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【案件分析】OwnersBook/渋谷区マンション第2号ファンド第6回

地道にコツコツ案件分析で投資の予行演習中です。

前回に続いてOwnersBookの住宅案件です。

今回は渋谷区のマンションです!

この記事の著者
投資家・ブロガー
タロウ

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファディング専門の投資家です。
2018年にソシャレン・クラファン投資を始め、これまで400件を超える案件に1億9千万円以上を投資し損失ゼロ。
安全性を最重視した投資情報を発信しています。

概要

渋谷区笹塚にマンション1棟を所有する「総合不動産会社B」に対する、このマンションを担保とした貸付です。

  • 業者名:OwnersBook
  • 案件名:渋谷区マンション第2号ファンド第6回
項目 状況
募集総額 8,000万円
期間 25ヶ月
利回り 4.5%
予定収益/10万円 8,908円
利益の配当 四半期ごと
元本の償還 満期後一括
早期償還 可能性あり
募集開始日 2018年4月?日
投資実行日 2018年5月8日
運用終了日 2020年5月20日

返済が2年後で利回り4.5%ですか。う~ん。

なんか最近、OwnersBookの案件の条件が悪くなってる気が?maneoの不動産系をメインにしようかな…

安全性

担保

担保の有無

抵当権順位第2位の不動産担保があります。第1位は銀行融資です。

保証会社の保証、会社代表者の個人保証はありません。

項目 状況
保証会社の保証 なし
不動産担保
個人による保証 なし
抵当権の順位 第2位

財務構造

担保と貸付の構造は以下の通りです。

項目 状況
担保物件の評価額 9億2,300万円
シニアローン額(LTV) 3億6,000万円(39.0%)
根抵当権の極度額(LTV) 3億7,800万円(41.0%)
最大LTV 80.0%
貸付済み額(LTV) 2億6,000万円(28.2%)
今回の貸付額(LTV) 8,000万円(8.7%)
今回貸付時点でのLTV 75.8%

OwnersBookによる担保物件の評価額は9億2,300万円で、抵当順位第1位で銀行が3億6,000万円(担保比率39.0%)の貸付を行っています。

これに対してOwnersBookは抵当順位第2位で極度額3億7,800万円(41.0%)の根抵当権を設定しています。

この内、2億6,000万円(28.2%)をすでに貸付済みです。

そして今回の案件では8,000万円(8.7%)を貸付け、OwnersBookの貸付総額は3億4,000万円(36.8%)、銀行分と合わせたLTVは75.8%となります。

なお、極度額まで3,800万円残っていますが、第7回を作って全額貸し付けるような気がします。ですので最終的にはLTV80%まで行くと予想します。

担保内容

概要

OwnersBookサイトによると担保物件の概要は以下の通りです。

項目 状況
種別 マンション
階数 地上:7階、地下:なし
構造 不明
築年月 2015年1月
所在地 東京都渋谷区笹塚
最寄り駅 京王線笹塚駅
所在地

OwnersBookサイトの地図では渋谷区笹塚全域が対象エリアとなっています。

最寄り駅は明示されていませんが、恐らく京王線笹塚駅、エリア内の場所によっては、前後にある幡ヶ谷駅、代田橋駅も対象となるかもしれません。

部屋

地上7階建ての内、1~6階に1DKと1LDKの賃貸用住居があります。

7階には3LDK1戸があり、今回の貸付先である「総合不動産会社B」の代表者が居住しています。

稼働率

2018年4月1日時点で稼働率は100%とのことです。

賃料

現在の1~6階の共益費込の月坪賃料は平均14,780円とのことです。

外部機関の査定による1~7階の共益費込の月坪賃料は平均15,250円とのことです。

担保の妥当性

物件の特定

賃貸住宅サイトで探しましたが、入居率が100%のためか該当すると思われる物件は見当たりませんでした。

評価額

OwnersBookによる当該担保物件の評価額9億2,300万円は妥当なのか?

