人気のソーシャルレンディング業者「オルタナバンク」。
最近、募集を急速に増やしていますが、新たなリスクが浮上しました。
なんと!
今回はオルタナバンクの4つのリスクと、投資家が取るべき対策を解説します。
万が一に備えましょう!
見逃している穴場業者があるかも?
タップできる目次
オルタナバンクに浮上したリスク
この数カ月でオルタナバンクに新たなリスクが浮上しました。
オルタナバンクが急拡大中
2023年に入り募集が急増
オルタナバンクでは2023年に入り募集が急増中です。
2022年は月平均5億円だったのが、2023年4月以降は毎月10億円以上になってます。
このペースでいくと2023年トータルでは前年比3倍も射程圏です。
イケイケだね。
新たなリスクが浮上
従来、オルタナバンクの大きなリスクは、借り手の半分弱がカンボジアなど新興国、途上国の企業であったことです。
特にカンボジアは借り手の半分以上がマイクロファイナンス機関でした。
正直、怖いよね。
しかし今年の夏以降、特にカンボジアなど途上国案件は急速に減少しています。
それは良いのですが…
その代わりに新たなリスクが浮かび上がってきたのです。
以下、特に懸念される4つのリスクを解説します。
借り手の偏り
1つ目のリスクは借り手の偏りです。
上位3社(S社、A社、Z社)への貸付が極端に多くなっています。
上位3社の比率が急増
2023年1月は5億9,550万円の募集が行われ、投資家の応募額=借り手への貸付額は5億4,171万円でした。
このうち、上位3社への貸付は4.8%の2,621万円でした。
2月も1割以下でしたが、3月になると4割に急増します。
上位3社への貸付比率はその後も高い水準を維持し、9月、10月はついに8割を超えたのです。(単位:万円)
月 | S社 | A社 | Z社 | その他 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
貸付額 | 構成比 | 貸付額 | 構成比 | 貸付額 | 構成比 | 貸付額 | 構成比 | |
1月 | 2,621 | 4.8% | 0 | 0% | 0 | 0% | 51,550 | 95.2% |
2月 | 2,069 | 4.0% | 1,694 | 3.2% | 0 | 0% | 48,451 | 92.8% |
3月 | 17,831 | 20.7% | 7,309 | 8.5% | 12,560 | 14.6% | 48,585 | 56.3% |
4月 | 25,109 | 19.8% | 33,449 | 26.3% | 12,487 | 9.8% | 55,914 | 44.0% |
5月 | 20,250 | 19.5% | 18,900 | 18.2% | 0 | 0% | 64,850 | 62.4% |
6月 | 11,774 | 9.1% | 34,826 | 26.8% | 18,393 | 14.2% | 64,818 | 49.9% |
7月 | 52,317 | 49.1% | 0 | 0% | 24,853 | 23.3% | 29,444 | 27.6% |
8月 | 25,672 | 23.8% | 13,009 | 12.0% | 7,503 | 6.9% | 61,846 | 57.2% |
9月 | 90,163 | 70.6% | 13,945 | 10.9% | 0 | 0% | 23,616 | 18.5% |
10月 | 70,926 | 70.7% | 10,338 | 10.3% | 3,240 | 3.2% | 15,762 | 15.7% |
1カ月の貸付の内、上位3社で8割。
11月も21日までに募集が終了した案件では上位3社で7割となっています。
8割はさすがに…
S社だけで7割
中でも突出しているのがS社への貸付です。
9月、10月はS社への貸付が全体の7割を超えています。
1社で7割はかなり極端な偏りでしょう。
いくらなんでも…
融資残の偏り
これに伴い、融資残の偏りも顕著になっています。
オルタナバンクで運用中の案件の応募額=貸付中の残高は、11月21日時点で98億4,096万円です。
このうち、上位3社向けが59億5,940万円を占めます。(単位:万円)
借り手 | 融資残 | 構成比 |
---|---|---|
S社 | 34億3,059万円 | 34.9% |
A社 | 16億1,917万円 | 16.5% |
Z社 | 9億965億円 | 9.2% |
その他 | 38億8,156万円 | 39.4% |
