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グローシップパートナーズCrowdShip Fundingを投資家視点で評価

グローシップパートナーズCrowdShip Fundingを投資家視点で評価のタイトル画像

グローシップパートナーズ社の「CrowdShip Funding」は、最も多くのソシャレン、クラファン業者で採用されているシステムです。

AGクラファンやバンカーズ、えんfundingなど、みなさんがいつも利用している業者でCrowdShip Fundingが使われています。

ただ正直なところ、使いにくいところがけっこう多くないですか?

そこで、ソシャクラ歴6年、50社以上で1億4千万円以上を投資してきた現役投資家の僕が、CrowdShip Fundingを本音で評価してみます。

「そう、そう、そう!」と首がもげるほどうなずきながらご笑覧ください。

タロウさん
タロウさん

辛口レビューです!

この記事の著者
投資家・ブロガー
タロウ

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファディング専門の投資家です。
2018年にソシャレン・クラファン投資を始め、これまで400件を超える案件に2億円以上を投資し損失ゼロ。
安全性を最重視した投資情報を発信しています。

会員登録の際の不満点

会員登録の際の不満点のタイトル画像

まず最初に会員登録をする際の不満点です。

 

提携銀行が明らかにされない

会員登録の際に元本と分配金の振込先となる自分の銀行口座を登録します。

これを業者の入金先(=出金元)と同じ銀行にしておけば、入出金時の振込手数料を無料化または節約できますよね?

GMOあおぞらネット銀行からの振込

しかし、CrowdShip Fundingでは業者の提携銀行はデフォルトでは分からない仕様になっています。

「ご利用の流れ」にも書かれていませんし、「よくあるご質問」には次のように書かれているだけです。

マイページにログイン後、『銀行口座情報』画面より入金先口座情報を確認できます。
なお、入金先口座はお客様ごとに固有のものが割り振られており、お客様により口座番号が異なりますのでご注意ください。

右田さん
右田さん

どの銀行か知りたいのに…

では、どの銀行か掲載できないのかというと、そんなことはありません。

同じくCrowdShip Fundingを採用しているB-Denの「よくあるご質問」ではこうです。

契約成立時、振込先をメールにてお知らせします。
銀行はGMOあおぞらネット銀行になります。お客様おひとりおひとりにバーチャル口座をご用意いたしますので、安心してお振込み頂けます。

左野くん
左野くん

ちゃんと書いてる!

事前に提携銀行が分からないと、投資家と業者には以下の不都合が生じます。

  • 投資家
    • どの銀行か問い合わせないといけない
    • 分からないまま登録した場合、あとで銀行を変更する必要が生じる
  • 業者
    • 投資家からの問い合わせに対応しなければならない
    • 銀行変更の手続きに対応しなければならない

「投資の流れ」のページや会員登録のフローの最初に次のように書いておけば親切だし、業者の手間も減ると思うのですが。

弊社の入金先、出金元口座はGMOあおぞらネット銀行です。会員登録の際に同行の口座でご登録いただくと、出金手数料が無料となりオトクです。

提携銀行を明示しようと思えばできるのに、なぜしないのか謎です。

 

メールマガジン登録が不親切

CrowdShip Fundingでは会員登録の最初で「メールマガジン登録」という選択肢があります。

多くの人はメルマガが届くのが面倒で「登録しない」を選択すると思います。

ですが、それがトラブルにつながる可能性があります。

なぜならば、「登録しない」を選択すると募集予告メールが届かない場合があるからです。

僕はバンカーズで予告メールが届かず、問い合わせたところ「登録しない」を選択したのが原因と判明しました。

右田さん
右田さん

募集を見逃す可能性がある。

普通、メールマガジンっていわゆるメルマガを想像しますよね?(僕だけ?)

