね、会社は株主のものですから。
株主利益に反することはできない
今回発生した6,400万円の損失。
もしこれをロードスターの資金で穴埋めするってなると、ロードスターの株主は「ざけんじゃねぇよ!」と反発するでしょう。
僕がロードスターの株主だったら絶対言いますもん。
「オナブの投資家は自己責任やろ!穴埋めに回せる金6,400万もあるんやったら、その分、配当増やさんか~い!」
あんたなら言いそう…
上場企業ゆえのリスク
上場企業だから最後はなんとかなると考えていましたし、そうなるケースも確実にあると思います。
ですが、上場企業であるがゆえに株主の利益に反することを勝手にするわけにはいかない。
不特定多数の株主がいる上場企業ゆえのリスクがあるのだと分かりました。
いまさらですが!
長期案件はリスキー
今回の件について「1年前の時点で売却すべきだった」との声があります。
確かに今ならばそう言えるでしょう。
しかし、3割ダウンを1年前に予測できたでしょうか?
オナブをかばうつもりはサラサラありません。
ですがもし予測できたならば、日本橋に物件を持つ不動産業者=不動産のプロすべてが、1年前に売りまくって地価が暴落していたでしょう。
もちろんそうはなっていないわけで、つまり先のことなど誰にも分からないということです。
良い悪いではなく、それが現実なのです。
となると、流動性が低いソシャレン、不動産クラファンでは、長期案件はリスクが高い。
このことを再認識しました。
今回のオナブは19カ月だったね。
不動産クラファンは大丈夫か?
そして、考えざるをえないのが不動産クラファンの安全性です。
不動産クラファンは不動産という現物資産があるのでソシャレンより安全。
それは確かにその通りです。
しかし、その不動産価格の3割ダウンが現実に起きた今、「劣後比率30%だから安全」は通用するのでしょうか?
買う側は足元を見ますから、相場が3割ダウンなら4割ダウン、5割ダウンで買おうとするのは当然で、そうなると元本が割れます。
いや、3割ダウンの状況で果たして買い手が付くのか?
今回の件で不動産クラファンへの投資にも以前より不安を感じています。
慎重な投資を心がけよう
まとめますと、
- ネットの評価などあてにならない
- 「上場=安全」と安心できない
- 上場ゆえのリスクもある
- 長期はリスキー
- 不動産クラファンは大丈夫か?
ネット上の評価とか上場系とか、そういう頭も労力も使わずに簡単に手に入る目印に頼ってはいけない。
あくまでも自分で情報を集め、自分で考え、自分で判断する。
長期は避け、堅い案件に絞って投資。
ソシャレンだけでなく不動産クラファンも。
安易な投資はできない…
今回のOwnersBookはショックでした。
気を引き締めて今後の投資を行いたいと思います。
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