国土交通省が不動産クラウドファンディングに関するアンケートを実施しました。
その内容から推察するに、不動産クラファンのセカンダリーマーケットを作ろうとしている可能性があります。
なにそれ?
アンケートの内容を紹介し、今後に予想される動き、我々投資家への影響を考察します。
やめてくれ~!
見逃している業者はありませんか?
タップできる目次
国土交通省のアンケートの内容
それではまず、国土交通省が実施したアンケートの内容を詳しく紹介します。
国交省がアンケートを実施
3週間以上も前のことで恐縮ですが。
1月23日に利回り不動産からアンケートへの協力依頼がメールで届きました。
ただし、利回り不動産が自社で行ったものではありません。
アンケートの実施主体は日本政策投資銀行グループのコンサルティング会社である価値総合研究所(価値総研)です。
そして、価値総研に調査を依頼したのは国土交通省不動産・建設経済局不動産市場整備課。
不動産特定共同事業を担当する部署、つまり、不動産クラファンの総元締めです。
お世話になってます~
アンケートの内容
アンケートでは7つの質問がありました。
長くなりますがすべて紹介します。
1.回答者様ご自身に関する設問
はじめに、不動産特定共同事業による投資商品に対する、これまでの投資経験についてお伺いします。
1-1 不動産特定共同事業による投資商品への投資を始めてからどの程度経っていますか。
・まだ投資したことがない
・1年未満
・1年以上3年未満
・3年以上5年未満
・5年以上
1-2 投資1件あたりの出資額の金額規模はどの程度ですか。
※ご自身が投資した商品の中で、1件あたりの出資規模についておおよそどの程度かお答えください。(平均的なものでかまいません)
・まだ投資したことがない
・5万円未満
・5万円以上~10万円未満
・10万円以上~100万円未満
・100万円以上~1000万円未満
・1,000万円以上
2.不動産特定共同事業による投資商品の運用期間中の売却に関する設問
続いて、不動産特定共同事業による投資商品の運用期間中の売却について感じる、利点や不安要素等についてお伺いします。
2-1 不動産特定共同事業による投資商品について、運用期間中に(満期よりも前に)他の投資家に売却しやすくなることは望ましいと思いますか。
・望ましい
・どちらかと言えば望ましい
・どちらとも言えない、わからない
・どちらかと言えば望ましくない
・望ましくない
2-2 運用期間中に(満期よりも前に)他の投資家に売却しやすくなることについて、どのような利点を感じますか。大きなものから順に、最大3つまで選択してください。
・現金が必要になった時に換金できる
・他の投資商品の方が魅力的に思えた時に乗り換えられる
・期待した配当を得られなかった時に売却できる
・投資している商品に不安やリスクを感じた時に売却できる
・出口戦略が柔軟になり、より気軽に投資しやすくなる
・取引価格がわかることで、適正な売却時期を選択することができる
・利点はない
2-3 運用期間中に(満期よりも前に)他の投資家に売却しやすくなることについて、どのような不安を感じますか。大きなものから順に、最大3つまで選択してください。
・持っている商品の価格が下落する(安く取引される)
・運用期間中の取引価格が気になるなど、わずらわしさが増える
・短期売買目的の人が増え、出資時の倍率が上がる
・不動産投資の安定性が失われる
・買い手との間でトラブルが生じる可能性がある
・不安はない
2-4 運用期間中の商品を他の投資家と売買するための取引所(プラットフォーム)が形成されることは望ましいと思いますか。
・望ましい
・どちらかと言えば望ましい
・どちらとも言えない、わからない
・どちらかと言えば望ましくない
・望ましくない
2-5 運用期間中の投資商品を他の投資家と売買するための取引所(プラットフォーム)が形成される場合、どのような仕組みがあると望ましいと感じますか。当てはまるものを選択してください。(複数選択)
・出資相当額や不動産鑑定士が調査した価格など、一定の価格でのみ売買できる仕組み
・不動産鑑定士が調査した不動産価格を表示する仕組み
・周辺の類似不動産の売買価格など、客観的な参考価格を表示する仕組み
・一定の要件を満たした不特事業者の商品しか取引されない仕組み
・なるべく多くの不特事業者の商品が取引される仕組み
・商品の財産管理報告書や重要事項説明書など、投資の参考となる書面を閲覧できる仕組み
・いずれも望ましくない
・分からない
・その他:
これを読んで、不動産クラファンを長くやっている人はピンときたのではないでしょうか?
キタ~!
セカンダリーマーケット創設か?
恐らく国交省は不動産クラファンのセカンダリーマーケットを創設するのだと思います。
不動産クラファンのセカンダリーマーケット
アンケートは多くが「運用期間中の売却」に関するものです。
これはセカンダリーマーケットを想定しているのではないでしょうか?
セカンダリーマーケットとは?
例えば株式で新株を発行する市場をプライマリーマーケット(一次市場)といいます。
これに対して、すでに発行済みの証券を取引する市場がセカンダリーマーケット(二次市場)。
我々に最も身近なセカンダリーマーケットは東京証券取引所です。
投資家同士で取引するんだ。
不動産クラファンで創設か?