メールマガジン登録欄の下に例えば、

メールマガジンでは募集予告などをご案内させていただきます。「登録しない」を選択しない場合、募集予告が届かなくなりますのでご注意ください。

みたいに書いておけば良いのに。

投資をする際の不満点

投資をする際の不満点のタイトル画像

次に案件に投資する際の不満点です。

主に案件詳細ページについてです。

 

予定収益シミュレーションが不正確

分配金がいくらになるかのシュミレーションができる機能が装備されています。

これ自体は非常に助かります。

ただ、実際の分配金は日割り計算なのに、シュミレーションは月割りのため、予定と実際に誤差が出ます。

あくまでも目安なのでかまわないのですが、「概算です」みたいに断りを入れておいた方が良い気も。

左野くん
左野くん

クレームを未然に防ぐ。

ちなみに、FANTAS fundingFUELオンラインファンドはシュミレーションも日割りなので、予定と実際に受け取る分配金が完全に一致します。(早期償還の場合を除く)

なお、フォローするわけではありませんが、分配金の内訳は明確で分かりやすいです。

分配金の内訳

FANTASもそうですが、表示されるのが税引前なのか後なのか分かりにくい業者も多いです。

FANTASの場合

2,442円引かれた結果が9,519円?

それとも、9,519円から2,442円引かれるの?

 

償還予定日が分からない

日程について以下は必ず掲載されています。

  • 募集開始・終了日時
  • 運用開始・終了日

しかし、デフォルトでは分配日と償還日は掲載されていません

特に償還日が分からないのは不親切ですよね?

成立前書面にも「~から2カ月以内」みたいに書かれているだけだし。

では、償還日を掲載できないのかというとそうではありません。

CrowdShip Fundingを採用しているえんfundingでは以下のような分かりやすい画像で償還日を示しています。

えんfundingの例

えんfundingのように画像を提供しないとできないのか?

違います。

同じくCrowdShip Fundingを採用しているちょこっと不動産iRDではページ内にテキストで掲載されています。

ちょこっと不動産の例

償還予定日を掲載しようと思えばできるのに、デフォルトでは非掲載の仕様になっている。

投資家がどういう情報を必要としているのか、グローシップパートナーズ社がニーズを把握できていないのだと思います。

グローシップが日々直接的に接しているのは業者であり、投資家ではないですから。

 

劣後出資額が分からない業者がある

これはクラファン業者によりますが。

CrowdShip Fundingを採用している多くの業者では、優先出資額と劣後出資額、もしくは、優先出資額と出資総額が掲載されています。

しかし、B-Den72CROWD.では優先出資額のみの掲載で、劣後出資額は成立前書面で確認する必要があります。

また、victory fundiRDは「シュミレーション」タブを見ないと分かりません。(iRDは劣後出資比率のみの掲載)

どっちみち成立前書面を見るので分かるのですが、案件概要のところにも掲載してもらえると便利です。

 

メッセージ機能が超絶面倒

CrowdShip Fundingを採用している業者からの連絡はマイページの「メッセージ一覧」に保管されます。

そして、業者からメールで「メッセージをご確認ください」と連絡が届きます。

つまり、

  1. メールが届く
  2. 業者のサイトを開く
  3. ログインする
  4. メッセージ一覧を見る
  5. 当該メッセージを開く

と、5段階を経てはじめてメッセージを読むことができます。

そうやって面倒な思いをして開いたメッセージの内容がこんなのだったりする。

ご出資いただいておりました○○ファンドの分配金のお知らせです。
先日のご案内のとおり匿名組合契約に基づき、明日2022年11月12日の償還・分配を予定しております。

この程度のこと、メール本文に書けよ!って思いません?

こういうことが何度も続いたので、僕は最近はCrowdShip Funding採用の業者から届くメッセージはほとんど見ていません。

どっちみちどうでも良い内容だろうと放置しています。

タロウさん
タロウさん

マジ勘弁してほしいです!

運用終了後の不満点

運用終了後の不満点のタイトル画像

運用期間が終わった後の不満点です。

 

分配金が合わない

成立前書面に書かれている通りに計算した分配金の額と、実際に分配される額とが一致しないです。

右田さん
右田さん

どゆこと?

