不動産クラファンのPocket+で応募が満額集まった案件の運用が中止になりました。
行政の指摘により運用中止という、極めて珍しいケースです。
中止の原因を探るとともに、今回の件から我々投資家が教訓とすべきことを考えます。
前代未聞です!
最新のキャンペーン情報です。
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運用中止の原因と教訓
6号案件が運用中止に
Pocket+6号案件
Pocket+で運用中止となった6号案件の概要は以下の通りです。
- 利回り:6%
- 運用期間:6カ月
- 募集額:800万円
- 募集方式:先着
- 募集期間:9月9日~10月4日
プチ解説 運用とは?
プチ解説 案件とは?
プチ解説 利回りとは?
プチ解説 先着とは?
横浜の新築アパート1棟を投資対象とする案件です。
募集開始からしばらくして募集額満額が集まり、そのまま募集状態が続いていました。
募集期間が終わったら運用開始と。
運用中止で返金に
ところが、そうはならなかったのです!
募集終了前日の10月3日。
Pocket+サイトにPocket+第6号 横浜西谷プロジェクトにお申込していただいた方々へが掲載されました。
重要な部分を以下に転載します。(太字は筆者)
募集開始から早々に募集金額に達し、募集要項にありますように10月4日から運用を開始する予定でありましたが、本ファンドの契約約款について、一部神奈川県より修正の指摘があり、変更届を提出して承認を受ける事由が発生致しました。
神奈川県と協議し、お預かりした資金を一旦返金し、変更手続き後に改めて募集することが手続き上問題ないという結論にいたりました。
神奈川県の指摘により、運用中止、一旦返金、後日再募集。
行政の指摘!
行政の指摘で運用中止は前代未聞
Pocket+は不動産特定共同事業の登録を神奈川県で行っています。
ですので、神奈川県がいわゆる監督官庁のような存在です。
行政からの指摘で運用中止というのは過去に聞いた覚えがありません。
表面化したものでは初めてのケースではないでしょうか?
なんで中止になったの?
運用中止の原因
Pocket+の6号案件は出てきたときから違和感がある案件で、Xでもポストしました。
詳しい人、教えてください🙏
Pocket+の次回案件https://t.co/aadL1aVdVd
・物件価格:9300万
・出資総額:1000万(優先800、劣後200)
・資金使途:「外構工事費及びリーシング費用等(広告費、家具等の備品)の一部に本ファンド資金を活用いたします」
・分配原資:家賃収入…— タロウ@ソシャレン・クラファン投資家 (@viviri_man) September 7, 2024
以下、僕が考えるこの案件の問題点と、運用中止となった原因を述べます。
物件を取得していない
6号案件の出資総額は、投資家分800万円を含む1千万円です。
- 出資総額:1,000万円
- 優先出資:800万円
- 劣後出資:200万円
プチ解説 優先出資、劣後出資とは?
これに対して、業者が物件を取得した価格は9,300万円となっています。
当然、6号案件の出資総額1千万円で物件を取得することはできません。
つまり、6号案件では投資対象物件を取得していないのです。
事業資金の調達では?
では、投資家から集めた800万円は何に使う予定だったのか?
案件紹介ページには次のように書かれています。
外構工事費及びリーシング費用等(広告費、家具等の備品)の一部に本ファンド資金を活用いたします。
外構工事とは敷地内の建物が建っていない部分の整備、芝生とか門扉とか、それら全般を指します。
リーシングは入居者探しのことです。
それが問題なの?
ここからが超重要な部分なのですが。
物件の写真を見る限り、外構工事は終わっているようです。
なので、投資家から集めた資金は入居者探しなどに使われることになります。
でも、案件で物件は取得していません。
業者の物件のままです。
それはどういうことか?
投資家の800万円が、業者の物件の入居者探しにかかる費用、つまり、業者の事業資金として使われる形になっています。
我々投資家サイドから見ると、業者への事業資金の提供です。
語弊のある言い方かもしれませんが、無担保のソシャレン案件に近いのではないでしょうか?
なんと!
プチ解説 担保とは?
賃料を分配に回して良いのか?
もう一つ問題があります。
6号案件では分配原資は家賃収益です。
配当は本物件の家賃収入を原資といたします。
プチ解説 分配原資とは?
よく考えてください。
不動産特定共同事業では、投資家の資金で取得した物件の運用で得られた利益を投資家に分配するのが基本です。
しかし、6号案件では物件は取得していません。
取得していない物件で得られた利益を分配して良いのでしょうか?
言われてみれば…
プチ解説 不動産特定共同事業とは?
6号案件は不動産クラファンと言えるのか?
以上、3点見てきましたが。
- 投資家の資金は物件取得に使われていない
- 投資家の資金が業者への事業資金提供になっている
- 取得していない物件で得られた利益が分配される
おかしいと思いませんか?
我々が普段やっている不動産クラファンの仕組みから完全に逸脱しています。
6号案件は不動産クラファンと言えるのでしょうか?
むしろ、ソシャレンです!
通常スキームの約款で募集したのが原因?
ちなみに、物件を取得せずに賃貸収益を分配することも可能は可能です。
僕はまだ見たことがないのですが、国交省の資料では下のような物件取得なしパターンも紹介されています。
ただし、パターンが変わると契約の約款(契約書)も変わります。
ところが、6号案件の約款は我々が普段やっている通常パターンの約款なのです。
取得なしパターンなのに通常パターンの約款で募集を行った。
もしかしたら、これが神奈川県から指摘が入った理由かもしれません。
6号案件から得る教訓
今回の件から我々投資家が得るべき教訓を考えます。
業者に悪意はなかったはず
6号案件ですが、通常パターンで次のような内容にしておけば問題なかったはずです。
- 優先+劣後の9,300万円で物件を取得する
- 賃貸で運用 → 家賃収益が発生
- リーシングなどは費用として計上
- 2から3を引いた利益を投資家に分配
しかし、何らかの事情で物件を取得する形にはしたくなかった。
それで、深く考えずにというか、勘違いしてというか、通常パターンの約款のままで物件取得なしパターンの募集をしてしまった。
Pocket+はこれまでに変な案件を出したことはありませんし、延滞などを起こしたこともありません。
決して悪意を持ってやったわけではないはずです。
だまそうとかしたわけじゃない。
プチ解説 延滞とは?
悪意があれば悪用できる
でもそれは逆に言うと、悪意があれば悪用できるということです。
今回の案件はそのことを示してしまったと言えるでしょう。
案件をしっかりチェックしよう
実際、ソーシャルレンディングでは過去に制度が悪用され、多くの投資家が被害に遭いました。
それを受けて、ソシャレンの制度変更、規制強化などが行われたわけですが。
不動産クラファンはソシャレン以上に歴史が浅い投資商品ゆえに、悪用できる制度上の抜け穴がまだあるはずです。
また、行政の担当部署は不動産クラファン以外の業務も担当しています。
なので、全業者の全案件をチェックなんてできません。
あるべき論や良い悪いではなく現実問題として、被害を防ぐことができるのは投資家自身だけです。
現状の不動産クラファンは悪意を持って悪用できる。
この不都合で不愉快な現実を受け止め、案件に問題がないかしっかりチェックした上で投資しましょう。
我が身を守りましょう!
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