ソーシャルレンディング、不動産クラウドファンディングで元本の償還が予定より遅れている延滞中の案件。
実は最近増加中です。
どのくらいあるのか、どういう状況なのか、まとめてみました。
被弾者の叫びが聞こえてきそう…
ソシャレン、クラファンは投資ですのでノーリスクではないです。
被弾する可能性は万人にあり、明日は我が身。
軽い気持ちで始めてしまった方は、ぜひこの記事を読んで気を引き締めてください。
投資はリスクとワンセットです!
過去6カ月で新登場した業者をまとめました。
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延滞中の案件のまとめ
今回取り上げるのは2024年3月5日時点で延滞となっている案件です。
それではさっそく50音順で見ていきましょう。
プチ解説 延滞とは?
OwnersBook:大阪ホテル案件
案件の概要
案件名 | 大阪市中央区ホテル素地第1号第1回 |
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募集時期 | 2019年9月13日 |
予定運用期間 | 19カ月 |
予定償還日 | 2021年4月20日 |
利回り | 5.0% |
募集総額 | 7億5,000万円 |
現状と今後の見通し
借り手は大阪の不動産業者です。
資金使途は大阪ミナミのホテル建設用地の取得でした。
募集当時はインバウンドバブルの真っ最中で、黒門市場が中国人観光客で埋め尽くされていた時期です。
当時の社会情勢から考えて、そんなに変な案件ではありませんでした。
ところが、年明けにコロナ禍勃発でインバウンド市場が壊滅。
その余波で借り手が2021年3月31日に債務不履行となってしまったのです。
現在、その土地の売却を進めているところですが実現には至っていません。
現実論として売れるのを待つしかない状況ではないでしょうか。
売れないことにはね…
プチ解説 資金使途とは?
オルタナバンク:横浜不動産案件
案件の概要
案件名 | 横浜不動産ID547 横浜不動産ID553 |
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募集時期 | ID547:2023年1月16日 ID553:2023年2月3日 |
予定運用期間 | 10カ月 |
予定償還日 | 2024年1月16日 |
利回り | 5.5% |
募集総額 | ID547:2億円 ID553:1億5,000万円 |
現状と今後の見通し
借り手はこちらも大阪の不動産業者です。
SAMURAI ASSETがすでに5億8千万円を貸し付けており、その一部の貸し替えとして募集されました。
3億5,000万円の貸し手がSAMURAI ASSETから投資家に代わる形です。
借り手は当初、不動産売却での返済を予定していましたが売却が難航。
そこで、金融機関等からの融資での返済に方針を変更したものの、融資条件の調整に時間を要したため、返済期日の延期が申し出されました。
これにより運用終了が2カ月遅れの2024年2月29日に延期されたのです。
しかし、延期後も返済できず、2月29日に3カ月の再延長が発表されました。
これにより、運用終了は当初より5カ月遅れの5月31日となっています。
長引かなければ良いけど…
プチ解説 LTVとは?
クラウドバンク:バイオマス案件
案件の概要
案件名 | バイオマス発電ファンド第369号 バイオマス発電ファンド第370号 バイオマス発電ファンド第371号 バイオマス発電ファンド第375号 バイオマス発電ファンド第376号 バイオマス発電ファンド第377号 |
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募集時期 | 369~371号:2022年9月26日 375号:2022年12月8日 376号:2022年12月22日 377号:2023年2月14日 |
予定運用期間 | 369~371号:7カ月 375~376号:4カ月 377号:2カ月 |
予定償還日 | 2023年5月10日 |
利回り | 369~371号:6.1% 375号:5.9% 376号:5.8% 377号:5.4% |
募集総額 | 9億8,100万円 |
6つの案件に分けて募集が行われましたが、6案件の募集額には他の借り手分も含まれています。
債務不履行となった借り手を債務者とする未償還金は9億6,500万円です。
また、6案件以外の案件で当該借り手を債務者とする未償還金が3,500万円あります。
合わせて10億円が戻ってきていない。
現状と今後の見通し
当該借り手はクラウドバンクで調達した資金でバイオマス発電所の権利を取得。
発電所の開発が進捗したのち、権利を売却し返済する予定でした。
ところが、返済期限の2023年3月29日においても売却には至らず、延滞となることが5月8日にクラウドバンクから発表されたのです。
クラウドバンクは新たな売却先を探すのと並行し、連帯保証人である伊藤忠丸紅住商テクノスチールに債務履行を請求しました。
ところが、
- 連帯保証契約の窓口となった同社の部長が社印を偽造し同社に無断で押印した
- 連帯保証契約を決議した取締役会議事録が偽造されたものであった
- 同社応接室で面談時に同席した取締役がニセモノであった
ことが発覚。
つまり、連帯保証契約はトンデモ部長が会社に無断で捏造したものだった。
クラウドバンクがトンデモ部長に詐欺られたということです。
不謹慎だけどドラマみたいだね…
クラウドバンクは10月30日に借り手、テクノ社、トンデモ部長に対し、貸金返還を求める民事訴訟を東京地裁に提起。
1月に1回目の口頭弁論が行われ、次回は3月19日の予定です。
テクノ社は勝手に連帯保証契約を締結されたわけで、どちらかというとトンデモ部長を刑事告訴する立場でしょう。
連帯保証契約が有効とみなされる=テクノ社に10億円の支払いが求められる可能性は低いのでは?