ナンノコッチャ分からないと思うので、僕が投資した72CROWD.の2号代田橋案件を例に説明します。

  • 利回り:5.0%
  • 運用期間:6カ月(185日)
  • 投資額:50万円

分配金の算出方法について、成立前書面には次のように書かれています。

④ 前③による匿名組合損失の補てん後になお残利益がある場合、優先出資に係る利益の分配として、当該計算期間の末⽇時点における優先出資者の出資額に当該計算期間の実⽇数を乗じ365で除し5.00%を乗じた⾦額に満つるまでの⾦額を、優先出資割合に応じて優先出資者に帰属させます。

太字の部分を計算式に落とすと、

  • 50万円×185日÷365×5%=12,671.2円

端数を切り捨てて12,671円です。(端数は切り捨てなのか、四捨五入なのか規定がない時点で問題ですが…)

しかし、実際に分配されたのは12,650円でした。(税引前)

左野くん
左野くん

微妙に違うね?

なぜ12,650円になるのか?

理由は1口当たりの分配金額が基準になっているからです。

  1. 1口(1万円)あたりの分配金額を出す
    • 1万円×185日÷365×5%=253.4円
    • 端数切り捨て→253円/1口
  2. 出資口数を乗じる
    • 253円/1口×50口=12,650円
右田さん
右田さん

こうやって出してるんだ!

1口あたりで出すのも端数を切り捨てるのも別にかまいません。

21円の差に四の五の言うほど貧乏じゃないですから。笑

問題はそれが成立前書面のどこにも規定されていないことです。

投資家と業者は成立前書面(=成立時書面)を以て契約を締結します。

であるのに、書面に規定されていない=投資家と合意していない方法で分配金を算出する。

これ、普通に考えておかしいと思うんですよね。

この件についてはCrowdShip Fundingを採用していない業者も含めて10社以上に問い合わせたことがあります。

そしてどの業者も「法的には問題ない」と回答しました。

法務や弁護士に確認した業者も数社ありましたので、法的に問題はないのだろうと思います。

ただ、紛らわしいのは事実ですよね?

それで実際、B-Denは書面の文言を次のように変更しています。

④ 前③による匿名組合損失の補てん後になお残利益がある場合、優先出資に係る利益の分配として、当該計算期間の末日時点における優先出資者の出資額に当該計算期間の実日数を乗じ365で除し3.0%を乗じた金額に満つるまでの金額を、総口数で除し1 口あたりの金額を算出し、優先出資口数に応じて優先出資者に帰属させます。また1円未満に関しては切り捨てと致します。

B-Denが書面を変更したということは、CrowdShip Fundingサイドがこの問題を認識しているということです。

であるにも関わらず、CrowdShip Fundingを採用して今年1月に運営を開始したみらファンでも書面は以前の通りです。

なぜ紛らわしい状態を放置するのか理解に苦しみます。

余談ですが、大昔にCREALで同様のこと(書面と実際の分配の相違)が起こりました。

その際CREALは社内調査後に自社サイトで公表し、過去すべての案件に遡って誤差分を全投資家に追加で分配したのです。

僕はこの一件以来、CREALは少なくとも違法なことをする業者ではないと信頼しています。

 

入出金一覧が使いにくい

これは声を大にして言いたい!

入出金の履歴を見るために「入出金→入出金一覧」をクリックします。

入出金一覧1

すると次に、対象期間、表示する内容(すべてor入金だけor出金だけ)を指定して「検索」をクリックしなければなりません。

入出金一覧2

最初っから全期間、全項目出せば良くない?

しょうがないので対象期間非指定(=全期間)、全てで「検索」をクリックすると、

入出金一覧3

なんと、古いものから順に表示されるのです!

誰得なの?

仕方なく最終ページを開きページ下部までスクロールして初めて、直近の入出金履歴を見ることができます。

入出金一覧4

一番最初の「入出金履歴」をクリックすると即座に全期間、全入出金が新しいものに表示される。

その方がより多くの利用者のニーズに合致するのではないでしょうか?

