当ブログは広告を含みます

CREALがSPC型導入へ|投資家へのメリットには疑問が

CREALがSPC型導入へ|投資家へのメリットには疑問がのタイトル画像

不動産クラウドファンディングのCREALにSPC型の案件が導入されます。

運営会社のクリアルには大きなメリットがあるものの、投資家へのメリットには疑問が。

クリアルの狙いと投資家への影響を考察します。

タロウさん
タロウさん

デメリットの可能性も!

 

Xやってます!
見てみる → タロウ@ソシャクラ投資家
Xのバナー1
プチ解説 をタップすると、小ウィンドウで簡単な解説が表示されます。(小ウィンドウの枠外か、右上のバツ印をタップすると閉まります)

 

この記事の著者
投資家・ブロガー
タロウ

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファンディング専門の投資家です。
2018年にソシャレン・クラファン投資を始め、これまで500件を超える案件に2億円以上を投資し損失ゼロ。
安全性を最重視した投資情報を発信しています。

クリアルに大きなメリット

クリアルに大きなメリットのタイトル画像

 

クリアルが3号4号を申請

3号4号事業とは?

CREALを運営するクリアルが不動産特定共同事業の3号、4号事業の許可を申請しました。

不動産特定共同事業は大きく1号2号事業と、3号4号事業に分かれます。

1号2号事業は普通の不動産クラファンです。

対する3号4号事業はSPC(特別目的会社、ペーパーカンパニー)を使います。

1号2号事業 普通の不動産クラファン
3号4号事業 SPCを使う

プチ解説 不動産特定共同事業とは?

 

後述しますが、倒産隔離で安全性が向上するなどのメリットがあるとされます。

左野くん
左野くん

LEVECHYが3号4号だよ。

 

3月31日付で許可申請

3号4号事業をするには金融庁と国土交通省に申請し許可を得る必要があります。

クリアルは数年前から準備を進めていましたが、ようやく許可取得の目処が立ち今回の申請に至りました。

一般には申請から3カ月以内に許可を取得できるようです。

SPC型の案件の導入はクリアルに大きなメリットがあります。

以下、そのメリットを見ていきましょう。

プチ解説 案件とは?

 

オフバランスを実現

現状は自己資本比率に不利

現在CREALでやっている1号2号事業では、物件はクリアルの資産扱いです。

貸借対照表では物件が左側の資産に、投資家の出資金が右側の負債に計上されます。

クリアルの現状は下のようなイメージです。

クリアルの貸借対照表1

 

上の場合、自己資本比率は12.5%になります。

  • 60億円÷480億円=12.5%
右田さん
右田さん

ちょっと低いよね。

 

投資家の出資金が右側で計上されるため、負債純資産合計が大きくなり自己資本比率が下がる。

クリアルはこれを非常に気にしていまして、投資家の出資金を引いた状態で自己資本比率を見てくれと、以前からよく言っていました。

 

オフバランスで自己資本比率向上

SPC型の案件ではペーパーカンパニーを作り、物件の所有権を移します。

ペーパーカンパニーが所有する物件に投資家が出資するイメージです。

これにより、CREALの物件と投資家の出資金がペーパーカンパニーの貸借対照表に移ります。(オフバランス化)

クリアルの貸借対照表2

 

その結果、自己資本比率は33.3%に爆上がりするのです。

  • 60億円÷180億円=33.3%
左野くん
左野くん

なんてことでしょ~

 

オフバランス化でバランスシートを改善する。

今回の3号4号申請の最大の狙いはここだと思います。

SPCの貸借対照表に移動するのは、3号4号事業として募集された案件の物件だけです。3号4号事業の許可取得でCREALの全案件についてオフバランス化されるわけではありません。
上記ではオフバランス化によるバランスシートの改善を分かりやすく説明するため、全案件が3号4号事業になった場合を例に挙げました。
今後、3号4号案件が増えることで、クリアルのバランスシートが徐々に改善されていきます。

 

募集規模の拡大と利益増大

募集規模の拡大

CREALのSPC型の案件では投資家の出資とは別に銀行からの借入も使うようです。

銀行からの借入が入る説明図

プチ解説 出資とは?

 

また、SPC型ではクリアルではなくSPCへの投資になるので、クリアルの信用と切り離されます。

これにより現状は参加していない法人投資家や機関投資家の参入が期待できるようです。

法人投資家や機関投資家が参入する説明図

 

このように新たな資金が入ることで、今よりも募集規模が大きな案件を組成できるようになります。

プチ解説 組成とは?

右田さん
右田さん

30億円とか50億円とか。

 

利益の増大

募集規模の拡大がなぜクリアルのメリットになるかですが。

不動産クラファンでは基本的に業者が得られる利益は募集額に比例します。

募集額が今よりも多くなることで、クリアルが得られる利益が増えるということです。

 

利益の早期計上

現状は売却時に計上

その利益ですが、1号2号事業では業者が利益を得るのは案件の運用が終わったあとです。(キャピタルゲイン型の場合)

案件組成という仕事は運用開始前にやっているのに、その対価を得られるのは1年後や2年後になります。

左野くん
左野くん

それはツライかも…

プチ解説 運用とは?

 

SPCでは業務発生都度の報酬

SPC型の案件では案件の組成や物件の運用といった業務を、クリアルがSPCから委託される形になります。

SPCから委託を受けて、クリアルが業務を代行する形です。

クリアルがSPCから業務委託を受ける説明図

 

この場合、クリアルは作業の都度、SPCから作業報酬を受け取ります。

案件組成の手数料は一番最初に、運用の手数料は運用中に都度ってことです。

その結果、クリアルが現状よりも早く利益を計上できるようになります。

タロウさん
タロウさん

ここまでクリアルのメリットでした!

