長々と引っ張ってきました延滞ネタですが、これが最後です。
前回の記事でも書いた通り、情報発信の仕方、頻度について言えば、延滞中7社の中でOwnersBookとクラウドバンクの対応が最も良いです。
延滞発生と経過報告を自社サイトで万人に公開の状態で掲載しているのは7社の中でOwnersBookとクラウドバンクだけ。
感情を排したファクトベースとして、この点は評価されて然るべきです。
あくまでも感情抜きで。
ただ、経過報告の内容をよく見ると、両社の対応には大きな違いがあることに気づきます。
率直に言ってクラウドバンクの方が上手いと感じるのです。
今回は両社の経過報告の内容を比較し、両社の投資家への発信に対するスタンスの違いを考察します。
けっこう違います!
2月は2社が新登場しています!
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経過報告の内容の違い
それではさっそくOwnersBookとクラウドバンクの経過報告の内容の違いを見ていきましょう。
冒頭の書き出し
冒頭の書き出しは両社とも毎回まったく同じです。
クラウドバンクは謝罪
クラウドバンクの書き出しはこちら。
融資先からの返済の遅延により投資家の皆さまにご心配、ご迷惑をおかけしておりますこと、深くお詫び申し上げます。
遅延に対するお詫びから始まります。
OwnersBookは謝意
一方のOwnersBookはこちらです。
いつもOwnersBookをご利用いただきましてありがとうございます。
第一声は感謝です。
ありがとうじゃねぇってw
クラウドバンクは読み手の感情を意識
経過報告を読むのは主に延滞を食らっている投資家です。
期待しつつも「どっちみち今月も進展なしだろうなぁ…」と、不安+不満の気持ちで経過報告を読むわけで。
その投資家の感情を考えたら業者は下手に出るほうが得策です。
そのほうが無難。
もちろん、OwnersBookも経過報告の終盤で謝罪を入れています。
投資家の皆さまにはご心配をお掛けし、誠に申し訳ございません。
ただ、冒頭で「ありがとう」はないと思うんですよね。
読み手は良い気はしないかと…
経過報告の主要部分
続くメインの部分は情報の出し方に違いがあると感じます。
クラウドバンクは特定的な事実が多い
両社で延滞の事情が違うので単純に比較はできませんが。
クラウドバンクの方が事実の特定というか、特定された事実みたいな表現が多いと感じます。
例えば、詐欺の首謀者であるトンデモ部長は「元土木建材部長」と部門を特定した肩書で表現しています。
他にも第1回口頭弁論の期日が2024年1月16日であるとか、訴訟の提起先が東京地裁だとか、偽造された印影が精巧であったとか。
可能な限り具体的で特定的な情報を出そうとしています。
OwnersBookは抑制的
これに対してOwnersBookは出さずに済む情報は出さずに済ませたいと言うか。
問題になりそうな情報には極力触れないでおきたいと言うか。
なんか情報発信に抑制的な印象を受けるのです。
ただ、これはすべての経過報告を分析し、情報項目を数えてデータを取ったわけではありません。
なので、ひろゆき的に言うならば「それってあなたの感想ですよね?」レベルです。
ひろゆきwww
クラウドバンクは追記で読みやすい
それと細かいところですが、OwnersBookはトップページのリンクから見られるのは最新の経過報告です。
以前のものを見るには最新ページの下にあるリンクを開かなければなりません。
いちいち開くの面倒…
これに対してクラウドバンクはトップページのリンクから開いたページに、過去すべての経過報告が掲載されています。
ページの一番下が最初のもの、その上が2番目に古いもの、その上が3番目と、上に上にと追記しているので、わざわざ過去の経過報告ページを開く必要がありません。
OwnersBookに比べて投資家にストレス、不満を感じさせる要素が一つ少ないです。
文末
経過報告の最後も両社とも定形ですが、その内容は大きく異なります。
クラウドバンクは毎月
クラウドバンクはこちらです。
今後の皆様へのご報告につきましては、本件債権の回収に関しまして進捗等がありましたらその都度、また、進捗等がない場合でも毎月の分配・償還日(原則毎月第5営業日)の前後を目途に、状況を報告させていただきます。
進捗があったら都度、なくても毎月1回は報告しますよと。
しかも、第5営業日前後と期日を切っています。
OwnersBookは進捗があれば
対するOwnersBookはというと、
今後、進捗等につきまして適宜、ご報告申し上げます。
何かあれば報告する=なければしない。
う~ん…
読後感が違う
両方とも報告書の最後の一文です。
「最低でも月イチは報告しまっせ!」のクラバン、「何もなければ報告しません!」のオナブ。
読後感にかなり違いがあると思いませんか?