そういう要望があったのかは知りませんが、えんfundingは新しい順に表示されます。(「検索」クリックは必要)

できるのだから、全部そうしてくれれば良いのに…

 

出金手数料が分からない

「よくあるご質問」には手数料について下記のように書かれているだけで金額の記載はありません。

入金・出金時の振込手数料:お客様負担になります。恐れ入りますがご了承ください。

最近、CrowdShip Fundingで運営を始めた業者については、「マイページ→入出金→出金依頼」と進むと出金手数料が表示されます。

出金手数料の表示

しかし、以前からCrowdShip Fundingを使っている業者については上のような表示はなく、「振込手数料は、お客様負担となります。」とだけ書かれている業者もいまだに少なくありません。

「実際に出金してみるまで手数料がいくらか分からないのは恐怖」といった指摘は、ツイッターでも複数確認できています。

手数料非表示はさすがにマズイのではないでしょうか?

 

分配日が分からない

「マイページ→取引履歴→取引履歴一覧」と進むと、案件ごとの分配金額が表示されます。

しかし、この画面では分配日が表示されません。

月次で資産管理をするなどしている人には不便だと思います。

また、この画面では分配金の累計だけが表示されるので、ちょこっと不動産など途中分配がある業者の場合、今月の分配金はいくらだったのか分からず、都度問い合わせていました。

これについては昨年途中から「分配金償還金履歴一覧」という画面が追加され、こちらで分配日ごとの履歴が見られるように改善されました。

ただし、バンカーズなどこの画面が実装されていないままの業者も残っています。

 

年間取引報告書に合計額がない

年間取引報告書(支払調書)は「マイページ→各種書類→支払調書」から発行できます。

それは便利で助かるのですが、分配金と源泉徴収税が案件ごとに書かれています。

年間取引報告書

で、肝心の年間の合計額が書かれていないのです。

だから、確定申告の際にいちいち計算しないといけません。

1社か2社なら良いのですが、CrowdShip Fundingを採用している業者が多いだけに、バンカーズでも足し算し、えんfundingでも足し算し、AGクラファンでも足し算しってメッチャ面倒です!

恐らくCrowdShip Fundingを作った方は確定申告をしたことがないのだと思います。

なので悪意はないのは分かるのですが。

僕は今年の確定申告で年間取引報告書が36枚でしたが、合計が書かれていないのはCrowdShip Fundingだけでした。

タロウさん
タロウさん

お願いですから来年は合計額を…

CrowdShip Fundingの不満点のまとめ

CrowdShip Fundingの不満点のまとめのタイトル画像

最後にまとめです。

 

CrowdShip Fundingへの不満のまとめ

  • 提携銀行が明らかにされない
  • メールマガジン登録が不親切
  • 予定収益シミュレーションが不正確
  • 償還予定日が分からない
  • 劣後出資額が分からない業者がある
  • メッセージ機能が超絶面倒
  • 分配金が合わない
  • 入出金一覧が使いにくい
  • 出金手数料が分からない
  • 分配日が分からない
  • 年間取引報告書に合計額がない

CrowdShip Fundingは細かな配慮や、投資家サイドでの視点が欠けている。

これがCrowdShip Fundingを実際に使っている現役投資家としての評価です。

 

業者さんはご注意を

業者さんにご注意いただきたいのは、これらの不満はすべて業者に向けられることです。

ほとんどの投資家はシステムが外部からパッケージで導入されていることを知りません。

CrowdShip Fundingに限らず、バンカーズだったらバンカーズ、TSONだったらTSONが内製していると思っている。

なので、掲示板やSNSでは「FUNDROPのシステムは使いにくい!」みたいに業者が名指しで批判されています。

そのことは知っておかれたほうがよろしいかと。

もちろん、システムを改善したところで応募額が増えるわけでも利益率が上がるわけでもありません。

なので、改善へのモチベーションがまったく上がらないのは元会社員としてスーパーアンダスタンドですが。笑

投資家としてはちょっとでも使いやすくしていただけるとありがたいです。

タロウさん
タロウさん

以上です!