トンデモ部長はすでにテクノ社を退職しており、個人で10億円を弁済するのは不可能。
となると、バイオマス発電所の権利に買い手がつくまで延滞が続く、もしくは、元本毀損のいずれかになるではないでしょうか?
長期戦になりそうな…
プチ解説 債務履行とは?
トモタク:築地案件
案件の概要
案件名 | トモタクCF11号 トモタクCF17号 |
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募集時期 | CF11:2022年10月17日 CF17:2023年1月16日 |
予定運用期間 | CF11:12カ月 CF17:9カ月 |
予定償還日 | 2023年11月9日 |
利回り | CF11:5.8% CF17:6.0% |
募集総額 | 各1億3,500万円 |
現状と今後の見通し
築地の住宅街にある土地を取得し、マンションを開発し売却する案件です。
工事中に地中で障害物が発見され、その影響で工事に遅れが発生。
償還2カ月前にトモタクから発表があり、2024年5月9日まで6カ月の延長となりました。
その後のアナウンスはありませんが、単純に工事、技術的な問題であれば問題なく償還されると思います。
無事に終わってほしいね。
バンカーズ:ガイア案件
案件の概要
案件名 | アミューズメント事業支援ファンド第1号 アミューズメント事業支援ファンド第1-2号 アミューズメント事業支援ファンド第1-3号 アミューズメント事業支援ファンド第1-5号 アミューズメント事業支援ファンド第1-6号 アミューズメント事業支援ファンド第1-7号 |
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募集時期 | 1~1-3号:2023年6月24日 1-5~1-7号:2023年7月9日 |
予定運用期間 | 1号:6カ月 1-2号:9カ月 1-3号:12カ月 1-5号:6カ月 1-6号:9カ月 1-7号:12カ月 |
予定償還日 | 1号:2024年1月31日 1-2号:2024年4月30日 1-3号:2024年7月31日 1-5号:2024年1月31日 1-6号:2024年4月30日 1-7号:2024年7月31日 |
利回り | 1号:6.9% 1-2号:7.05% 1-3号:7.2カ月 1-5号:6.9カ月 1-6号:7.05カ月 1-7号:7.2カ月 |
募集総額 | 1号:6億円 1-2号:2億5,000万円 1-3号:2億5,000万円 1-5号:1億5,000万円 1-6号:2億円 1-7号:2億円 |
上記6案件の他に6.75%、3カ月の1-4号案件がありましたが、運用期間が短かったため償還で逃げ切れています。
6案件合わせて募集額は16億円でしたが、満了しなかった案件があるため、延滞額は15億2,720万円です。
現状と今後の見通し
借り手でパチンコ大手のガイアが2023年10月30日に倒産したため延滞となりました。
1-4号案件はガイアからの返済が9月29日、償還が10月20日だったため、ギリギリ逃げ切れた形です。
まさに危機一髪。
バンカーズはこの融資にあたり、ガイア関連会社が所有する不動産に極度額30億円で第一順位の根抵当権を設定しています。
これを処分できれば問題解決なのでしょうが、借地権付建物なので簡単ではないかなと。
ただ、ネット上の情報によると債権譲渡で元本は回収できる見込みのようです。
プチ解説 根抵当権とは?
