ソーシャルレンディングで業者の不正発覚などが相次いだ2018年は、まさにソシャレン冬の時代でした。
それから6年たった今、業者側はともかく我々投資家側は当時の状況に近づいている。
むしろ当時よりも危ういかもしれません。
今回は6年前を振り返り、当時との共通点、相違点を考えます。
なお、ご想像通り説教臭い内容です。
今日一日、笑顔で愉快に過ごしたい方は読まないことを全身全霊でおすすめします。笑
今すぐ画面をクローズ!
見落としている業者、ありませんか?
タップできる目次
ソシャレン冬の時代に起きていたこと
ソシャレン冬の時代に起きていたことを一言でいうと「自己の放棄が生んだ悲劇」です。
ソシャレン冬の時代
ソーシャルレンディング業界で投資家の大規模被害につながる最初の不祥事となったのは、2017年のみんなのクレジットの行政処分です。
翌2018年は、まず3月にラッキーバンクが行政処分。
次いで6月にグリーンインフラレンディングで不正が発覚すると、7月には同じマネオグループだったmaneoとクラウドリースに行政処分が下されます。
さらにガイアファンディングやアメリカンファンディングで期失が発生。
トラストレンディングにも行政処分と不祥事が続きました。
一連の不祥事の結果、多くの投資家が被害に。
被害額数百万円はザラで、中には1人で1社で1千万円を超えた投資家もいます。
多くの投資家が傷つき、ソーシャルレンディングの評判が地に落ちた2018年は、まさにソシャレン冬の時代と呼ぶにふさわしい1年でした。
疑念、不安は持っていた
当時、多くの投資家が疑念や不安を抱いていたはずです。
10%を超える高利回り、匿名化で見えない借り手。
正体がよく分からない業者、借り手、事業。
なんかおかしいよな、危なそうだよな。
2018年を過ごした投資家はみな多かれ少なかれ、そんな感覚を抱いていました。
欲が突き進ませた
そんな中、手を引いたり慎重になる投資家もいました。
後述しますが、僕は猜疑心の塊となりすべてを疑ってかかるようになりました。
しかし、7月に当時最大手だったmaneoに行政処分が下ったあとも、
maneo系業者への投資を続ける投資家がいました。
彼らも同様に危うさは感じていたはずです。
手を引いたほうが安全、慎重に調べて検討したほうが賢明。
それを分かっていながらも、儲けたい欲、面倒なことをしたくない気持ちが勝ったのでしょう。
権威性と集団心理で自分を納得させ
では、そんな彼らは自らの矛盾をどうやって納得させたのか?
恐らく権威性と集団心理、それらによる正常化バイアスを働かせたのでしょう。
被害が続出したあと、掲示板などでよく出た理由付けがあります。
- 有名ブロガーが安全と言っていた
- 四天王だから大丈夫だと思った
- みんな投資していた
もちろんこんなものは何の理由にもなりません。
有名だろうが無名だろうがブロガーなんて所詮はただの素人です。
四天王(maneo、OwnersBook、SBI-SL、クラウドクレジット)だって誰かが大手4社をそう名付けただけ。
みんなが正しいならば、今でも太陽は地球の周りを回っているでしょう。
でもそれは今だから言えること。
当時を知らない人はバカだなぁと思うかもしれませんが、6年前は少なからずの人がそうやって自分を納得させていたのです。
根本原因は他者依存、他責、自己の放棄
もちろん、それが間違った判断であったことは事実です。
では、なぜ彼らは間違いを犯してしまったのか?