調べようと思ったのですが、当該物件の詳細が分からないので調べようがないと言いますか。

とりあえず近隣の物件を探してみました。

最寄り駅 築年月 土地面積 構造 階数 戸数 価格
笹塚 2018年4月 36平米 RC 5階 8戸 1億6,300万円
笹塚 2018年5月 264平米 S 3階 11戸 3億3,500万円
幡ヶ谷 1992年2月 248平米 RC 3階 6戸 2億5,000万円

分かんないなぁ…

最上階が3LDKとのことですので、1フロアに1DKか1LDKを無理して3戸入れると、1~6階で18戸+最上階に3LDK1戸です。

OwnersBookの評価額9億2,300万円が正しいとすれば、1DK(or1LDK)が4,500万円、3LDKが1億円くらいで売れないと計算が合いません。

面積が分からないので調べようがないのですが、どうなのでしょうか?

賃料

渋谷区笹塚に所在する似た条件の物件を探そうとしたのですが、なにせ情報が少なすぎるものでして。

笹塚内で当該担保物件と同じ築3年前後、7階建て前後の、1DK、1LDKの物件の月坪賃料をピックアップしてみました。(共益費込)

月額賃料 専有面積 月坪賃料
14.4万円 40平米 11,880円
17.2万円 44平米 12,900円
15.2万円 39平米 12,860円
13.4万円 34平米 13,000円

当該担保物件の現在の賃料は、共益費込で月坪14,700円、外部専門家の査定は月坪15,250円です。

ちょっと高めに感じます。

公示地価の推移

当該担保物件が所在するとされる渋谷区笹塚の過去4年間の公示地価(1平米あたり)の推移は下記の通りです。

住所 2014年 2015年 2016年 2017年
笹塚1丁目 580千円 593千円 611千円 630千円
笹塚2丁目 860千円 886千円 925千円 960千円

4年間で地価が10%前後上昇しています。担保の価値が急に下がることは考えにくいです。

担保の妥当性の判断

まず、当該担保物件のOwnersBook評価額9億2,300万円ですが、妥当なのか分かりません。

築3年の1DKが4,500万円で売れるのか疑問なのですが、面積も駅からの距離も分からないので、高いのか安いのか分かりませんよね。

賃料は若干高めに感じます。しかし、現時点で満室ですので、入居率に影響するほどの乖離ではないのでしょう。

新宿から京王線で5分の場所ですし、地価が上がっていることからも人気のエリアです。

単身者向けの1DK、1LDKが中心であることからも、物件としての流動性は高いと見込まれます。

以上より、OwnersBookの担保評価額が間違っていないという前提でですが、担保としての妥当性は認められると判断します。

銀行融資の有無

上述の通りシニアローンとして銀行が貸付を行っています

回数 募集時期 貸付額 LTV
第1回 2017年11月 3億6,000万円 39%
第2回 2017年11月 3億6,000万円 39%
第3回 2017年12月 3億6,000万円 39%
第4回 2017年12月 3億6,000万円 39%
第5回 2018年1月 3億6,000万円 39%
今回 2018年4月 3億6,000万円 39%

今回のファンドは第6回目ですが、銀行が第1回から同じ額を貸し付け続けています。(銀行が6回貸したのではなく、最初に貸した分の返済時期が来てないだけだと思います。)

LTV39%まで貸し付けていますので、担保に対する銀行の信用度は高いと判断します。

貸付の妥当性

貸付先企業

貸付先企業である「総合不動産会社B」は東京都渋谷区に所在するとのことです。

事業内容と経営状況

「総合不動産会社B」の事業内容は、主に以下の4つとのことです。

  • 不動産開発事業
  • 不動産投資事業
  • 不動産コンサルティング事業
  • その他投資事業

経営状況については、過去3期に渡り最終黒字でした。

ただし、直近2期は経常赤字で、保有する不動産の売却益で最終黒字としています。

今回の貸付の収益性

今回貸し付ける8,000万円の使途は、不動産投資事業のための事業資金とのことです。

貸付の妥当性の判断

事業内容の詳細や貸付金の詳しい使途が分からないため判断できません。

直近2期の経常赤字が気になるのですが、それを分かった上で銀行が3億6千万円も貸し付けているので、大丈夫なのかな?

