グローシップパートナーズ社の「CrowdShip Funding」は、最も多くのソシャレン、クラファン業者で採用されているシステムです。
AGクラファンやバンカーズ、えんfundingなど、みなさんがいつも利用している業者でCrowdShip Fundingが使われています。
ただ正直なところ、使いにくいところがけっこう多くないですか?
そこで、ソシャクラ歴6年、50社以上で1億4千万円以上を投資してきた現役投資家の僕が、CrowdShip Fundingを本音で評価してみます。
「そう、そう、そう!」と首がもげるほどうなずきながらご笑覧ください。
辛口レビューです!
タップできる目次
会員登録の際の不満点
まず最初に会員登録をする際の不満点です。
提携銀行が明らかにされない
会員登録の際に元本と分配金の振込先となる自分の銀行口座を登録します。
これを業者の入金先(=出金元)と同じ銀行にしておけば、入出金時の振込手数料を無料化または節約できますよね?
しかし、CrowdShip Fundingでは業者の提携銀行はデフォルトでは分からない仕様になっています。
「ご利用の流れ」にも書かれていませんし、「よくあるご質問」には次のように書かれているだけです。
マイページにログイン後、『銀行口座情報』画面より入金先口座情報を確認できます。
なお、入金先口座はお客様ごとに固有のものが割り振られており、お客様により口座番号が異なりますのでご注意ください。
どの銀行か知りたいのに…
では、どの銀行か掲載できないのかというと、そんなことはありません。
同じくCrowdShip Fundingを採用しているB-Denの「よくあるご質問」ではこうです。
契約成立時、振込先をメールにてお知らせします。
銀行はGMOあおぞらネット銀行になります。お客様おひとりおひとりにバーチャル口座をご用意いたしますので、安心してお振込み頂けます。
ちゃんと書いてる!
事前に提携銀行が分からないと、投資家と業者には以下の不都合が生じます。
- 投資家
- どの銀行か問い合わせないといけない
- 分からないまま登録した場合、あとで銀行を変更する必要が生じる
- 業者
- 投資家からの問い合わせに対応しなければならない
- 銀行変更の手続きに対応しなければならない
「投資の流れ」のページや会員登録のフローの最初に次のように書いておけば親切だし、業者の手間も減ると思うのですが。
弊社の入金先、出金元口座はGMOあおぞらネット銀行です。会員登録の際に同行の口座でご登録いただくと、出金手数料が無料となりオトクです。
提携銀行を明示しようと思えばできるのに、なぜしないのか謎です。
メールマガジン登録が不親切
CrowdShip Fundingでは会員登録の最初で「メールマガジン登録」という選択肢があります。
多くの人はメルマガが届くのが面倒で「登録しない」を選択すると思います。
ですが、それがトラブルにつながる可能性があります。
なぜならば、「登録しない」を選択すると募集予告メールが届かない場合があるからです。
僕はバンカーズで予告メールが届かず、問い合わせたところ「登録しない」を選択したのが原因と判明しました。
募集を見逃す可能性がある。
普通、メールマガジンっていわゆるメルマガを想像しますよね?(僕だけ?)
メールマガジン登録欄の下に例えば、
メールマガジンでは募集予告などをご案内させていただきます。「登録しない」を選択しない場合、募集予告が届かなくなりますのでご注意ください。
みたいに書いておけば良いのに。
投資をする際の不満点
次に案件に投資する際の不満点です。
主に案件詳細ページについてです。
予定収益シミュレーションが不正確
分配金がいくらになるかのシュミレーションができる機能が装備されています。
これ自体は非常に助かります。
ただ、実際の分配金は日割り計算なのに、シュミレーションは月割りのため、予定と実際に誤差が出ます。
あくまでも目安なのでかまわないのですが、「概算です」みたいに断りを入れておいた方が良い気も。
クレームを未然に防ぐ。
ちなみに、FANTAS fundingやFUELオンラインファンドはシュミレーションも日割りなので、予定と実際に受け取る分配金が完全に一致します。(早期償還の場合を除く)
なお、フォローするわけではありませんが、分配金の内訳は明確で分かりやすいです。
FANTASもそうですが、表示されるのが税引前なのか後なのか分かりにくい業者も多いです。
2,442円引かれた結果が9,519円?
それとも、9,519円から2,442円引かれるの?
償還予定日が分からない
日程について以下は必ず掲載されています。
- 募集開始・終了日時
- 運用開始・終了日
しかし、デフォルトでは分配日と償還日は掲載されていません。
特に償還日が分からないのは不親切ですよね?
成立前書面にも「~から2カ月以内」みたいに書かれているだけだし。
では、償還日を掲載できないのかというとそうではありません。
CrowdShip Fundingを採用しているえんfundingでは以下のような分かりやすい画像で償還日を示しています。
えんfundingのように画像を提供しないとできないのか?