「しない」で終わられちゃうとね…
しかも、前回の記事で書いた通り、OwnersBookのこのひとつ上の段落にはこう書かれています。
大変恐縮ですが、直接お問い合わせをいただきましても、皆さまに公表している以上のご回答はできかねますこと、予めご了承のほどお願い申し上げます。
決して間違ったことを書いているわけではありません。
でも不満を持つ投資家が読むと「問い合わせするなよ!何もなければ報告しねぇぞ!」と感じてしまいますよね。
大衆を動かすのは論理ではなく感情ですから、こういう読後感を持たせてしまうのは上手じゃないなと。
もったいない…
両社の発信のスタンスが異なる
クラウドバンクとOwnersBookの違い
クラウドバンクの経過報告は、
- お詫びで始まり
- できるだけ情報を出し
- 来月も報告するで終わる
一方のOwnersBookは、
- ありがとうで始まり
- いささか情報控えめで
- 問い合わせるな、何かあれば報告するで終わる
ぜんぜん印象が違う。
読み手重視のクラウドバンク
あくまでも僕の想像ですが、クラウドバンクは投資家が読んだらどう感じるか?を意識して書いています。
それと比べるとOwnersBookの経過報告は読み手視点が欠けている。
どうすれば投資家を納得させられるか、反発されないか、敵に回さないで済むかが念頭にあるクラウドバンク。
その意識があまり感じられないOwnersBook。
両社のスタンスにはかなり違いがあるという印象を僕は受けています。
読み手視点の有無が報告の違いに。
情報発信の仕方は大切
クラウドバンクもOwnersBookもなんとか元本毀損を阻止したい。
そのために困難な状況の中で悪戦苦闘していることに変わりはないと思います。
それが情報発信の仕方で投資家が受ける印象に差がついてしまうのは、非常にもったいないなと感じるのです。
オナブは損してる。
よく客観的事実とか言いますが、末端消費者相手の商売は主観がすべてです。
読み手の投資家がどう感じるか?
情報発信の仕方が非常に大切だと感じた次第です。
ファクトベースで判断を
最後に一つ指摘しておきたいのは、OwnersBookは投資家の支持を失っていないことです。
ロードスターキャピタルの2023年12月期決算説明会資料(PDF)によると、OwnersBookの会員数は大阪ホテル案件の遅延が起きた2021年3月以降も増え続けています。
また、1人あたりの投資額も減っていません。
年度 | 1人あたり投資額 |
---|---|
2017年 | 34.1万円 |
2018年 | 28.6万円 |
2019年 | 31.9万円 |
2020年 | 18.3万円 |
2021年 | 29.5万円 |
2022年 | 27.1万円 |
2023年 | 33.1万円 |
つまり、OwnersBookは投資家の支持を失っていないということです。
それは意外!
アンチオナブ派がノイジーマイノリティだと言うつもりはありません。
とは言え、世論を代表しているとも言えないでしょう。
インターネットやSNSが普及した現代だからこそ、大きな声や目立つ意見に影響されることなく、常に情報を集め分からないことを調べ、ファクトベースで観察、分析、判断することが投資の成功につながると考えます。
早期の解決を願います
ということで、4回に渡って延滞中の案件、業者について書きました。
僕も短期ですが延滞を食らったことが複数回あるので、被弾中の投資家の心中はお察しします。
7案件ともできるだけ早く、できるだけ無傷で終結し、この記事を見て「こんなことがあったよな」と昔語りできる日がくることを願います。
明けない夜はありません!
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