コメント

上場企業系

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファンディングで「上場企業系」とは、運営会社やその親会社が上場企業であることを指します。

上場企業は信用力が高いことから、上場企業系の業者が運営するソシャレン、不動産クラファンは信頼性、安全性が高いと考える投資家が多いです。

ただし、「上場企業系=100%安全」とは限らないので注意が必要です。

貸付金利

ソーシャルレンディングでは投資家から集めたお金を企業などに貸し、得られた利益を投資家に分配します。

例えば、企業に7%で貸し、ソシャレン業者が利益を2%取り、5%を投資家に分配します。

ソーシャルレンディングの貸付金利の説明図

企業に貸す際の金利(上図の7%)が貸付金利です。

上場企業系

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファンディングで「上場企業系」とは、運営会社やその親会社が上場企業であることを指します。

上場企業は信用力が高いことから、上場企業系の業者が運営するソシャレン、不動産クラファンは信頼性、安全性が高いと考える投資家が多いです。

ただし、「上場企業系=100%安全」とは限らないので注意が必要です。

運用と運用期間

不動産クラウドファンディングにおいて運用とは、投資家から集めた資金で取得した不動産を、賃貸したり売却したりすることで利益を生み出すことをいいます。

運用を行う期間は案件ごとにあらかじめ決められており、これを運用期間といいます。

マスターリース契約

不動産クラウドファンディングでは投資家の資金で不動産クラファン業者が物件を取得し、入居者から家賃を得ます。

しかし、入居者が見つからなければ家賃が入らず、投資家が分配金を得られなくなります。

そこで、不動産クラファン業者が不動産業者と次のような契約を結びます。

  1. 不動産クラファン業者が不動産業者に部屋を貸す
  2. 不動産業者が入居者に部屋を貸す
  3. 入居者が見つからなくても不動産業者は毎月の家賃を不動産クラファン業者に払う

マスターリース

これがマスターリース契約です。

マスターリース契約により投資家は入居者が見つからないリスクから隔離され、投資の安全性が向上します。

部分当選

ソーシャルレンディングと不動産クラウドファンディングの募集には、早い者勝ちの先着方式の他に、応募した人の中から投資できる人を抽選で決める抽選方式があります。

抽選方式では、50万円で応募して当選したら50万円投資できるのが基本です。

しかし、50万円の内、30万円分だけ当選する(=30万円だけ投資できる)こともあります。

これが部分当選です。

当選者の最後の1人が残額を割り当てられて部分当選になる場合の他、多くの人を当選にするために業者が全員を部分当選にする場合などがあります。

借り手企業

ソーシャルレンディングでは投資家から集めたお金を、ソシャレン業者が企業に貸します。

ソーシャルレンディングの仕組み

案件の募集で集められた投資家のお金を借りるのが借り手企業です。

借り手企業が倒産したり返済不能になると、投資家のお金が戻ってこない場合があります。

ソーシャルレンディングのリスク

ですので、ちゃんと返済できるのか?ソーシャルレンディングでは借り手企業の見極めが非常に重要です。

満室賃料

満室賃料とは、その物件が満室の場合に得られる想定賃料のことです。

全4室の1棟アパートで、各部屋の賃料が以下の場合、

  • 101号室:4.5万円
  • 102号室:4.5万円
  • 201号室:5.5万円
  • 202号室:5.5万円

満室賃料は月間20万円、年間240万円です。

空室リスク

空室リスクとは投資対象物件に入居者がつかず、空室で家賃収入を得られなくなるリスクです。

匿名組合型と任意組合型

不動産クラウドファンディングを含む不動産特定共同事業は、主に匿名組合型と任意組合型に分かれます。

主な違いは一般に下表の通りです。

匿名組合型 タイプ 任意組合型
匿名組合契約 契約 任意組合契約
なし 物件の所有権 あり
少なめ 最低出資額 多め
短め 運用期間 長め
有限責任 責任 無限責任
雑所得 所得区分 不動産所得

