52億円の被害を生み出したトラストレンディング事件。
140余人の投資家が起こした訴訟で、東京地裁が原告勝訴の判決。
この一件を東洋経済が記事で報じました。
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記事の中で弁護士が述べた投資家の過失について、思うところがあるので述べます。
ここ数年でソーシャルレンディング、不動産クラウドファンディングを始めた投資家に読んでほしい内容です。
![タロウさん](https://asean-info.net/Investment/wp-content/uploads/2020/05/01.jpg)
次の被害者はあなたです!
ソシャレン、クラファン、全業者のリストです!
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タップできる目次
トラストレンディング事件を教訓に
トラストレンディング事件とは?
高利回りの人気業者
トラストレンディングは2016年に運営を開始したソーシャルレンディング業者でした。
プチ解説 業者とは?
10%を超える高利回り。
借り手の資金使途は公共事業。
プチ解説 利回りとは?
プチ解説 借り手とは?
プチ解説 資金使途とは?
取締役には財務省、国土交通省などからの天下り官僚が多数就任。
高利回りと信頼感で高い人気を集めた業者でした。
![左野くん](https://asean-info.net/Investment/wp-content/uploads/2020/01/10.jpg)
公共事業と官僚で信頼感。
52億円の被害を生む
しかし、大半の案件で公共事業は架空のものだったのです。
投資家から集めた資金は役員の関連企業などに流出。
多くの案件で元本が償還されず、52億円の被害を生み出すに至ったのです。
![右田さん](https://asean-info.net/Investment/wp-content/uploads/2020/01/35.jpg)
52億って…
プチ解説 案件とは?
プチ解説 元本とは?
プチ解説 償還とは?
裁判で投資家が勝訴
この事件を巡って140人余の投資家が業者を提訴。
5年がかりの裁判の末、今年1月17日に東京地方裁判所は業者と当時の役員に3億4,700万円の支払いを命ずる原告勝訴の判決を下しました。
4人の被告は控訴せず判決が確定。
他の14人の被告は控訴し、舞台は東京高裁に移ります。
![タロウさん](https://asean-info.net/Investment/wp-content/uploads/2020/05/01.jpg)
2審もぜひ勝訴を!
投資家に過失はなかったのか?
弁護士は投資家に過失なしと
この裁判を報じる記事が2月11日に東洋経済に掲載されました。
一読を強くおすすめします。
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記事の中で投資家の過失について、訴訟を担当した太田弁護士は次のように指摘しています。
「投資家を勧誘する側がぐるになり虚偽の内容で募集されたら、投資家は気づきようがない。しかもエーアイは、財務局に登録された第二種金融商品取引業者だった。投資家に過失はなかった」。
落ち度ゼロではなかった
まず大前提として、悪いのは業者であり、投資家は被害者です。
その上でですが、投資家に過失が一切なかったとは僕は思いません。
「過失」という表現にはいささか違和感はありますが。
失敗というか、判断ミスというか、投資家にも落ち度はあった。
おそらく誰よりも被害を受けた投資家自身がそう思っているはずです。
![左野くん](https://asean-info.net/Investment/wp-content/uploads/2020/01/12.jpg)
なんで?
リスクは認識していた
すでに当時を知らない投資家のほうが多いと思いますので、当時の背景を踏まえて説明します。
高利回り業者への不安はあった
トラストレンディングの一件が発覚したのは2018年の秋です。
しかし、ソーシャルレンディングではその1年以上前から問題が頻発していました。
2017年3月にみんなのクレジット事件が発生。
2018年2月にはラッキーバンク事件。
そして、同年6月にグリーンインフラレンディング事件、翌7月には当時最大手だったmaneoマーケットに行政処分が。
高利回りのソシャレン業者で次々に起こる事件や不祥事。
太田弁護士の「投資家は気づきようがない」との指摘はその通りですが。
当時、投資家の間でヤバイかも?という危機感が共有されていたこともまた事実です。
掲示板などでは次はどこだ?との声も上がっていました。
「財務局に登録」は安全の裏付けにはならない
また、太田弁護士の指摘に「財務局に登録された第二種金融商品取引業者だった」とあります。
しかし、みんなのクレジット、ラッキーバンク、グリフラ、maneo、すべて財務局に登録された第二種金融商品取引業者です。
「財務局に登録=安全」ではないことは、トラストレンディング事件が起こる1年以上前から事実として示されていました。
高利回りの業者で次々と問題が起きている。
財務局に登録だからって安心できない。
利回り10%オーバー連発って、もしかしたらヤバイんじゃね?
2018年にこの空気感は間違いなくありました。
このことは当時を知る投資家の一人として断言します。
不安を封印した
あふれる大丈夫の声
にも関わらず、なぜ多くの被害者がトラストレンディングで投資したのか?
