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オルタナバンクに新たなリスクが|投資家が取るべき対策は?

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人気のソーシャルレンディング業者「オルタナバンク」。

最近、募集を急速に増やしていますが、新たなリスクが浮上しました。

左野くん
左野くん

なんと!

今回はオルタナバンクの4つのリスクと、投資家が取るべき対策を解説します。

タロウさん
タロウさん

万が一に備えましょう!

 

 

この記事の著者
投資家・ブロガー
タロウ

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファディング専門の投資家です。
2018年にソシャレン・クラファン投資を始め、これまで400件を超える案件に2億2千万円以上を投資し損失ゼロ。
安全性を最重視した投資情報を発信しています。

オルタナバンクに浮上したリスク

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この数カ月でオルタナバンクに新たなリスクが浮上しました。

 

オルタナバンクが急拡大中

2023年に入り募集が急増

オルタナバンクでは2023年に入り募集が急増中です。

2022年は月平均5億円だったのが、2023年4月以降は毎月10億円以上になってます。

オルタナバンクの2023年の月別募集額

このペースでいくと2023年トータルでは前年比3倍も射程圏です。

オルタナバンクの年別募集額

右田さん
右田さん

イケイケだね。

 

新たなリスクが浮上

従来、オルタナバンクの大きなリスクは、借り手の半分弱がカンボジアなど新興国、途上国の企業であったことです。

特にカンボジアは借り手の半分以上がマイクロファイナンス機関でした。

左野くん
左野くん

正直、怖いよね。

しかし今年の夏以降、特にカンボジアなど途上国案件は急速に減少しています。

タロウさん
タロウさん

それは良いのですが…

その代わりに新たなリスクが浮かび上がってきたのです。

以下、特に懸念される4つのリスクを解説します。

 

借り手の偏り

1つ目のリスクは借り手の偏りです。

上位3社(S社、A社、Z社)への貸付が極端に多くなっています。

 

上位3社の比率が急増

2023年1月は5億9,550万円の募集が行われ、投資家の応募額=借り手への貸付額は5億4,171万円でした。

このうち、上位3社への貸付は4.8%の2,621万円でした。

2月も1割以下でしたが、3月になると4割に急増します。

上位3社への貸付額

上位3社への貸付比率はその後も高い水準を維持し、9月、10月はついに8割を超えたのです。(単位:万円)

S社 A社 Z社 その他
貸付額 構成比 貸付額 構成比 貸付額 構成比 貸付額 構成比
1月 2,621 4.8% 0 0% 0 0% 51,550 95.2%
2月 2,069 4.0% 1,694 3.2% 0 0% 48,451 92.8%
3月 17,831 20.7% 7,309 8.5% 12,560 14.6% 48,585 56.3%
4月 25,109 19.8% 33,449 26.3% 12,487 9.8% 55,914 44.0%
5月 20,250 19.5% 18,900 18.2% 0 0% 64,850 62.4%
6月 11,774 9.1% 34,826 26.8% 18,393 14.2% 64,818 49.9%
7月 52,317 49.1% 0 0% 24,853 23.3% 29,444 27.6%
8月 25,672 23.8% 13,009 12.0% 7,503 6.9% 61,846 57.2%
9月 90,163 70.6% 13,945 10.9% 0 0% 23,616 18.5%
10月 70,926 70.7% 10,338 10.3% 3,240 3.2% 15,762 15.7%

 

1カ月の貸付の内、上位3社で8割

11月も21日までに募集が終了した案件では上位3社で7割となっています。

右田さん
右田さん

8割はさすがに…

 

S社だけで7割

中でも突出しているのがS社への貸付です。

9月、10月はS社への貸付が全体の7割を超えています。

上位3社への貸付比率(9月)

上位3社への貸付比率(10月)

1社で7割はかなり極端な偏りでしょう。

タロウさん
タロウさん

いくらなんでも…

 

融資残の偏り

これに伴い、融資残の偏りも顕著になっています。

オルタナバンクで運用中の案件の応募額=貸付中の残高は、11月21日時点で98億4,096万円です。

このうち、上位3社向けが59億5,940万円を占めます。(単位:万円)

オルタナバンクの融資残の構成比

借り手 融資残 構成比
S社 34億3,059万円 34.9%
A社 16億1,917万円 16.5%
Z社 9億965億円 9.2%
その他 38億8,156万円 39.4%

3社で6割、S社だけで3分の1というのは、いささかリスキーな状況です。

左野くん
左野くん

S社がコケれば3分の1が毀損。

オルタナバンクの案件には返済が満期一括ではなく分割のものもあります。上記データはそれらを反映していません。

 