厳しい言い方になりますが、他者依存と他責に根本原因があります。
有名ブロガーだ、四天王だ、みんなもだと投資判断を他者に依存。
被害に遭うと、依存相手に責任を求め、依存相手を選んだ自己の不明は知らぬふり。
すべてを他者に頼り他者に押し付ける。
言うなれば自己の放棄が生んだ悲劇だったのではないでしょうか。
2024年の状況はさらにひどくなっている
ソシャレン冬の時代から6年が経ちましたが、投資家側の状況はさらにひどくなっていると僕は感じています。
現在の舞台はXとインスタグラム
2018年と現在の大きな違いは、ソシャレン、クラファンブームが起こっている場所です。
2018年の舞台はブログや掲示板でした。
現在の舞台はX(旧Twitter)とインスタグラムです。
しかし、そこで起きている現象自体は2018年と根本的には変わっていません。
疑念、不安を持っている層はいる
銀行金利は1%未満、投資信託の期待値は3~5%、ソシャレン、クラファンの堅い業者の利回りは3~4%。
そんな中、8%や10%の利回りにリスクがないわけがない。
でも、儲けたい、投資したい。
その矛盾した気持ちを権威性と集団心理で納得させる。
当時の有名ブロガーや四天王が、有名インフルエンサーやフォロワー数に変わっただけ。
インスタのストーリーに貼られた「私も投資しました、○○さんのおかげです!」というDMの画像を見て、みんなやっているから大丈夫と自分を納得させる。
ここまでは2018年と同じです。
疑念、不安すら持っていない層の存在
2018年と大きく異なるのは、疑念、不安すら持っていない層が多数いることです。
彼らはソシャレン、クラファンの堅い業者の利回り水準が3~4%であることを知らない。
それどころかソシャレン、クラファンの仕組みすらよく分かっていない。
ではなぜ彼らは投資するのか?
恐らく「○○さんがオススメと言っているから」です。
不安な気持ちを権威で納得させる以前の問題。
権威が言っているから疑問も不安も持たずすべて受け入れる。
最近のXやインスタグラムを見ていると、これはもはや投資ではなく宗教だとすら感じます。
X、インスタグラムゆえの問題
もう一つ指摘したいのは情報量の違いです。
2018年の情報源は主にブログやサイトでしたので、それなりの情報量を提供できていました。
それにより、正誤は別として当時の投資家はある程度の知識は持っていたと思います。
しかし、Xは140文字、インスタグラムのストーリーに至っては1画面せいぜい数十秒です。
提供できる情報量がブログやサイトに比べると圧倒的に少ない。
それゆえ、メリットの訴求が精一杯で、詳しい内容やリスクにまで触れることはできません。
その上、信者になっているので発信内容を疑わない。
知識が極端に乏しく、疑念、不安すら持っていない投資家が膨大に存在することが、2018年と2024年との大きな違いだと感じます。
被弾したらパニックになるのでは?
2018年はもしかしたらという不安、危うい空気を多くの投資家が共有していました。
トラストレンディングで遅延が発生したときに、「天下り官僚って話が出来すぎてたんだよな」という後悔が掲示板に並んだのを覚えています。
来るべき時が来てしまったのが2018年でした。
翻って現在はどうでしょう?
信者たちは教祖のオススメを信じ切り、疑問も不安も抱いていない。
そんな彼らを予想だにしていなかった元本毀損が突然襲う。
一抹の不安を抱いていたソシャレン冬の時代とは比べ物にならないパニックになるのではないでしょうか。
行政の審査などが厳しくなり、業者側の状況は当時より良くなっています。
しかし、投資家側の状況はむしろ悪くなっていると感じるのです。
防御策は自己責任の徹底
では、我々投資家はどうすべきか?
やはり自己責任を徹底すること尽きると考えます。
ソシャレン、クラファンに教祖も権威もない
繰り返しますが、ブロガーもインフルエンサーもただの素人です。
2018年は貸金業者出身のブロガーが1人いましたが、今はいません。
ブロガーなんて普通の人よりソシャレン、クラファン投資額が多いだけの、ただの物書きもどきです。
インフルエンサーも然り。
薄い内容でも発信できるSNSが主戦場であるがゆえに、我々ブロガーごときに輪をかけてド素人です。
そもそも、教祖や権威に頼ろうとするのが間違っている。
誰々が言っているから!という発想が根本的に間違いです。
性善説は通用しない
もう一つ、姿勢として大切なのはすべてを疑ってかかることでしょう。
最大手のmaneoがチェックしているから大丈夫。
その結果、グリフラ、クラリ、ガイアはどうなりましたか?