bitREALTY:海老名案件
案件の概要
案件名 | 海老名物流センター:ローンファンド 海老名物流センター:第2回ローンファンド |
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募集時期 | 第1回:2021年1月27日 第2回:2021年4月9日 |
予定運用期間 | 第1回:36カ月 第2回:34カ月 |
予定償還日 | 2024年2月29日 |
利回り | 第1回:3.6% 第2回:3.5% |
募集総額 | 第1回:2億100万円 第2回:2億4,100万円 |
現状と今後の見通し
2月9日にbitREALTYより運用期間を8月30日まで延長すると出資者に連絡がありました。
bitREALTY初の延滞です。
この案件は状況がよく分かりません。
借り手が信託受益権を2月末までに売却する予定だったが売却できず、8月末まで延長する。
ここまでは事実ですが、それが売却困難な状況なのか、買い手の都合で延期されただけなのか、そのあたりが一切分かりません。
ビットリだから大丈夫だとは思いますが。
情報がないだけに不安…
プチ解説 信託受益権とは?
property+:桜山案件
案件の概要
案件名 | Branche桜山Ⅲファンド8 Branche桜山Ⅲファンド9 Branche桜山Ⅲファンド10 Branche桜山Ⅲファンド11 Branche桜山Ⅲファンド12 |
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募集時期 | 8:2022年6月3日 9:2022年7月27日 10:2022年8月26日 11:2022年9月21日 12:2022年10月14日 |
予定運用期間 | 8~10:14カ月 11~12:15カ月 |
予定償還日 | 8:2023年9月15日 9:2023年11月16日 10:2023年12月18日 11:2024年2月16日 12:2024年3月18日 |
利回り | 3.4% |
募集総額 | 8:6,470万円 9:2億3,405万円 10:8,280万円 11:8,410万円 12:1億440万円 |
現状と今後の見通し
物件の売却先候補と売買契約締結までは済んだものの、売却時期で調整が必要な状況になったようです。
5案件とも2024年3月31日まで延長となりました。
ここは状況がまったく分かりません。
お手上げです!
延滞案件の一覧リスト
最後に延滞中案件を一覧リストでまとめます。
延滞案件の一覧リスト
業者 | 案件 | 延滞総額 | 当初予定償還日 | 現在の状況 |
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OwnersBook | 大阪ホテル | 7億5,000万円 | 2021年4月20日 | 売却難航、売れるのを待つしかないか? |
オルタナバンク | 横浜不動産 | 3億5,000万円 | 2024年1月16日 | 2カ月延長後、3カ月の再延長、長期化も? |
クラウドバンク | バイオマス | 9億6,500万円 | 2023年5月10日 | 訴訟中、発電所権利売却まで延滞or元本毀損 |
TOMOTAQU | 築地 | 2億7,000万円 | 2023年11月9日 | 5月9日までに償還されると予想 |
バンカーズ | ガイア | 15億2,720万円 | 2024年1月31日~ | 元本は回収できる見込みとの情報あり |
bitREALTY | 海老名 | 4億4,200万円 | 2024年2月29日 | 8月30日まで運用延長、その後は不明 |
property+ | 桜山 | 5億7,005万円 | 2023年9月15日~ | 3月31日まで運用延長、その後は不明 |
全部で50億円近い…
明日は我が身です
僕は運良くこの7案件には投資していません。
ですが、僕も過去にmaneo他で延滞を食らったことがあるので、まったく他人事ではないです。
そして、明日は我が身の可能性はすべての投資家にあります。
OwnersBookやbitREALTYで延滞が起きるって、誰が想像できましたか?
ビットリは衝撃だった…
2018年のグリフラ事件の際は1人で被弾額が1千万円を超えた人もいます。
次に被弾するのは自分かもしれない。
常に緊張感を持ち、注意深く、慎重に業者と案件を選びましょう。
他人事ではないです!
コメント
クラウドバンクの中小企業支援型ローンファンドも追加で
しません。
この記事は昨日の昼時点の状況をまとめたものです。
新しい延滞が出るたび、償還され延滞が終わるたびに書き直すならば、永遠に書き直し続けることになります。
そこまでするつもりはないです。
それと、あなたは読者です。
お客様ではありません。
「追加で」と横柄な口調で、やって当然のごとく言われる筋合いはないです。
あー、そういう解釈されるか
なんかゴメンね
SBISL、クラバン、バンカーズ、そして最近のオーナーズブックと従来、
堅いと言われてきたところで、償還遅延が発生している。はっきり言って
現在、私が出資している先は、こうした会社より、手堅くないと見られている
投資先ばかりだ。はっきり言って不安がないといえばうそになるが、かといって
ソシャレン投資がやめられるわけもない。比較的高い利回りを維持できている
のも、こうした償還されないリスクを前提としているのかも知れない。