物件が倒壊して隣接する建物に被害が及んだ場合、任意組合型では出資額を超えて賠償責任が発生します。

匿名組合型の場合は責任範囲は出資額が上限であり、最悪でも全損で済みます。

任意組合型は所得区分が不動産所得で有利なため、相続など節税対策に使われることが多いです。

不動産クラファンではほとんどの案件が匿名組合型です。

不動産特定共同事業

不動産特定共同事業は次のような事業です。

  1. 複数の投資家から出資を受け
  2. 集まった資金で不動産を取得、運用し
  3. 得られた利益を投資家に分配する

多くの場合、1億円の1棟マンションを100口の持ち分に分割し、1口100万円で販売するといった、不動産小口化商品の形を取ります。

不動産特定共同事業のうち、募集などをインターネットを使って行うのが不動産クラウドファンディングです。

不動産小口化商品

不動産小口化商品は不動産を小口の持分に分割して販売する不動産投資商品です。

例えば、1億円の1棟マンションを1口100万円の持分100口に分割し、1口単位で販売します。

仮にこのマンションで1,000万円の利益が出た場合、1口投資した人は10万円、5口投資した人は50万円を得るイメージです。

不動産クラファンの場合、持分には利益の分配を受ける権利が含まれますが、物件の所有権は含まれません。

 

デポジット口座

デポジット口座とは業者内で投資家ごとに設置されるお財布のようなものです。

デポジット口座方式の業者では、投資家は事前に銀行から業者にお金を振り込み、そのお金は業者内のデポジット口座で保管されます。

デポジット口座

そして、デポジット口座のお金で案件に投資します。

また、分配金や償還された元本はデポジット口座で保管され、投資家が必要なときに出金申請し、自分の銀行口座に引き出します。

デポジット口座

 

売却リスク

不動産において、物件が予定通りの価格で売却できない、もしくは、売却そのものができない可能性を売却リスクといいます。

売却リスクが現実化すると、投資家には次のような不利益が生じる場合があります。

  • 分配金が予定額を下回る
  • 分配を受けられない
  • 元本の一部が戻ってこない
  • 元本のすべてが戻ってこない

流動性

不動産において、売買のしやすさや、現金化のしやすさを流動性といいます。

都心の一等地など需要が高く売りやすい物件は「流動性が高い」、逆に農村の空き家など需要が低く売りにくい物件は「流動性が低い」です。

譲渡

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファンディングで自分の出資持分(利益の分配や元本の償還を受ける権利)を、第三者に譲り渡すことを譲渡といいます。

例えば、〇〇FUNDINGで10万円投資し、それを第三者(〇〇FUNDINGを含む)に10万円(もしくはそれ以外の金額)で買い取ってもらうイメージです。

入金と出金

投資するお金をソシャレン、クラファン業者の銀行口座に振り込むことを入金といいます。

運用が終わったお金が業者から投資家の銀行口座に振り込まれることを出金といいます。

元本

ソーシャルレンディングや不動産クラウドファンディングで、投資家が出資(投資)したお金のことを元本といいます。

リフォームとリノベーション

リフォーム、リノベーションともに、住宅の改修や改築を指します。

両者の違いはリフォームは「元の状態に戻す」ことであり、例えば壁の張替えや外壁の塗替えはリフォームです。

対して、リノベーションはリフォームよりも大がかりな改修、改築を行うことで「住宅の機能や価値を高める」ことを指します。

例えば、床暖房の新設や、壁を撤去して広々としたLDKへの間取りの変更はリノベーションです。

リフォームが老朽化で800万円に下がった物件の価値を元の1,000万円に戻すのに対し、リノベーションでは機能を付加して1,200万円に高めるイメージです。

分配と分配金

ソーシャルレンディングや不動産クラウドファンディングで、運用で得られた利益を投資家に支払うことを分配といいます。

また、支払われる利益を分配金と呼びます。

案件

ソーシャルレンディングや不動産クラウドファンディングで、募集される1つ1つの投資商品のことを案件と呼びます。

この用語は次のように使われます。

  • 〇〇業者から新しい案件が出た
  • 今度の案件は利回りが高い
  • 先週は△△案件に10万円投資した
  • □□業者は先月は3案件募集があった
  • ◇◇案件に応募したが抽選で落選した