投資家のメリットには疑問

投資家のメリットには疑問のタイトル画像

ここからは投資家のメリットです。

クリアルは次のようなメリットがあるとしていますが、僕はいささか疑問に感じます。

 

倒産隔離は必要ない

メリットとしてまず挙げられているのが、倒産隔離による安全性の向上です。

 

倒産隔離とは?

普通の不動産クラファンでは物件は業者の所有物です。

このため、業者が倒産したら物件は破産管財人に差し押さえられます。

その結果、元本の一部、またはすべてが戻ってこなくなる可能性が高いです。

プチ解説 元本とは?

右田さん
右田さん

それは怖い…

 

これに対してSPC型の案件では、物件はSPCの所有物です。

ですので、業者が倒産しても差し押さえられることはありません。

クリアルがSPCから業務委託を受ける説明図

 

倒産した業者に代わって新たに運用委託を受ける業者が選ばれ、運用が継続されます。

業者が倒産するリスクから物件が隔離される。

これが倒産隔離による安全性の向上です。

プチ解説 業者とは?

 

クリアルの倒産など誰も想定していない

で、クリアルは倒産隔離の導入で安全性が向上することをメリットとしているのですが。

倒産隔離の導入による安全性向上の訴求

 

そもそも、上場企業のクリアルの倒産など誰も想定していません。

むしろ、上場企業だから安全性が高いと思っている投資家のほうが多いでしょう。

 

CREALに倒産隔離は求めていない

LEVECHYがSPC型で倒産隔離になっているのには価値があります。

失礼ながら非上場の中小企業で万が一がないとは言えないからです。

左野くん
左野くん

その時は倒産隔離が効果発揮。

 

でも、グループ従業員200名超の東証グロース上場企業であるクリアルの倒産など誰も想定していません。

倒産リスクが極めて低いCREALに倒産隔離なんて求めていない。

とにかく明るい安村がパンツを2枚履くようなものです。

右田さん
右田さん

1枚で十分。

 

収益性向上がショボい

もう一つのメリットとして挙げられているのが収益性の向上、つまり、今より儲かるようになることです。

 

ローン併用のレバレッジ効果で収益性向上

上述したようにCREALのSPC型案件には銀行からの借入が入ります。

銀行と投資家、双方のお金で物件を取得するということです。

銀行からの借入が入る説明図

 

物件の運用で得られる利益が仮に5%だとしましょう。

普通の不動産クラファンでは投資家の利益は5%です。

しかし、銀行借入が入る場合、銀行の利息は1~2%と低く、5%も取りません。

それで浮いた分が投資家にも回ってくるので、投資家の利益が5%ではなくもっと上がるということです。

クリアルの資料には次のように書かれています。

この仕組みにより、銀行からノンリコースローンを借り入れることが可能となり、レバレッジ効果によって投資家の利回りが大幅に向上します。

左野くん
左野くん

大幅に向上!

 

利回りアップはわずか1%

では、大幅に向上とは具体的に利回りがどれくらい上がるのか?

クリアルの資料を見てみましょう。

左が現状、右がSPC型です。

SPC型での利回りを示した資料

プチ解説 利回りとは?

 

今と1%しか変わらへんやん、どこが大幅やねん?

しょぼっ!笑

 

ローン併用は現状でも可能では?

ちなみに、銀行借入の併用は1号2号事業でも可能です。

大家どっとこむみらファンなどで事例があります。

非上場のみらファンにできて、上場のCREALにできないことはないのではないでしょうか?

 

運用期間が長期化

ここからは逆に、想定されるデメリットです。

さきほどの資料の下に気になることが書かれています。

SPC型では運用期間が1~5年になるようです。

SPC型で運用期間が1~5年になる説明画像

 

不動産クラファン投資家が受け入れられる運用期間は長くても2年でしょう。

もちろん、そんなことはクリアルは百も承知なわけで。

これは長期運用を好む法人投資家、機関投資家を意識したものかもしれません。

 

劣後出資がなくなる?

劣後出資がなくなる可能性

もう一つ気になるのが劣後出資です。

SPCの説明画像では出資するのは一般投資家と法人投資家、機関投資家だけになっています。

クリアルは書かれていません。

法人投資家や機関投資家が参入する説明図

プチ解説 劣後出資とは?

 

それと、クリアルが得る利益を比較した表があるのですが。

現状(左)では劣後出資で得られる利益が3~5%と書かれています。

SPC型(右)ではこれがなくなり、代わりにプロフィットシェアに。

クリアルの劣後出資がなくなる可能性を示す画像

 

もしかすると、SPC型ではクリアルの劣後出資がなくなるのかもしれません。

右田さん
右田さん

え~

 

値下がりリスクの直撃を受ける

そうなるとどうなるか?

返済の優先順位は銀行借入のほうが上です。

ですので、下の図で言うと銀行借入が優先出資、投資家などの出資金が劣後出資のような形になります。

法人投資家や機関投資家が参入する説明図

 

それはつまり、物件の価値が1円でも値下がりしたら元本毀損になるということです。

左野くん
左野くん

どっひゃ~

プチ解説 元本毀損とは?

 

利益向上がリスクアップに見合わない

1円値下がりで元本毀損。

それでいて、利回りは1%上がるだけ。

背負うリスクにぜんぜん見合ってないと思いませんか?

これなら現状のCREALで良い気が。

 

SPC型の第1号案件に期待

3号4号の申請から許可がおりるまでは3カ月程度とのこと。

早ければ7月にもSPC型の第1号案件が出るでしょう。

利回りはどれくらい上がるのか?

劣後出資はあるのか?

第1号案件に期待しましょう。

タロウさん
タロウさん

要注目です!

 

コメント