安全性の評価

以上より本件の安全性について、

  • 融資先企業が直近2期が経常赤字で不安がある
  • 担保物件の評価額が妥当であるか判断できない
  • 恐らく最終的にLTV80%になる
  • しかし
  • 銀行がLTV39%まで貸し付けている
  • 稼働率、立地から物件の流動性は高い

ことから、本件に対する投資の安全性は高いとまでは言えないが低くはないと判断します。

奥歯に物が挟まったようなはっきりしない言い方で、自分でもイヤになりますね。

案件の信頼性

リピートの有無

今回の貸付は第6回目です。過去の実績があります。

過去の実績

本案件の過去の貸付及び運用実績は以下の通りです。

回数 募集時期 募集金額 応募率 運用状況 予定
利回り
確定
利回り
予定
運用期間
確定
運用期間
第1回 2017年11月 1億円 100% 運用中 4.5% 25ヶ月
第2回 2017年11月 4,000万円 100% 運用中 4.5% 25ヶ月
第3回 2017年12月 2,500万円 100% 運用中 4.5% 25ヶ月
第4回 2017年12月 2,500万円 100% 運用中 4.5% 25ヶ月
第5回 2018年1月 7,000万円 100% 運用中 4.5% 23ヶ月
今回 2018年4月 8,000万円 100% 4.5% 25ヶ月

今までの5回で合計2億6千万円を貸し付けています。利回りは4.5%で運用期間は第5回を除いて25ヶ月です。

第1回から半年も経っていませんので、実績から案件の信頼性を判断するのは難しいです。

僕の判断

以上を踏まえて僕の判断です。

投資の是非

担保物件の評価額が妥当なのか判断できない。これに尽きます。不安感をゼロにできません。

銀行が4割近く貸し付けているし、過去5回はすべて募集が満額に達しています。信頼性もきっと高いのでしょう。

ただ、不安を持った状態で利回り4.5%の25ヶ月案件にあえて投資する必要があるのか?

OwnersBookの自己申告を信頼できる人には、本案件は投資するに値すると判断します。

投資金額

僕はソーシャルレンディングはOwnersBookを一押しで信頼していますが、なにせ小心者なので同社の自己申告をそのまま鵜呑みにはできません。

したがって、この案件には投資しません。

投資は自己責任。自分で完全に納得できない案件には投資しない

僕は基本的にこのスタンスを守ります。

++++++++++++

OwnersBookで投資するメリットとデメリットは以下の記事を参考にしてください。

投資初心者にOwnersBookをオススメする11の理由と4つのデメリット
オーナーズブックは投資初心者に最適のソーシャルレンディング業者の一つです。オススメする11の理由と4つのデメリットを紹介します。上場企業の不動産のプロ集団が運営するOwnersBook。強さの秘密は担保です。しかしそれが同時に弱点を生み出しています。

コメント

早期償還

案件の運用が予定より短い期間で終わり、業者が元本を予定より早く投資家に返すことを早期償還といいます。

例えば、運用期間12カ月の予定が6カ月で早期償還になると、受け取る分配金は基本的に半分になります。

ネガティブに捉えられがちですが、業者が確実に売れる物件を選んで案件を組成した証でもあります。

分配原資

分配原資とは分配金の出どころのことです。

例えば、入居者から得る家賃から投資家に分配金を払う場合、分配原資は家賃です。

家賃はインカムゲインですので、分配原資はインカムゲインとも表現できます。

組成

案件を作ることを組成といいます。

  • 投資対象は緑町ハイツ102号室で
  • 利回りは4.5%で
  • 運用期間1年
  • 募集総額2,300万円の案件を作る

こうやって案件が出来上がります。

組成 → 募集 → 運用開始 → 運用終了 → 償還

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファンディングの案件はこのような流れで運営され、その最初の段階が案件の組成です。