すいません、上手く説明できなくて。

区分マンション

マンションを部屋単位で購入し投資する場合、「区分マンションに投資する」といった表現をします。

対して、1棟単位で購入、投資する場合は「1棟マンションに投資する」といいます。

独立した部屋1つ1つが区分マンションであり、面積や間取りを問いません。

ワンルームでも4LDKでも区分マンションです。

大島てる

大島てるは全国の事故物件情報を掲載するウェブサイト、及び、そのサイトを運営する会社の名称です。

先着方式と抽選方式

ソーシャルレンディングと不動産クラウドファンディングの募集方式は2つあります。

一つは募集開始と同時によ~いどんで早い者勝ちで投資できる人が決まる先着方式です。

もう一つは募集期間中に応募した人の中から抽選で投資できる人を決める抽選方式です。

成立前書面

成立前書面(契約成立前書面、契約締結前交付書面)は、ソーシャルレンディングや不動産クラウドファンディングで案件に応募する前に確認する書類です。

確認することで応募できるようになります。

成立前書面の確認画面

案件の詳細情報や契約内容などが書かれており、契約書に相当するものだと考えてください。

多くの業者で募集開始前から確認が可能です。

サイトに書かれていない情報も多いので、事前に必ず確認することを強くおすすめします。

モニタリング

ソーシャルレンディングにおいてモニタリングとは、借り手が融資契約を守れるか、ソシャレン業者が監視することをいいます。

業者によって異なりますが具体的な作業としては、定期的な借り手企業の訪問、経営者などへのヒアリング、財務書類のチェックなどがあります。

定期的にモニタリングを行うことで借り手の異常などを早期に察知し、貸し倒れを防ぐことができます。

このため、業者のモニタリングの実施とその精度は投資家にとって重要です。

あと入金と事前入金

投資するお金を業者に入金する方法は2つあります。

一つは先着や抽選の結果、投資できることが決まってから業者の口座に振り込むあと入金方式です。

もう一つは募集開始前に業者のデポジット口座への入金が必要な事前入金方式です。

デポジット口座

デポジット口座のお金は応募した案件への出資に充当されます。

ただし、抽選に落選などで投資できなくなると、入金したお金がデポジット口座で寝ることになります。

さらに、このお金を自分の口座に出金する際の振込手数料が投資家負担の業者もあります。

投資家にとってはあと入金の方が有利です。

 

早期償還

ソーシャルレンディングで借り手が予定より早く返済したり、不動産クラウドファンディングで物件が予定より早く売れることがあります。

そういった理由で案件の運用が予定より短い期間で終わり、業者が元本を予定より早く投資家に返すことを早期償還といいます。

例えば、運用期間12カ月の予定が6カ月で早期償還になると、受け取る分配金は基本的に半分になります。

ネガティブに捉えられがちですが、業者が確実に返済できる借り手、売れる物件を選んで案件を組成した証でもあります。

分配原資

分配原資とは分配金の出どころのことです。

例えば、入居者から得る家賃から投資家に分配金を払う場合、分配原資は家賃です。

家賃はインカムゲインですので、分配原資はインカムゲインとも表現できます。

組成

案件を作ることを組成といいます。

  • 投資対象は緑町ハイツ102号室で
  • 利回りは4.5%で
  • 運用期間1年
  • 募集総額2,300万円の案件を作る

こうやって案件が出来上がります。

組成 → 募集 → 運用開始 → 運用終了 → 償還

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファンディングの案件はこのような流れで運営され、その最初の段階が案件の組成です。