3社で6割、S社だけで3分の1というのは、いささかリスキーな状況です。
S社がコケれば3分の1が毀損。
担保の脆弱性
3つ目のリスクは担保です。
上位3社の担保はすべてが社債や預金債権などです。
そして社債の発行企業や預金先は新興国の企業や銀行が大半を占めます。(単位:万円、2023年1~10月募集分)
無担保の貸付も少なくなく、Z社向けはすべて無担保です。
新興国だからダメと決めつけるわけではありません。
とは言え、都内の土地などに比べると担保として弱いことも事実です。
会社が倒産したら社債は紙くず…
応募率の低下
4つ目のリスクは応募率の低下です。
ここで言う応募率とは募集に対して応募がどれだけ集まったかを指します。
募集額1億円で応募が7千万円ならば応募率70%です。
募集額の6割しか応募がない
オルタナバンクの応募率は2022年まではほぼ100%でした。
それが募集が急増した2023年に入ってから低下傾向に。
直近の9月、10月は2カ月連続で5割台となっています。
半分ちょいしか集まってません…
募集増に応募が追いついていない
月ごとの募集額と応募率を比べると状況がよく分かります。
募集額(青)が増えると応募率(赤)が下がる。
つまり、募集増に応募が追いついていないということです。
月 | 募集額 | 応募額 | 応募率 |
---|---|---|---|
1月 | 5億9,550万円 | 5億4,171万円 | 91.0% |
2月 | 6億8,000万円 | 5億2,214万円 | 76.8% |
3月 | 18億2,539万円 | 8億6,285万円 | 47.3% |
4月 | 14億9,653万円 | 12億6,959万円 | 84.8% |
5月 | 10億4,000万円 | 10億4,000万円 | 100% |
6月 | 19億2,730万円 | 12億9,811万円 | 67.4% |
7月 | 11億9,600万円 | 10億6,614万円 | 89.1% |
8月 | 17億9,151万円 | 10億8,029万円 | 60.3% |
9月 | 22億2,830万円 | 12億7,724万円 | 57.3% |
10月 | 17億6,282万円 | 10億266万円 | 56.9% |
現状、オルタナバンクの調達力は月間10億円から13億円です。
正直なところ、身の丈に合わない募集をしていると感じます。
無理してるわけか。
利回りアップで対応か?
ここで気になるのが応募率と利回りとの関係です。
オルタナバンクでは2022年まで平均利回りが6%を超えることはありませんでした。
それが、2023年からは月平均で6%を超えることが増えています。
また、応募率と利回りを1つのグラフにまとめると、最近は応募率の低下に合わせて利回りが上昇しているようにも見えます。
今のオルタナバンクの実力=会員の投資力では月間10億円が良いところ。
それを高利回りを出すことで実力以上の集金をしようとしているのではないか?
もしそうであれば収益の悪化につながりかねません。
単純には喜べないか。
投資家が取るべき対策
オルタナバンクのリスクに対して、我々投資家はどのように対策を取るべきでしょうか?
偏りはリスク要因
今回挙げた4つのリスクの中で、最も危惧するのは偏りです。
- 借り手の偏り
- 融資残の偏り
- 担保の脆弱性
- 応募率の低下
確かにソシャレン業者における偏りはオルタナバンクに限ったことではありません。
かつてはSBI-SLやクラウドバンク、近年ではJ.LENDINGやバンカーズでも偏りは見られました。
バンカーズでは1社への貸付が全貸付額の9割に達したこともあったほどです。
それでもなお、上位3社が飛べば融資残の6割がデフォルトの危機に瀕するオルタナバンクの現状は安全とは言い難いでしょう。
どうすれば良いの?
案件を精査した上で投資判断
オルタナバンクが今すぐどうこうなるとは考えにくいです。
その上で投資家としてすべきことは次の3つでしょう。
- リスキーな案件を避ける
- 借り手の重複を避ける
- 担保の堅い案件を選ぶ
途上国案件は避けるとか、S社ばかりにならないようにするとか、不動産担保の案件を選ぶとか。
要は基本の徹底です。
そのために大切なのは手を抜かないこと。
- 案件詳細をすみずみまで読む
- 最終貸付先や担保もチェックする
いつも説教臭いことばかり言って恐縮ですが。
手を抜いたツケはいつか必ず回ってきます。
面倒でもしっかり調べるを徹底しましょう。
以上です!
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