違います。
同じくCrowdShip Fundingを採用しているちょこっと不動産やiRDではページ内にテキストで掲載されています。
償還予定日を掲載しようと思えばできるのに、デフォルトでは非掲載の仕様になっている。
投資家がどういう情報を必要としているのか、グローシップパートナーズ社がニーズを把握できていないのだと思います。
グローシップが日々直接的に接しているのは業者であり、投資家ではないですから。
劣後出資額が分からない業者がある
これはクラファン業者によりますが。
CrowdShip Fundingを採用している多くの業者では、優先出資額と劣後出資額、もしくは、優先出資額と出資総額が掲載されています。
しかし、B-Denや72CROWD.では優先出資額のみの掲載で、劣後出資額は成立前書面で確認する必要があります。
また、victory fundやiRDは「シュミレーション」タブを見ないと分かりません。(iRDは劣後出資比率のみの掲載)
どっちみち成立前書面を見るので分かるのですが、案件概要のところにも掲載してもらえると便利です。
メッセージ機能が超絶面倒
CrowdShip Fundingを採用している業者からの連絡はマイページの「メッセージ一覧」に保管されます。
そして、業者からメールで「メッセージをご確認ください」と連絡が届きます。
つまり、
- メールが届く
- 業者のサイトを開く
- ログインする
- メッセージ一覧を見る
- 当該メッセージを開く
と、5段階を経てはじめてメッセージを読むことができます。
そうやって面倒な思いをして開いたメッセージの内容がこんなのだったりする。
ご出資いただいておりました○○ファンドの分配金のお知らせです。
先日のご案内のとおり匿名組合契約に基づき、明日2022年11月12日の償還・分配を予定しております。
この程度のこと、メール本文に書けよ!って思いません?
こういうことが何度も続いたので、僕は最近はCrowdShip Funding採用の業者から届くメッセージはほとんど見ていません。
どっちみちどうでも良い内容だろうと放置しています。
マジ勘弁してほしいです!
運用終了後の不満点
運用期間が終わった後の不満点です。
分配金が合わない
成立前書面に書かれている通りに計算した分配金の額と、実際に分配される額とが一致しないです。
どゆこと?
ナンノコッチャ分からないと思うので、僕が投資した72CROWD.の2号代田橋案件を例に説明します。
- 利回り:5.0%
- 運用期間:6カ月(185日)
- 投資額:50万円
分配金の算出方法について、成立前書面には次のように書かれています。
④ 前③による匿名組合損失の補てん後になお残利益がある場合、優先出資に係る利益の分配として、当該計算期間の末⽇時点における優先出資者の出資額に当該計算期間の実⽇数を乗じ365で除し5.00%を乗じた⾦額に満つるまでの⾦額を、優先出資割合に応じて優先出資者に帰属させます。
太字の部分を計算式に落とすと、
- 50万円×185日÷365×5%=12,671.2円
端数を切り捨てて12,671円です。(端数は切り捨てなのか、四捨五入なのか規定がない時点で問題ですが…)
しかし、実際に分配されたのは12,650円でした。(税引前)
微妙に違うね?
なぜ12,650円になるのか?
理由は1口当たりの分配金額が基準になっているからです。
- 1口(1万円)あたりの分配金額を出す
- 1万円×185日÷365×5%=253.4円
- 端数切り捨て→253円/1口
- 出資口数を乗じる
- 253円/1口×50口=12,650円
こうやって出してるんだ!
1口あたりで出すのも端数を切り捨てるのも別にかまいません。
21円の差に四の五の言うほど貧乏じゃないですから。笑
問題はそれが成立前書面のどこにも規定されていないことです。
投資家と業者は成立前書面(=成立時書面)を以て契約を締結します。
であるのに、書面に規定されていない=投資家と合意していない方法で分配金を算出する。
これ、普通に考えておかしいと思うんですよね。
この件についてはCrowdShip Fundingを採用していない業者も含めて10社以上に問い合わせたことがあります。
そしてどの業者も「法的には問題ない」と回答しました。
法務や弁護士に確認した業者も数社ありましたので、法的に問題はないのだろうと思います。
ただ、紛らわしいのは事実ですよね?
それで実際、B-Denは書面の文言を次のように変更しています。
④ 前③による匿名組合損失の補てん後になお残利益がある場合、優先出資に係る利益の分配として、当該計算期間の末日時点における優先出資者の出資額に当該計算期間の実日数を乗じ365で除し3.0%を乗じた金額に満つるまでの金額を、総口数で除し1 口あたりの金額を算出し、優先出資口数に応じて優先出資者に帰属させます。また1円未満に関しては切り捨てと致します。
B-Denが書面を変更したということは、CrowdShip Fundingサイドがこの問題を認識しているということです。
であるにも関わらず、CrowdShip Fundingを採用して今年1月に運営を開始したみらファンでも書面は以前の通りです。
なぜ紛らわしい状態を放置するのか理解に苦しみます。
余談ですが、大昔にCREALで同様のこと(書面と実際の分配の相違)が起こりました。
その際CREALは社内調査後に自社サイトで公表し、過去すべての案件に遡って誤差分を全投資家に追加で分配したのです。
僕はこの一件以来、CREALは少なくとも違法なことをする業者ではないと信頼しています。
入出金一覧が使いにくい
これは声を大にして言いたい!