元本毀損

元本毀損(元本割れ)とは投資したお金の一部、または、すべてが戻ってこなくなることです。

例えば、不動産クラウドファンディングで2,000万円で取得した物件が1,500万円でしか売れなかった場合、元本の一部が戻ってこないことがあります。

また、取得した物件が地震で倒壊し売れなくなった、ソーシャルレンディングで借り手企業が倒産したなどで、元本の全額が戻ってこないこともありえます。

クラファン案件の管理手数料

不動産クラファンで区分マンションなどが投資対象になる場合、物件の入居者募集や家賃徴収といった管理業務が行われます。

これらの業務は業者または外部の不動産業者が代行し、そこでは管理手数料が発生します。

案件の利回りはこういった手数料や経費も差し引いた上で計算されたものです。

ですので、投資家が管理手数料を別途支払う必要はありません。

優先出資と劣後出資

不動産クラファンでは一般に投資家と業者が共同で出資し、物件を取得します。

例えば、投資家が2,400万円、業者が600万円出資し、3,000万円の物件を取得するといった感じです。

出資者 出資額
投資家(優先出資) 2,400万円
業者(劣後出資) 600万円
出資総額 3,000万円

この時、投資家分の出資を優先出資業者分の出資を劣後出資といいます。

なぜ、そのような言い方をするのかなど、詳しくは下記記事を参照してください。

優先劣後出資方式と劣後出資比率

キャピタルゲイン型

不動産クラファンの案件は大きくキャピタルゲイン型とインカムゲイン型に分かれます。

投資対象物件を売却した際の売却益を分配原資(分配金の出どころ)とする案件がキャピタルゲイン型です。

一方のインカムゲイン型は運用期間中の家賃収益を分配原資とします。

なお、売却益と家賃収益の両方を分配原資とする併用型の案件もあります。

自社買取

不動産クラファンでは運用期間の最後に物件を不動産投資家など第三者に売却するのが一般的です。

しかし、何らかの事情で売却できなかった場合、自社で物件を買い取ることがあります。

売却できずに元本が戻ってこないところが、業者が買い取ることで元本が戻ってくることになるので、自社買取は投資家にとってメリットです。

インカムゲイン型の案件では、最初から自社買取の予定で案件を組成することもあります。

劣後出資比率

不動産クラファンでは一般に投資家と業者が共同で出資し、物件を取得します。

例えば、投資家が2,400万円、業者が600万円出資し、3,000万円のマンションを取得するといった感じです。

このとき、出資総額に対する業者分の出資額の比率を劣後出資比率といいます。

さきほどの例では20%です。

出資者 出資額 出資比率
投資家 2,400万円 80%
業者 600万円 20%
合計 3,000万円

そして、劣後出資比率が高いほど安全性が高まります。

右田さん
右田さん

数字が大きいほど安全だよ。

なぜ高いほど安全なのか?

詳しくは下記記事を参照してください。

優先劣後出資方式と劣後出資比率

償還

案件の運用が終わり、業者が元本を投資家に返すことを償還といいます。

クリック合戦

募集が先着方式の案件では、投資できる人が決まるのは早い者勝ちです。

このため、人気の案件では募集開始と同時に応募が殺到します。

この状態をクリック合戦といいます。

信託受益権

信託受益権とは信託財産から発生する利益を受け取る権利のことです。

詳しくは↓こちらの記事を参照してください。

信託受益権とは?(別タブで開く)

信託受益権とは?(今開いているタブで開く)

抵当権と根抵当権と極度額

抵当権とは借り手が返済できなくなった時に担保を売却し、その代金から他の債権者に優先して返済を受ける権利です。

抵当権は1つの借り入れに対して設定されるため、返済時点で消滅します。

これに対し根抵当権ではあらかじめ融資の上限額を設定し、その範囲内であれば何度でも融資と返済が可能です。

その都度、抵当権の設定登記を行う必要がないため、企業への融資などでよく利用されます。

極度額は根抵当権の融資上限額のことです。

債務履行

まず、「債務」とは他人に対し何らかの行動を行う義務のことです。

そして、債務を実際に行うことを債務履行といいます。

ソーシャルレンディングの場合、借り手(債務者)が利払いや元本の返済をすることや、連帯保証人が借り手に代わってそれらを行うことが債務履行にあたります。

逆に、借り手が経営悪化などに至り、利払いや元本返済をしない(できなくなる)ことが債務不履行です。

LTV

ソーシャルレンディングで使われる用語で、担保評価額に対する融資額の割合をいいます。

例えば、1億円の土地を担保に8千万円を融資する場合、LTVは80%です。

担保が評価額通りに売れるとは限らないため、LTVの数字が小さいほど安全性が高いとされます。

資金使途

ソーシャルレンディングで業者から借りたお金を借り手が何に使うかを資金使途といいます。

延滞

ソーシャルレンディングで借り手が期限内に返済できなくなることを延滞といいます。

また、ソシャレン、不動産クラファンで分配金の支払いや元本の償還が予定より遅れている状態を延滞と呼ぶことがあります。

業者や投資家によっては「遅延」という表現が使われることもありますが、意味は同じです。