元本毀損

元本毀損とは投資したお金が戻ってこなくなることです。

例えば、2,000万円で取得した物件が1,500万円でしか売れなかった場合、元本の一部が戻ってこないことがあります。

また、取得した物件が地震で倒壊し売れなくなったなどで、元本の全額が戻ってこないこともありえます。

クラファン案件の管理手数料

不動産クラファンで区分マンションなどが投資対象になる場合、物件の入居者募集や家賃徴収といった管理業務が行われます。

これらの業務は業者または外部の不動産業者が代行し、そこでは管理手数料が発生します。

案件の利回りはこういった手数料や経費も差し引いた上で計算されたものです。

ですので、投資家が管理手数料を別途支払う必要はありません。

優先出資と劣後出資

不動産クラファンでは一般に投資家と業者が共同で出資し、物件を取得します。

例えば、投資家が2,400万円、業者が600万円出資し、3,000万円の物件を取得するといった感じです。

出資者 出資額
投資家(優先出資) 2,400万円
業者(劣後出資) 600万円
出資総額 3,000万円

この時、投資家分の出資を優先出資業者分の出資を劣後出資といいます。

なぜ、そのような言い方をするのかなど、詳しくは下記記事を参照してください。

優先劣後出資方式と劣後出資比率

キャピタルゲイン型

不動産クラファンの案件は大きくキャピタルゲイン型とインカムゲイン型に分かれます。

投資対象物件を売却した際の売却益を分配原資(分配金の出どころ)とする案件がキャピタルゲイン型です。

一方のインカムゲイン型は運用期間中の家賃収益を分配原資とします。

なお、売却益と家賃収益の両方を分配原資とする併用型の案件もあります。

自社買取

不動産クラファンでは運用期間の最後に物件を不動産投資家など第三者に売却するのが一般的です。

しかし、何らかの事情で売却できなかった場合、自社で物件を買い取ることがあります。

売却できずに元本が戻ってこないところが、業者が買い取ることで元本が戻ってくることになるので、自社買取は投資家にとってメリットです。

劣後出資比率

不動産クラファンでは一般に投資家と業者が共同で出資し、物件を取得します。

例えば、投資家が2,400万円、業者が600万円出資し、3,000万円の物件を取得するといった感じです。

このとき、出資総額に対する業者分の出資額の比率を劣後出資比率といいます。

さきほどの例では20%です。

出資者 出資額 出資比率
投資家 2,400万円 80%
業者 600万円 20%

劣後出資比率が高いほど安全性が高まります。

詳しくは下記記事を参照してください。

優先劣後出資方式と劣後出資比率

償還

案件の運用が終わり、業者が元本を投資家に返すことを償還といいます。

クリック合戦

募集が先着方式の案件では、投資できる人が決まるのは早い者勝ちです。

このため、人気の案件では募集開始と同時に応募が殺到します。

この状態をクリック合戦といいます。

信託受益権

信託受益権とは信託財産から発生する利益を受け取る権利のことです。

詳しくは↓こちらの記事を参照してください。

信託受益権とは?(別タブで開く)

信託受益権とは?(今開いているタブで開く)

抵当権と根抵当権と極度額

抵当権とは借り手が返済できなくなった時に担保を売却し、その代金から他の債権者に優先して返済を受ける権利です。

抵当権は1つの借り入れに対して設定されるため、返済時点で消滅します。

これに対し根抵当権ではあらかじめ融資の上限額を設定し、その範囲内であれば何度でも融資と返済が可能です。

その都度、抵当権の設定登記を行う必要がないため、企業への融資などでよく利用されます。

極度額は根抵当権の融資上限額のことです。

債務履行

まず、「債務」とは他人に対し何らかの行動を行う義務のことです。

そして、債務を実際に行うことを債務履行といいます。

ソーシャルレンディングの場合、借り手(債務者)が返済することや、連帯保証人が借り手に代わって返済することが債務履行にあたります。

LTV

ソーシャルレンディングで使われる用語で、担保評価額に対する融資額の割合をいいます。

例えば、1億円の土地を担保に8千万円を融資する場合、LTVは80%です。

担保が評価額通りに売れるとは限らないため、LTVの数字が小さいほど安全性が高いとされます。

資金使途

ソーシャルレンディングで業者から借りたお金を借り手が何に使うかを資金使途といいます。

延滞

ソーシャルレンディングで借り手が期限内に返済できなくなることを延滞といいます。

また、ソシャレン、不動産クラファンで元本の償還が予定より遅れている状態を延滞と呼ぶことがあります。

業者や投資家によっては「遅延」という表現が使われることもありますが、意味は同じです。