入出金の履歴を見るために「入出金→入出金一覧」をクリックします。
すると次に、対象期間、表示する内容(すべてor入金だけor出金だけ)を指定して「検索」をクリックしなければなりません。
最初っから全期間、全項目出せば良くない?
しょうがないので対象期間非指定(=全期間)、全てで「検索」をクリックすると、
なんと、古いものから順に表示されるのです!
誰得なの?
仕方なく最終ページを開きページ下部までスクロールして初めて、直近の入出金履歴を見ることができます。
一番最初の「入出金履歴」をクリックすると即座に全期間、全入出金が新しいものに表示される。
その方がより多くの利用者のニーズに合致するのではないでしょうか?
そういう要望があったのかは知りませんが、えんfundingは新しい順に表示されます。(「検索」クリックは必要)
できるのだから、全部そうしてくれれば良いのに…
出金手数料が分からない
「よくあるご質問」には手数料について下記のように書かれているだけで金額の記載はありません。
入金・出金時の振込手数料:お客様負担になります。恐れ入りますがご了承ください。
最近、CrowdShip Fundingで運営を始めた業者については、「マイページ→入出金→出金依頼」と進むと出金手数料が表示されます。
しかし、以前からCrowdShip Fundingを使っている業者については上のような表示はなく、「振込手数料は、お客様負担となります。」とだけ書かれている業者もいまだに少なくありません。
「実際に出金してみるまで手数料がいくらか分からないのは恐怖」といった指摘は、ツイッターでも複数確認できています。
手数料非表示はさすがにマズイのではないでしょうか?
分配日が分からない
「マイページ→取引履歴→取引履歴一覧」と進むと、案件ごとの分配金額が表示されます。
しかし、この画面では分配日が表示されません。
月次で資産管理をするなどしている人には不便だと思います。
また、この画面では分配金の累計だけが表示されるので、ちょこっと不動産など途中分配がある業者の場合、今月の分配金はいくらだったのか分からず、都度問い合わせていました。
これについては昨年途中から「分配金償還金履歴一覧」という画面が追加され、こちらで分配日ごとの履歴が見られるように改善されました。
ただし、バンカーズなどこの画面が実装されていないままの業者も残っています。
年間取引報告書に合計額がない
年間取引報告書(支払調書)は「マイページ→各種書類→支払調書」から発行できます。
それは便利で助かるのですが、分配金と源泉徴収税が案件ごとに書かれています。
で、肝心の年間の合計額が書かれていないのです。
だから、確定申告の際にいちいち計算しないといけません。
1社か2社なら良いのですが、CrowdShip Fundingを採用している業者が多いだけに、バンカーズでも足し算し、えんfundingでも足し算し、AGクラファンでも足し算しってメッチャ面倒です!
恐らくCrowdShip Fundingを作った方は確定申告をしたことがないのだと思います。
なので悪意はないのは分かるのですが。
僕は今年の確定申告で年間取引報告書が36枚でしたが、合計が書かれていないのはCrowdShip Fundingだけでした。
お願いですから来年は合計額を…
CrowdShip Fundingの不満点のまとめ
最後にまとめです。
CrowdShip Fundingへの不満のまとめ
- 提携銀行が明らかにされない
- メールマガジン登録が不親切
- 予定収益シミュレーションが不正確
- 償還予定日が分からない
- 劣後出資額が分からない業者がある
- メッセージ機能が超絶面倒
- 分配金が合わない
- 入出金一覧が使いにくい
- 出金手数料が分からない
- 分配日が分からない
- 年間取引報告書に合計額がない
CrowdShip Fundingは細かな配慮や、投資家サイドでの視点が欠けている。
これがCrowdShip Fundingを実際に使っている現役投資家としての評価です。
業者さんはご注意を
業者さんにご注意いただきたいのは、これらの不満はすべて業者に向けられることです。
ほとんどの投資家はシステムが外部からパッケージで導入されていることを知りません。
CrowdShip Fundingに限らず、バンカーズだったらバンカーズ、TSONだったらTSONが内製していると思っている。
なので、掲示板やSNSでは「FUNDROPのシステムは使いにくい!」みたいに業者が名指しで批判されています。
そのことは知っておかれたほうがよろしいかと。
もちろん、システムを改善したところで応募額が増えるわけでも利益率が上がるわけでもありません。
なので、改善へのモチベーションがまったく上がらないのは元会社員としてスーパーアンダスタンドですが。笑
投資家としてはちょっとでも使いやすくしていただけるとありがたいです。
以上です!
コメント