そのヒントになるのが当時、掲示板や旧Twitterでよく見かけた声です。
こういった「大丈夫系」の意見、声、説をよく見かけたのです。
![右田さん](https://asean-info.net/Investment/wp-content/uploads/2020/01/32.jpg)
それが何?
不安を感じていた現れ
ふつう、大丈夫とか言わないですよ、本当に大丈夫と思っているなら。
GALA FUNDINGとかRimpleとか、ガチ堅の営業ツール型の業者に誰も大丈夫とか言わないじゃないですか?
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不安に感じている、その気持ちを打ち消したい、否定したい。
だからわざわざ「~だから大丈夫!」と言うわけです。
リスキーな業者への投資を正当化した
みんクレ、グリフラ、次々と起こる事件、高利回り業者への不安。
その一方で、抑えきれない儲けたい欲望。
ヤバイかも?、でも儲けたい、投資したい。
相反する気持ちの中で、大丈夫と投資を正当化した。
ヤバイかも?と思いながら、欲が勝った、ブレーキをかけられなかった。
リスクが高いと思いつつも、投資してしまった。
これが被害に遭った投資家の落ち度というか、判断ミスというか、悔やまれる点だと思うのです。
誰よりも当の本人が、なぜあの時やめておかなかったのだろうと後悔しているのではないでしょうか?
![左野くん](https://asean-info.net/Investment/wp-content/uploads/2020/01/20.jpg)
あの時の自分を殴りたい的な…
ここ数年で始めた投資家への注意喚起
今回この記事を書いたのは、もちろん被害者を叩くためでも批判するためでもありません。
ここ数年でソシャレン、不動産クラファンを始めた投資家に注意喚起するためです。
教訓を引き出す意識はあるのか?
東洋経済の記事の最後には次のように書かれています。
多くの人にとっては忘却のかなたであろうソーシャルレンディングで起きた問題。だが、融資型クラウドファンディングとして10%の利回りを超える商品が再び出てきた今、引き出せる教訓はあるはずだ。
引き出せる教訓は間違いなくあります。
しかし、投資家側に教訓を引き出そうとする意識が果たしてあるでしょうか?
リスクへの現実感がないのでは?
僕は2018年、19年を身を以て体験しています。
毎週のように掲示板に被弾したとの悲鳴が書き込まれ、ブログにも事件関係の記事が並んだ。
Twitterでつながっていた投資家が数十万円の被害に遭い、大損害を受けて消えていったブロガーもいた。
僕にとってソシャレン、不動産クラファンのリスクは、仮定の話ではなく眼の前で起きた現実です。
ですが、ここ数年でソシャクラを始めた投資家を見ていると、リスクへの現実感がない。
なにか仮定の話というか、可能性の話というか、どこか他人事で、自分が当事者になることを想定していないと感じるのです。
そんな彼らがトラストレンディング事件から教訓を引き出そうとするのか?
いささか疑問に感じます。
誰もが第2の被害者になり得る
それでもなお、教訓を引き出し自戒してほしい。
というのも、誰でもお金はほしいし、誰もが自制心が強いわけではない。
リスクを感じつつもブレーキをかけられずに投資し、被害者になる可能性はすべての投資家にあるのです。
すでに今現在、ヤバイかも?と思いつつ投資している人が、今この記事を読んでいる人の中にも多数いるのではないでしょうか?
あなたが次の被害者になる可能性は十二分にあるのです。
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どうしたものか…
被害を避ける具体策
被害を避けるための具体的な対策として以下を提案します。
リスク業者の明確化
まず、もしかしたらヤバイかも?と感じている業者を明確にする。
自分をごまかさず、インフルエンサーの誰々が言ってたから大丈夫とか正当化せず、自分に正直に書き出しましょう。
リスク業者への総投資上限額の設定
リスク業者を明確にしたら、投資を継続して大丈夫か検討します。
その上で継続して問題ない、もしくは、投資したい気持ちを抑えられないならば、上限額を決めましょう。
例えば、リスク業者が3社あったら、3社での投資残高の上限は何万円にするとか。
総投資額の何%以内といった設定でも良いでしょう。
被害者になることを前提に、被害を自分が許容できる範囲内に留めるということです。
1案件への投資上限額の設定
さらに1案件への投資額の上限を決めます。
これも被害に遭うことを前提に、キズを小さくするためです。
![左野くん](https://asean-info.net/Investment/wp-content/uploads/2020/01/10.jpg)
リスク業者は被害前提で。
明日は我が身は仮定の話ではない
こういう事件が起きると必ず「明日は我が身」との声が上がります。
しかし、誰も本気では思ってないのです、自分がそうなるとは。
トラストレンディングの被害者も恐らくそうだったでしょう。
でも、我が身になってしまった。
「明日は我が身」は決して仮定の話ではありません。
第2の被害者にならないように、トラストレンディング事件から学び、自分の投資に活かしましょう。
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ソシャクラのリスクは現実です!
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