現在、不動産クラファンで投資すると、運用期間が終わるまで自分の持ち分を手放すことはできません。
そこで、不動産クラファンにセカンダリーマーケットを創設する。
そうすれば、僕が投資したプレファンの持ち分10万円分を山田さんに売ることができる。
国交省はそうしようとしているのではないでしょうか?
何のために?
メリットとデメリット
不動産クラファンのセカンダリーマーケットにはメリットとデメリットがあります。
メリット
メリットは言うまでもなく流動性の向上です。
現在は運用期間が1年だったら1年経つまで現金化できない。
セカンダリーマーケットが導入されれば、いつでも現金化できます。
また、流動性の低さを嫌って手控えている投資家を不動産クラファンに引き込み、客層を拡大できるかもしれません。
業者にもメリットがある。
デメリット
逆にデメリットは値動きが発生することです。
株と同じように自分の持ち分の価値が日々変動する。
運用期間中は値動きを気にしなくて済むという、不動産クラファンの大きなメリットがなくなってしまいます。
毎日、一喜一憂か…
創設は既定路線だが道は険しい
セカンダリーマーケット創設は既定路線
役所がこの手のアンケートを取るときは、すでに大枠の方針は決まっているものです。
一応ご意見をうかがいましたというアリバイ作りのためにアンケートを取る。
不動産クラファンのセカンダリーマーケット創設は既定路線だと思います。
ただ、その道は険しいはずです。
なんで?
株式投資型では先行事例あり
クラウドファンディングでは株式投資型でセカンダリーマーケットがすでに実現しています。
FUNDINNOが運営するFUNDINNO MARKETです。
2021年に運営が開始され、投資家間で未上場株の取引が行われています。
不動産STOは事例多数
また、クラウドファンディングではなくSTO(Security Token Offering)では不動産取引がすでに多くの事業者で実現済みです。
不動産の受益権(運用益を受け取る権利)をST(デジタル証券)化し、そのSTを取引します。
クラファン投資家にも馴染みがあるのは、三井物産が運営するALTERNA(オルタナ)でしょう。
ただし、投資家のSTを買い取ることができるのは三井物産だけで、投資家間の取引はできません。
流動性あんまり高くないね。
大家どっとこむは実現できず
ブロックチェーン技術を使った不動産クラファンへのセカンダリーマーケットの導入が活発に語られだしたのは2019年頃です。
具体的な動きとしては、大家どっとこむが2020年10月の運営開始時点で、STOスキームを使った投資家間の取引機能を導入予定としていました。
しかし、実現には至らず現在ではサイトからも記載が消えています。
あら、残念。
野村ホールディングスも挫折
また、野村ホールディングスが不動産クラファンシステムを開発するRelicと組んで、持ち分の流通市場を整備すると報じられたこともあります。
しかし、こちらもその後音沙汰はなく、恐らく頓挫したのでしょう。
このように、現在に至るまで不動産クラファンのセカンダリーマーケットは実現していません。
セカンダリーマーケット断固反対!
僕は基本新しい物好きで、変化も大好きです。
ライドシェアとか海外のものをそのままとっとと導入しろよと思っています。
ただ、不動産クラファンのセカンダリーマーケットは歓迎しません!
お断りっす!
売買は行われるのか?
そもそも論として、不動産クラファンのセカンダリーマーケットで売買は行われるでしょうか。
いま投資家が売りたいだろう持ち分って言われて、どの案件が思い浮かびます?
不動産クラファンだとproperty+の桜山案件、ソシャレンだとOwnersBookの大阪ホテル案件、バンカーズのガイア案件ってとこですよね。
で、誰が買います?笑
買わね~w
急に現金が欲しくなって問題ゼロ案件の10万円の持ち分を10万円で売るならあり得るかもしれない。
でも、マーケット運営にはコストがかかるでしょうから、売買で手数料が発生するはずです。
分配金が多額とは言えないクラファンで、手数料を負担してまで売買するでしょうか?
10万、4%、1年で4千円。
源泉徴収されて3,200円!
その3,200円から手数料を取られる。
活発に取引が行われるイメージが湧かないんですよね。
値動きイヤだから不動産クラファンやってる!
セカンダリーマーケットが創設されても取引が行われないのならOKです。
実害ないので。
でももし活発に取引が行われるようになると、株と同じように値動きが発生するでしょう。
それがイヤなんですよ!
お願いだからやめて!涙
僕は投資センスゼロなので、値動きがある投資で勝てる理由が一つもない。
だから、株とかFXとか値動き系の投資はやっていません。
そして、日々の値動きに耐える強さなどひとかけらもない、おぼろ豆腐のようなメンタルの持ち主です。
それゆえ、値動きがないソシャレン、不動産クラファンを愛用しています。
値動きがあるなら不動産クラファンやらやらんよ!
一喜一憂したくないよね。
国交省がアンケートを取ったってことは、すでにセカンダリーマーケット創設で決まっているのでしょうが。
値動きパスの僕は断固反対です。
流動性がほしいやつはREITでも買っとけ!
以上、国交省アンケートの解説でした。
頼む、勘弁!
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