担保の脆弱性

3つ目のリスクは担保です。

上位3社の担保はすべてが社債や預金債権などです。

そして社債の発行企業や預金先は新興国の企業や銀行が大半を占めます。(単位:万円、2023年1~10月募集分)

S社の担保所属国

A社の担保所属国

無担保の貸付も少なくなく、Z社向けはすべて無担保です。

Z社の担保所属国

新興国だからダメと決めつけるわけではありません。

とは言え、都内の土地などに比べると担保として弱いことも事実です。

右田さん
右田さん

会社が倒産したら社債は紙くず…

 

応募率の低下

4つ目のリスクは応募率の低下です。

ここで言う応募率とは募集に対して応募がどれだけ集まったかを指します。

募集額1億円で応募が7千万円ならば応募率70%です。

以下では1年間または1カ月間の応募総額を募集総額で除して、それぞれの応募率を算出しています。

 

募集額の6割しか応募がない

オルタナバンクの応募率は2022年まではほぼ100%でした。

それが募集が急増した2023年に入ってから低下傾向に。

月別応募率の推移

直近の9月、10月は2カ月連続で5割台となっています。

タロウさん
タロウさん

半分ちょいしか集まってません…

 

募集増に応募が追いついていない

月ごとの募集額と応募率を比べると状況がよく分かります。

募集額(青)が増えると応募率(赤)が下がる。

つまり、募集増に応募が追いついていないということです。

月別募集額と応募率の関係

募集額 応募額 応募率
1月 5億9,550万円 5億4,171万円 91.0%
2月 6億8,000万円 5億2,214万円 76.8%
3月 18億2,539万円 8億6,285万円 47.3%
4月 14億9,653万円 12億6,959万円 84.8%
5月 10億4,000万円 10億4,000万円 100%
6月 19億2,730万円 12億9,811万円 67.4%
7月 11億9,600万円 10億6,614万円 89.1%
8月 17億9,151万円 10億8,029万円 60.3%
9月 22億2,830万円 12億7,724万円 57.3%
10月 17億6,282万円 10億266万円 56.9%

現状、オルタナバンクの調達力は月間10億円から13億円です。

正直なところ、身の丈に合わない募集をしていると感じます。

左野くん
左野くん

無理してるわけか。

 

利回りアップで対応か?

ここで気になるのが応募率と利回りとの関係です。

オルタナバンクでは2022年まで平均利回りが6%を超えることはありませんでした。

年平均利回りの推移

それが、2023年からは月平均で6%を超えることが増えています。

月平均利回りの推移

また、応募率と利回りを1つのグラフにまとめると、最近は応募率の低下に合わせて利回りが上昇しているようにも見えます。

応募率と利回りの関係

今のオルタナバンクの実力=会員の投資力では月間10億円が良いところ。

それを高利回りを出すことで実力以上の集金をしようとしているのではないか?

もしそうであれば収益の悪化につながりかねません。

右田さん
右田さん

単純には喜べないか。

投資家が取るべき対策

投資家が取るべき対策のタイトル画像

オルタナバンクのリスクに対して、我々投資家はどのように対策を取るべきでしょうか?

 

偏りはリスク要因

今回挙げた4つのリスクの中で、最も危惧するのは偏りです。

  • 借り手の偏り
  • 融資残の偏り
  • 担保の脆弱性
  • 応募率の低下

確かにソシャレン業者における偏りはオルタナバンクに限ったことではありません。

かつてはSBI-SLクラウドバンク、近年ではJ.LENDINGバンカーズでも偏りは見られました。

バンカーズでは1社への貸付が全貸付額の9割に達したこともあったほどです。

バンカーズのサイトの画像

それでもなお、上位3社が飛べば融資残の6割がデフォルトの危機に瀕するオルタナバンクの現状は安全とは言い難いでしょう。

オルタナバンクの融資残の構成比

左野くん
左野くん

どうすれば良いの?

 

案件を精査した上で投資判断

オルタナバンクが今すぐどうこうなるとは考えにくいです。

その上で投資家としてすべきことは次の3つでしょう。

  • リスキーな案件を避ける
  • 借り手の重複を避ける
  • 担保の堅い案件を選ぶ

途上国案件は避けるとか、S社ばかりにならないようにするとか、不動産担保の案件を選ぶとか。

要は基本の徹底です。

そのために大切なのは手を抜かないこと。

  • 案件詳細をすみずみまで読む
  • 最終貸付先や担保もチェックする

いつも説教臭いことばかり言って恐縮ですが。

手を抜いたツケはいつか必ず回ってきます。

面倒でもしっかり調べるを徹底しましょう。

タロウさん
タロウさん

以上です!

 

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