元本ろくに戻ってきてないじゃないですか?
信じられるものなんて何もない。
このブログだって嘘八百の可能性ありますよ。
投資の世界で性善説は通用しない。
面倒を受け入れられるか?
教祖も権威もない、性善説は通用しない。
ではどうするか?
誰にも頼らず自分で調べ、自分で考え、自分で判断する。
これに尽きます。
たしかに面倒ですよ。
有名ブロガーが言っているからと思考停止したほうが楽でしょう。
でもね、被害が発生した時、有名ブロガーもインフルエンサーも何ら責任は取ってくれません。
面倒を避けて節約した時間と労力は、数十万、数百万の元本毀損に見合うのでしょうか?
リスクは皆に平等にある
偉そうに言っている僕ですが、実は初めての投資予定はグリフラでした。
忘れもしません、2018年6月4日月曜日、グリーンインフラレンディングのバイオマス案件に30万円投資する予定でした。
しかしその日の朝、Twitterでフォローしていた人のツイートでグリフラの自転車操業疑惑を知ります。
それで怖くなって投資をやめた、というほど僕は賢明ではなかった。
絶対危ない、やめた方がいい、でも利回り11.5%は美味しい。
昼の12時頃だったと思いますが、募集枠が埋まる直前まで迷いに迷い、ギリギリで思いとどまりました。
その4日後の金曜日です。
グリフラ事件が起こったのは。
僕が二言目には調べろと口うるさく言うのは、この一件がトラウマになっているからです。
あの時思いとどまっていなければ、僕はソシャレン投資の一発目で30万円を失っていました。
リスクを踏む可能性は皆に平等にあります。
6年前の彼らが今年の自分になるかもしれない。
投資はすべて自己責任です。
面倒を受け入れ、用心していきましょう。
説教臭くて恐縮です!
コメント
情報開示が甘いところは避けるようにしてます。
投資家側の目が厳しくればリスクの健全化と水準以下のファンドの排除につながるので、こちらの検証記事はとてもありがたいです。
応援してます。
そうですね、まず投資家が賢明になるべきです。
有権者が愚かだと政治が良くならないのと同じで。
最近だとポイ活系のインフルエンサーが「10万円投資でXXXX円」系の案件を拡散しているのをよく目にするので、1件あたりは巨額ではなくても合わせるとそこそこの額を投じているポイ活民が多いように見受けられます。
彼らはかつての惨状を知らず、アフィリエイトなど度外視で普通にお勧めしている人も多いですが、今後また連鎖破綻のようなことが起きた時に道義的責任を問われる可能性もあるだろうなと思っています。
道義的責任なんて所詮は道義的責任であり、法的拘束力は一切ないですからね。
それに同義の定義なんて人それぞれですし。
問うたところで相手が「道義的に問題ありません」と言ったらそれで終わりです。
なので、問うこと自体に意味がないというのが僕の本音です。
それより、数千円か1万円ちょっとのポイントに目がくらんで10万円を投資するポイ活民の愚かなことよ。
世も末ですよね。
指先動かすだけで簡単に儲かるほど世の中甘くない。
さすがに彼らもそれくらいは分かるでしょう。
なのに面倒くさがって考えもせず調べもせず、儲かるよ!と言われてホイホイ投資。
そしていざ被害に遭うと自分の手抜きは棚に上げて「詐欺だ!ポンジだ!責任取れ!」と叫ぶ。
愚かだなと思います。
高い授業料を払って手痛い勉強をしたほうが、この先の長い人生を考えると彼らにとって良いのかもしれません。
我々は用心、警戒して、賢明な投資家を目指しましょう!